地震後の巡回で、消火器の使用済み表示装置だけが飛び出していたら、元へ戻してよいのでしょうか。
薬剤の跡がなくても、レバーへ力が加わった結果なのか、部品の損傷なのかは外観だけで決められません。
施設担当者が表示装置を押し戻したりレバーを試したりしないことが先決です。
発見状態を残して使用を保留し確認済みの代替消火器で配置を補います。
赤い表示が出ています。
押し戻してええですか。
戻さずに、
作動状態を先に記録しましょう。
薬剤は出ていないように見えます。
見た目だけで未使用と決めず、
操作部全体を確認します。
- 作動した使用済み表示装置を自己判断で戻しません
- 消火器を動かす前に表示装置と操作部を撮影します
- 異常品は使用を保留して誤使用を防ぎます
- 確認済みの代替消火器で必要な配置を補います
- 専門点検後に復旧し点検記録とBCPを更新します
▼

目次
地震後に消火器の使用済み表示装置が作動していたら戻してよいのか

結論からいえば施設担当者が表示装置を戻して使用可能と判断してはいけません。
使用済み表示装置は、消火器の操作や異常を確認するために外形点検の対象となる部分です。
最初に火災、煙、薬剤漏れ、異音、落下物などの危険がないかを安全な位置から確認します。
火災や薬剤の放出が続いている場合は近づかず、避難と119番通報を優先してください。
差し迫った危険がなければ、表示装置、レバー、安全栓、封、圧力計、消火器全景を動かす前に撮影します。
表示装置を押し込む、レバーを握る、消火器を振るといった確認は行いません。
表示が作動した原因は、実際の放射だけとは限りません。
地震で物が当たった可能性や操作部の損傷も含め、発見時の状態、操作部の外観、周囲の衝突物を一組で残します。
表示だけ戻せば元どおりですか。
戻す前の状態が、
点検の手掛かりです。
どの消火器と操作部と設置場所を対象に確認するのか

対象は表示装置だけでなく操作部と本体と設置場所まで広げます。
同じ場所で転倒や物の衝突があった消火器も、順番に確認します。
設備図、消火器一覧、直近の点検票を用意し、次の項目を照合してください。
- 階、区画、設置場所、機器番号、消火器の種類
- 使用済み表示装置の位置、作動、変形、損傷、脱落
- 安全栓、封、レバー、押し金具、バルブの状態
- 本体容器、圧力計、ホース、ノズル、キャップの外観
- 転倒した家具、荷物、扉など操作部へ力が加わった原因
使用済み表示装置が作動していても、別の部品と見間違える場合があります。
機器番号が写る全景と、表示装置が分かる寄りの写真を分けて残します。
安全栓が付いていることや圧力計が適正範囲に見えることだけで、正常とは決めません。
点検基準が分けている項目を、施設側でも表示装置、操作部、本体と設置環境に分けて引き継ぎます。
表示装置だけ撮れば足りますか。
機器番号と操作部と周囲を、
一式で記録します。
発見から使用保留と代替配置までどう進めるのか

記録と使用保留と代替配置を切れ目なく進めます。
異常品を外したままでは、その区画の初期消火手段が不足するおそれがあります。
現場では次の順序で進めます。
- 火災、煙、薬剤漏れ、落下物がないか安全な位置から確認する
- 表示装置、操作部、本体、周囲を動かす前に撮影する
- 機器番号、場所、発見時刻、表示の状態を記録する
- 異常品の使用を保留し誤使用されないよう区別する
- 確認済みの代替消火器を所定の配置へ補う
- 消防設備士や保守会社へ専門点検を依頼する
- 復旧後に配置と記録を照合して対応を閉じる
表示装置を戻す、テープで固定する、レバーを軽く握るといった処置は行いません。
表示装置が脱落して見つからない場合も、その状態を記録して点検へ引き継ぎます。
代替消火器は、対象火災への適応性、能力単位、歩行距離、標識、取り出しやすさを確認します。
空いた場所の横へ置くだけでなく、元の配置を補えているかを確かめてください。
担当者は異常品の区別、代替消火器の配置、専門点検の依頼を同時に管理します。
点検へ出したら対応完了ですか。
空いた配置を、
代替品で補ってからです。
放射跡がなければ未使用と思うと何を見落とすのか

薬剤の跡が見えないことは未使用の証明にはなりません。
表示装置が作動した経緯や、レバー、バルブ、封などの状態を点検する必要があります。
表示装置だけを元へ戻すと、発見時の状態が分からなくなります。
点検する人が、どこへどのような力が加わったのかを判断する手掛かりも失われます。
圧力計が適正範囲に見えても、すべての消火器の状態を圧力計だけで判断できるわけではありません。
安全栓や封の異常、レバーの変形、ホースやノズルの損傷、本体のへこみも確認します。
表示装置が変形した、途中で止まった、脱落した場合も同じです。
戻さない、試し放射しない、別の部品で代用しないを守り、専門点検へつないでください。
圧力計が正常なら使えますか。
圧力計だけでなく、
操作部を専門点検します。
明日から使用済み表示の異常へどう備えるのか

平常時の写真と代替配置と連絡先を一つの確認票へまとめます。
災害後に初めて部品名や機器番号を調べると、使用保留の判断と配置復旧が遅れます。
明日から次の順番で確認してください。
- 消火器の機器番号と設置場所を図面と現地で照合する
- 使用済み表示装置と操作部の平常時写真を保存する
- 異常を発見したときの撮影範囲と記録項目を決める
- 使用保留を示す表示と異常品の管理場所を決める
- 確認済みの代替消火器をどこから補うか決める
- 消防設備士や保守会社の緊急連絡先を共有する
- 訓練後に判断手順と復旧確認票を見直す
確認票には、発見時刻、階、区画、機器番号、表示装置、安全栓、封、レバー、圧力計、本体、周囲の状況、使用保留、代替配置、点検結果、復旧日、確認者を設けます。
訓練では実物の表示装置やレバーを操作しません。
異常を示すカードを消火器の近くへ置き、未操作での撮影、使用保留、代替配置、連絡、復旧確認までを通します。
少なくとも誰が異常品を区別するか、誰が代替配置するか、誰が復旧を確認するかを決めてください。
訓練で表示装置を動かしますか。
実物は操作せず、
異常カードで訓練します。
よくある質問
まとめ
平常時の表示写真を残します!
使用保留から代替配置と復旧までつなげましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領・点検票
- 総務省消防庁 別表第1 消火器具の点検の基準
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検要領
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および消防庁・内閣府の資料に基づく一般的な解説です。使用済み表示装置が作動している場合は自己判断で戻さず未操作で記録し使用を保留して代替配置と専門点検へつなげてください。個別の点検、使用保留、代替配置、復旧、施設の再開判断は、防火管理者、建物管理者、消防設備士、保守会社、所轄消防署へご確認ください。





