地下街の防災センターで、無線通信補助設備の赤い保護箱を開けたら接続端子が曲がっていたらどうしますか。
消防隊が到着する前に使えるか確かめようとして、無線機や接続用ケーブルを差したくなる場面があります。
しかし、接続端子は消防隊相互の無線連絡を支える設備の入口です。変形や損傷を見つけたら試し差しをせず、箱番号と場所を記録して消防隊へ引き継ぎます。
端子だけでなく保護箱から漏洩同軸ケーブルまでを一つの通信経路として確認します。
端子が少し曲がっています。
ケーブルを差して試してええですか。
試し差しは止めましょう。
状態を残して専門点検へつなぎます。
その箱だけ使わなければ足りますか。
通信経路全体への影響を確認します。
- 曲がった接続端子へ無線機やケーブルを差しません
- 保護箱の番号、場所、変形状態を撮影して残します
- 別の接続端子を独断で代替先にせず設備図で系統を照合します
- 端子、保護箱、ケーブル、増幅器を専門点検へつなぎます
- 使用不能情報と代替連絡手段を消防隊へ引き継ぎます
▼

目次
地震後に無線機接続端子が曲がっていたら使ってよいのか

結論からいえば、曲がった端子へ機器を接続して動作確認しません。
外観の変形は、内部の接点やケーブル接続部にも力が加わった可能性を示します。
まず保護箱の外から、箱番号、設置場所、扉、表示、端子の向き、周囲の落下物を撮影します。
端子を手で戻す、キャップを無理に外す、無線機や接続用ケーブルを差す作業は行いません。
消防庁の別表第22は、無線機接続端子について変形や損傷がないこと、コネクターを容易に着脱できることを確認項目にしています。
外観不良を見つけた時点でその端子は未確認として扱い、消防設備士など設備を確認できる専門家へ連絡してください。
手で真っすぐに戻すのもアカンのですね。
はい。
変形状態を残すのが先です。
どの建物と通信経路を対象に確認するのか

保護箱一つではなく消防隊の無線を通す経路全体を見ます。
接続端子は漏洩同軸ケーブルや分配器などにつながる入口です。
施設側は、無線機接続端子の配置図、系統図、保護箱番号、接続用ケーブルの保管場所をそろえます。
同じ建物に複数の端子があっても、どの系統へ接続され、どの範囲を支えるかは設備構成で異なります。
次の対象を一組で照合してください。
- 破損した保護箱の番号と設置場所
- 箱内の無線機接続端子と接続用ケーブル
- 漏洩同軸ケーブル、同軸ケーブル、分配器
- 増幅器がある場合の設置場所と電源状態
- 消防隊が進入する出入口と情報を渡す担当者
系統図と現場の表示が一致しなければ、独断で別端子を使えると判断しません。
不一致箇所を未確認範囲として記録し、複数端子の系統関係を専門家へ確認します。
隣の赤い箱なら代わりになりますか。
系統図で確認してから判断します。
発見から消防隊への引継ぎまでどう進めるのか

安全確保、記録、系統照合、代替連絡、引継ぎの順で進めます。
端子を直そうとするより、消防隊へ正確な使用不能情報を渡すことを優先します。
発見者は箱に触れず、通行や避難の妨げになる落下物があれば周囲を立入制限します。
対応は次の順で整理します。
- 発見時刻と保護箱番号を記録する
- 扉、表示、端子、キャップの状態を外から撮影する
- 設備図で接続先と別の端子の位置を照合する
- 消防設備士や保守会社へ連絡する
- 消防隊へ渡す平面図と使用不能メモを用意する
- 代替の連絡方法と案内担当者を決める
- 専門点検後の復旧結果を記録する
消防庁の点検票は、保護箱、無線機接続端子、増幅器、分配器、空中線、漏洩同軸ケーブル、結線接続を分けて記録する構成です。
そのため端子だけを交換して終わりにせず、関連機器と結線接続を点検結果に残します。
消防隊到着時には、使えない端子、使用可否が確認できた端子、未確認範囲、専門家への連絡状況を一枚で渡してください。
修理より先に引継ぎ資料を作るんですね。
はい。
使用不能の場所を先に伝えます。
端子だけ直せば復旧できると思うと何を見落とすのか

見た目を戻しても通信機能が復旧したとは判断できません。
地震の力は保護箱の奥の結線や支持部にも及ぶことがあります。
端子が真っすぐに見える状態へ戻っても、内部の接点や同軸ケーブルが正常とは限りません。
保護箱の扉が閉まること、キャップがあること、表示が読めることも使用準備の一部です。
増幅器を設ける設備では、電源断や機器状態も確認対象になります。
さらに空中線、分配器、防水措置、ケーブル支持部に脱落や断線がないかを専門家が確認します。
施設側は修理部位と確認範囲を記録し、確認していない区間を復旧済みに含めないでください。
端子の見た目だけでは足りないんですね。
通信経路の点検まで必要です。
明日から接続端子の被害対応をどう確認するのか

端子配置図と使用不能時の引継ぎ票を平常時にそろえます。
地震後に初めて保護箱の場所を探す運用では、消防隊への案内が遅れます。
保護箱一覧には、番号、設置階、近くの出入口、系統、鍵や開閉方法、接続用ケーブルの有無を記載します。
点検票と設備図を照合し、表示が現場で読めるか、周囲に物が置かれていないかも確認してください。
訓練では、接続端子一か所が変形し、別端子の系統が不明という状況を設定します。
誰が立入制限し、誰が設備図を準備し、誰が専門家へ連絡し、誰が消防隊を案内するかを試します。
BCPには代替連絡手段と業務上の連絡先を、消防計画には消防隊への情報提供と設備維持の手順を整理します。
復旧後は、交換箇所、点検範囲、確認者、消防隊への連絡内容を記録し、次回訓練で見直してください。
次の訓練で端子の場所から確認します。
配置図と担当者を一緒に確かめましょう。
よくある質問
まとめ
端子配置図と引継ぎ票をそろえます!
消防隊へ渡せる記録まで整えましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条および第17条の3の3
- e-Gov法令検索 消防法施行令第29条の3
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第31条の2の2
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領・点検票
- 総務省消防庁 別表第22 無線通信補助設備の点検の基準
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検要領 第22 無線通信補助設備
- 総務省消防庁 別記様式第22 無線通信補助設備点検票
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および消防庁・内閣府の資料に基づく一般的な解説です。無線通信補助設備の設置範囲、端子の系統、使用可否、代替手段、復旧確認は建物の設備構成と自治体の運用によって異なります。破損した端子へ無線機やケーブルを接続せず、具体的な判断は防火管理者、建物管理者、消防設備士、保守会社、所轄消防署へご確認ください。





