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加圧式消火活動拠点とはどんな部屋なのか|床面積と区画そして開放力の要件を解説

加圧式消火活動拠点の戸の開き具合を確認している技術者のイメージ

加圧防排煙設備を備えた建物の図面を見ていると、階段室のわきに小さな室が描かれていることがあります。
これは加圧式消火活動拠点と呼ばれる室で、普通の部屋とは違う条件が定められています。
広さや使い方だけでなく、壁の造りや戸の重さまで基準があり、知らずに物を置いてしまう例も少なくありません。
加圧式消火活動拠点に求められる条件を、消防庁告示の条文に沿って確認します

うちの建物にも階段室の横に小さな部屋があります。
ただの物置だと思っていました。

それは加圧式消火活動拠点かもしれません。
物置ではなく、消防隊のための室です。

季節用品を置いてしまっていたのですが、大丈夫でしょうか。

それは用途違反にあたるおそれがあります。
条件をひとつずつ確認していきましょう。

この記事の結論
  • 加圧式消火活動拠点は、避難階段や特別避難階段に連絡する室で、給気により加圧し火災の熱や煙の影響を受けないよう措置された室です
  • 防火対象物の階ごとに、各部分から一の遮煙開口部までの水平距離が50メートル以下となるように設けます
  • 床面積は10平方メートル以上で、かつ消火活動上支障のない形状であることが必要です
  • 避難と通行と運搬以外の用途に使ってはならず、耐火構造の壁と床で区画しなければなりません
  • 出入口の戸は開放力100ニュートン以下とし、防災センター等と通話できる装置を設けます

加圧式消火活動拠点に求められる床面積と用途と区画と戸の開放力の4つの要件を示した図解

加圧式消火活動拠点とは何を指すのか

階段室の扉の横にある小さな室に天井の給気口から空気が吹き込む様子のイラスト
図面に「加圧式消火活動拠点」と書かれていても、どんな室なのかは名前だけでは分かりません。
まずは消防庁告示が置いている定義を見ます。
加圧防排煙設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成21年消防庁告示第16号)第二 用語の意義 一
加圧式消火活動拠点 建築基準法施行令第百二十三条及び第百二十四条に規定する避難階段の階段室(略)と連絡する室、同令に規定する特別避難階段の付室その他これらに類する室で、給気により加圧し、火災によって発生する熱や煙の影響を受けないよう措置されたものをいう。
階段室に煙を入れないための室です。
避難階段や特別避難階段の階段室、あるいは特別避難階段の付室と連絡する室のうち、給気により加圧して熱や煙の影響を防ぐ措置がされたものが加圧式消火活動拠点にあたります。
この室は加圧防排煙設備を構成する一部分で、加圧防排煙設備は消防法施行令第29条の4にもとづき排煙設備に代えて用いることができる設備です。
名前に「消火活動」とあるとおり、守る相手は避難する人ではなく消防隊員だと読んでおいてください。

避難する人のための部屋だと思っていました。
消防隊のための部屋なんですね。

そのとおりです。
階段室に給気口や排煙口があれば、この設備が使われている印です。

どんな床面積や配置が求められるのか

床の広さを巻き尺で測る室と歩いて行き来できる距離を示す廊下のイラスト
定義に当てはまる室でも、広さと配置が基準を満たしていなければ加圧式消火活動拠点として機能しません。
告示は3つの数字を並べています。
同告示第三 五
加圧式消火活動拠点は、次に定めるところによること。
(一) 防火対象物の階ごとに、その階の各部分から一の遮煙開口部までの水平距離が五十メートル以下となるように設けること。
(二) 床面積が十平方メートル以上で、かつ、消火活動上支障のない形状であること。
(三) 外周のうち一の防火区画に接する部分の長さが当該外周の長さの二分の一以下であること。
数字は水平距離と床面積と外周比率の3つです。
まず各階の各部分から遮煙開口部までの水平距離が50メートル以下になるように配置し、床面積は10平方メートル以上を確保します。
続いて外周のうち防火区画に接する部分の長さが外周全体の2分の1以下であることも求められ、細長すぎる室や外気に大きく面した室は避けなければなりません。
設計段階の図面だけでなく、完成後も棚や設備で床面積が実質的に狭くなっていないかを確かめてください。

広さだけでなく、部屋の形にも条件があるんですね。

そうです。
消火活動をする隊員が動きやすい形であることも条件に含まれます。

拠点をどう区画し何のために使うのか

消火用のホースと容器だけが置かれた室と段ボール箱が禁止マークで示された室のイラスト
広さと配置の条件を満たしても、使い方と壁の造りが基準どおりでなければ拠点としては認められません。
告示はここでも用途と構造の両方を定めています。
同告示第三 五
(四) 避難、通行及び運搬以外の用途に供しないこと。
(五) 次に適合する耐火構造(建築基準法第二条第七号に規定する耐火構造をいう。)の壁及び床で区画すること。
イ 隣接室に面する壁にあっては、次の式により求めた壁の火災時予測上昇温度が百度以上とならないよう措置されていること(式は略)。
ロ 遮煙開口部には、特定防火設備である防火戸で、火災時予測上昇温度が百度以上とならないよう措置されたものを設けたものであること(式は略)。
使ってよいのは避難と通行と運搬の3つだけです。
在庫や什器の一時置き場にすることは、この用途制限に反します。
壁と床は耐火構造で区画し、隣の部屋で火災が起きても壁や防火戸を通じて拠点内部の温度が上がりすぎないよう、告示が定める式で計算した措置を講じます。
式そのものは設計者が確認する範囲ですが、現場で使い方を守ることは防火管理者の役目です。

つまり、拠点は避難と通行と運搬にしか使えないということですね。

そのとおりです。
壁の性能は設計時に確保されていますので、あとは使い方を守るだけです。

実務で見落としやすいのはどこか

片手で軽く開く戸と壁に付いた通話装置のイラスト
床面積や用途はチェックしても、戸の重さや通話装置は見落とされがちです。
告示は消防隊員が実際に動くことを前提にした条件も並べています。
同告示第三 五
(六) 出入口に設けられた戸を開放するための力が百ニュートンを超えないための措置を講じること。
(七) 防火対象物の防災センター、中央管理室、守衛室その他これらに類する場所(常時人がいる場所に限る。)と通話することができる装置を設けること。
戸の重さと通話装置は独立した条件です。
出入口の戸は開放力100ニュートンを超えないよう措置しなければならず、防火戸を厚く重くしすぎると、この基準を外れるおそれがあります。
もうひとつは防災センター等との通話装置で、拠点で活動する隊員と建物側が連絡を取り合える状態を保つことが求められます。
戸の開き具合は日々の点検で確認できますが、通話装置は電話が生きているかまで確かめないと見落とします。

通話装置があること自体は知っていましたが、通じるかまでは確認していませんでした。

設置されているだけでは足りません。
次の点検のときに実際に通話できるかまで試してください。

明日からなにを確認すればよいのか

点検表を持つ人が戸と通話装置の並ぶ壁を確認する様子のイラスト
条件を頭に入れたら、次は建物の中で実際に確かめる番です。
ここまでの7つの条件を、点検の順番に並べ直します。
加圧式消火活動拠点の確認ポイント(同告示第三 五 各号にもとづく)
・室の位置は階段室又は特別避難階段の付室に連絡しているか
・水平距離50メートル以下ごとに設けられているか
・床面積10平方メートル以上を保っているか
・室内は避難と通行と運搬以外に使われていないか
・出入口の戸は片手で軽く開くか
・防災センター等との通話装置は実際につながるか
確認は棚卸しのつもりで一つずつ回ってください。
まず拠点の位置と床面積が図面どおりかを見て、次に室内に物が置かれていないかを確認します。
そのうえで出入口の戸を実際に押して開き具合を確かめ、通話装置を使って防災センター等に声が届くかを試します。
これらは特別な工具がなくてもできる確認なので、日常の巡回に組み込んでおくと安心です。

今日の巡回で、まず室内に物がないかを見てきます。

それが一番早い確認方法です。
戸と通話装置は次の点検のときにあわせて試してください。

よくある質問

Q加圧式消火活動拠点はどんな建物にありますか?
A通常用いられる排煙設備に代えて加圧防排煙設備を設置した防火対象物に設けられます。令別表第一(4)項の物品販売店舗等や(13)項イの車庫等で、地階又は無窓階の床面積が1,000平方メートル以上のものが対象です。
Q床面積が10平方メートルに届かない室でもよいですか?
A認められません。告示第三第五号(二)は床面積十平方メートル以上であることを技術上の基準として定めており、これを満たさない室は加圧式消火活動拠点として扱えません。
Q拠点の中に資機材を保管してもよいですか?
A避けるべきです。告示第三第五号(四)は避難、通行及び運搬以外の用途に供しないことを定めており、常時の保管場所として使うことはこの制限に反するおそれがあります。
Q出入口の戸が重い場合はどう考えればよいですか?
A是正が必要です。告示第三第五号(六)は、戸を開放するための力が百ニュートンを超えないための措置を求めており、消火活動中の隊員が支障なく開けられることを前提にしています。

まとめ

加圧式消火活動拠点は、避難階段等に連絡する室で給気加圧により熱や煙の影響を受けないよう措置された室です
根拠は加圧防排煙設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成21年消防庁告示第16号)第三第五号です
各階の各部分から一の遮煙開口部までの水平距離が50メートル以下となるように設けます
床面積は10平方メートル以上で、消火活動上支障のない形状であることが必要です
避難と通行と運搬以外の用途に使ってはならず、耐火構造の壁と床で区画します
出入口の戸は開放力100ニュートンを超えないための措置を講じます
防災センター等と通話できる装置を設け、実際につながるかまで点検で確かめます

今日のうちに拠点の中を見て、物が置かれていないかを確認します。
戸の開き具合も試してみます。

その2つが確認できれば十分です。
加圧防排煙設備のことでお困りでしたら、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第28条・第29条の4・別表第一
  • 排煙設備に代えて用いることができる必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成21年総務省令第88号)第2条
  • 加圧防排煙設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成21年消防庁告示第16号)第二・第三
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第123条・第124条
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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