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BCPで地震後に泡消火薬剤貯蔵槽から漏れていたら駐車場を使ってよいのか|立入制限と復旧確認の手順を解説

地震後に泡消火薬剤貯蔵槽から漏れを確認する駐車場設備の写真を使ったアイキャッチ

地震後の巡回で、地下駐車場の泡消火薬剤貯蔵槽の足元に液体が広がっていたらどうしますか。
「少量だからあとで補充すればよい」と、駐車場を通常どおり使い続けるのは避けます。
漏れた場所だけでなく、薬剤量、貯蔵槽、混合装置、配管などに地震の影響が残っている可能性があるためです。
漏れの範囲と設備の保護区画を確認し、専門点検と復旧確認を駐車場の再開条件にします。

タンクの下が濡れています。
駐車場は使えますか。

まず漏れの周囲を区切ることからです。

減った分だけ補充すれば戻せますか。

補充だけではなく、
漏れの原因まで点検します。

この記事の結論
  • 漏れた貯蔵槽と周囲を区切り、通常利用を急ぎません。
  • 液体の広がり、貯蔵槽、配管、バルブを写真と時刻で残します。
  • 図面で泡消火設備の保護区画と影響範囲を確認します。
  • 減った薬剤の補充だけで復旧扱いにしません。
  • 専門業者の点検結果を受け、施設責任者が駐車場の再開範囲を判断します。

泡消火薬剤の漏れを記録して保護区画を確認し専門点検と復旧確認へつなぐアイソメ図

地震後に泡消火薬剤貯蔵槽から漏れていたら駐車場を使ってよいのか

地震後に泡消火薬剤貯蔵槽の足元の漏れを確認する施設担当者のアイソメ図
漏れを見つけた状態で、駐車場をすぐ通常利用へ戻さないでください。
消防庁の泡消火設備の点検基準は、消火薬剤貯蔵槽について、変形、損傷、漏液、漏気、著しい腐食などがないことを確認事項にしています。
液漏れがある時点で、少なくとも点検基準上の正常な外観状態とはいえません。
消防法第17条は、関係者に対し、政令で定める技術上の基準に従って消防用設備等を設置し、維持することを求めています。消防法第17条の3の3は、消防用設備等の点検と結果報告を定めています。
火災や煙、車両からの燃料漏れ、倒壊物など別の危険がある場合は、設備確認より避難、119番通報、初期消火を優先します。
火災がない安全な状態で見つけた場合も、施設担当者が貯蔵槽の弁を動かしたり、漏れた液体を排水口へ流したりしないでください。
まず人や車が近づかない範囲を設け、外側から液体の広がり、漏れている位置、貯蔵槽や配管の傾きを発見時のまま記録します。
専門業者へ連絡し、保護区画と失われた機能を確認したうえで、駐車場の使用範囲を決めます。

少量でも先に区切るんですね。

そうです。
触る前の記録が先です。

どの駐車場と泡消火設備を対象に確認するのか

図面で泡消火薬剤貯蔵槽と保護する駐車区画を確認する施設担当者のアイソメ図
確認対象は、床に見えている液体と貯蔵槽だけではありません。
設計図書と点検票を開き、薬剤貯蔵槽、液面計、圧力計、バルブ、混合装置、加圧送液装置、配管、支持部、泡ヘッドまで一連の系統を確認します。
消防法施行令第15条は、一定の駐車場などに泡消火設備等を設置する基準を定めています。消防法施行規則第18条は、泡消火設備の技術基準と泡消火薬剤の貯蔵量などを定めています。
貯蔵槽がどの放射区域や駐車区画を守る系統なのかを、平面図と系統図で特定します。
  • 漏れが見える貯蔵槽と床面の範囲
  • 液面計の位置と発見時の指示
  • 混合装置、加圧送液装置、接続配管、バルブ
  • アンカーボルト、支持金具、配管継手のずれ
  • その系統が保護する放射区域と駐車区画
地震では、貯蔵槽本体に大きな変形がなくても、接続部や支持部にずれが残ることがあります。
一つの貯蔵槽が複数の放射区域へ薬剤を供給する構成なら、漏れの近くの車室だけを見ても影響範囲は決まりません。
完成図、直近の点検結果、機器の銘板を照合し、設備系統と保護区画を専門業者へ伝えます。
テナントと共用駐車場で管理者が異なる場合は、設備管理者と駐車場運営者の両方へ連絡してください。

床の濡れだけでは決められへんのですね。

はい。
図面で保護区画を確認します。

発見から立入制限と専門点検までどう進めるのか

泡消火薬剤貯蔵槽の周囲を立入制限して専門業者へ連絡する施設担当者のアイソメ図
発見後は、安全確認、立入制限、記録、影響範囲の特定、専門点検の順で進めます。
設備担当、防火管理者、BCP担当、駐車場運営者が同じ情報を共有してください。
漏れを片づける前に、どこからどこまで、いつ広がったかを残すことが原因確認につながります。
  1. 火災、煙、倒壊物、車両からの燃料漏れがないか確認する
  2. 貯蔵槽へ近づけない範囲を設け、車両と人を誘導する
  3. 液体の範囲、貯蔵槽、液面計、配管、支持部を写真に残す
  4. 図面で保護区画と避難経路への影響を確認する
  5. 専門業者へ点検を依頼し、必要に応じて所轄消防署へ相談する
漏れた液体の扱いは、使用している泡消火薬剤の種類や施設の管理方法で異なります。
製品名、製造者、点検記録を確認し、清掃や回収は専門業者の指示に従います。
駐車場の利用を絞る場合は、対象階、車室、進入路、開始時刻、案内方法を一つの記録票へまとめます。
点検の予定と復旧見込みを共有し、暫定運用の終了条件も決めてください。

片づける前に写真を残します。

ええですね。
時刻も一緒に記録します。

少量の漏れなら補充だけで済むと思うと何を見落とすのか

泡消火薬剤貯蔵槽と混合装置や配管を専門業者が点検するアイソメ図
薬剤の液面を元へ戻しても、漏れの原因や設備の機能が確認できたことにはなりません。
消防庁の点検基準は、消火薬剤が変質や著しい汚れのない状態で規定量以上あることに加え、貯蔵槽、圧力計、バルブ類、混合装置、加圧送液装置も確認対象にしています。
量だけを補っても、漏れの経路、薬剤の状態、正しい混合、配管や弁の機能は確認できません。
消防庁の泡消火設備の点検基準は、消火薬剤貯蔵槽に変形・損傷・漏液・漏気・著しい腐食などがないこと、消火薬剤に変質・著しい汚れなどがなく規定量以上貯蔵されていることを確認事項にしています。
次の見落としに注意してください。
  • 貯蔵槽ではなく配管継手やバルブから漏れている
  • 地震で支持金具やアンカーボルトが緩んでいる
  • 液面計の指示と実際の薬剤量が一致していない
  • 薬剤に変色、沈殿物、著しい汚れなどがある
  • 混合装置の設定や接続配管に影響が残っている
プレッシャープロポーショナー方式では、貯蔵槽内部の分離膜の状態が液漏れに関係する場合もあります。
消防庁の検討資料は、排液弁から水を採取し、分離膜の破損による液漏れがないことを確認する点検方法を示しています。
こうした確認や薬剤の採取は、仕組みを理解した専門業者へ依頼してください。
「液面が戻った」という見た目ではなく、設備系統の点検結果で復旧を判断します。

補充だけでは原因が残るんですね。

そのとおりです。
系統全体で復旧確認します。

明日から泡消火薬剤貯蔵槽の被害対応をどう確認するのか

泡消火設備の復旧結果を専門業者と施設担当者が確認するアイソメ図
平常時に貯蔵槽の場所、保護区画、設備図、点検結果、専門業者の連絡先を一つにまとめます。
消防計画には通報、初期消火、避難誘導を、BCPには設備不良時の駐車場制限、代替運用、再開条件を整理しましょう。
「地震後に貯蔵槽の足元へ液体が広がっている」という想定で、発見から再開判断まで訓練します。
  1. 貯蔵槽、混合装置、配管、保護区画を図面で確認する
  2. 設備担当、防火管理者、BCP担当の責任者と代行者を決める
  3. 漏れの範囲と時刻を残す記録票を用意する
  4. 立入制限と車両誘導の範囲を決める
  5. 専門業者と所轄消防署への連絡先と順番を確認する
  6. 点検結果を受けて再開範囲を判断する流れを訓練する
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要業務を支える資源を把握し、事前対策を実施し、教育・訓練や見直しを続ける考え方を示しています。
泡消火設備は駐車場の安全を支える資源として、故障時の連絡と利用制限をBCPへ入れておきます。
復旧時には、漏れが止まったこと、規定量、薬剤の状態、バルブ位置、混合装置や配管の確認結果を点検記録で受領してください。
消防計画とBCPを更新したら、更新日と責任者も残します。

漏れを想定して訓練します。

ええですね。
再開判断まで確認できます。

よくある質問

Q床の漏れが少量でも駐車場を止めますか?
A建物全体を一律に止めるとは限りません。漏れの周囲と設備の保護区画を確認し、影響範囲に応じた利用制限を決めます。
Q漏れた薬剤は施設担当者が拭いてよいですか?
A先に人と車を近づけず、製品名と状態を確認します。自己判断で排水せず、専門業者の指示に従って回収や清掃を進めます。
Q同じ薬剤を補充すれば復旧になりますか?
A補充だけでは漏れの原因や混合機能を確認できません。薬剤の適合性を含め、設備全体の点検を依頼します。
Q駐車場の再開は誰が判断しますか?
A専門業者の点検結果と利用制限の終了条件を確認し、施設側の責任者が判断します。再開時刻と判断根拠を記録します。

まとめ

漏れた貯蔵槽と周囲を立入制限します。
液体の範囲と設備外観を写真と時刻で残します。
図面で設備系統と保護区画を特定します。
補充だけで復旧扱いにしません。
貯蔵槽、薬剤、混合装置、配管を専門点検で確認します。
施設責任者が再開範囲と時刻を記録します。
漏れ対応を消防計画とBCPの訓練へ反映します。

薬剤漏れの対応訓練をやってみます!

立入制限・専門点検・再開判断を一緒に確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令・点検資料等に基づく一般的な解説です。泡消火薬剤の種類、設備方式、法令上の扱い、漏れた薬剤の回収、使用制限、復旧、駐車場再開の判断は、建物の用途・規模・設備構成や被害状況で異なります。実際の対応は専門業者、製造者および所轄消防署・関係行政機関へご確認ください。
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