給水設備及び排水設備の定期検査報告書にも、検査結果とは別に「給水設備及び排水設備の概要」という欄があります。
貯水タンクや排水槽の種類、圧力タンクの有無、湯沸器の燃焼方式まで、設備の実態に合わせて数多くのチェックボックスから選んで記入する欄です。
本記事では、東京都建築設備定期検査報告実務マニュアルをもとに、この概要欄の記入方法を項目ごとに解説します。
チェックした項目によって、添付すべき検査結果表の範囲が変わるため、設備の実態を正確に反映させることが欠かせません。
毎年お願いしている給排水設備の検査なんですが、報告書の「給水設備及び排水設備の概要」欄って、そんなに細かく書くものなんですか。
はい、貯水タンクの種類や排水槽の系統、湯沸器の燃焼方式まで、設備の実態に合わせてチェックボックスを選んで記入する欄です。
選んだ項目によって、添付する検査結果表の範囲も変わります。
うちは去年、貯水槽を新しいものに交換したんですが、そういう設備の違いも書くんですね。
はい、設備の系統ごとに欄が分かれています。
次の章から、項目ごとに具体的な書き方を見ていきましょう。
- 「イ.飲料水の配管設備」欄は給水タンクと貯水タンクのどちらでも記入すべき検査結果表の項目は同じ
- 「ロ.排水設備」欄は排水槽の種類(汚水槽・雑排水槽・合併槽)と雨水槽・湧水槽を分けて記入する
- 圧力タンクの有無と給湯方式(局所式・中央式)は、それぞれ対応する検査結果表の項目が変わる
- 湯沸器の燃焼方式は開放式・半密閉式・密閉式・その他の中から実態に合うものを選ぶ
- 検査で要是正の指摘があるときと、不具合の発生状況を記入するときでは記入する欄も考え方も異なる
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目次
「イ.飲料水の配管設備」欄は給水タンクと貯水タンクのどちらにチェックすればよいのか

どちらを選ぶかによって検査の要否が変わるように見えますが、実際は少し違います。
「給水タンク」と「貯水タンク」は、どちらも飲料水を建物内で一時的に貯留しておく設備を指しますが、報告書の概要欄ではこの2つを区別して記入する仕組みになっています。
いずれか一方にレ点を入れれば足り、両方にチェックが必要になることはありません。
基数と容量(立方メートル単位)もあわせて記入するため、増設や更新があった場合は最新の実測値に更新しておく必要があります。
容量の数値を古いまま放置すると、検査結果表との整合が取れなくなるので注意しましょう。
給水タンクと貯水タンク、うちのはどちらに当たるのか迷いそうです。
設備の系統を確認すればすぐに分かりますので、検査の際にご案内します。
基数と容量も一緒に確認いたします。
「ロ.排水設備」欄で排水槽の種類や雨水槽・湧水槽をどう区別するのか

排水槽の種類によって、記入すべき検査結果表の範囲が変わります。
汚水槽は便所からの汚水を、雑排水槽は台所や浴室など便所以外からの排水を、合併槽は両方をまとめて受け入れる槽です。
雨水槽・湧水槽は雨水や地下水を受け入れる槽で、汚水槽等とは扱いが分かれており、この欄だけにチェックが入る場合は記入すべき検査結果表の項目も変わります。
排水再利用配管設備(中水道を含む)にチェックが入る場合は、排水設備の中でも別の項目群を記入します。
複数の系統を併設している建物では、どの槽がどの用途に対応しているかを図面で確認してから記入すると、記入漏れを防げます。
うちは雨水を貯めて散水に使っているんですが、それも別扱いになるんですね。
はい、雨水槽・湧水槽は汚水槽等とは別の扱いになります。
用途にあわせて記入いたします。
圧力タンクの有無と給湯方式はなぜ検査結果表と結びつくのか

どちらも、設備の構造によって検査項目が追加されるかどうかが変わります。
圧力タンクは増圧ポンプ方式などで水圧を安定させるために設ける密閉容器で、内部が加圧された状態にあるため、専用の検査項目が別に立てられています。
給湯方式の「局所式」は必要な場所ごとに小型の給湯器を設置する方式で給湯管そのものは短く済みますが、「中央式」は1か所でまとめて温水をつくり建物内に配管で送る方式のため、給湯管という配管設備自体が検査対象に加わります。
局所式のみの建物では、この給湯管に関する項目を記入する必要はありません。
どちらも「有」「中央式」にチェックを入れ忘れると必要な検査項目が抜け落ちたまま報告書が完成してしまうため、設備台帳や竣工図で確認しておくことをおすすめします。
圧力タンクなんてうちにあったかどうか、正直分かりません。
増圧ポンプの近くに設置されていることが多いので、検査の際に一緒に確認いたします。
「ホ.湯沸器」欄の燃焼方式はなぜ細かく分かれているのか

方式によって、屋内の空気への影響が異なるためです。
開放式燃焼器は燃焼用の空気を室内から取り入れ排気も室内に放出する方式で、半密閉式燃焼器は空気を室内から取り入れる一方、排気は排気筒等で屋外に排出する方式です。
どちらも室内の空気環境に影響しうるため、給気口や排気口の状況を確認する項目が記入対象になります。
一方、密閉式燃焼器は給排気とも屋外との間で直接行う方式、屋外式は器具そのものが屋外に設置される方式で、電気式は燃焼自体を伴わない方式のため、記入対象になる項目はより限られます。
自分の建物の湯沸器がどの方式に当たるかは、火気使用室に該当するかどうかの判定にもつながる考え方なので、あわせて確認しておくとよいでしょう。
うちの給湯器は屋外に置いてあるタイプなんですが、それも書く欄があるんですね。
はい、「その他」欄に屋外式として記入します。
方式によって記入する項目も変わりますので、あわせてご案内します。
給排水設備の検査状況と不具合の発生状況欄はどう記入すればよいのか

この2つの欄は、意味の違いを理解しておくことが大切です。
「検査の状況」欄は、今回の検査で見つかった要是正の指摘の有無を記入する欄で、指摘があれば概要と改善予定の有無をあわせて記入します。
「不具合の発生状況」欄には、前回の定期検査以降に所有者・管理者へのヒアリング等で把握した、給排水設備の不作動・異常動作・損傷・腐食その他の劣化に関する情報を記入します。
「有」にレ点を入れる場合は、第三面に不具合の概要を記入し、必要な記録をあわせて添付しなければなりません。
要是正の指摘と不具合を混同すると第三面への記入漏れにつながるため、それぞれ別の情報として整理しておきましょう。
排水槽の不具合なんて、今まで気にしたことがありませんでした。
その場合は不具合「無」で構いません。
過去の点検記録があれば、あわせて確認させてください。
よくある質問
まとめ
給排水設備もこんなに細かく分かれているんですね、次の検査のときはうちも記入例を見ながら準備します!
検査書類の書き方でご不明な点があれば、いつでもお気軽にご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法施行令第129条の2の4(給水、排水その他の配管設備の設置及び構造)
- 建築基準法施行規則第6条第3項(定期検査報告書の様式)
- 東京都建築設備定期検査報告実務マニュアル2025年版(東京都の運用に関する参考資料)
※本記事は東京都建築設備定期検査報告実務マニュアル2025年版に基づく東京都の運用を参考に、建築基準法令の現行条文を確認して解説したものです。記入方法の細目は特定行政庁ごとに運用が異なる場合がありますので、具体的な記入内容は所轄の特定行政庁または検査を担当する建築設備等検査員にご確認ください。





