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揚げかすはなぜ時間が経ってから発火するのか|飲食店で防ぐ酸化発熱と廃棄の基本

揚げかすの酸化発熱と廃棄を解説する記事のアイキャッチ

揚げ物の後に出る揚げかすは、火を消した後でも安心とは限りません。
高温のまま一か所に集めたり、密閉容器やごみ箱に入れたりすると、熱がこもって出火につながることがあります。
揚げかすは薄く広げて十分に冷まし、冷えたことを確かめてから廃棄することが基本です。

この記事の結論
揚げかすは、余熱や油脂の酸化による発熱で、時間がたってから出火することがあります。
高温の揚げかすを一か所に集めない・密閉しないことが重要です。
金属製の浅い容器などに薄く広げ、十分に冷ましてから処理します。
飲食店では、廃棄手順を決め、閉店前の確認項目にします。

揚げかすはなぜ時間が経ってから発火するのか

揚げかすと消火器の小さな図解

揚げかすには油脂が残っています。熱い状態のまま量を集めると、内部の温度が下がりにくくなります。油脂が空気に触れてゆっくり酸化し、発熱が重なると、周囲の可燃物に火が移るおそれがあります。
東京消防庁は、飲食店で高温の揚げかすを冷めきる前に捨て場へ入れて放置し、時間の経過とともに酸化発熱が促進されて出火した事例を公表しています。
見た目に火がなくても、熱が残っていれば廃棄はまだ終わっていません。

冷ますときに避けたい三つのこと

揚げかすを薄く広げて冷ます図解

第一に、熱い揚げかすを山のように積まないことです。量が多いほど中心部の熱が逃げにくくなります。第二に、可燃性の袋や紙箱へすぐ入れないことです。第三に、ふた付きの容器へ急いで密閉しないことです。

東京消防庁は、調理後の揚げかすを平たく置いて十分に冷やし、一か所に多く集めないよう注意を呼びかけています。
金属製の浅いバットなどに薄く広げ、周囲に燃えやすい物がない場所で温度を下げます。量が多い厨房では、一度に処理せず、小分けにする運用も有効です。

密閉容器なら安全とは限らない

熱がこもる容器を示す図解

ふたを閉めれば火が消える、と考えたくなります。しかし高温の揚げかすを入れた直後は、容器の中に熱が残ります。ふたをすること自体では、揚げかすの温度を下げられません。
とくに閉店作業の最後にまとめて処理すると、誰もいない時間帯に熱が残るおそれがあります。
「冷ましてから容器へ入れる」という順番を、厨房の共通ルールにします。

厨房で決めておきたい日常の確認

厨房設備の清掃と確認票の図解

揚げかす対策は、廃棄時だけの話ではありません。揚げ物をする担当者、清掃担当者、閉店責任者で作業を分けると、確認漏れが起きやすくなります。

閉店前の確認例
  • 揚げかすが冷めるためのバットを確保しているか
  • 可燃物の近くに高温の揚げかすを置いていないか
  • 廃棄容器の中身と周囲に異常な熱・においがないか
  • フライヤー周辺、レンジフード、フィルターの油汚れを残していないか
  • 消火器の位置と初期消火の役割を全員が確認しているか
手順を掲示し、新人や短時間勤務の人も同じ方法で処理できるようにします。

もし異常な熱や煙に気づいたら

通報と初期対応を示す電話と消火器の図解

容器が異常に熱い、煙が出ている、焦げたにおいが強いときは、無理に運び出したり、容器を開けたりしないでください。周囲の人へ知らせ、安全な場所へ避難し、119番通報を優先します。
初期消火を行うかは、火と煙の状況、退路、従業員の安全を見て判断します。火が天井へ届く、煙が広がる、消火に不安がある場合は、ただちに避難してください。
飲食店では、出火後の対応だけでなく、揚げかすを冷ます場所と責任者を先に決めておくことが最大の予防です。

よくある質問

Q. 水をかけて早く冷ましてもよいですか?
A. 高温の油分を含む物へ安易に水をかけると危険です。冷却方法は厨房の設備・状況に応じ、無理に触らず安全な手順を決めてください。

Q. どのくらい冷ませば捨てられますか?
A. 一律の時間だけで決めず、量・容器・室温を踏まえ、熱が残っていないことを確認します。大量調理では小分けにすることが重要です。

Q. 家庭でも同じ注意が必要ですか?
A. 必要です。揚げ物調理中はその場を離れず、調理後の揚げかすや油を可燃物と一緒にすぐ捨てないようにしてください。

まとめ

揚げかすは、時間がたってから出火することがあります。
薄く広げ、十分に冷ましてから処理します。
異常な熱や煙に気づいたら、無理をせず119番通報と避難を優先します。

監修:㈱防災屋

参考・出典

※火災時は、自身の安全を最優先に119番通報してください。店舗の設備や消防計画については、所轄消防署にご確認ください。

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

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