大雨の予報が出たとき、地下階では止水板の設置と利用者の避難をどちらから始めればよいのでしょうか。
水が流れ込み始めてから階段へ誘導すると、使える避難経路が急に減るおそれがあります。
一方で、消防計画と浸水対応計画、BCPの役割が曖昧では、誰も業務停止を判断できません。
地下階の浸水対応は避難を先に完了し、BCPで業務停止と復旧判断までつなぎます。
止水板を付けてから避難でええんですか。
利用者の避難を先にします。
消防計画だけでは足りませんか。
避難後の事業停止と復旧はBCPで決めます。
- 地下階では浸水が始まる前に避難を完了します。
- 止水板は避難経路と作業者の安全を確保して設置します。
- 警戒段階から非常体制へ移る基準を数値と情報名で決めます。
- 消防計画等は避難誘導、BCPは業務停止と復旧を担います。
- 接続施設や休日も含めて実動訓練を行います。
▼

目次
地下階の浸水対応は消防計画とBCPでどう分けるのか

避難と浸水防止を担う計画に、BCPの業務停止・再開手順を接続します。
現場では、気象情報の収集、館内放送、地上への誘導、浸水防止作業を計画側で具体化します。
BCPでは、地下店舗や設備室をいつ閉鎖し、重要業務をどこへ移すかを決めます。
災害対策本部は避難完了の報告を受けてから、設備停止や復旧要員の投入を判断します。
消防計画等とBCPに別々の連絡網を置くと、同じ人へ二重の指示が届きます。
そのため、指揮者、情報収集班、避難誘導班、自衛水防班を共通の役割表で管理します。
文書名よりも、誰が何を判断して次へ渡すかという引継ぎ条件が重要です。
避難と事業停止を同じ時間軸で見るんですね。
はい。
避難完了が次の判断点です。
どの地下施設が避難確保と浸水防止の対象になるのか

まず自治体の地域防災計画に、自施設の名称と所在地が記載されているかを確認します。
地下街、地下駅、地下通路、接続ビルの地下階は、入口や階段を共有していることがあります。
水防法は、接続する施設がある場合に、必要に応じてその所有者や管理者の意見を聴く仕組みも設けています。
単独のオフィス地下室が法定対象外でも、浸水リスクが消えるわけではありません。
受変電設備、消防ポンプ、非常電源、通信設備が地下にある場合はBCP上の重要設備として扱います。
自治体の担当窓口へ、対象範囲、情報伝達方法、提出様式を施設名を示して確認してください。
テナントは管理会社任せにせず、自社従業員と来店客をどの階段へ誘導するかを区画別に確認します。
隣の地下通路まで関係するんですね。
接続部と共用階段も確認しましょう。
浸水前の避難と業務停止はどの順番で行うのか

各段階へ移る条件を、誰でも同じ判断ができる言葉で定めます。
警戒段階では、気象情報、河川情報、自治体からの伝達、地上の道路状況を集めます。
非常体制へ移る条件には、警戒レベル、施設周辺の降雨や水位、自治体の連絡など確認できる情報名を書きます。
移行後は館内放送と個別誘導を始め、地下へ向かう人の流入も止めます。
利用者の避難完了を確認してから、重要設備の停止や止水板設置を続けます。
BCPでは、地下店舗の営業中止、重要業務の代替拠点移行、取引先への連絡を避難判断に連動させます。
各段階の開始時刻、判断者、未完了作業を時系列記録に残してください。
| 段階 | 現場の行動 | BCPの判断 |
|---|---|---|
| 警戒体制 | 情報収集・資機材準備 | 重要業務と連絡先の確認 |
| 非常体制 | 流入停止・避難誘導開始 | 営業停止・代替拠点移行 |
| 避難完了後 | 止水・設備停止 | 被害確認・復旧体制準備 |
雨量だけでなく自治体の情報も見るんですね。
はい。
複数の判断材料を決めます。
止水板の設置を避難より優先してはいけないのはなぜか

設置場所と作業時間によっては、利用者の出口を塞ぐ危険があります。
止水板の保管場所が遠い、部材が重い、取付けに工具が要る場合は想定より時間がかかります。
訓練で搬送から設置完了までを測り、避難開始の時刻から逆算します。
主な避難階段の入口へ設置する場合は、別経路への誘導完了を確認するまで着手しません。
作業者にも退避時刻を設定し、地下へ戻らせない中止基準を決めます。
夜間や休日に少人数となる施設では、避難誘導員を止水作業へ回さない最低配置が必要です。
停電で電動シャッターや排水ポンプが止まる場合も想定し、手動操作と非常電源の状態を定期点検します。
設置中に出口を塞ぐ場合があるんですね。
避難経路を残す順序が必要です。
明日から地下階の浸水対応をどう確認するのか

次に警戒情報の受信から避難完了、止水、業務停止までを実際に歩いて確認します。
地下入口、地上出口、接続通路、止水板保管場所、重要設備室を一枚の図面へ記します。
避難開始条件、非常体制への移行者、館内放送担当、各階の最終確認者を役割表へ落とします。
止水板は実際に運び、組み立て、避難経路との干渉を確かめてください。
停電時は非常放送、誘導灯、無線、排水設備の使用可否を確認します。
休日の少人数でも回るかを試し、不足する役割は接続施設や警備会社との応援手順へ反映します。
訓練後は所要時間と迷った判断を記録し、消防計画等とBCPの同じ条件を同時更新しましょう。
- 自治体の対象指定と情報伝達方法を確認する
- 地下でつながる施設と共用避難経路を図面へ記す
- 非常体制への移行条件と判断者を決める
- 避難完了前に止水板が出口を塞がないか試す
- 停電・休日を含む実動訓練で時間を測る
止水板を運ぶ時間まで測ってみます。
実測した時間を計画へ戻しましょう。
よくある質問
まとめ
避難と止水の実動時間を測ります!
地下階の浸水訓練から始めましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 水防法第15条の2
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第3条
- 国土交通省 地下街等に係る避難確保・浸水防止計画作成の手引き
- 国土交通省 地下街等に係る避難確保・浸水防止計画作成の手引き 2026年5月
- 内閣府 事業継続ガイドライン 第三版
※本記事は公表されている法令および国土交通省・内閣府の資料に基づく一般的な解説です。対象施設の指定、避難情報、計画の提出・運用は自治体や施設ごとに異なります。実際の計画作成は自治体の水防担当窓口に、消防計画との整合は所轄消防署にご確認ください。





