第一種中高層住居専用地域は、第一種低層住居専用地域よりも幅広い建築物を許容する地域です。
では、老人福祉センターや児童館のような地域交流施設も、老人ホームや保育所と同じように建てられるのでしょうか。
建築基準法別表第二(は)項第四号は、老人福祉センターと児童厚生施設を面積の上限なく許容していますが、この号が登場するのは第一種低層住居専用地域より一段階上の地域からです。
この号がなぜ低層住居専用地域では認められないのか、その線引きを正しく理解しておく必要があります
地域の老人福祉センターを新しく建てたいという相談があったのですが、この地域でも建てられますか。
実は別表第二(は)項第四号に、その老人福祉センターの規定があるんです。
まず条文で仕組みを確認しましょう。
児童館も同じ号に入っているんですか。
はい、老人福祉センターと児童厚生施設の二つがこの号に並んでいます。
次はその条文を見てみましょう。
- 第一種中高層住居専用地域では、建築基準法第48条第3項により別表第二(は)項に掲げる建築物以外は原則建てられません。
- 別表第二(は)項第四号には「政令で定める」という限定句が付いておらず、老人福祉センターと児童厚生施設を面積の上限なく建てられます。
- 老人福祉センターは無料または低額な料金で相談や健康増進の便宜を提供する通所施設で、入所施設の老人ホームとは性格が異なります。
- 児童福祉法第40条により、児童厚生施設は児童遊園・児童館等、児童に健全な遊びを与える施設と定義されています。
- 老人ホームや保育所は(い)項第六号で低層住居専用地域からすでに建てられますが、老人福祉センターや児童厚生施設は(は)項第四号で初めて建てられます。
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目次
老人福祉センターや児童館はなぜ低層住居専用地域に建てられないのか

まず四号の条文を確認します。
(い)項第六号の老人ホーム・保育所・福祉ホームと同じく、この号も面積の上限なく建築を認めています。
ただし、この号は第一種低層住居専用地域の(い)項には含まれておらず、一段階上の(は)項で初めて登場する点が特徴です。
老人ホームや保育所がすでに低層住居専用地域から建てられるのに対し、老人福祉センターや児童厚生施設は中高層住居専用地域まで待つ必要があります。
次は「老人福祉センター」という言葉が具体的に何を指すのかを確認します。
老人ホームが建てられる地域なら、老人福祉センターも同じように建てられると思っていました。
実は別の号として、一段階上の地域から認められているんです。
まず老人福祉センターの中身を確認しましょう。
老人福祉センターとはどんな施設を指すのか

まず条文を確認します。
老人福祉法第五条の三が定める老人福祉施設七類型のうち、養護老人ホーム・特別養護老人ホーム・軽費老人ホームは入所施設ですが、老人福祉センターは通いで利用する施設に分類されます。
老人デイサービスセンターや老人介護支援センターも同じく通所・相談型の施設ですが、別表第二(は)項第四号の条文に名指しされているのは老人福祉センターだけです。
これら以外の類似施設が「その他これらに類するもの」に含まれるかどうかは、個別に特定行政庁へ確認する必要があります。
次は児童厚生施設の条件を確認します。
老人福祉センターは老人ホームとは違って、入所する施設ではないんですね。
はい、通いで利用する相談・交流の施設です。
次は児童厚生施設を見てみましょう。
児童厚生施設とはどんな施設を指すのか

まず条文を確認します。
児童福祉法第七条が定める児童福祉施設のうち、保育所や幼保連携型認定こども園は特定の登録児童を保育する施設で、すでに(い)項第六号で低層住居専用地域から建てられます。
これに対し児童厚生施設は、児童遊園や児童館のように不特定の児童が出入りする施設で、保育所とは異なる号に置かれています。
条文上「児童遊園」「児童館」は例示であり、これらに類する施設も含まれ得ますが、個別の判断は特定行政庁への確認が必要です。
次は、なぜこの二つの施設が老人ホームや保育所と同じ地域では建てられないのかを確認します。
保育所は建てられるのに、児童館は建てられないのは意外です。
はい、不特定の児童が出入りするかどうかが分かれ目になっています。
次はその理由を整理しましょう。
なぜ老人ホームや保育所と同じ地域では建てられないのか

ここまでの号を比較して整理します。
建築基準法別表第二(は)項 四 老人福祉センター、児童厚生施設その他これらに類するもの(第一種中高層住居専用地域)
これに対し老人福祉センターは無料または低額な料金で地域の老人に開かれた相談・交流施設、児童厚生施設は不特定の児童が利用する遊び場で、いずれも利用者を限定しない地域交流拠点という性格を持ちます。
低層住居専用地域は最も静穏性を重視する地域であるため、こうした不特定多数の来訪を伴う施設は一段階上の(は)項まで建築が認められていないと整理できます。
この違いを理解しておくと、同じ「福祉施設」でも用途地域上の扱いが分かれる理由を説明しやすくなります。
次は、実務でこの号を確認する手順を整理します。
同じ福祉施設なのに、地域によって扱いが変わるのは分かりにくいです。
利用者を限定するかどうかが分かれ目になっています。
次は実務での確認手順を整理しましょう。
老人福祉センターや児童館を計画するとき何を確認すればよいのか

確認すべき点を整理します。
- 計画地が第一種中高層住居専用地域以上であることを都市計画図で確認する
- 施設が老人福祉法上の老人福祉センター、児童福祉法上の児童厚生施設のどちらに当たるかを整理する
- 「その他これらに類するもの」に当たるか判断が難しい施設は特定行政庁へ事前相談する
- 建築基準法上建てられる用途であることを確認したうえで、消防法上の防火対象物区分に応じた防火管理義務を確認する
老人福祉センターや児童厚生施設は不特定多数の利用者が出入りするため、消防法施行令上も収容人員に応じた防火管理義務が課される用途区分に当たります。
第一種中高層住居専用地域に建てられるかどうかの確認が終わった後こそ、防火管理者の選任や消防用設備の整備という本題が始まります。
施設の用途区分を早い段階で特定行政庁や所轄消防署に確認しておくことが、計画を円滑に進める近道です。
相談してくれた方には、施設がどちらに当たるかを確認するよう伝えてみます。
はい、それが最初の一歩になります。
次はよくある質問を見ていきましょう。
よくある質問
まとめ
老人福祉センターと児童館の違い、しっかり伝えられそうです!
個別判断が必要な施設の確認も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第48条第3項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法別表第二(い)項第六号・(は)項第四号(e-Gov法令検索)
- 老人福祉法第五条の三・第二十条の七(e-Gov法令検索)
- 児童福祉法第七条・第40条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。該当性の判断は個別の内容によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。





