地震後の巡回で、消防用設備の非常電源に使う蓄電池設備の下に液体が広がっていたらどうしますか。
「停電していないから大丈夫」と、そのまま消防用設備を使い続けるのは避けます。
漏液だけでなく、蓄電池の変形、端子の緩み、充電装置や配線の損傷が残っている可能性があるためです。
人を近づけず、影響する消防用設備を特定し、専門点検と非常電源の機能確認を復旧条件にします。
蓄電池の下が濡れています。
触って確認しますか?
触らずに、まず周囲を立入制限します。
液を拭けば戻せますか?
清掃の前に、
設備の状態を記録します。
この記事の結論
- 漏液した蓄電池設備へ近づかず、周囲を立入制限します。
- 液体の範囲、蓄電池、盤の表示を写真と時刻で残します。
- 図面で非常電源が支える消防用設備を特定します。
- 清掃や充電再開だけで復旧扱いにしません。
- 専門点検と機能確認を受け、施設責任者が使用再開を判断します。
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目次
地震後に非常電源用蓄電池から液が漏れていたら使ってよいのか

消防庁の非常電源(蓄電池設備)の点検基準は、蓄電池の外形について、変形、損傷、著しい腐食、漏液などがないことを確認事項にしています。
漏液がある時点で、点検基準上の正常な外観状態とはいえません。
消防法第17条は、関係者に対し、政令で定める技術上の基準に従って消防用設備等を設置し、維持することを求めています。消防法第17条の3の3は、消防用設備等の点検と結果報告を定めています。
安全な位置から液体の広がり、蓄電池の変形、収納盤の傾き、警報表示を確認し、発見時の状態を記録します。
蓄電池の種類によって電解液の性質や対処方法は異なります。施設担当者の判断で液へ触れず、製造者、電気設備の管理者、消防設備の専門業者へ連絡してください。
非常電源の状態が確認できるまでは、影響する消防用設備を洗い出し、建物の利用範囲を慎重に決めます。
停電していなくても止めるんですね。
はい。
外観異常を先に確認します。
どの蓄電池設備と消防用設備を対象に確認するのか

蓄電池、充電装置、換気設備、収納盤、配線、接続端子、耐震措置に加え、その非常電源から給電される消防用設備まで一つの系統として見ます。
消防庁の点検基準は、非常電源の蓄電池設備について、設置場所、蓄電池、充電装置、逆変換装置、結線接続、接地、容量などを確認対象にしています。
- 漏液が見える蓄電池と床面の範囲
- 収納盤、架台、固定金具、接続端子の状態
- 充電装置、逆変換装置、警報表示の状態
- 非常電源系統の分電盤、配線、切替回路
- その非常電源から給電される消防用設備
同じ建物に複数の蓄電池設備がある場合は、漏液した一台だけを見て建物全体の機能を決めないでください。
機器番号、盤名称、設置階、給電先を照合し、影響する設備と区域を一覧にします。
テナントと共用部で管理者が異なる場合は、設備管理者と防火管理者の双方へ共有します。
濡れた箱だけ見ればよいですか?
いいえ。
給電先まで確認します。
漏液を見つけたらどの順番で安全を確保するのか

設備担当、防火管理者、BCP担当が同じ情報を共有し、現場の善意だけで操作や清掃を始めないようにしてください。
液へ触れる前、盤を開ける前、電源を操作する前に、現場を止めて専門家へつなぐことが基本です。
- 火災、煙、異臭、発熱、転倒、感電のおそれがないか離れて確認する
- 扉を閉められる場合は区画し、コーンなどで人を近づけない
- 液体の範囲、機器番号、警報表示、発見時刻を写真と記録票へ残す
- 図面で給電先の消防用設備と影響区域を確認する
- 電気設備の管理者、消防設備の専門業者、製造者へ連絡する
安全データシートや製造者の指示を確認し、清掃は必要な保護具と知識を持つ担当者へ任せます。
電源操作が必要な場合も、施設担当者だけで判断せず、電気設備の管理者と専門業者が感電や短絡の危険を確認してから行います。
消防用設備の機能が不足する間は、必要な利用制限や安全措置について所轄消防署へ相談してください。
先に液を拭いたらダメなんですね。
そうです。
区切って記録が先です。
外箱が無事なら電源も使えると思うと何を見落とすのか

消防庁の点検基準は、外形だけでなく、電解液の比重と温度、液量、総電圧と個々の電池電圧、充電装置、結線接続などを確認事項にしています。
「盤が立っている」「表示灯が点いている」という見た目だけでは、必要な時間だけ給電できるか判断できません。
消防庁の非常電源(蓄電池設備)の点検基準は、蓄電池の外形に漏液などがないこと、電解液の比重・温度・液量が適正であること、総電圧と個々の電池電圧が適正であることなどを確認事項にしています。
- 蓄電池本体のひびや端子付近から漏れている
- 架台や固定金具がずれ、蓄電池へ力が加わっている
- 接続端子の緩みや腐食で必要な電流を流せない
- 充電装置や監視回路に異常が残っている
- 平常時の電圧は見えても負荷時の機能を確認できていない
原因となった地震の影響を含め、蓄電池設備の各部と給電先を点検します。
点検や測定は、感電、短絡、化学物質への接触を避けるため、有資格者や専門業者へ依頼してください。
復旧は、外観、電圧、充電状態、切替、負荷側の作動を含む一連の確認結果で判断します。
表示灯だけでは足りないんですね。
はい。
負荷側まで確認します。
明日から非常電源用蓄電池の被害対応をどう確認するのか

消防計画には通報、初期消火、避難誘導を、BCPには非常電源が使えない間の利用制限、代替措置、復旧条件を整理しましょう。
「地震後に蓄電池設備の下へ液体が広がっている」という想定で、発見から使用再開まで訓練します。
- 蓄電池設備の場所、機器番号、給電先を図面で確認する
- 設備担当、防火管理者、BCP担当の責任者と代行者を決める
- 漏液の範囲、警報表示、発見時刻を残す記録票を用意する
- 立入制限と避難動線を両立する区画方法を決める
- 専門業者、製造者、所轄消防署への連絡先と順番を確認する
- 点検結果から消防用設備の使用再開を判断する流れを訓練する
非常電源は、停電時も消防用設備の機能を支える重要な資源です。
復旧時には、漏液が止まったこと、損傷部が処置されたこと、蓄電池設備が所定の状態へ戻ったこと、給電先の消防用設備が機能することを点検結果で確認します。
確認した人、日時、測定・試験の結果、残る制限を記録し、再開条件と訓練記録をBCPへ反映します。
連絡先と図面を一緒にします。
ええですね。
再開条件も明文化します。
よくある質問
Q漏れた液が少量なら、施設担当者が拭いてよいですか?
A自己判断では触れません。蓄電池の種類と製品情報を確認し、製造者や専門業者の指示に従って、必要な保護具を備えた担当者が処理します。
Q漏液した蓄電池のブレーカーを切ってよいですか?
A感電や短絡の危険と消防用設備への影響があるため、施設担当者だけで操作しません。電気設備の管理者と消防設備の専門業者へ連絡します。
Q交換後に電圧が正常なら復旧ですか?
A電圧だけでは決めません。充電装置、結線、切替、容量、給電先の消防用設備まで一連の機能確認を行います。
Q建物の使用再開は誰が判断しますか?
A専門業者の点検結果、残る機能不足、利用制限、所轄消防署との相談内容を踏まえ、施設側の責任者が判断し、再開時刻と根拠を記録します。
まとめ
✔漏液した蓄電池設備へ近づかず立入制限します。
✔液体の範囲と設備外観を写真と時刻で残します。
✔図面で非常電源の給電先を特定します。
✔清掃や充電再開だけで復旧扱いにしません。
✔蓄電池、充電装置、結線、給電先を専門点検で確認します。
✔施設責任者が再開時刻と根拠を記録します。
✔漏液対応を消防計画とBCPの訓練へ反映します。
漏液時の初動手順を確認します!
立入制限・専門点検・復旧確認を一緒に整理しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
この記事を書いた人
監修・編集者
青木 俊輔
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
主な活動
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領
- 消防庁 別表第25 非常電源(蓄電池設備)の点検の基準
- 消防庁 第25 非常電源(蓄電池設備)の点検要領
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令・点検資料等に基づく一般的な解説です。蓄電池の種類、設備構成、電解液の性質、漏液の処理、消防用設備への影響、利用制限、復旧の判断は、建物の用途・規模・設備構成や被害状況で異なります。実際の対応は電気設備の管理者、消防設備の専門業者、製造者および所轄消防署・関係行政機関へご確認ください。





