特定共同住宅等では、通常の消防用設備等に代えて、簡易な「共同住宅用」の設備を使える場合があります。
どこまで代えられるかは、建物の構造類型と設備の種類によって細かく分かれています。
なかでも誘導灯及び誘導標識は、代替が認められる型がほかの設備よりずっと狭くなっています。
この違いを知らずに設備を選ぶと、必要な設備を見落とすおそれがあります。
うちのマンションは誘導灯を簡単な物に代えられると聞いたのですが。
それができるのは建物の構造類型による決まりがあるからです。
まずはどの型に当たるかを一緒に確認しましょう。
避難器具も同じ扱いになるんでしょうか。
避難器具と誘導灯では代替できる範囲が違います。
ひとつずつ整理していきますね。
- 代替の対象になるのは自動火災報知設備・非常警報設備・避難器具・誘導灯及び誘導標識の4種類です。
- 誘導灯及び誘導標識の代替が定められているのは開放型と二方向避難・開放型だけです。
- 二方向避難型やその他の特定共同住宅等には誘導灯の代替規定がありません。
- 避難器具・自動火災報知設備・非常警報設備は構造類型を問わず代替の対象になります。
- 地階を除く階数が5以下か6以上かで、使える設備の組み合わせが変わります。
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目次
特定共同住宅等の避難安全支援性能とは何を指すのか

40号省令はこの性能を持つ設備どうしの代替を認めています。
自動火災報知設備・非常警報器具(又は非常警報設備)・避難器具・誘導灯及び誘導標識の4つです。
このうち3つは、どの構造類型でも代替の対象になります。
一方で誘導灯及び誘導標識だけは、代替が認められる構造類型が限られています。
まずは自分の建物がどの構造類型に当たるかを確認することが出発点です。
誘導灯まで含めて4種類も代わるんですね。
ただし誘導灯だけは条件が別扱いです。
次の章で説明しますね。
誘導灯の代替が認められるのはどの構造類型か

表に出てこない構造類型は、代替の対象そのものになっていません。
開放型特定共同住宅等と二方向避難・開放型特定共同住宅等の欄にだけ、誘導灯及び誘導標識が記載されています。
二方向避難型特定共同住宅等の欄には、誘導灯及び誘導標識という文字自体がありません。
その他の特定共同住宅等の欄にも同様に載っていません。
つまり代替が使えるかどうかは、建物が開放型系統に当てはまるかどうかで決まります。
うちは開放型じゃないので誘導灯は関係ないんですね。
その場合は誘導灯だけ通常の基準のままになります。
この点は見落としやすいので次の章で詳しく説明します。
避難器具や自動火災報知設備はどこまで代替できるのか

ただし建物の階数によって、使える組み合わせが変わります。
地階を除く階数が5以下なら、共同住宅用自動火災報知設備、または住戸用自動火災報知設備と共同住宅用非常警報設備の組み合わせのどちらかを選べます。
6以上になると、共同住宅用自動火災報知設備だけに限られます。
二方向避難・開放型特定共同住宅等では、この境目が10以下と11以上に変わります。
避難器具はこれらの設備と一体で扱われ、単独で代替可否が決まるわけではありません。
うちは高い建物なので組み合わせが限られるんですね。
はい階数が上がるほど選べる幅は狭くなります。
まずは正確な階数を確認しましょう。
なぜ二方向避難型には誘導灯の代替規定が無いのか

この型の表には、誘導灯及び誘導標識という項目自体が立てられていません。
表に誘導灯及び誘導標識の項目が無いということは、この設備についてだけ代替の定め自体が存在しないという意味です。
理由までは条文に書かれていませんが、開放型のように廊下が外気に開放されている建物とは前提が異なるためと考えられます。
自動火災報知設備や避難器具が代替できることと、誘導灯が代替できることは別の話だと意識しておく必要があります。
ここを混同すると、誘導灯だけ簡易な設備で済ませてしまう見落としにつながります。
自火報が代わるから誘導灯も同じだと思っていました。
そこが今回いちばん間違えやすい所です。
設備ごとに条文を分けて確認する習慣をつけましょう。
明日から何を確認すればよいのか

そのうえで設備ごとに条文の表を照らし合わせます。
次に、自動火災報知設備・非常警報設備・避難器具について、表の欄を確認します。
最後に誘導灯及び誘導標識だけを分けて、開放型系統に当てはまるかを個別に確認します。
設置及び維持の技術上の基準も準用規定があるため、代替設備を選んだ後の維持管理まで併せて確認します。
判断に迷ったら、図面と条文を照らし合わせたうえで所轄消防署に相談するのが確実です。
設備ごとに条文を分けて見ればいいんですね。
その順番で確認すれば見落としを防げます。
迷ったら図面を持って相談に来てください。
よくある質問
まとめ
誘導灯と避難器具で扱いが違うのがよく分かりました!
構造類型ごとの表を照らし合わせるのが確実です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令第29条の4
- 特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成17年総務省令第40号)第2条・第4条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





