駐車場や庭先に置いた小さなトレーラーハウスを、そのまま住まいにしている方がいます。
こうした建物にも、住宅用火災警報器(住警器)を付ける義務はあるのでしょうか。
一方で、会社の守衛室や仮眠室のように「住宅っぽい部屋」でも対象外になることがあります。
今回は消防庁の執務資料をもとに、住警器の設置義務が及ぶ範囲を解説します。
小さなトレーラーハウスに住んでいる知り合いがいるんですが、火災警報器は要るんでしょうか。
結論からいうと、住宅として使っているなら形にかかわらず住警器の設置が必要です。
じゃあ会社で仮眠室に泊まり込む社員がいたら、そこにも要るんでしょうか。
それが少し違っていて、事務所の仮眠室は対象にならないと整理されているんですよ。
- 消防法第9条の2第1項は「住宅の用途に供される防火対象物」と定めており、モーターハウスやトレーラーハウスでも住宅として使っていれば住警器の設置が必要です
- 事務所内の守衛室・仮眠室は、法第9条の2第1項の適用を受けないと整理されています
- 認知症高齢者グループホーム等は、令別表第一(5)項ロに該当する施設や部分であれば住警器の対象になります
- この整理は平成17年3月付けの消防庁執務資料で示されたものです
- 迷ったときは自己判断せず、建物の用途区分を所轄消防署に確認するのが確実です
▼

目次
なぜモーターハウスやトレーラーハウスの扱いが問われたのか

形が特殊な住まいをどう扱うか、現場から疑問の声が上がりました。
住警器の設置義務は消防法第9条の2第1項が定め、平成18年6月1日から段階的に施行されました。
条文は「住宅の用途に供される防火対象物」とだけ書いており、建物の建て方や工法までは限定していません。
そこでモーターハウスやトレーラーハウスを固定して住まいにしている場合はどうなるのか、具体的な疑問が消防庁に寄せられました。
この疑問に答えるため、平成17年3月付けで執務資料がまとめられました。
トレーラーハウスは、住宅の警報器の話とは別枠だと思っていました。
条文に建て方の指定はないので、住宅として使っていれば同じ扱いになるんです。
固定されたモーターハウスやトレーラーハウスは住警器の対象になるのか

形態ではなく、実際の使われ方で判断されます。
条文が見ているのは建物の構造や工法ではなく、実際の用途です。
車輪を外して土地に固定し、寝起きの場所として使っているなら、それは「住宅の用途に供される防火対象物」に当たります。
一般的な戸建て住宅と同じ基準(就寝の用に供する居室・階段等)で住警器を設置すればよいということです。
見た目が特殊でも、中で寝泊まりしていれば同じ扱いなんですね。
そのとおりです、まず住宅として使っているかを確認してください。
事務所の守衛室や仮眠室は対象になるのか

「住宅っぽい部屋」がすべて対象になるわけではありません。
一見、就寝に使う部屋なので住宅と同じに思えますが、建物全体の主たる用途は事務所であり、その一部屋だけを取り出して「住宅の用途に供される防火対象物」とは扱わないという整理です。
ここは自動火災報知設備など、事務所自体にかかる別の消防用設備等の基準で対応する領域になります。
「就寝に使うかどうか」ではなく「建物としての住宅性」で判断される点が、モーターハウスの結論との分かれ目です。
寝泊まりする部屋なら、全部対象だと思っていました。
建物全体の用途が事務所なら、住警器の対象ではなくなるんです。
認知症高齢者グループホームはどうなるのか

建物の用途区分がカギになります。
問2の後段は、小規模で自動火災報知設備が設置されない認知症高齢者グループホーム等を挙げています。
答えは一律ではなく、その施設や部分が令別表第一(5)項ロ(寄宿舎、下宿又は共同住宅)に当たるかどうかで決まります。
運営形態は施設ごとに幅があるため、まず自分の施設がどの項に区分されているかを確認することが出発点になります。
グループホームは全部対象外だと思い込んでいました。
区分次第では対象になるので、思い込みで判断しないでください。
明日からなにを確認すればよいのか

形や部屋の名前だけで判断しないことが大切です。
モーターハウスやトレーラーハウスのように形が特殊でも、固定して住まいにしていれば住警器の対象です。
逆に事務所の守衛室・仮眠室のように、建物全体の用途が住宅でなければ対象外になります。
グループホーム等は令別表第一(5)項ロへの該当性がカギなので、区分が分からないときは所轄消防署に確認してください。
迷ったまま設置を省略するのではなく、まず建物の用途区分を確かめることが最初の一歩です。
うちの建物がどの区分か、まず調べてみます。
区分がはっきりすれば、住警器が要るかどうかもすぐ判断できますよ。
よくある質問
まとめ
形だけで判断していたので、まず用途区分を確認してみます、見落としていました!
迷ったときの確認先もお伝えしましたので、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 住警器等の設置及び維持に関する執務資料(平成17年3月 消防庁予防課)問1・問2
- 消防法第9条の2第1項
- 消防法施行令別表第一(5)項ロ
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





