設備室や防災センターで漏電火災警報器が鳴り出したとき、音を止めるために受信機の復帰操作を先にしていませんか。
警報が続くと業務への影響が気になり、原因確認より操作を急ぎたくなります。
しかし、漏電火災警報器は警戒電路の漏洩電流を変流器で検出し、受信機から建物の関係者へ知らせる消防用設備です。
受信機だけを復帰させて営業を続けず警報時の状態を残して対象電路を確認します。煙や焦げ臭があれば避難と119番通報を優先し、電源遮断は影響範囲を見たうえで専門家へつなぎます。
漏電の警報が鳴り続けています。
復帰操作の前に記録してください。
主幹ブレーカーをすぐ切ればええんですか。
火災の兆候と停止影響を見て判断します。
- 警報時の表示と時刻を残す前に受信機を復帰させません
- 煙、焦げ臭、異音、発熱があれば避難と119番通報を優先します
- 受信機の警戒表示と変流器が監視する電路を図面で照合します
- 電源遮断は消防用設備や重要業務への影響を確認し電気の専門家へつなぎます
- 音が止まっても漏洩電流の原因と警報機能を確認するまで復旧完了にしません
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目次
漏電火災警報器が鳴ったら受信機だけ復帰してよいのか

音を止める操作と、漏電の原因がなくなったことの確認は別です。
火災またはその疑いがある場合は、受信機の操作より避難、周囲への周知、119番通報を優先してください。
火災の兆候が見えなくても、警報が出た時刻と表示を撮影し、受信機の名称、警戒回線、鳴動場所を記録します。
盤を開けたり、充電部へ触れたり、警報音を消すためだけに電源を抜いたりしません。
漏電火災警報器は一般の漏電遮断器と同じものではなく、すべての設置場所で自動的に電源を切る設備でもありません。
消防法施行規則第24条の3第5号は、可燃性蒸気や可燃性粉じんなどが滞留するおそれのある場所では、警報器の作動と連動して電流を遮断する装置を安全な場所に設けることを定めています。
この規定に当たるか、実際にどの遮断装置と連動しているかを図面で確かめる必要があります。
施設担当者は警報を事実として保全し、防火管理者、建物管理責任者、電気主任技術者や電気工事業者へ連絡してください。
音を止めることが復旧ではないんですね。
はい。
原因確認まで警報対応です。
どの建物と電路を対象に確認するのか

警報音が聞こえた部屋と、漏洩電流が生じた可能性のある電路が同じとは限りません。
消防法施行規則第24条の3は、変流器を警戒電路の定格電流以上の電流値を有するものとし、建物の電路の引込口または接地線に設ける基準などを定めています。
どの方式で設置されているかにより、確認する幹線や接地線が変わります。
現場では次の範囲を一組で記録してください。
- 警報を発した受信機と表示された警戒回線
- 受信機に接続する変流器の番号と設置位置
- 変流器が監視する引込線、低圧幹線、接地線
- 対象電路につながる分電盤と使用設備
- 同時刻に停止または異常表示を出した機器
- 消火ポンプ、受信機、誘導灯など消防用設備への給電
- 医療機器、冷蔵設備、通信設備など重要業務への給電
目の前の分電盤だけを切ると、別の電路が原因だったり、必要な消防用設備まで停止させたりするおそれがあります。
どこまで止めるかは、火災危険と停止による二次影響を並べ、電気の専門家と判断してください。
受信機の部屋だけ見ても足りないんですね。
変流器と対象電路まで追いましょう。
警報から電源遮断と専門確認までどう進めるのか

警報を止める操作から始めると、原因箇所と発生時刻を追えなくなります。
焦げ臭や煙がある、壁や盤が熱い、火花や異音がある場合は、その場から離れて避難を開始し、119番へ通報してください。
電気盤の周囲を立入制限し、一般従業員が扉を開けたりブレーカーを操作したりしないようにします。
記録は次の順でそろえます。
- 警報を覚知した時刻と受信機の表示を残す
- 煙、焦げ臭、発熱、異音、停電の有無を外から確認する
- 警戒回線と変流器と対象電路を図面で照合する
- 対象電路に接続する消防用設備と重要業務を洗い出す
- 電気の専門家が遮断する範囲と順序を決める
- 漏洩電流の原因を調べ、必要な修理を行う
- 警報機能と必要な連動遮断を確認して復旧を記録する
電路の測定、盤内作業、遮断や再送電は、設備の状況と資格区分を確認した専門家が行います。
対象電路が消防用設備へ給電している場合は、停止中の代替警戒と連絡方法も決めてください。
遮断後も再送電を急がず、漏洩電流の原因と機器の状態、受信機の作動を確認します。
最後に、いつ、誰が、どの範囲を停止し、何を確認して戻したかを復旧記録へ残します。
主幹を切る前に影響先も見るんですね。
はい。
安全と停止影響を一緒に見ます。
音が止まれば安全と思うと何を見落とすのか

一時的に状態が変わっただけでも、警報音が止まることがあります。
漏洩電流が断続的になった、手動で音響を止めた、受信機の電源やヒューズに異常が出た、変流器や配線に不具合がある、といった可能性を分けて確認します。
受信機の表示灯が消えた場合も、対象電路が安全になったとは限りません。
見落としやすい点は次のとおりです。
- 断続的な漏電で警報が鳴ったり止まったりしている
- 音響停止だけが行われ、漏電表示が残っている
- 受信機の電源、ヒューズ、結線に異常がある
- 変流器の位置ずれや配線変更で未警戒が生じている
- 連動遮断装置が働いたまま重要設備が停止している
- 再送電によって同じ警報や発熱が再発する
総合点検では漏洩電流検出試験を行い、作動範囲、漏電表示灯、音圧、遮断の確実性を確認します。
施設担当者は、音が止まった時刻も記録し、止まる直前に誰が何を操作したかを残してください。
「静かになったから営業再開」ではなく、原因の除去と警報機能の確認を再開条件にします。
静かになっても未解決かもしれないんですね。
音と安全は別に確認します。
明日から漏電警報時の対応をどう確認するのか

警報が鳴ってから図面や担当者を探す運用では、遮断と復旧の判断が遅れます。
各警戒電路が、どの分電盤、設備、テナント、消防用設備、重要業務へ給電しているかを確認してください。
警報時に施設担当者が行う範囲と、電気の専門家へ任せる範囲を明記します。
確認は次の順で進めます。
- 受信機と変流器と警戒電路を図面でひも付ける
- 警報表示、時刻、火災兆候を残す記録欄を作る
- 立入制限と避難と119番通報の開始条件を決める
- 遮断する電路と停止する消防用設備や重要業務を整理する
- 防火管理者、電気主任技術者、電気工事業者の連絡先を更新する
- 再送電と受信機復帰を決める責任者と確認項目を明記する
- 訓練で警報覚知から記録と引継ぎまでを試す
漏電警報による電源停止は、人命安全だけでなく通信、冷蔵、決済、入退室管理などの業務資源にも影響します。
消防計画側には火災時の避難、通報、初期消火、設備の維持を、BCP側には停止業務、代替手段、再開条件を整理します。
訓練では「警報は鳴っているが煙はなく、警戒回線名と図面の表記が一致しない」という状況も試してください。
誰が立入制限し、誰が図面を探し、誰が電気の専門家へ連絡するかを確認します。
復旧後は、警報の原因、遮断範囲、停止した業務、代替措置、再送電時刻を一続きに記録します。
対応票を点検結果報告書や単線結線図と一緒に保管し、次回の判断材料へつなげてください。
最後に、警報音を止める役割と営業再開を決める役割を分けておくことが重要です。
次の訓練で警報表示の記録から試します。
図面と連絡先を先にそろえましょう。
よくある質問
まとめ
警報から復旧までの対応票を作ります!
音を止める前に安全と対象電路を確認する手順を整えましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条および第17条の3の3
- e-Gov法令検索 消防法施行令第22条
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第24条の3
- e-Gov法令検索 漏電火災警報器に係る技術上の規格を定める省令
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領・点検票
- 総務省消防庁 別表第12 漏電火災警報器の点検の基準
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検要領 第12 漏電火災警報器
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および消防庁・内閣府の資料に基づく一般的な解説です。漏電火災警報器の設置対象、警戒電路、変流器の方式、連動遮断、電源を停止できる範囲、復旧手順は、建物の用途・構造・設備構成・電気設備・自治体の運用によって異なります。一般従業員が充電部へ触れたり、盤を開けて測定・遮断・再送電したりせず、具体的な判断は防火管理者、建物管理者、電気主任技術者、電気工事業者、消防設備士、所轄消防署へご確認ください。





