非常用照明装置の定期検査報告書には、検査結果とは別に「非常用の照明装置の概要」という欄があります。
照明器具の種類・予備電源の方式・灯数の内訳まで細かく記入する欄で、書き方を誤ると報告書自体の整合性が崩れてしまいます。
本記事では、東京都建築設備定期検査報告実務マニュアルをもとに、この概要欄の記入方法を項目ごとに解説します。
照明器具欄と予備電源欄の灯数合計は必ず一致させる必要があり、この一致を意識して記入することが、報告書を一度で通すコツです。
非常用照明の検査は毎年お願いしているんですが、報告書にある「非常用の照明装置の概要」欄って何を書く欄なんですか。
照明器具の種類と予備電源の方式、それに灯数の内訳を記入する欄です。
照明器具欄の灯数合計と予備電源欄の灯数合計は、必ず同じ数にしなければなりません。
うちは去年、廊下と階段の照明を全部LEDに交換したんですが、そういう内訳まで書くんですね。
はい、居室・廊下・階段で灯数を分けて記入するルールがあります。
次の章から、項目ごとに具体的な書き方を見ていきましょう。
- 「イ.照明器具」欄には白熱灯・蛍光灯・LEDランプの灯数を光源ごとに記入する
- 「ロ.予備電源」欄は蓄電池内蔵形・蓄電池別置形・自家用発電装置・併用の中から実態に合う一つを選ぶ
- 居室・廊下・階段の灯数内訳を分けて記入し、イ欄とロ欄の灯数合計は必ず一致させる
- 検査で要是正の指摘があれば、指摘の概要と改善予定の年月を記入する
- 不具合は要是正とは別の欄で、「有」の場合は第三面への記入・添付が必要になる
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目次
照明器具の種別(白熱灯・蛍光灯・LEDランプ)はどう記入するのか

種類の見分け方を誤ると、灯数の記入そのものがずれてしまいます。
二重コイル電球やハロゲン電球(ミニハロゲン電球を含む)は「白熱灯」に分類され、ラピッドスタート型蛍光ランプや即時点灯回路に接続したスターター型蛍光ランプは「蛍光灯」に分類されます。
LEDランプは比較的新しい選択肢で、平成29年6月2日の告示改正により、JIS基準に適合するLEDランプが非常用照明器具の光源として追加されました。
それ以前に設置された建築物では蛍光灯や白熱灯のまま残っている場合もあるため、設置年だけで種別を決めつけず、実際の器具の構造を確認して記入する必要があります。
複数の種類が混在している建築物では、フロアや系統ごとに数え漏れがないよう、検査結果表と突き合わせながら集計するとよいでしょう。
うちは古い建物なので、蛍光灯とLEDが混ざっているかもしれません。
その場合は種類ごとに灯数を分けて数えれば大丈夫です。
検査の際にまとめて確認いたします。
予備電源の種別(蓄電池内蔵形・蓄電池別置形・自家発電装置・併用)はどう選ぶのか

方式によって配線や切替えの仕組みがまったく異なります。
「蓄電池内蔵形」は器具内部に蓄電池を内蔵し、停電時にはその蓄電池で点灯するタイプです。
「蓄電池別置形」は器具の内部に蓄電池が組み込まれておらず、外部の分電盤や電気室等にある切替装置で予備電源への切替えを行うタイプです。
「自家用発電装置」は電力会社からの供給が止まったときに、防災・保安に必要な電力を供給する発電設備を指し、蓄電池別置形と併用する場合は、別置形の蓄電池が非常用照明器具を即時点灯できる容量を持ち、かつ発電装置が40秒以内に電圧を確立して安定した電源を供給できる組合せであるときに限り「併用」として扱われます。
別置形の蓄電池と発電機の両方があっても、商用電源が断たれたときに連動運転しない組合せは、併用とは扱われない点に注意が必要です。
発電機と蓄電池を両方置いていれば、それだけで併用になるんですか。
いいえ、連動して自動的に切り替わる組合せでなければ併用とは扱われません。
設置業者に連動の仕様を確認しておくと安心です。
居室・廊下・階段の灯数内訳と、イ欄とロ欄の合計一致はなぜ必須なのか

この区分の付け方が、後で合計を照合するときの土台になります。
概要欄では、灯数を居室・廊下・階段の3区分に分けて記入し、さらに予備電源の種類ごとにも分けて記入する仕組みになっています。
「イ.照明器具」欄の灯数の合計と、「ロ.予備電源」欄の灯数の合計は、必ず同数になります。
すべての非常用照明器具には光源の種類と予備電源の方式がそれぞれ1つずつ対応しているため、両方の欄を集計すれば同じ器具を数えていることになるからです。
記入後にこの合計が一致しているかを見直すだけで、記入漏れや二重計上に気づけることが多いので、提出前の点検項目に加えておくとよいでしょう。
居室・廊下・階段って、意外と迷いそうな場所もありますね。
エレベーターホールのような共用部は居室欄に含めるのが基本です。
迷ったときは検査者にご確認ください。
非常用照明装置の検査で指摘があったときはどう記入するのか

指摘の有無によって記入する内容が変わります。
「要是正の指摘あり」にレ点を入れたときは、指摘の概要欄に該当する検査事項の番号を添えて内容を記入します。
指摘された箇所の全てが建築基準法第3条第2項の規定(既存不適格)の適用を受けていると確認できた場合は「既存不適格」にもレ点を入れますが、この場合は指摘の概要を記入しません。
改善予定がある場合は「有」にレ点を入れて予定年月を記入し、複数の指摘で改善予定年月が異なるときは、最も早い年月を記入するルールになっています。
改善の予定がなければ「無」にレ点を入れます。
複数箇所で指摘があって、改善予定がバラバラなときはどうすればいいんですか。
その場合は、最も早い改善予定の年月を記入していただくルールになっています。
非常用照明装置の不具合の発生状況は指摘とどう違うのか

「不具合」と「要是正」を混同すると記入がずれてしまいます。
不具合の発生状況欄には、前回の定期検査以降に所有者・管理者へのヒアリング等で把握した、非常用照明装置の不作動・異常動作・損傷・腐食その他の劣化に関する情報を記入します。
「有」にレ点を入れる場合は、第三面に不具合の概要を記入し、必要な記録をあわせて添付しなければなりません。
改善の状況は、すべての不具合が改善済みなら「実施済み」、改善予定があれば予定年月とともに「改善予定」、予定がなければ「予定なし」にレ点を入れます。
検査でその場で見つかった要是正の指摘とは別の情報であることを、所有者・管理者に説明しておくと記入がスムーズです。
不具合の記録なんて、うちにはまだ無い気がします。
その場合は不具合「無」で構いません。
過去の点検記録があれば、あわせて確認させてください。
よくある質問
まとめ
概要欄って細かいところまで見ているんですね、次の検査のときは、うちも記入例を見ながら準備します!
検査書類の書き方でご不明な点があれば、いつでもお気軽にご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法施行令第126条の4(設置)・第126条の5(構造)
- 建築基準法施行規則第6条第3項(定期検査報告書の様式)
- 非常用の照明装置の構造方法を定める件(昭和45年建設省告示第1830号、平成29年6月2日改正)
- 東京都建築設備定期検査報告実務マニュアル2025年版(東京都の運用に関する参考資料)
※本記事は東京都建築設備定期検査報告実務マニュアル2025年版に基づく東京都の運用を参考に、建築基準法令の現行条文を確認して解説したものです。記入方法の細目は特定行政庁ごとに運用が異なる場合がありますので、具体的な記入内容は所轄の特定行政庁または検査を担当する建築設備等検査員にご確認ください。





