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屋外タンク貯蔵所の保安検査はなぜ十三年まで延びることがあるのか|コーティングと板厚測定で変わる周期を解説

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屋外タンク貯蔵所と移送取扱所には、市町村長等が行う保安に関する検査が義務づけられています。
特定屋外タンク貯蔵所の多くは、この検査を八年ごとに受けなければなりません。
ところが同じ施設でも、条件を満たせば検査の周期が十年や十三年、時には十五年まで延びることがあります。
この記事では危険物の規制に関する政令第八条の四と規則第六十二条の二の二が定める周期延長の仕組みを解説します

うちの屋外タンク、保安検査は八年に一回だと思っていたんですが違うんですか。

条件を満たせば延びることがあります。
まず政令第八条の四を見てみましょう。

どうすれば延ばせるんですか。

タンクの腐食対策の状況によって変わります。
順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 特定屋外タンク貯蔵所の保安検査は原則として八年ごとだが、条件を満たせば周期を延長できる
  • 内部のコーティングや底部の板厚等の要件を満たすと十年または十三年まで延びる
  • 底部の腐食の減り方を連続板厚測定方式で実測すると最長十五年まで市町村長等が個別に定める
  • 延長の適用を受けるには市町村長等へ申請書を提出する必要がある
  • 岩盤タンクや移送取扱所は周期の定め方自体が異なる

屋外タンク貯蔵所の保安検査は基本は八年でコーティングで延長し板厚測定で延長し市町村長等へ申請することを示した図解

屋外タンク貯蔵所の保安検査はなぜ十三年まで延びることがあるのか

防油堤に囲まれた屋外タンク貯蔵所に担当者が近づく様子
特定屋外タンク貯蔵所には、市町村長等が行う保安に関する検査が義務づけられています。
検査の周期は原則八年ですが、政令はあらかじめ延長の道を用意しています。
消防法第十四条の三第一項 政令で定める屋外タンク貯蔵所又は移送取扱所の所有者、管理者又は占有者は、政令で定める時期ごとに、(略)市町村長等が行う保安に関する検査を受けなければならない。 危険物の規制に関する政令第八条の四第二項第一号 特定屋外タンク貯蔵所(略)は、完成検査を受けた日又は直近の保安検査を受けた日の翌日から起算して八年(次のイ又はロに掲げる特定屋外タンク貯蔵所にあつてはそれぞれイ又はロに定める期間とし、(略)いずれにも該当する場合は当該イ又はロに定める期間のうちいずれか長い期間とする。)を経過する日前一年目に当たる日から、当該経過する日の翌日から起算して一年を経過する日までの間
特定屋外タンク貯蔵所の保安検査は原則八年ごとですが、条文自体がイ・ロという二つの延長ルートを用意しています。
政令第八条の四第二項第一号は、で総務省令の定める保安措置を講じた場合の期間、で腐食の減り方を実測した場合の期間を、それぞれ市町村長等が定めると規定しています。
どちらのルートを使うかで、延びる年数の決まり方がまったく違います。
まずはイのルート、コーティング等の保安措置による延長を見てみましょう。

八年ごとと決まっているとばかり思っていました。

八年はあくまで原則です。
次はイのルートを詳しく見ましょう。

どんな措置を講じれば十年や十三年まで延ばせるのか

タンク底部の板にコーティングをローラーで塗る作業員
延長のイのルートは、腐食対策の状況を段階的に積み上げる仕組みです。
満たす要件の数が多いほど、延びる年数も長くなります。
危険物の規制に関する規則第六十二条の二の二第一項 (略)保安のための措置は、(略)次の各号のいずれかに該当するものとする。 第一号 特定屋外貯蔵タンクの腐食防止等の状況が次のイからトまでの全ての要件に適合するもの イ 特定屋外貯蔵タンクの内部の腐食を防止するための告示で定めるコーティング又はこれと同等以上の措置を講じていること。 (ロ〜ト 底部外面の腐食防止、板厚の適正、補修又は変形がないこと、著しい不等沈下がないこと、地盤の支持力、維持管理体制の適切性) 第三号 (略)特定屋外貯蔵タンクの底部の腐食率(略)が一年当たり〇・〇五ミリメートル以下であること等の要件に適合するもの
コーティング等の基本要件を全て満たすと十年、さらに腐食の実績まで良好だと十三年まで延びます。
第一号は内部コーティング・底部外面の腐食防止・板厚の適正・変形なし・不等沈下なし・地盤の支持力・維持管理体制という七つの要件をすべて満たすことを求めており、これを満たすと十年まで延びます。
第三号はさらに一歩進み、実際の底部の腐食率が一年当たり〇・〇五ミリメートル以下という実績要件まで満たすと、十三年まで延びます。
どちらも市町村長等へ申請し、要件に適合していると認められて初めて適用される点は共通しています。

コーティングさえしていれば十三年まで延びるんでしょうか。

コーティングだけでは十年までです。
十三年には腐食率の実績も必要です。

腐食の減り方を実測すればどこまで延ばせるのか

タンク底部に計測器を当てて板厚を測る担当者
イのルートとは別に、実測した腐食量から直接年数を算出するロのルートもあります。
こちらは要件を満たすかどうかではなく、数値そのものから期間を計算します。
危険物の規制に関する政令第八条の四第二項第一号ロ 総務省令で定める特殊の方法を用いて(略)測定された(略)液体危険物タンクの底部の板の厚さの一年当たりの腐食による減少量が総務省令で定める基準を満たす特定屋外タンク貯蔵所のうち、総務省令で定める保安のための措置を講じているもの (略)当該測定された(略)腐食による減少量及び前回の保安検査における底部の板の厚さに基づき市町村長等が定める八年以上十五年以内の期間 危険物の規制に関する規則第六十二条の二の四第一項 (略)特殊の方法は、告示で定める測定装置により液体危険物タンクの底部の板の厚さ又は腐食量を三十ミリメートル以下の間隔で全面にわたつて測定すること(略)とする。
連続板厚測定方式で腐食の減り方を実測すると、最短八年から最長十五年まで市町村長等が個別に年数を定めます。
規則第六十二条の二の四が定める連続板厚測定方式は、告示で定める測定装置でタンク底部の板の厚さや腐食量を三十ミリメートル以下の間隔で全面にわたって測定する方法です。
この実測値から算出した年数は一年未満の端数を切り捨て、八年未満なら八年、十五年を超えるなら十五年に丸められます。
イのルートが要件を満たすかどうかの判定なのに対し、ロのルートは実際の腐食のペースを数値で示す点が大きく異なります。

実測すれば必ず十五年まで延びるんですか。

腐食が進んでいれば短くなることもあります。
実測値次第で年数は変わります。

延長を受けるにはどんな手続きが必要か

窓口カウンターで担当者が申請書類を市町村の職員に手渡す様子
イ・ロどちらのルートも、要件を満たしているだけでは周期は自動的に延びません。
延長を受けるには、決まった手続きを踏む必要があります。
危険物の規制に関する規則第六十二条の二の三第二項 前項の規定の適用を受けようとする者は、前条に規定する保安のための措置を講じている旨を記載した別記様式(略)の申請書を市町村長等に提出しなければならない
周期の延長は、市町村長等へ申請書を提出して初めて適用されます。
要件を満たす措置を講じていても、申請という手続きを踏まなければ延長は認められません
申請書には、コーティングや板厚等の保安のための措置を講じている旨を記載する必要があります。
「要件は満たしているはずだから大丈夫」と考えて申請を忘れると、次の保安検査は原則どおり八年で回ってくることになります。

コーティング工事をしただけでは駄目なんですね。

工事のあとに申請書の提出まで必要です。
忘れずに市町村長等へ出しましょう。

明日からなにを確認すればよいのか

点検簿を持ちタンク全体を見上げる担当者
自分の施設がどのルートで延長できるかを整理すると、次に何を準備すればよいかが見えてきます。
まず現状の措置と直近の保安検査の記録を確認しましょう。
  • 自分の施設が特定屋外タンク貯蔵所に当たるかどうかをまず確認する
  • 内部コーティング・底部外面の腐食防止・板厚等、イの要件をどこまで満たしているかを整理する
  • 過去の保安検査で底部の板厚を測定した記録が残っているかを確認する
  • 延長を受けるなら市町村長等への申請書提出が必要であることを忘れない
危険物の規制に関する政令第八条の四・危険物の規制に関する規則第六十二条の二の二から第六十二条の二の四まで(前掲のとおり)を、自分の施設の保安検査の記録や工事履歴と照らし合わせて確認することが実務上の第一歩になります。

次の保安検査の前に、コーティングの記録を確認してみます。

申請書の提出もあわせて確認しましょう。

よくある質問

Q保安検査の周期を延ばせるのは全ての屋外タンク貯蔵所ですか?
A対象は特定屋外タンク貯蔵所です。岩盤タンクや特殊液体危険物タンクは別の周期が定められ、移送取扱所は一年ごとの検査でこの延長制度自体がありません。
Qコーティングさえすれば自動的に周期が延びますか?
A自動では延びません。コーティングを含む七つの要件を全て満たしたうえで市町村長等へ申請し、認められて初めて適用されます。
Q十年に延ばす条件と十三年に延ばす条件はどう違いますか?
A十年はコーティング等の基本要件を満たす場合、十三年はさらに底部の腐食率が一年当たり〇・〇五ミリメートル以下という実績要件まで満たす場合です。
Q連続板厚測定方式とはどんな測定方法ですか?
A告示で定める測定装置により、タンク底部の板の厚さや腐食量を三十ミリメートル以下の間隔で全面にわたって測定する方法です。

まとめ

特定屋外タンク貯蔵所の保安検査は原則として八年ごと
コーティング等の七つの要件を満たすと十年まで延びる
底部の腐食率が一年当たり〇・〇五ミリメートル以下だと十三年まで延びる
連続板厚測定方式で実測すると最長十五年まで市町村長等が個別に定める
算出した年数は八年未満なら八年、十五年超なら十五年に丸められる
延長の適用には市町村長等への申請書提出が必要
岩盤タンクや移送取扱所は周期の定め方自体が別になっている

うちのタンクもコーティングの記録を確認してみます!

申請書の提出まで忘れずに進めましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第十四条の三
  • 危険物の規制に関する政令第八条の四
  • 危険物の規制に関する規則第六十二条の二・第六十二条の二の二・第六十二条の二の三・第六十二条の二の四
  • e-Gov法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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