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アセトアルデヒド等の地下タンク貯蔵所はなぜ屋外基準を借りるのか|冷却装置を省略できる条件を解説

アセトアルデヒド等の地下タンク貯蔵所が屋外タンクの基準を借りる仕組みを解説する記事のアイキャッチ画像

アセトアルデヒドやヒドロキシルアミンを地下タンクで貯蔵しているのに、屋外タンクと同じ扱いでよいのか迷ったことはないでしょうか。
この2つの危険物は反応性が高く、消防法施行令は地下タンク貯蔵所にも通常を超える特例基準を用意しています。
ただしその中身は、実は屋外タンク貯蔵所の基準をそのまま借りてくるという独特な仕組みになっています。
この記事では対象となる危険物の範囲から、地下だからこそ認められる緩和条件まで、条文を根拠に整理してお伝えします

うちは危険物を扱う地下タンクがあるんですが、屋外のタンクと同じ基準でいいんでしょうか。

実は地下タンクには、物質によって屋外基準を借りる独自の仕組みがあるんです。

地下に埋めてあるから、屋外より安全な気もするんですが。

地下でも油断は禁物です。
今日はその特例の中身を一緒に確認しましょう。

この記事の結論
  • アセトアルデヒド等とヒドロキシルアミン等を貯蔵する地下タンク貯蔵所には、通常より厳しい特例基準があります
  • 対象になるのは規則第13条の7が定める2種類の危険物だけです
  • 地下タンクの基準は、屋外タンク貯蔵所の規定を準用する形で定められています
  • アセトアルデヒド等だけは、地下貯蔵タンクが適温を保てる構造なら冷却装置を省略できます
  • ヒドロキシルアミン等にはこの省略規定がなく、温度と鉄イオンの管理がそのまま必要です

地下タンク貯蔵所の危険物特例の仕組みを示す図解。対象物質を確認、屋外基準を準用、温度管理を徹底、省略条件を記録の4段階を整理

アセトアルデヒド等とヒドロキシルアミン等の地下タンクはなぜ特別扱いされるのか

地盤に埋設されたタンクの点検口と、その脇に置かれた性質の異なる危険物容器のイメージ
地下タンク貯蔵所には、通常の地下タンクの基準とは別に、危険物の性質に応じた特例基準が用意されています。
その根拠になっているのが消防法施行令の次の規定です。
消防法施行令第13条第4項 アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、アセトアルデヒド、酸化プロピレンその他の総務省令で定める危険物を貯蔵し、又は取り扱う地下タンク貯蔵所については、当該危険物の性質に応じ、総務省令で、前3項に掲げる基準を超える特例を定めることができる。
地下タンクであっても、貯蔵する危険物の性質が特殊なら基準を上乗せできる、という委任の規定です。
アセトアルデヒドや酸化プロピレンは引火点が非常に低いうえに反応性が高く、通常の地下タンクの基準だけでは足りないと考えられているためです。
ヒドロキシルアミンも同様に、熱や不純物によって分解・爆発する性質を持っています。
具体的にどの危険物が対象になるのかは、総務省令である規則の側で定められています。
次の項目で、その対象範囲を確認します。

アセトアルデヒドやヒドロキシルアミンって、地下タンクだと何が違うんですか。

消防法施行令第13条第4項が、この2つの危険物を特別扱いする根拠になっているんです。

どの危険物が地下タンクの特例の対象になるのか

対象となる2種類の危険物容器を並べて比較するイメージ
対象になる危険物は、名前で決まるのではなく規則の条文で範囲が定義されています。
実際の条文を確認します。
危険物の規制に関する規則第13条の7 令第9条第3項の総務省令で定める危険物は、アルキルアルミニウム等、第四類の危険物のうち特殊引火物のアセトアルデヒド若しくは酸化プロピレン又はこれらのいずれかを含有するもの(以下「アセトアルデヒド等」という。)及び第五類の危険物のうちヒドロキシルアミン若しくはヒドロキシルアミン塩類又はこれらのいずれかを含有するもの(以下「ヒドロキシルアミン等」という。)とする。
この条文が定めるのは、アセトアルデヒド等とヒドロキシルアミン等という2種類だけです
アセトアルデヒド等は第四類の特殊引火物のうちアセトアルデヒドと酸化プロピレン、これらを含む物品を指します。
ヒドロキシルアミン等は第五類のヒドロキシルアミンとヒドロキシルアミン塩類、これらを含む物品を指します。
そして地下タンク貯蔵所の特例を定めることができる危険物も、規則が同じ2種類に絞って指定しています。
次の項目で、この2種類にどんな基準が課されるのかを見ていきます。

対象になる物質は、名前だけでなく条文でちゃんと決まっているんですね。

はい。
規則第13条の7が定義した2種類だけが、この特例の対象です。

地下タンクの基準はどうやって決まるのか

冷却装置と不活性ガス封入装置を備えた屋外タンクと、同じ装備を持つ地下タンクを対比するイメージ
地下タンク貯蔵所の特例は、実はゼロから作られたものではありません。
規則はまず、アセトアルデヒド等を貯蔵する屋外タンク貯蔵所の基準を次のように定めています。
危険物の規制に関する規則第22条の2の6 アセトアルデヒド等を貯蔵し、又は取り扱う屋外タンク貯蔵所に係る令第11条第4項の規定による同条第1項に掲げる基準を超える特例は、次のとおりとする。一 屋外貯蔵タンクの設備は、銅、マグネシウム、銀若しくは水銀又はこれらを成分とする合金で造らないこと。二 屋外貯蔵タンクには、冷却装置又は保冷装置及び燃焼性混合気体の生成による爆発を防止するための不活性の気体を封入する装置を設けること。
地下タンク貯蔵所の特例は、この屋外タンクの規定を「準用」する形で作られています
規則第24条の2の7は、アセトアルデヒド等の地下タンクの特例を「規則第22条の2の6に掲げる屋外タンク貯蔵所の規定の例による」と定めているからです。
つまり銅等を避けること・冷却装置または保冷装置・不活性ガス封入装置という中身は、屋外でも地下でも同じです。
ヒドロキシルアミン等も同様に、規則第24条の2の8が屋外タンクの規定(温度上昇と鉄イオン等混入の防止措置)を準用しています。
次の項目では、地下だからこそ認められている緩和条件を確認します。

地下タンクなのに、屋外タンクの基準をそのまま借りてくるのは意外です。

条文自体が「屋外タンクの規定の例による」と準用の形で書かれているからなんです。

地下タンクならいつでも冷却装置を省略できるのか

断熱構造で冷却装置を省略できる地下タンクと、断熱構造がなく省略できない地下タンクを対比するイメージ
屋外タンクの基準をそのまま借りるだけなら、地下タンクにも必ず冷却装置が要ることになります。
ところが規則は、地下タンクだけに認められる条件を付け加えています。
危険物の規制に関する規則第24条の2の7 アセトアルデヒド等を貯蔵し、又は取り扱う地下タンク貯蔵所に係る令第13条第4項の規定による同条第1項から第3項までに掲げる基準を超える特例は、第22条の2の6に掲げるアセトアルデヒド等を貯蔵し、又は取り扱う屋外タンク貯蔵所の規定の例によるものとする。ただし、地下貯蔵タンクがアセトアルデヒド等の温度を適温に保つことができる構造である場合には、冷却装置又は保冷装置を設けないことができる。
ただし書きが付いているのは、アセトアルデヒド等の地下タンクだけです
地下は地上より温度変化が少ないため、適温を保てる構造だと認められれば冷却装置・保冷装置を設けなくてよいことになっています。
一方でヒドロキシルアミン等の規定(規則第24条の2の8)には、このようなただし書きがありません。
つまりヒドロキシルアミン等の地下タンクは、温度上昇と鉄イオン等混入の防止措置を地下でも省略できないということです。
「地下だから」という理由だけで安心せず、対象物質ごとに条文を確認する必要があります。

うちの地下タンクは冷却装置が付いていないんですが、これは大丈夫でしょうか。

アセトアルデヒド等なら、適温を保てる構造だという記録があれば大丈夫です。

明日からなにを確認すればよいのか

点検記録のチェックリストと確認のための道具を並べたイメージ
条文を確認しただけでは、自分の施設が対象かどうかは分かりません。
次の手順で実際の地下タンクと照らし合わせてください。
  • 許可申請書や設備の設計図書で、貯蔵している危険物の品名を確認する
  • その品名がアセトアルデヒド等またはヒドロキシルアミン等に該当するかを、危険物保安監督者などに確認する
  • 該当する場合は、銅・マグネシウム・銀・水銀を使った設備がないかを確認する
  • アセトアルデヒド等で冷却装置・保冷装置を省略している場合は、適温を保てる構造であることの記録が残っているかを確認する
  • ヒドロキシルアミン等の場合は、温度上昇と鉄イオン等混入を防ぐ措置が現に機能しているかを確認する
まずは貯蔵している危険物の品名を確かめることから始めてください
品名が分からないまま「地下だから大丈夫」と判断するのがいちばんの落とし穴です。
該当するかどうか迷ったときは、所轄の消防署や危険物保安監督者に相談してください。

明日、まず何を確認すればいいですか。

貯蔵している物質が対象かどうかと、その根拠になる記録の有無を確認してください。

よくある質問

Q地下タンク貯蔵所ならどんな危険物でも屋外基準を借りられるのですか?
Aいいえ。借りられるのは規則第13条の7が定めるアセトアルデヒド等とヒドロキシルアミン等の2種類だけです。他の危険物には適用されません。
Q冷却装置を省略できる条件を満たしていれば、点検は不要になりますか?
Aいいえ。省略できるのは冷却装置・保冷装置の設置だけで、適温を保てる構造であることを継続して確認する必要があります。
Qヒドロキシルアミン等の地下タンクにも同じ省略規定がありますか?
Aありません。規則第24条の2の8には省略のただし書きがなく、温度上昇と鉄イオン等混入の防止措置がそのまま必要です。
Q既存の地下タンク貯蔵所が特例の対象になっているかは、どこで確認できますか?
A許可申請書や設備の設計図書に記載された貯蔵危険物の品名を確認し、対象物質に該当するかを危険物保安監督者などに確認してください。

まとめ

アセトアルデヒド等・ヒドロキシルアミン等を貯蔵する地下タンク貯蔵所には特例基準があります
根拠は消防法施行令第13条第4項です
対象物質は規則第13条の7が定める2種類だけです
地下タンクの基準は屋外タンク貯蔵所の規定を準用しています
アセトアルデヒド等は銅・マグネシウム・銀・水銀を避け、冷却装置と不活性ガス封入装置を備えます
適温を保てる構造なら、アセトアルデヒド等の冷却装置は省略できます
ヒドロキシルアミン等には省略規定がなく、温度と鉄イオンの管理がそのまま必要です

なるほど、地下タンクでも油断せず条文どおりに確認します!

迷ったときは、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令第13条(地下タンク貯蔵所の基準)
  • 危険物の規制に関する規則第13条の7(アセトアルデヒド等・ヒドロキシルアミン等の定義)
  • 危険物の規制に関する規則第22条の2の6・第22条の2の7(屋外タンク貯蔵所の特例)
  • 危険物の規制に関する規則第24条の2の6〜第24条の2の8(地下タンク貯蔵所の特例)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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