災害時、従業員のスマートフォンを保つため、会議室でモバイルバッテリーをまとめて充電したくなることがあります。
しかし、机いっぱいに機器と充電器を集めると、異常の見落とし、熱のこもり、可燃物への延焼、避難通路の狭まりが同時に起こりやすくなります。
結論は、一括充電を人数分まとめて放置せず、異常のない機器だけを指定充電器で、可燃物から離した監視できる場所へ分散することです。
消防計画の火災予防と避難経路の管理を、BCPの通信電源の確保へつなぎます。
停電に備えて、会議室でまとめて充電してもええんですか?
置き場所と監視方法を先に決めれば運用できます。
新品だけなら、一晩つないだままでも大丈夫ですか?
新品でも目の届く時間に充電しましょう。
- 一括充電は異常のない機器だけを対象にします。
- 製品に指定された充電器を使い、熱のこもらない場所で充電します。
- 紙や布から離し、避難経路と消防用設備の前を空けます。
- 充電中は担当者が確認し、発熱や膨張があれば使用を中止します。
- 充電台数、開始時刻、終了時刻、異常の有無を記録します。
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目次
災害時にモバイルバッテリーを一括充電してよいのか

ただし、通信手段を守るための充電が、新たな出火源や避難障害にならない運用が必要です。
総務省消防庁は、リチウムイオン電池を安全な場所で、目の届くところで充電するよう案内しています。
東京消防庁も、燃えやすい物がない場所で、指定された充電器を使用し、発熱などの異常があれば使用をやめることを火災予防のポイントに挙げています。
つまり問題は台数そのものより、異常を見分けず、同じ場所へ密集させ、無人で充電することです。
BCPでは、必要な通信端末を優先し、充電する台数を絞ることと、監視できる時間帯に分けることを決めます。
台数が多いことだけが危険なんですか?
密集と無人運転を避けることが大切です。
どの機器と充電場所を対象に確認するのか

従業員や来訪者が持ち込むモバイルバッテリー、スマートフォン、タブレット、無線機、ヘッドライトなど、待機場所で充電するリチウムイオン電池搭載製品を洗い出します。
機器ごとに、外装の変形、膨張、落下歴、異臭、異音、充電不良、使用中の異常な発熱がないか確認します。
充電器やケーブルも、製品に指定された組合せか、破損や焦げがないかを見ます。
異常品を充電台へ持ち込ませない入口確認が、一括充電の最初の防火対策です。
場所は、会議室名だけでなく、机の材質、周囲の可燃物、換気、コンセント、避難通路、消火器や発信機までの位置関係と担当者の視線で選びます。
- 会社備蓄と個人持込みのモバイルバッテリー
- スマートフォンや無線機などの接続機器
- 製品に指定された充電器とケーブル
- 膨張、変形、落下、発熱などの異常
- 机の材質と紙、布、段ボールとの距離
- 避難通路と防火戸、消火器、発信機の位置
- 充電中に確認する担当者と代行者
個人のバッテリーも確認するんですか?
共用場所へ持ち込むなら同じ確認ルールにします。
発熱と出火を防ぐ充電場所をどうつくるのか

鞄や引き出しの中、布団の上、直射日光の当たる窓際など、熱がこもる場所では充電しません。
機器は重ねず、状態を目で確認できる間隔を空けます。
充電開始と終了を一斉にせず、必要度の高い端末から時間を分ければ、担当者が異常を見つけやすくなります。
また、充電台やケーブルを廊下へ広げず、防火戸の閉鎖範囲や消火器、発信機の操作前を塞ぎません。
充電場所は、機器が見えること、可燃物がないこと、避難と消防活動を邪魔しないことの三つで決めます。
担当者は開始時と巡回時に、表面温度の変化や膨張と異臭を確認します。
会議室の床に並べたら見やすいですよね?
床は蹴られやすいので、安定した充電台を使いましょう。
膨張していない電池なら安全と思い込みやすいのはなぜか

東京消防庁は、リチウムイオン電池関連火災が充電中に多く、充電方法の誤りや外部衝撃にも注意が必要だと示しています。
NITEも、充電中や使用中は時々様子を見て、充電できない、熱くなる、膨らむ、異音や異臭がするなどの異常があれば使用を中止するよう案内しています。
そのため「膨張していない」「昨日まで使えた」だけで充電可とは判断しません。
異常を一つでも見つけた機器は共用充電台へ戻さず、製造事業者や販売店、自治体の案内に従います。
火花や煙が激しく出ている場合は近寄らず、まず周囲の人を離して身の安全を確保し、119番通報につなげます。
少し熱いだけなら、充電を続けてもええですか?
異常な発熱なら使用を中止してください。
明日から一括充電の運用をどう確認するのか

全員分を同時に満充電するのではなく、災害対策本部、安否確認、現場連絡など役割ごとに優先順位を付けます。
次に、充電台、受入れ確認、指定充電器、開始と終了の記録、巡回間隔、異常時の連絡先を一枚の手順書へまとめます。
消防法第8条に基づく防火管理の対象となる事業所では、消防計画の火災予防、通報、避難の役割と矛盾しないよう確認します。
内閣府の事業継続ガイドラインが示す教育、訓練、点検、是正の考え方に沿い、実際の停電訓練で充電場所を設けます。
訓練では、受付から充電、巡回、異常発見、利用者の退避、通報までを一続きで確認します。
結果を記録し、台数の集中と担当者不在の時間を減らします。
- 通信に必要な端末と優先順位を決める
- 充電前に膨張、変形、発熱、落下歴を確認する
- 指定充電器と破損のないケーブルを用意する
- 可燃物と避難経路から離した充電台を決める
- 開始時刻、終了時刻、台数を記録する
- 巡回担当者と代行者を決める
- 異常発見から退避と通報まで訓練する
充電器を準備しただけでは足りないんですね?
受付と巡回と異常時対応まで決めましょう。
よくある質問
まとめ
充電場所と受付ルールを見直します!
通信を守りながら火災を増やさない運用にしましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第8条
- 総務省消防庁 リチウムイオン電池総合対策ポータル
- 総務省消防庁 リチウムイオン蓄電池に係る防火安全対策のポイント
- 東京消防庁 住宅でも注意 リチウムイオン電池関連火災
- 東京消防庁 リチウムイオン電池搭載製品の出火危険
- NITE リチウムイオン電池搭載製品の事故を防ぐポイント
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および内閣府、総務省消防庁、東京消防庁、NITEの資料に基づく一般的な解説です。必要な充電設備、電源容量、異常品の処理、火災時の対応は、製品、建物、電気設備、地域の運用によって異なります。実際の計画変更前に取扱説明書と建物管理規程を確認し、必要に応じて製造事業者、販売店、電気設備の専門業者、自治体、所轄消防署へ相談してください。





