BLOG

BCPで火災に使った消火器を元の場所へ戻してよいのか|再配置と業務再開前の確認を解説

火災で使用した消火器と壁に再配置された使用可能な消火器の写真

小さな火災を消火器で消したあと、担当者がその消火器を元の場所へ戻していたら、どうしますか。
外観がきれいでも、放射した消火器を「いつでも使える設備」として扱うことはできません。
使用の記録、使用済み品の区分、代わりの消火器の配置、点検・整備までを一つの復旧手順にします。
業務再開前に必要な配置と使用可能な状態を確かめることが、消防とBCPをつなぐ要点です。

少ししか使ってへんし、戻してもええですか。

使用済みとして区分します。

業務はそのまま再開できますか。

必要な配置の復旧を確認します。

この記事の結論
  • 放射した消火器は使用済みとして区分します。
  • 使用場所、時刻、放射の状況を記録して引き継ぎます。
  • 予備品等で必要な配置を速やかに復旧します。
  • 使用済み品は専門業者へ渡し、点検・整備等を依頼します。
  • 再開前に設置場所、表示、外観、圧力等の使用可能状態を確認します。

消火器を使った後に使用記録と使用済みの区分と予備品の再配置と点検復旧を行う流れのアイソメ図

火災で使った消火器を元の場所へ戻してよいのか

放射済みの消火器を使用済みとして区分する施設管理者のアイソメ図
初期消火が終わっても、消火器の復旧は終わっていません。
使った本体を元の場所へ戻す前に、次の火災へ備えられる状態かを確かめます。
消防法第十七条は、関係者に対し、政令で定める技術上の基準に従って消防用設備等を設置し、維持することを求めています。
消防庁の消火器点検資料では、本体容器の「使用済みの表示装置」が作動している状態を不良として確認します。
一度でも放射した消火器は、未使用品と同じ扱いで元へ戻しません。
使用した場所、時刻、使用者、対象となった火災、放射した消火器の識別情報を記録します。
本体は誤って再配置されないよう、使用済みであることが分かる場所へ分けます。
火災後の現場保存や消防機関の確認が必要なときは、その指示に従います。
設置場所が空いたままなら、同じ場所で次の火災が起きたときに初期消火が遅れます。
予備品等を置くときも、火災の種類への適応性と必要な能力を確認します。
分からない場合は自己判断で中身を補充せず、消防設備業者へ点検・整備等を依頼します。
「火が消えた」で対応を閉じず、消火器の復旧完了までを初動記録に残します。

火が消えても、まだ復旧途中なんですね。

次の火災への備えまで戻します。

どの消火器と設置場所を確認するのか

平面図を使って消火器の設置場所と状態を確認する担当者のアイソメ図
確認するのは、使用した一本だけではありません。
同じ階や防火対象物に配置された消火器と、その設置環境も見ます。
大阪市消防局の消火器点検表は、設置場所、歩行距離、適応性、転倒防止、標識、外形、ホース、使用済みの表示装置、レバー、圧力計などを確認項目にしています。
消防庁は、消火器の点検基準、点検要領、点検結果報告書の様式を公表しています。
配置、適応性、外観、操作部、圧力表示を一続きで確認します。
まず平面図や設備台帳で、使用した消火器がどの設置場所のものかを特定します。
次に、同じ設置区画で必要な消火器が残っているかを確認します。
消火器は通行や避難の邪魔にならず、いざというとき取り出せる状態にします。
本体の変形、損傷、腐食、薬剤漏れ、ホースの詰まりや損傷も確認します。
安全栓や封、レバー、圧力計、使用済み表示に異常がないかを見ます。
標識が見えない、物で隠れている、固定方法が不適切な状態も復旧対象です。
予備品へ差し替える場合は、用途と火災への適応性が合うかを確かめます。
テナント内の消火器でも、所有者、管理会社、入居者の報告経路を明確にします。
確認区分主な確認事項
配置設置場所・標識・取り出しやすさ
本体変形・損傷・腐食・漏れ
操作部安全栓・封・レバー・ホース
表示使用済み表示・圧力計・適応性

使った一本だけ見たらアカンのですね。

設置場所ごとに確認します。

再配置と業務再開はどの順番で進めるのか

使用済み消火器を区分して予備の消火器を再配置し点検を依頼する流れのアイソメ図
火災対応の担当者が入れ替わると、使用済み品と使用可能品が混ざりやすくなります。
記録、区分、再配置、点検の順番を固定します。
内閣府の事業継続ガイドラインは、緊急時対応を実施し、被害状況を把握しながら、重要業務の継続・再開と復旧へ移る考え方を示しています。
同ガイドラインは、緊急時の対応記録を残し、事業継続戦略や対策の見直しに活用することを示しています。
使用を記録し、使用済みを区分し、予備品を再配置してから再開判断へ進みます。
最初に人命救助、通報、避難、消防機関への引継ぎを優先します。
安全が確保されたら、使用した消火器と持ち出した場所を記録します。
使用済み品は、未使用品と混ざらないよう管理し、勝手に触れないよう周知します。
次に設備台帳と現場を照合し、必要な場所へ使用可能な予備品等を置きます。
予備品が足りない、適応性が合わない、配置基準が分からない場合は、業者と所轄消防署へ相談します。
使用済み品は点検・整備等の手配を行い、完了予定と担当者を記録します。
建物の被害、電気やガス、他の消防用設備等も確認し、再開できる範囲を決めます。
復旧できない区画がある場合は、立入制限、部分休業、代替場所をBCPで判断します。

予備品を置いたら終わりですか。

点検手配と記録まで続けます。

外観がきれいでも再使用してはいけないのはなぜか

消火器の使用済み表示と安全栓と圧力計を拡大して確認するアイソメ図
火災現場では、短時間の放射や持ち出しだけで戻されたように見えることがあります。
しかし、見た目だけで内部の状態や次回の放射性能は判断できません。
消防庁の点検要領は、消火器の設置状況、表示、外形、安全栓、ホース、指示圧力計、使用済みの表示装置などを項目ごとに確認する方法を示しています。
東京消防庁は、消防用設備等が火災時に確実に作動しなければ人命に影響するため、定期的な点検と消防署への報告が必要だと案内しています。
外観がきれいでも、使用済み表示や操作部を含めて使用可能とは限りません。
放射時間が短くても、どれだけ薬剤が残っているかを外観だけで決めないようにします。
圧力計の針が範囲内に見えても、それだけで全項目が正常とは判断できません。
安全栓、封、レバー、ホース、ノズル、使用済み表示をそれぞれ確認します。
転倒や運搬の際に、本体やホースが損傷している場合もあります。
使用者の記憶だけに頼ると、交代勤務や休日を挟んだときに情報が消えます。
使用済み品には明確な表示と隔離を行い、設備台帳へ記録します。
内部点検や整備が必要な範囲は、有資格者や専門業者へ確認します。
異常のない消火器まで移動していた場合は、所定の位置へ戻ったことも確認します。

圧力計だけ見ても足りへんのですね。

項目ごとに確認します。

明日から消火器使用後の手順をどう確認するのか

消火器の配置図と使用後チェックリストと予備品を準備する施設管理者のアイソメ図
本番で担当者が説明を探している時間はありません。
平常時に、誰が記録し、どこへ隔離し、何を再配置するかを決めます。
内閣府の事業継続ガイドラインは、組織体制、役割分担、代替要員、緊急時の対応手順を平常時から整え、教育・訓練と見直しを続けることを示しています。
大阪市消防局の点検表には、不良内容に対する措置と、その結果を記録する欄があります。確認だけで終えず、復旧まで追える形にします。
使用後チェックリストと配置図と連絡先を一つのセットにします。
まず全ての消火器へ管理番号を付け、配置図と設備台帳を一致させます。
次に使用日時、場所、使用者、管理番号、放射状況を記録する欄を作ります。
使用済み品の仮置き場所を決め、未使用品と混ざらない表示を用意します。
予備品の保管場所、適応性、持ち出す人、再配置を確認する人を決めます。
消防設備業者、建物所有者、管理会社、所轄消防署の連絡先と連絡条件を整理します。
訓練では一本を使用した想定で、記録から再配置まで実際に動きます。
再配置後に別の担当者が配置図と現場を照合し、復旧完了を記録します。
火災や設備の使用を振り返り、予備品の数量や手順をBCPへ反映します。
  1. 消火器へ管理番号を付ける
  2. 配置図と設備台帳を合わせる
  3. 使用記録と仮置き表示を用意する
  4. 予備品と連絡先を確認する
  5. 記録から再配置まで訓練する

一本使った想定で訓練します。

復旧完了まで確かめます。

よくある質問

Q少しだけ放射した消火器なら元へ戻せますか?
A未使用品と同じ扱いでは戻しません。使用済みとして区分し、専門業者へ点検・整備等を依頼してください。
Q圧力計が緑なら使用可能ですか?
A圧力計だけでは判断しません。安全栓、封、レバー、ホース、使用済み表示、本体外形などを含めて点検項目ごとに確認します。
Q別の消火器を置けばすぐ営業を再開できますか?
A再配置だけで決めません。火災原因、建物、他の消防用設備等、ライフラインも確認し、再開できる範囲を判断します。
Q消火器の薬剤は自社で補充できますか?
A消火薬剤の詰替えは整備に当たり、原則として消防設備士の業務です。自社で行わず、有資格者へ依頼してください。

まとめ

放射した消火器は使用済みとして区分します。
使用場所と状況を記録して引き継ぎます。
必要な場所へ予備品等を再配置します。
適応性と使用可能状態を確かめます。
使用済み品は専門業者へ点検・整備等を依頼します。
火災後は建物と他設備も確認します。
復旧完了をBCPの再開判断へつなげます。

使用後の復旧訓練をやります!

記録と再配置から整えましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令・消防庁・自治体・内閣府の資料に基づく一般的な解説です。消火器の種類、設置状況、使用状況、建物用途によって必要な点検・整備や再配置は異なります。実際の対応は、消防設備士、設備保守業者、建物所有者、管理会社、所轄消防署等へご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
火災で使用した消火器と壁に再配置された使用可能な消火器の写真
小さな火災を消火器で消したあと、担当者がその消火器を元の場所へ戻していたら、どうしますか。 外観がきれいでも、放射した消火器を「いつでも使える設備」として扱うことはできません。 使用の記録、使用済み品の区分、代わりの消火...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →