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BCPで地下階の浸水対応は消防計画とどう分けるのか|浸水前の避難と業務停止の手順を解説

地下階への浸水に備えて避難後に止水板を設置する施設管理者
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大雨の予報が出たとき、地下階では止水板の設置と利用者の避難をどちらから始めればよいのでしょうか。
水が流れ込み始めてから階段へ誘導すると、使える避難経路が急に減るおそれがあります。
一方で、消防計画と浸水対応計画、BCPの役割が曖昧では、誰も業務停止を判断できません。
地下階の浸水対応は避難を先に完了し、BCPで業務停止と復旧判断までつなぎます。

止水板を付けてから避難でええんですか。

利用者の避難を先にします。

消防計画だけでは足りませんか。

避難後の事業停止と復旧はBCPで決めます。

この記事の結論
  • 地下階では浸水が始まる前に避難を完了します。
  • 止水板は避難経路と作業者の安全を確保して設置します。
  • 警戒段階から非常体制へ移る基準を数値と情報名で決めます。
  • 消防計画等は避難誘導、BCPは業務停止と復旧を担います。
  • 接続施設や休日も含めて実動訓練を行います。

気象情報の確認から非常体制と地上への避難誘導を経て浸水防止を行う流れのアイソメ図

地下階の浸水対応は消防計画とBCPでどう分けるのか

地下階の利用者を浸水前に地上へ避難誘導するアイソメ図
地下階の浸水対応は、一つの文書だけで完結させるのではありません。
避難と浸水防止を担う計画に、BCPの業務停止・再開手順を接続します。
水防法第15条の2は、市町村地域防災計画に名称と所在地が定められた地下街等の所有者または管理者に、利用者の円滑かつ迅速な避難の確保と浸水防止に必要な計画の作成、訓練、自衛水防組織の設置などを求めています。
消防法施行規則第3条第1項第一号リは、消防計画に、火災、地震その他の災害時の消火活動、通報連絡および避難誘導に関することを定める仕組みを置いています。
避難する人を守る計画と、避難後に事業を守るBCPを一本の時系列へ並べます。
現場では、気象情報の収集、館内放送、地上への誘導、浸水防止作業を計画側で具体化します。
BCPでは、地下店舗や設備室をいつ閉鎖し、重要業務をどこへ移すかを決めます。
災害対策本部は避難完了の報告を受けてから、設備停止や復旧要員の投入を判断します。
消防計画等とBCPに別々の連絡網を置くと、同じ人へ二重の指示が届きます。
そのため、指揮者、情報収集班、避難誘導班、自衛水防班を共通の役割表で管理します。
文書名よりも、誰が何を判断して次へ渡すかという引継ぎ条件が重要です。

避難と事業停止を同じ時間軸で見るんですね。

はい。
避難完了が次の判断点です。

どの地下施設が避難確保と浸水防止の対象になるのか

地下街と地下駅と接続ビルを一体で確認するアイソメ図
水防法に基づく計画作成義務は、すべての地下室へ一律にかかるわけではありません。
まず自治体の地域防災計画に、自施設の名称と所在地が記載されているかを確認します。
水防法第15条の2の対象は、浸水想定区域内の地下街その他地下に設けられた不特定かつ多数の者が利用する施設、または主として高齢者、障害者、乳幼児などが利用する施設のうち、市町村地域防災計画に名称と所在地が定められたものです。
国土交通省の手引きは、地下空間では外の状況を把握しにくく、短時間で水が流入し、避難経路が限られる危険があると説明しています。自治体のハザードマップと連絡方法を確認することが重要です。
対象確認は建物名だけでなく、地下でつながる範囲まで見ます。
地下街、地下駅、地下通路、接続ビルの地下階は、入口や階段を共有していることがあります。
水防法は、接続する施設がある場合に、必要に応じてその所有者や管理者の意見を聴く仕組みも設けています。
単独のオフィス地下室が法定対象外でも、浸水リスクが消えるわけではありません。
受変電設備、消防ポンプ、非常電源、通信設備が地下にある場合はBCP上の重要設備として扱います。
自治体の担当窓口へ、対象範囲、情報伝達方法、提出様式を施設名を示して確認してください。
テナントは管理会社任せにせず、自社従業員と来店客をどの階段へ誘導するかを区画別に確認します。

隣の地下通路まで関係するんですね。

接続部と共用階段も確認しましょう。

浸水前の避難と業務停止はどの順番で行うのか

防災センターが気象情報を確認して地上避難を指示するアイソメ図
基本の順番は、情報収集、警戒体制、非常体制、避難誘導、浸水防止、業務停止判断です。
各段階へ移る条件を、誰でも同じ判断ができる言葉で定めます。
国土交通省の手引きは、警戒段階で情報収集や資機材の準備を行い、非常体制へ移ったら利用者へ周知して避難誘導を開始する流れを示しています。また、浸水開始前に避難を完了することを基本としています。
内閣府の事業継続ガイドラインは、生命の安全確保と二次災害の防止を優先し、指揮命令系統、役割、手順を時系列で定める考え方を示しています。BCPの発動判断や記録も初動手順へ組み込みます。
浸水を見てからではなく、公的な防災情報と現地確認で避難を始めます。
警戒段階では、気象情報、河川情報、自治体からの伝達、地上の道路状況を集めます。
非常体制へ移る条件には、警戒レベル、施設周辺の降雨や水位、自治体の連絡など確認できる情報名を書きます。
移行後は館内放送と個別誘導を始め、地下へ向かう人の流入も止めます。
利用者の避難完了を確認してから、重要設備の停止や止水板設置を続けます。
BCPでは、地下店舗の営業中止、重要業務の代替拠点移行、取引先への連絡を避難判断に連動させます。
各段階の開始時刻、判断者、未完了作業を時系列記録に残してください。
段階現場の行動BCPの判断
警戒体制情報収集・資機材準備重要業務と連絡先の確認
非常体制流入停止・避難誘導開始営業停止・代替拠点移行
避難完了後止水・設備停止被害確認・復旧体制準備

雨量だけでなく自治体の情報も見るんですね。

はい。
複数の判断材料を決めます。

止水板の設置を避難より優先してはいけないのはなぜか

避難経路を残して作業員が地下入口へ止水板を設置するアイソメ図
止水板は浸水被害を減らす設備ですが、人命より先に守るものではありません。
設置場所と作業時間によっては、利用者の出口を塞ぐ危険があります。
国土交通省の手引きは、浸水防止活動より避難を優先することを示しています。浸水防止を行う場合も、作業開始から完了までの時間と、浸水開始までに残された時間を踏まえて実施します。
水防法第15条の2は、利用者の円滑かつ迅速な避難の確保と浸水防止の双方を計画事項としています。両方を実行できるよう、自衛水防組織の業務と訓練を施設の実情に合わせて定めます。
止水作業は、避難に使わない開口部から始める順序にします。
止水板の保管場所が遠い、部材が重い、取付けに工具が要る場合は想定より時間がかかります。
訓練で搬送から設置完了までを測り、避難開始の時刻から逆算します。
主な避難階段の入口へ設置する場合は、別経路への誘導完了を確認するまで着手しません。
作業者にも退避時刻を設定し、地下へ戻らせない中止基準を決めます。
夜間や休日に少人数となる施設では、避難誘導員を止水作業へ回さない最低配置が必要です。
停電で電動シャッターや排水ポンプが止まる場合も想定し、手動操作と非常電源の状態を定期点検します。

設置中に出口を塞ぐ場合があるんですね。

避難経路を残す順序が必要です。

明日から地下階の浸水対応をどう確認するのか

管理者が地下階の避難図と止水手順を確認するアイソメ図
最初に、自治体の地域防災計画とハザードマップ、自施設の計画、消防計画、BCP、地下平面図を集めます。
次に警戒情報の受信から避難完了、止水、業務停止までを実際に歩いて確認します。
国土交通省の手引きは、避難経路や情報伝達方法をハザードマップ等で確認し、不明点は市町村へ相談するよう示しています。接続施設、休日、停電も考慮し、地上の状況を直接確認する体制を整えます。
内閣府の事業継続ガイドラインは、被害状況、従業員や顧客の安全、二次災害防止、BCPの発動判断、対応記録を災害対策本部の初動手順へ組み込む考え方を示しています。
机上確認の次に、雨天・停電・休日を想定して実動時間を測ります。
地下入口、地上出口、接続通路、止水板保管場所、重要設備室を一枚の図面へ記します。
避難開始条件、非常体制への移行者、館内放送担当、各階の最終確認者を役割表へ落とします。
止水板は実際に運び、組み立て、避難経路との干渉を確かめてください。
停電時は非常放送、誘導灯、無線、排水設備の使用可否を確認します。
休日の少人数でも回るかを試し、不足する役割は接続施設や警備会社との応援手順へ反映します。
訓練後は所要時間と迷った判断を記録し、消防計画等とBCPの同じ条件を同時更新しましょう。
  • 自治体の対象指定と情報伝達方法を確認する
  • 地下でつながる施設と共用避難経路を図面へ記す
  • 非常体制への移行条件と判断者を決める
  • 避難完了前に止水板が出口を塞がないか試す
  • 停電・休日を含む実動訓練で時間を測る

止水板を運ぶ時間まで測ってみます。

実測した時間を計画へ戻しましょう。

よくある質問

Q地下室があれば必ず水防法の計画が必要ですか?
A一律ではありません。浸水想定区域内にあり、市町村地域防災計画へ名称と所在地が定められた地下街等が対象です。まず自治体の地域防災計画を確認してください。
Q止水板はいつ設置すればよいですか?
A施設ごとの浸水開始予測と作業時間で決めます。ただし利用者の避難が優先です。避難に使わない開口部から始め、作業者が安全に退避できる中止時刻も設定します。
Qエレベーターで地上へ避難してもよいですか?
A停電や浸水による停止を考え、原則として安全な階段を避難経路にします。要配慮者の支援方法を含め、施設設備と自治体の計画に応じた複数の経路を確認します。
Q法定の計画があればBCPは不要ですか?
A役割が異なります。法定計画等は避難確保と浸水防止を具体化します。BCPには営業停止、重要業務の代替、取引先連絡、設備の復旧優先順位など事業継続の判断を定めます。

まとめ

地下階では浸水前に避難を完了します。
消防計画等とBCPの役割を時系列でつなぎます。
自治体の対象指定と情報伝達方法を確認します。
地下で接続する施設と共用経路まで確認します。
止水板は避難経路を塞がない順序で設置します。
作業者が退避する中止基準を決めます。
停電と休日を含む実動訓練で時間を測ります。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および国土交通省・内閣府の資料に基づく一般的な解説です。対象施設の指定、避難情報、計画の提出・運用は自治体や施設ごとに異なります。実際の計画作成は自治体の水防担当窓口に、消防計画との整合は所轄消防署にご確認ください。

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