大雨のあと、廊下の誘導灯に水滴や泥の跡が残っていませんか。
表面を拭いて点灯したからと、そのまま使い続けると、内部の浸水や非常電源の異常を見落とすおそれがあります。
BCPで施設の再開を急ぐときこそ、感電を避け、避難経路を補い、消防設備の専門業者へ引き継ぐ順番が必要です。
浸水した誘導灯は乾いた外観だけで再使用を決めず専門確認へつなぎます。
乾いたら電源を戻してええですか。
まず浸水範囲と電源状態を記録しましょう。
点灯していても確認が要るんですか。
通常時と非常時の両方を見てもらいます。
- 浸水した誘導灯を自己判断で再点灯しません
- 水位と漏水経路と電源状態を記録します
- 影響区間には人による避難案内を補います
- 消防設備と電気設備の担当者へ引き継ぎます
- 復旧後は点灯と非常点灯と視認性を確認します
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目次
浸水した誘導灯を乾かして再点灯してよいのか

誘導灯は平常時の表示だけでなく、停電時に内蔵電池へ切り替わり避難方向を示す消防用設備です。
点灯して見えても非常時の機能まで正常とは限りません。
濡れた器具や配線には直接触れず、床の水たまりや漏水が残る範囲へ人を近づけないでください。
漏電、焦げ臭さ、異音がある場合は安全な場所から設備担当者へ連絡し、無理な電源操作を止めます。
消防庁の点検基準は、誘導灯の外形、表示、点灯、切替装置、非常電源などを確認対象にしています。
したがって再使用は外観だけで決めず、消防設備の専門確認と、必要に応じた電気設備側の安全確認へつなぎます。
明かりが見えても油断できないんですね。
せやで。
非常点灯まで確認が必要です。
どの誘導灯と浸水範囲を対象に確認するのか

漏水した天井や壁、その回路につながる誘導灯、分電盤、配線経路、内蔵電池まで範囲を広げます。
水の通り道と電気のつながりと避難経路を一枚の図で見ます。
次の対象を平面図と現場写真で照合してください。
- 水滴、泥、変色がある避難口誘導灯と通路誘導灯
- 浸水線より低い位置の誘導灯と配線接続部
- 漏水した天井内や壁内を通る回路
- 誘導灯が見えにくくなった避難口と曲がり角
- 同じ回路の分電盤、遮断器、非常電源
器具が無事でも、泥を含む養生シートや仮置き資材で表示が隠れていないかを見ます。
地下階や複数テナントでは専有部だけで終えず、共用廊下と避難階まで連続して確認してください。
濡れた一台だけの話ではないんですね。
回路と避難動線まで追いましょう。
発見から避難案内と専門確認まで何を決めるのか

消防法第17条は、関係者に消防用設備等を技術上の基準に従って設置し維持することを求めています。
未確認の誘導灯を残したまま通常運用へ戻さない手順を作ります。
現場では次の順番を共通手順にしてください。
- 水たまり、漏水、焦げ臭さから人を離す
- 浸水線、発見時刻、点灯状態を写真で記録する
- 触れずに設備担当者へ電源状態を照会する
- 影響区間の避難口と代替経路を確認する
- 案内係と携帯照明を安全な位置へ配置する
- 消防設備業者と電気設備担当者へ点検を依頼する
- 復旧確認後に案内体制を解除して記録を閉じる
設備の不良が続く場合は所轄消防署へ相談し、在館者数や避難経路を踏まえた運用を決めます。
再開条件は器具が光ったことだけでなく、表示の視認性と非常電源への切替まで確認できた状態としてください。
案内係だけ置けば営業できますか。
代替扱いにはしません。
消防署と専門家へ相談やで。
表面が乾けば使えると思うと何を見落とすのか

表示面が点灯していても、停電時の切替や規定時間の非常点灯が正常とは判断できません。
外観と通常点灯と非常点灯を別々に確認します。
見落としやすい点を分けて記録してください。
- 器具の継ぎ目、取付部、配線口に残る水滴や泥
- 表示面の変色、著しい汚れ、脱落、見えにくさ
- 充電モニターや点検スイッチの異常
- 常用電源から非常電源へ切り替わらない状態
- 仮設資材や復旧作業灯による視認障害
施設担当者の目視は初動の区分には役立ちますが、法定点検や専門的な電気確認の代わりにはなりません。
異常が疑われる器具は触れずに位置番号を付け、同じ回路の設備とまとめて伝えます。
交換や再使用の判断は機器の状態とメーカー情報を踏まえて専門業者へ確認してください。
点検スイッチも自分で押さない方がええですか。
濡れた疑いがあれば触らず、専門確認へ回すんや。
明日から誘導灯の浸水対応をどう確認するのか

想定浸水線を重ね、漏水時に使う安全な連絡場所と代替避難経路を決めてください。
発見から専門確認までを一枚の対応表で訓練します。
経済産業省と国土交通省の浸水対策ガイドラインは、機能継続が必要な電気設備について、浸水対策と早期復旧対策を平時から検討する考え方を示しています。
次の順番で確認表を作ります。
- 誘導灯、分電盤、浸水線を図面へ記入する
- 器具へ触れない立入制限範囲を決める
- 影響区間の避難口と代替経路を歩く
- 案内係、携帯照明、予備要員を割り当てる
- 消防設備業者と電気設備担当者の連絡順を決める
- 外観、点灯、非常点灯、視認性の記録欄を作る
- 訓練後に図面、連絡先、再開条件を更新する
実際の電源操作や点検は、建物管理者と専門業者が安全を確認したうえで行います。
夜間や休日でも連絡が止まらないよう代行者と緊急連絡先を記載してください。
訓練で見つかった表示の見えにくさや連絡漏れは、是正完了まで追跡します。
浸水線を図面に重ねてみます。
ええですね。
危険範囲が伝わりやすいで。
よくある質問
まとめ
浸水線と誘導灯の位置を図面に入れます!
触らず避難を補って専門確認へつなぐ手順を備えましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- e-Gov法令検索 消防法施行規則
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領・点検票
- 総務省消防庁 別表第16 誘導灯及び誘導標識の点検の基準
- 経済産業省 建築物における電気設備の浸水対策
- 東京消防庁 防災訓練 避難のしかた
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。浸水した誘導灯へ自己判断で触れたり通電したりせず施設の安全手順に従ってください。個別の電源操作、点検、交換、業務再開判断は、設備方式と現場状況に応じて所轄消防署、建物管理者、消防設備士、電気設備の専門家へご確認ください。





