消防用設備の工事を計画したとき、着工届に何を添付すればよいか迷う防火管理者は少なくありません。
ところが消防法施行規則は、その設備が施行令の技術基準どおりの標準品か、それとも代わりに認められた特殊な設備かで、添付書類の数を大きく変えています。
標準品なら設計図書だけで足りる一方、特殊な設備には性能を裏づける追加の証明書類が要ります。
この記事では消防法施行規則第33条の18を条文から読み解き、着工届の添付書類がどこで二本立てに分かれるのかを整理します。
今度スプリンクラー設備の工事をするので着工届を出す予定なのですが、添付書類は何を用意すればよいですか。
まずはその設備が特殊消防用設備等にあたるかどうかを確認しましょう。
それで添付書類の数が変わります。
特殊消防用設備等というのがよく分かりません。
うちの設備は普通のスプリンクラーだと思うのですが。
通常の設備なら心配いりません。
次から条文を順番に見ていきましょう。
- 着工届の添付書類は消防法施行規則第33条の18が定める区分によって決まります
- 通常の消防用設備等なら平面図・系統図・計算書の三点で足ります
- 特殊消防用設備等はこの三点に加えて設備等設置維持計画・評価結果の書面・総務大臣認定を証する書類が要ります
- 追加の書類が要るのは、特殊消防用設備等が施行令の技術基準に代わる代替設備であり性能を個別に証明する必要があるためです
- 評価結果や認定書は着工届の直前ではなく事前の手続きで取得しておく必要があります
▼

目次
着工届に出す図書は、なぜ設備の種類で数が変わるのか

この届出に添付する図書は、実は設備の種類によって内容が変わります。
一 消防用設備等 当該消防用設備等の工事の設計に関する図書で次に掲げるもの
イ 平面図 ロ 配管及び配線の系統図 ハ 計算書
第1号が指す消防用設備等は、施行令が定める技術基準どおりに設計・施工される標準的な設備で、添付するのは平面図・系統図・計算書の三点です。
これらは工事が基準どおりに行われるかを確認するための最低限の図書で、多くの現場ではここで完結します。
ところが同じ第33条の18には、この三点だけでは足りない第2号が続いています。
その違いを生む「もう一つの区分」が、次の章で見る特殊消防用設備等です。
うちは平面図と系統図だけ用意していましたが、それで足りるのですね。
安心しました。
消防用設備等ならそれで足ります。
ただし計算書も忘れずに添付してください。
特殊消防用設備等とはどんな設備のことなのか

条文はこの設備をどう位置づけているのでしょうか。
標準の基準どおりに造る消防用設備等とは違い、総務大臣の認定という別ルートを通ることで、はじめて使うことが認められます。
つまり特殊消防用設備等は、条文上「基準に従わない」ことが最初から前提になっている設備で、その分だけ性能を裏づける手続きが手厚くなります。
この認定の重さが、次の章で見る添付書類の増え方にそのまま反映されています。
うちのビルには従来にない配管方式の消火設備が入っていますが、それも特殊消防用設備等になるのですか。
総務大臣の認定を受けているかどうかで判断してください。
設計図書や工事図面に記載があるはずです。
着工届に追加で必要な三つの書類とは何か

条文の第2号を見てみましょう。
一つ目は設備等設置維持計画で、その設備をどう設置しどう維持するかを定めた計画書です。
二つ目は評価結果を記載した書面で、日本消防検定協会等が行う性能評価の結果を示します。
三つ目は総務大臣の認定を受けた者であることを証する書類で、認定そのものが下りていることを届出の場でも示す書類です。
標準の設備が三点で足りるのに対し、特殊消防用設備等は合計六点の図書をそろえて初めて着工届が完成します。
三つも追加で書類が要るとは知りませんでした。
どこで手に入れればよいのでしょうか。
評価結果と認定を証する書類は、性能評価と総務大臣認定の申請をしたときに交付されているはずです。
手元にあるか確認してください。
実務で見落としやすいのはどこか

届出の期限にも注意が必要です。
性能評価は日本消防検定協会等への申請から結果の通知まで、認定は総務大臣への申請から審査まで、それぞれ別に時間がかかる手続きです。
着工届は工事着手の10日前までに出す必要があるため、評価結果や認定書がまだ手元に無い段階で着工日を決めてしまうと、届出そのものが期限に間に合わなくなります。
特殊消防用設備等を使う工事は、設計の早い段階で認定の見通しを確認しておくことが欠かせません。
標準の消防用設備等に切り替える選択肢も含めて、余裕を持った計画を立ててください。
認定の審査に時間がかかると聞いて、着工日に間に合うか心配になってきました。
設計の段階で認定の見通しを確認しておくと安心です。
間に合わなければ標準の設備に切り替える方法もあります。
明日からなにを確認すればよいのか

確認する順番を整理しておきましょう。
- 工事する設備が消防用設備等か特殊消防用設備等かを、設計図書や総務大臣認定の有無で確認する
- 特殊消防用設備等であれば、設備等設置維持計画と評価結果を記載した書面が手元にあるかを確認する
- 総務大臣の認定を受けた者であることを証する書類がそろっているかを確認する
- 着工しようとする日から逆算し、10日前までに届出が間に合うかを確認する
- 書類が間に合わない場合は、工事の着手日を見直すか設計者・消防設備士に早めに相談する
特殊消防用設備等かどうかは、多くの場合、設計を担当した消防設備士や施工会社が把握しています。
分からないときは設計図書を確認するか、施工会社に直接尋ねてください。
書類の不足に気づくのが遅いほど、10日前ルールに間に合わせるのが難しくなります。
今度の工事は特殊消防用設備等かもしれないので、まず設計図書を確認してみます。
早めの確認が着工届を期限内に出す一番の近道です。
不明な点があればいつでもご相談ください。
よくある質問
まとめ
特殊消防用設備等かどうかをまず確認するところから始めます。
ありがとうございました。
書類の準備は早いほど余裕を持って進められます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条・第17条の2・第17条の2の2・第17条の14
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第33条の18
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





