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移送取扱所の配管はなぜ地下に埋めるとき建築物との距離まで問われるのか|0.3メートルとすべり面で分かれる基準を解説

地下に埋める配管の基準は深さだけではないことを示すイメージ写真

移送取扱所の配管は、長い区間にわたって地下に埋めて設置されることがあります。
危険物の規制に関する規則は、この地下埋設について守るべき基準を定めていますが、内容は埋める深さだけではありません。
建築物との距離や他の工作物との距離、地盤の凍結やすべりへの備え、地上へ立ち上がる部分の措置まで、条文は場面ごとに求める対策を分けています。
この記事では、地下に埋める配管が満たすべき基準を、深さ以外の項目まで条文から整理します。

うちの配管、地下に埋めるときは深さだけ守っていれば十分だと思っていました。

いいえ。
建築物や他の工作物との距離、地盤の凍結やすべりへの備えまで、条文は別々に定めているんです。

深さ以外にも、そんなに項目があるんですね。

はい。
今日は、地下に埋める配管の基準を条文から解説します。

この記事の結論
  • 地下に配管を埋めるときは、建築物や地下街との水平距離も告示で個別に定められています
  • 他の工作物とは原則0.3メートル以上の距離を保ち、工作物の保全に支障を与えないことが必要です
  • 地盤の凍結による損傷を防ぐ深さと、のり面のすべり面外側への埋設という2つの視点で場所を選びます
  • 立ち上がり部や地盤の急変部には曲り管の挿入や地盤改良などの措置を講じます
  • 掘削及び埋め戻しの方法も告示で定められており、施工記録が残っているかの確認が欠かせません

地下に埋める配管の基準は建築物との距離と他配管との距離と凍結すべり面対策と曲り管による対応の四段階からなり施工記録を必ず確認することを示す図解

移送取扱所の配管を地下に埋めるとき建築物との距離はどう決まるのか

地下に埋設された配管と近くの建物基礎との水平距離を測る様子
移送取扱所の配管を地下に埋める場合、まず問題になるのが周囲の建築物との距離です。
条文は具体的な数値を示さず、別の告示にゆだねる形をとっています。
危険物の規制に関する規則第28条の12第1項第一号(地下埋設) 配管は、その外面から建築物、地下街、隧すい道その他の告示で定める工作物に対し告示で定める水平距離を有すること。
建築物や地下街との水平距離は、規則本体ではなく告示で個別に定められています。
規則第28条の12第1項第一号は、配管の外面から建築物・地下街・隧道その他告示で定める工作物に対し、告示で定める水平距離を有することとしていますが、その距離の具体的な数値そのものは規則には出てきません。
つまりこの号は「距離を確保せよ」という枠組みだけを定め、実際の数値は告示側で工作物の種類ごとに変わる二重構造になっています。
現場で確認するときは、規則の号番号だけでなく、参照先の告示まで当たらないと具体的な数値には行き着けません。
次の見出しでは、告示委任ではなく規則そのものに数値が書かれている、他の工作物との距離を確認します。

建築物との距離って、規則を見れば数字が出てくると思っていました。

いいえ、そこは告示側の数値を確認する必要があります。
次は規則自体に数値がある距離を見てみましょう。

他の工作物との距離はなぜただし書きで緩められることがあるのか

地下で隣り合う配管と別の埋設管の間の距離を測量する作業員
建築物とは別に、地下に埋まっている他の工作物との距離も定められています。
こちらは規則そのものに具体的な数値が書かれています。
危険物の規制に関する規則第28条の12第1項第二号(地下埋設) 配管は、その外面から他の工作物に対し〇・三メートル以上の距離を保たせ、かつ、当該工作物の保全に支障を与えないこと。ただし、配管の外面から他の工作物に対し〇・三メートル以上の距離を保たせることが困難な場合であつて、かつ、当該工作物の保全のための適切な措置を講じる場合は、この限りでない。
他の工作物とは、原則として0.3メートル以上の距離を確保します。
規則第28条の12第1項第二号は、配管の外面から他の工作物に対し0.3メートル以上の距離を保たせ、かつ当該工作物の保全に支障を与えないことを求めています。
ただし書きにより、距離の確保が困難で、かつ工作物の保全のための適切な措置を講じる場合に限り、この距離を満たさなくてもよいとされています。
2つの条件がそろって初めて例外が認められる建てつけなので、距離が取れないという理由だけでは足りません。
次の見出しでは、埋める深さの側面から求められる基準を確認します。

0.3メートル取れないときは、そのまま埋めてしまってもいいんですか。

いいえ、工作物を保護する措置を別に講じる必要があります。
次は凍結やすべりへの備えを見てみましょう。

凍結による損傷を防ぐ深さとすべり面を避ける深さはどう違うのか

斜面のすべり面を示す破線の下に埋設された配管と地表付近の凍結層
配管を埋める深さの基準は、実は1つではありません。
条文は凍結による損傷と、地すべりによる損傷を別の号で扱っています。
危険物の規制に関する規則第28条の12第1項第四号(地下埋設) 配管は、地盤の凍結によつて損傷を受けることのないよう適切な深さに埋設すること。 危険物の規制に関する規則第28条の12第1項第五号(地下埋設) 盛土又は切土の斜面の近傍に配管を埋設する場合は、告示で定める安全率以上のすべり面の外側に埋設すること。
凍結対策とすべり面対策は、狙っている損傷の原因が違います。
第四号は地盤の凍結による損傷を避けるための深さを求めるもので、寒冷地ほど深く埋める必要が出てきます。
第五号は盛土や切土の斜面の近くに埋める場合に、すべり面の外側に埋設することを求めるもので、地すべりが起きても配管が巻き込まれない位置を選ぶ考え方です。
どちらも「一定の深さがあればよい」という単純な話ではなく、想定する損傷の種類に応じて埋める位置そのものを変える必要があります。
次の見出しでは、配管が地上に立ち上がる部分など、深さの話とは別の落とし穴を確認します。

深さの基準が、原因ごとに分かれているとは知りませんでした。

はい、狙っている損傷が違うので基準も別々です。
次は地上へ立ち上がる部分を見てみましょう。

立ち上がり部や地盤の急変部ではなぜ曲り管を使うのか

地下から地上へ立ち上がる配管の曲がった部分を支える支持金具
配管がまっすぐ埋まっている区間だけでなく、向きが変わる区間にも注意が必要です。
条文は支持条件が急に変わる箇所を名指しで扱っています。
危険物の規制に関する規則第28条の12第1項第六号(地下埋設) 配管の立ち上がり部、地盤の急変部等支持条件が急変する箇所については、曲り管のそう入、地盤改良その他必要な措置を講じること。
配管の立ち上がり部や地盤の急変部は、支持条件が急に変わる特に注意が必要な箇所です。
規則第28条の12第1項第六号は、こうした箇所について曲り管の挿入地盤改良その他必要な措置を講じることを求めています。
まっすぐな配管の途中で急に固定条件が変わると、その境目に力が集中しやすくなるため、あらかじめ曲り管などで力を逃がす構造にしておく考え方です。
地下から地上へ立ち上がる部分はまさにこの支持条件が急変する典型例で、見落とすと後から補修が難しくなります。
次の見出しでは、これらの基準を実務でどう確認していくかを整理します。

まっすぐ埋まっている部分より、曲がる場所のほうが弱点になるんですね。

はい、支持条件が急に変わる箇所は力が集中しやすいです。
最後に実務での確認の手順を見てみましょう。

地下埋設の配管はどう確認すればよいのか

掘削した溝に配管を敷設し記録を確認する作業員と小型重機
ここまでの基準を満たすためには、施工そのものの方法も条文で定められています。
最後に実務での確認の流れを整理します。
危険物の規制に関する規則第28条の12第1項第七号(地下埋設) 掘さく及び埋めもどしは、告示で定める方法によつて行うこと。
掘削と埋め戻しの方法そのものも、告示で定められた手順どおりに行う必要があります。
規則第28条の12第1項第七号により、掘さく及び埋めもどしは告示で定める方法によって行うこととされており、ここでも規則本体は枠組みだけを示し、具体的な手順は告示側に委ねられています。
実務ではまず、自社の配管がどの号に該当する条件下にあるか(建築物との位置関係、他の工作物の有無、斜面の近傍か、立ち上がり部があるか)を洗い出します。
そのうえで、設計時の計算書や施工記録に、告示が求める水平距離・深さ・安全率・工法が反映されているかを一つずつ突き合わせます。
記録が手元に残っていない場合は、まずその有無を確認することが実務での最初の一歩になります。

うちの配管の施工記録が残っているか、まず確認してみます。

記録が見つかれば、該当する号ごとに突き合わせられます。

よくある質問

Q建築物との水平距離は、具体的に何メートル必要ですか?
A規則第28条の12第1項第一号は具体的な数値を定めておらず、告示で定める水平距離に従う必要があります。工作物の種類ごとの数値は告示側で確認します。
Q他の工作物との距離は、必ず0.3メートル確保しなければなりませんか?
A原則は0.3メートル以上ですが、確保が困難な場合であって、かつ工作物保全の措置を講じる場合は例外として認められます。
Q凍結対策とすべり面対策は、両方とも確認が必要ですか?
Aはい。第四号の凍結による損傷防止と第五号のすべり面外側への埋設は別の号なので、該当する場所ではどちらも満たす必要があります。
Q曲り管を使わなければならないのはどんな場所ですか?
A配管の立ち上がり部地盤の急変部など、支持条件が急に変わる箇所が対象です。曲り管の挿入や地盤改良などの措置を講じます。

まとめ

移送取扱所の配管を地下に埋設する場合は、深さだけでなく複数の号を満たす必要があります
建築物や地下街との水平距離は、規則ではなく告示で個別に定められています
他の工作物とは原則0.3メートル以上の距離を保ち、工作物の保全に支障を与えません
距離の確保が困難な場合は、工作物保全のための適切な措置を講じれば例外が認められます
凍結による損傷防止すべり面外側への埋設は、別の号として求められます
立ち上がり部や地盤の急変部には、曲り管の挿入や地盤改良などの措置を講じます
まずは該当する号ごとに設計記録や施工記録が残っているかを確認してください

地下に埋めるだけでこんなに条件があるとは知りませんでした

まずは該当する号の洗い出しから始めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第28条の12

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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