BLOG

BCPで災害時に寝袋を廊下へ敷いてよいのか|夜間の避難経路を守る仮眠場所を解説

えんじ色の上着と黒い長ズボンの施設管理者が災害時の仮眠場所と避難通路を点検する写真

大きな地震で交通が止まり、従業員が社内に泊まることになったとき、空いている廊下へ寝袋を広げたくなることがあります。
しかし、暗い時間帯に寝具や靴、鞄が通路へはみ出すと、火災や余震の際に避難が遅れるおそれがあります。
結論は、廊下を仮眠場所にせず、室内に就寝区画を設け、非常口まで続く通路を夜間も見える状態で空けておくことです。
消防計画の避難経路夜間の巡回を、BCPの社内待機へつなぎます。

廊下が広ければ、寝袋を敷いてもええんですか?

廊下は避難のために空けるのが基本です。

会議室へ敷けば、それだけで大丈夫ですか?

出口と通路と人数まで決めましょう。

この記事の結論
  • 廊下や階段を仮眠場所にしません。
  • 室内に就寝区画をつくり、非常口まで連続した通路を空けます。
  • 夜間も通路と誘導方向が分かるようにします。
  • 靴や鞄を寝具の内側へ収め、はみ出しを巡回します。
  • 就寝者名簿、巡回、起床後の撤去を一つの手順にします。

仮眠区画と二つの非常口を分け中央の避難通路を空けた社内待機場所のアイソメ図

災害時に寝袋を廊下へ敷いてよいのか

廊下へ寝袋を敷こうとする人を止める施設管理者のアイソメ図
寝袋を使用すること自体が一律に禁止されるわけではありません。
問題は、避難に使う廊下や階段、出入口の前を就寝場所に変えてしまうことです。
火災時は煙で視界が悪くなり、寝起きの人が同時に移動します。
床に寝具があると、つまずくだけでなく、避難する人が滞留し、誘導や初期消火へ向かう動線も狭まります。
廊下は空いている床ではなく、いつでも使える状態を保つ避難経路です。
BCPでは、寝る場所を増やす前に、非常口までの経路消防用設備の操作範囲を残します。

壁際だけなら、通れそうに見えますけど?

寝返りや荷物のはみ出しまで考えましょう。

どの寝具と仮眠場所を対象に確認するのか

寝袋を並べる場所と非常口までの通路を確認する施設管理者のアイソメ図
対象は会社が備蓄する寝袋や毛布だけではありません。
従業員が持ち込む敷物、枕、鞄、靴、充電ケーブルも、就寝中は床面を使う物として確認します。
場所は会議室名だけで決めず、二方向の避難ができるか、扉が開く範囲を塞がないか、誘導灯が見えるか、消火器や発信機へ近づけるかを見ます。
受入人数を床面積いっぱいで計算せず、通路、出入口、設備操作に必要な面積を先に除きます。
仮眠場所は寝具の枚数ではなく、避難通路を残した後に使える区画から定員を決めます。
さらに、歩行に配慮が必要な人を出口に近い区画へ案内し、夜間の介助担当も決めます。
  • 寝袋、毛布、マット、枕などの寝具
  • 靴、鞄、上着、充電ケーブルなどの持込み品
  • 出入口の数と扉が開く範囲
  • 誘導灯から非常口までの見通し
  • 消火器、発信機、防火戸の操作範囲
  • 夜間の就寝者数と区画別の名簿
  • 歩行に配慮が必要な人と介助担当

何人寝られるかは、床の広さで決めますか?

通路を除いた区画で決めてください。

夜間も使える避難通路と仮眠場所をどうつくるのか

床テープで仮眠区画と照明のある避難通路を分ける施設管理者のアイソメ図
まず、非常口へ続く通路を床テープなどで明確にし、その外側だけを就寝区画にします。
総務省消防庁の避難所向け資料は、避難通路を原則一メートル以上確保し、夜光テープやLEDランタンなどで通路と誘導方向を明示する考え方を示しています。
これはすべての事業所へ一律に同じ幅を義務付ける基準ではありません。
それでも、帰宅困難者を社内待機させる場所を設計するときの具体的な安全目安になります。
寝具の端だけでなく、枕元の靴、鞄、充電ケーブルを区画内へ収め、扉の開閉範囲を空けます。
昼に確保した通路が、消灯後も見え、寝具や荷物で狭くならない配置にします。
非常口は一か所へ集中しないよう、区画ごとの避難先と誘導担当を決め、停電時の予備照明も確認します。

昼間に線を引けば、準備完了ですか?

消灯後に実際に歩いて確認しましょう。

空いている廊下なら安全と思い込みやすいのはなぜか

消灯後に避難通路へはみ出した鞄と靴を戻す施設管理者のアイソメ図
発災直後は明るく、人も起きているため、寝袋を壁際へ寄せれば通れるように見えます。
ところが就寝後は、寝返り、靴の脱ぎ置き、鞄の移動、追加の寝具によって通路幅が変わります。
消灯や停電で床の段差が見えにくくなれば、小さなはみ出しでも転倒につながります。
火災時には一斉に人が起き、煙で姿勢を低くして移動するため、昼間の見た目だけでは判断できません。
仮眠場所の安全は設営直後ではなく、全員が寝た後の暗い状態で確認します。
担当者は就寝前と深夜、交代時に巡回し、通路幅出口の開閉を記録します。
消防庁の避難所向け資料にある通路幅や非常口の考え方は、指定避難所等の防火安全を目的としたものです。一般の事業所へ一律に適用される許可基準ではありません。実際の配置は建物用途、収容人員、避難施設、消防計画、自治体の要請を確認し、必要に応じて所轄消防署へ相談してください。

設営時に通れたら、問題ないですよね?

就寝後の状態を巡回してください。

明日から仮眠場所の運用をどう確認するのか

寝袋を片付けて就寝者名簿と通路の復旧を確認する施設管理者のアイソメ図
まず、消防計画の避難経路図と現場を照合し、就寝区画に使わない廊下、階段、出入口、設備操作範囲へ印を付けます。
次に、室内へ寝具を実際に並べ、定員、通路、二方向の避難、要配慮者の区画を確認します。
夜間は区画別の就寝者名簿を作り、巡回担当と代行者を置きます。
起床後は寝具と私物を回収し、通路や防火戸の周囲を通常状態へ戻します。
消防法第8条に基づく防火管理の対象となる事業所では、消防計画の火災予防、通報、避難誘導と矛盾しないよう整えます。
内閣府の事業継続ガイドラインが示す教育、訓練、点検、是正の考え方に沿い、消灯や停電を想定した訓練を行います。
設営、消灯、出火想定、避難、人員確認、寝具の撤去までを一続きで試します。
訓練結果から、通路の狭まり点呼の遅れを是正します。
  • 消防計画の避難経路図と現場を照合する
  • 廊下、階段、出入口を就寝区画から外す
  • 寝具と私物を収める区画を床面に示す
  • 消灯後も通路と誘導方向が分かるようにする
  • 区画別の就寝者名簿を作る
  • 巡回担当者と代行者を決める
  • 避難と点呼と撤去まで訓練する

寝袋を備蓄しただけでは足りないんですね?

夜間の設営と避難まで試しましょう。

よくある質問

Q広い廊下なら片側へ寝袋を並べてもよいですか?
A廊下は避難施設です。幅だけで判断せず、原則として寝具を置かず、室内に就寝区画を設けてください。
Q通路幅は必ず一メートルにすればよいですか?
A消防庁の一メートルは避難所向け資料の目安です。建物の用途、人数、既存の避難経路を確認し、必要に応じて所轄消防署へ相談してください。
Q毛布や寝袋は防炎品でなければ使えませんか?
A建物用途や品目で法令上の扱いが異なります。消防庁の避難所向け資料は防炎性能のある寝具を推奨しているため、備蓄更新時の安全条件として確認すると実務的です。
Q仮眠場所を消防計画へ書く必要がありますか?
A消防計画の内容と建物の運用によります。少なくとも火災予防、避難誘導、人員確認を妨げないよう、BCPの社内待機手順と役割分担を整合させてください。

まとめ

廊下や階段を仮眠場所にしません。
通路を除いた区画で就寝定員を決めます。
非常口まで連続した避難通路を確保します。
消灯後も通路と誘導方向が分かるようにします。
靴や鞄を就寝区画の内側へ収めます。
就寝者名簿と夜間巡回を運用します。
設営から避難と撤去まで一続きで訓練します。

仮眠区画と夜間巡回を見直します!

寝ている時間も避難できる配置にしましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および内閣府、総務省消防庁、東京消防庁の資料に基づく一般的な解説です。必要な通路幅、就寝区画、収容人数、寝具の防炎性能、夜間の避難体制は、建物用途、既存の消防計画、自治体の運用によって異なります。実際の計画変更前に建物管理規程と消防計画を確認し、必要に応じて施設管理者、防火管理者、自治体、所轄消防署へ相談してください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
えんじ色の上着と黒い長ズボンの施設管理者が災害時の仮眠場所と避難通路を点検する写真
大きな地震で交通が止まり、従業員が社内に泊まることになったとき、空いている廊下へ寝袋を広げたくなることがあります。 しかし、暗い時間帯に寝具や靴、鞄が通路へはみ出すと、火災や余震の際に避難が遅れるおそれがあります。 結論...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →