屋外タンク貯蔵所や移送取扱所の保安検査は、原則として8年ごとに受けることになっています。
ただし条件を満たせば、この間隔を最長15年まで延ばせる仕組みがあります。
その判断のもとになるのが、タンクの底部の板が薄くなる速さを表す数字です。
この記事では、その腐食の速さをどんな式で計算するのかを条文から整理します。
うちの屋外タンクの保安検査、8年より先に延ばせることもあると聞きました。
はい。
条件を満たせば最長15年まで延ばせますが、その判断材料の数字は自分で計算する必要があります。
その数字はどうやって出すものなんですか。
板厚が薄くなる速さのことです。
今日はその算出方法を条文にそって解説します。
- 屋外タンク貯蔵所や移送取扱所の保安検査は原則8年ごとに受けることになっています
- 条件を満たせば最長15年まで検査の間隔を延ばせます
- 延長の判断材料になるのが板厚が薄くなる速さ(一年当たりの腐食による減少量)です
- この数値は前々回と前回の保安検査の板厚差を経過年数で割って算出します
- 内部にコーティングが無いタンクは、追加の計算が必要になります
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目次
屋外タンクの板厚が薄くなる速さはなぜ検査のたびに計算するのか

その周期は、一律の年数だけでは決まりません。
消防法第14条の3は、屋外タンク貯蔵所や移送取扱所の所有者等に、政令で定める時期ごとの保安検査を義務付けています。
危険物の規制に関する政令第8条の4第2項第1号は、その時期の原則を8年に一度と定めています。
ただし同じ号にはイ・ロという特例があり、条件を満たすタンクは10年、13年、最長15年まで延ばせます。
この記事では、延ばせる制度そのものではなく、その判断に使う「板厚が薄くなる速さ」の計算方法を見ていきます。
8年より先に延びるかどうかは、うちで計算するものなんですね。
正確には保安検査の記録をもとに計算します。
次にどの検査結果を使うのかを見ていきましょう。
どの保安検査の板厚を比べて計算するのか

どの時点の板厚を比べるのかが決まっています。
条文でいう「前々回の保安検査」とは、今回より2つ前の保安検査のことです。
板厚は、前々回の検査時点のものと、前回の検査の前6か月以内に連続板厚測定方法で測った値の2つを使います。
完成検査のあと最初の保安検査など、比べる相手の記録がまだ無いタンクは、代わりに使用を開始した時の板厚を前々回の値として使います。
どちらの板厚も、底板とアニュラ板(底板の外周部の環状の板)の両方について確認します。
前回じゃなくて前々回なんですね、意外でした。
はい。
2回分の記録を比べて初めて、薄くなる速さが分かります。
具体的にどんな式で腐食の速さを出すのか

式そのものはシンプルです。
式にすると「(前々回の板厚−前回の板厚)÷経過年数」というだけの単純な引き算と割り算です。
実務では、この計算をタンク底部の測定点ごとに行います。
測定点は連続板厚測定方法で面全体をすき間なく測るため数が多くなりますが、その中で最大の値を「一年当たりの腐食による減少量」として採用します。
一番進んでいる箇所の数字を使う、安全側の決め方になっています。
平均じゃなくて、一番進んでいる場所の数字を使うんですね。
そのとおりです。
ただしコーティングが無いタンクは、もう一段階計算が加わります。
コーティングが無いタンクは計算がどう変わるのか

見落としやすいポイントです。
第1項の式は、外面(地盤側)の腐食を前提にした計算です。
内部にコーティングが無いタンクでは、それに加えて内面だけが腐食している箇所、内面と外面の両方が腐食している箇所についても同じ式で計算します。
最終的には、第1項で出した値とこの追加計算の値を合わせた中から、やはり最大のものを採用します。
「式は1つだけ」と思い込んで内面側の腐食を見落とすと、実際より小さい数字で申請してしまうおそれがあります。
コーティングの有無で、確認する箇所まで変わるんですね。
はい。
自分のタンクにコーティングがあるかどうかを、まず確認してください。
計算した数字を保安検査でどう使えばよいのか

次の保安検査に向けて記録として残します。
算出した「一年当たりの腐食による減少量」と前回の板厚は、市町村長等が次回の保安検査の時期(8年以上15年以内)を定める根拠になります。
そのため、連続板厚測定方法で測った日付と結果は、検査ごとにきちんと記録・保管しておくことが欠かせません。
コーティングの有無、前々回・前回の板厚、算出した減少量の4点をひとつの記録にまとめておくと、次回の検査や延長の相談がスムーズです。
数字の出し方に迷うときは、所轄消防署や日本消防設備安全センターなどの専門機関に確認するのが確実です。
次の検査までに、うちの記録を整理しておきます。
その積み重ねが、延長の判断につながります。
よくある質問
まとめ
計算式そのものは、思ったよりシンプルでした!
大事なのは記録を残しておくことです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第14条の3
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第8条の4
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第62条の2の5
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





