自動火災報知設備の警報や非常放送設備の音声だけでは、火災の発生を十分に理解できない人がいます。
外国人来訪者や、聴覚に障がいのある方、高齢の方などです。
そこで消防庁は、デジタルサイネージを使って情報を伝えるための指針を示しました。
ただし、どんなサイネージでも指針の対象になるわけではありません。
うちの施設は外国人のお客様も多く、放送だけで火災が伝わるか心配です。
それを補うために、デジタルサイネージ活用指針が示されています。
順番に見ていきましょう。
うちにもサイネージは設置されていますが、火災の案内には使えていません。
設置されているサイネージが対象になるかどうかも、指針の要件次第です。
詳しく確認していきましょう。
- デジタルサイネージは、消防用設備等や光警報装置を補完する目的で活用が進められている
- 対象はネットワーク型のサイネージに限られ、スタンドアロン型は自動連動できない
- 火災時は非常放送設備または自動火災報知設備と連動し、自動または手動で表示を切り替える
- 文字は視距離に応じた大きさを確保し、日本語は1画面80文字までに収める
- 手動切替のマニュアル作成と訓練は、消防計画に反映することが求められている
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目次
なぜ火災時のデジタルサイネージに専用の指針が作られたのか

そこで消防庁は、デジタルサイネージを使った情報伝達の指針を示しました。
非常放送設備は消防法施行令第7条第3項第4号ハに定める警報設備の一つで、火災の発生を音声で知らせます。
ただし外国人来訪者や、聴覚に障がいのある方には、音声だけでは十分に伝わりません。
点滅する誘導灯や光警報装置も視覚的な手段として整備されていますが、火災の発生場所までは示せません。
そこで消防庁が平成30年に定め、令和7年に改定したのが、この指針です。
光警報装置だけでは足りないんですね。
はい。
次は対象になる建物とサイネージを見ていきましょう。
対象になる建物とサイネージはどこまでか

サイネージの機種にも、対象になるものとならないものがあります。
インターネット等を経由して遠隔操作や他設備と連動できるネットワーク型が対象です。
外部の機器やシステムと接続できないスタンドアロン型は、原則として火災時に自動で切り替えることができません。
対象になる建物側は、令別表第一(1)項イの競技場、(5)項イの旅館・ホテル・宿泊所、(10)項の駅舎・空港などの用途を含む防火対象物です。
規模の大小は問われないため、小規模な宿泊所でも対象になり得ます。
うちのサイネージはネットにつながっていない、スタンドアロン型かもしれません。
その場合は自動連動の対象外です。
放送設備や光警報装置などで補ってください。
火災時の表示はどうやって自動と手動で切り替わるのか

どちらも、既存の消防用設備等との関係が決まっています。
感知器発報放送・火災放送・非火災報放送の切り替わりに合わせて、表示も切り替えます。
放送設備が階ごとの鳴動範囲を区別できない場合は全館一斉の切替に合わせ、表示と放送がずれないようにします。
非常放送設備が無い建物では、自動火災報知設備の地区音響装置の鳴動に合わせて切り替えます。
手動で切り替える場合は、操作するためのマニュアルをあらかじめ作ることになっています。
手動で切り替えるとき、操作を間違えたら心配です。
だからこそマニュアルと訓練が必要です。
次は表示する文字のルールを見ましょう。
文字の大きさと色を間違えると何が起きるのか

指針は文字の大きさと色にも具体的な基準を置いています。
指針は視距離ごとに必要な文字の高さの目安を示しており、離れた場所ほど大きな文字が必要になります。
日本語は1画面あたり80文字までとし、重要な情報ほど画面の上部に大きく表示します。
色はJIS Z9101が定める安全色を基準にし、赤は防火・緊急、黄は危険、緑は安全、青は指示・誘導を表します。
色だけに意味を持たせず、「危ない」「逃げて」のような文字も必ず添えることが求められています。
文字を小さくたくさん詰め込みたくなりますが、逆効果なんですね。
はい、大きく短くが基本です。
最後に導入の手順を確認しましょう。
導入するとき明日から何をすればよいのか

明日から確認しておきたい手順を整理します。
切り替え操作のマニュアルは、防火管理上必要な教育・訓練の一環として消防計画に反映します。
消防用設備等と連動させる工事を行うときは、事前に所轄消防機関へ相談しておくと安全です。
入力インターフェースはDC24V回路や無電圧a接点、シリアル接続、LAN接続などから、既存設備が対応できる方式を選びます。
導入後も、実際に切り替わるかどうかの動作確認を、日常の点検にあわせて行いましょう。
消防計画まで見直す必要があるとは思いませんでした。
設備との連動を考えるときほど、消防計画の見直しが要ります。
よくある質問
まとめ
消防計画を見直すいいきっかけになりました。
設備との連動や書き方に迷ったときは、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第8条第1項(防火管理者による消防計画の作成)
- 消防法施行規則第3条第1項第1号ト・チ(消防計画に定める教育・訓練に関する事項)
- 消防法施行令第7条第3項第4号ハ(非常警報設備としての放送設備の位置づけ)
- 「外国人来訪者や障害者等に配慮した火災時等の情報伝達・避難誘導を目的とするデジタルサイネージ活用指針」(平成30年3月29日消防予第254号策定、令和7年1月30日消防予第31号改定)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





