移送取扱所の配管は、長い区間にわたって道路や地下だけでなく、河川や水路を横断して設置されることがあります。
危険物の規制に関する規則は、この横断部分について独自の設置方法と深さの基準を定めています。
原則は橋への設置ですが、やむを得ない場合には河川の下を横断して埋設することも認められています。
この記事では、河川を横断する配管がなぜ橋の設置を原則とし、どのような深さと構造の基準を満たす必要があるのかを条文から整理します。
うちの移送取扱所、配管が近くの川を横断しているのですが、これも特別な基準があるんですか。
はい。
河川や水路を横断する配管には、通常の地下埋設や地上設置とは別に、橋への設置を原則とする基準が定められているんです。
橋に設置するのが原則なんですね。
埋めることはできないのでしょうか。
やむを得ない場合は埋設も認められています。
今日は、河川等を横断する配管の基準を条文から解説します。
- 河川を横断する配管は橋への設置が原則で、やむを得ない場合に限り河川の下を埋設できます
- 河川の下に埋める場合は、計画河床高から4.0メートル以上の深さを確保します
- 水路を横断する場合は2.5メートル以上、その他の小水路では1.2メートル以上と基準が分かれます
- 埋設する配管はさや管などの構造物に収め、浮揚や投錨による損傷を防ぐ措置を講じなければなりません
- 橋設置でも埋設でも、地下埋設や地上設置の基準の一部がそのまま準用されます
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目次
移送取扱所の配管が河川を横断するときはなぜ橋の設置が原則になるのか

この横断方法には、明確な優先順位が条文で決められています。
規則第28条の21第1項は、河川を横断する配管について、まず橋に設置することを義務づけています。
橋に設置することが適当でない場合に限り、ただし書きにより河川の下を埋設する方法が認められる建てつけです。
橋設置が原則なのは、地上で点検や補修がしやすく、河床の変動や洗掘の影響を受けにくいためと考えられます。
次の見出しでは、埋設を選んだ場合に確保すべき深さの基準を確認します。
うちの配管も橋に添架されていますが、これが原則の形だったんですね。
はい。
橋への設置が難しい場合だけ、埋設という方法が認められています。
河川と水路とその他の小水路でなぜ埋める深さが変わるのか

条文は河川・水路・その他の小水路を区別して数値を定めています。
規則第28条の21第3項は、河川を埋設で横断する場合の深さを、計画河床高から4.0メートル以上と定めています。
水路を横断する場合は2.5メートル以上、それ以外の小水路では1.2メートル以上とされ、対象が小さくなるほど必要な深さも小さくなります。
数値を満たすだけでなく、河床変動や洗掘、投錨による影響を受けない深さであることも同時に求められています。
次の見出しでは、この深さに埋める配管が実際にどんな構造で守られているかを確認します。
河川と水路で、そんなに深さの基準が違うんですね。
はい。
対象の規模が小さくなるほど必要な深さも浅くなる仕組みです。
河川の下に配管を埋める場合はどんな構造で守られるのか

条文はさや管などによる保護を明確に定めています。
規則第28条の21第2項は、河川や水路を埋設で横断する配管について、さや管その他告示で定める構造物の中に設置することを原則としています。
あわせて、その構造物が浮き上がることや、船舶の投錨によって損傷を受けることを防ぐ措置も求められています。
配管そのものだけでなく、それを収める外側の構造物まで含めて安全性を確保する仕組みになっています。
次の見出しでは、橋設置と埋設のどちらを選んでも別途満たす必要がある基準を確認します。
さや管というのは、配管を二重に守る仕組みなんですね。
はい。
浮き上がりや投錨による損傷まで想定した構造です。
橋に設置しても埋設しても別の基準まで満たす必要があるのか

通常の地下埋設や地上設置の基準の一部が、そのまま重ねて適用されます。
規則第28条の21第4項は、埋設で横断する場合に地下埋設の規定(規則第28条の12)を準用しますが、他工作物との距離や埋める深さなど河川等横断設置と重複する号は除かれます。
橋に設置する場合も地上設置の規定(規則第28条の16)が準用され、地表面に接しない旨の第1号を除き、圧力に応じた空地の幅などがそのまま求められます。
つまり橋に設置しても、通常の地上設置と同じ空地の基準を別途満たす必要があるということです。
どちらの方式を選んでも、河川等横断設置だけを確認して終わりにはできません。
橋に設置すれば河川の基準だけで済むと思っていました。
地上設置の基準も別に重なってきます。
次は実務での確認の手順を整理しましょう。
河川横断部の配管はどう確認すればよいのか

最後に実務での確認の流れを整理します。
橋に設置している場合は、規則第28条の16第1項第3号が準用され、配管の最大常用圧力に応じて0.3メガパスカル未満なら5メートル以上、0.3メガパスカル以上1メガパスカル未満なら9メートル以上、1メガパスカル以上なら15メートル以上の空地の幅を確保しているか確認します。
埋設している場合は、計画河床高からの深さの実測記録と、さや管など保護構造物の維持管理の記録を確認します。
どちらの方式でも、設計時の計算書や検査記録が残っているかをまず確認することが、実務での最初の一歩になります。
うちの配管がどちらの方式か、まず確認してみます。
それが分かれば、確認すべき記録もはっきりします。
よくある質問
まとめ
河川を横断する配管にこんな基準があるとは知りませんでした。
まずは横断方式の確認から始めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第28条の21
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第28条の16
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





