BLOG

住宅用防災機器はなぜ寝室と階段が基本になるのか|設置方法や適用除外の条件も解説

寝室の天井に設置された住宅用の火災警報器

ご自宅の寝室や階段の天井に、丸い小さな装置が付いているのを見たことがあるでしょうか。
それが住宅用防災機器で、実は設置と維持が消防法で義務付けられています。
どこに、どう取り付ければよいのか、そして設置しなくてよい場合はあるのかは、条文を読まないと意外とわかりません。
住宅用防災機器は消防法第9条の2に基づき寝室と階段を中心に設置・維持が義務付けられ、一定の条件を満たせば省略も認められています。

賃貸マンションに住んでいるんですが、天井に付いている丸い装置、あれって外していいものなんでしょうか。

それは住宅用防災機器ですね。勝手に外してよいものではなく、法律で設置と維持が義務付けられています

義務ってことは、部屋のどこにでも付いていればいいんですよね。

実は設置場所には明確なルールがあります。
順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 住宅用防災機器の設置・維持義務は消防法第9条の2に基づき、住宅または住宅部分の関係者に課されます
  • 設置場所は寝室と、寝室がある階(避難階を除く)から直下階に通ずる階段が基本です
  • 取り付け位置は天井または壁の屋内に面する部分で、火災を有効に感知できる場所に限られます
  • スプリンクラー設備や自動火災報知設備が同等以上の性能で設置済みなら、その有効範囲内は省略できます
  • 具体的な細目は政令の基準に従って市町村条例で定められるため、最終確認は所轄消防署で行います

住宅用防災機器の設置場所が寝室と階段を基本とし適用除外の仕組みも示した図解

住宅用防災機器の設置義務は誰が負うのか

住宅と店舗付き建物の外観を並べたイメージ
消防法が定める住宅用防災機器の義務は、住宅に住む人全員に一律にかかるわけではありません。
まず、誰が対象になるのかを条文で確認します。
消防法第9条の2第1項 住宅の用途に供される防火対象物(略。以下この条において「住宅」という。)の関係者は、次項の規定による住宅用防災機器(略)の設置及び維持に関する基準に従つて、住宅用防災機器を設置し、及び維持しなければならない。
義務を負うのは「住宅の用途に供される防火対象物」の関係者です。
一戸建てはもちろん、店舗と住居が同じ建物に入っている併用住宅でも、住宅として使っている部分だけが対象になります。
「関係者」には所有者だけでなく、管理者や占有者(賃借人)も含まれるため、賃貸住宅では貸主と借主のどちらが実際に取り付けるかは契約や自治体の運用で分かれます。
条文上の義務者が誰かを押さえておくと、賃貸か持ち家かで迷ったときの判断材料になります。
次の見出しで、義務の中身である設置場所を確認します。

うちは1階が店舗で2階が住居なんですが、対象になるのは2階だけということですか。

はい、住宅として使っている部分だけが対象です。
次は具体的な設置場所を見ていきましょう。

どこに設置しなければならないのか

寝室と階段にそれぞれ設置された住宅用防災機器のイメージ
設置場所は住宅ごとに自由に決めてよいものではありません。
政令が具体的な部分を指定しています。
消防法施行令第5条の7第1項第1号 住宅用防災警報器又は住宅用防災報知設備の感知器は、次に掲げる住宅の部分(略)に設置すること。イ 就寝の用に供する居室(略) ロ イに掲げる住宅の部分が存する階(避難階を除く。)から直下階に通ずる階段(屋外に設けられたものを除く。)
設置場所の基本は「寝室」と「寝室がある階から直下階に通ずる階段」の2か所です。
条文の「就寝の用に供する居室」は、寝室として使っている部屋であれば子ども部屋や来客用の部屋も含まれます。
階段は避難階(通常は1階)を除く階に寝室がある場合が対象で、屋外階段は含まれません。
条文はイ・ロ以外にも「総務省令で定める部分」(ハ号)を挙げており、追加の設置場所は市町村条例が個別に定めます。
自分の住宅にいくつ寝室があり、それぞれ何階かをまず数えてみてください。

寝室が2階と3階にあるんですが、階段は両方に必要ですか。

条文上は寝室がある階から直下階に通ずる階段が対象なので、両方に設置が要ります。
細かい取り付け方は次で説明します。

どのように取り付ければよいのか

天井中央への設置と換気口のすぐ脇への設置を比較したイメージ
場所が決まっても、取り付け方を誤ると火災を感知できません。
政令はここも具体的に定めています。
消防法施行令第5条の7第1項第2号 住宅用防災警報器又は住宅用防災報知設備の感知器は、天井又は壁の屋内に面する部分(天井のない場合にあつては、屋根又は壁の屋内に面する部分)に、火災の発生を未然に又は早期に、かつ、有効に感知することができるように設置すること。
取り付け位置は「有効に感知できる場所」であることが条文上の条件です。
エアコンの吹き出し口の近くや換気扇のすぐそばに付けると、気流で煙が流れてしまい感知が遅れることがあります。
一般的には天井の中央付近や、壁に付ける場合は天井から一定の距離を保った位置が推奨されています。
条文自体は「有効に感知できること」という結果基準なので、具体的な離隔距離などの細目は機器の設置説明書や市町村条例の技術基準に従ってください。
迷ったときは、購入した機器の取扱説明書の設置例を確認するのが確実です。

うちのはエアコンのすぐ横に付いていました。位置を変えたほうがいいですか。

気流の影響を受けにくい位置に変えるのが望ましいです。
取扱説明書の設置例も確認してみてください。

設置しなくてよい場合はあるのか

スプリンクラーのある天井と何もない天井を比較したイメージ
寝室や階段のすべてに機器が必要かというと、そうとも限りません。
条文には省略が認められる場合が定められています。
消防法施行令第5条の7第1項第3号 前二号の規定にかかわらず、第一号に掲げる住宅の部分にスプリンクラー設備(略)又は自動火災報知設備を、それぞれ第12条又は第21条に定める技術上の基準に従い設置したとき(略)は、当該設備の有効範囲内の住宅の部分について住宅用防災警報器又は住宅用防災報知設備を設置しないことができること。
スプリンクラー設備や自動火災報知設備が同等以上の性能で設置されていれば、その有効範囲内は住宅用防災機器を省略できます。
共同住宅で自動火災報知設備が備え付けられている場合、住戸内の該当部分は既にこの設備でカバーされていることがあります。
ただし省略が認められるのは総務省令で定める条件を満たす場合に限られ、単に設備があるだけでは足りません。
このほか消防法施行令第5条の8は、消防長又は消防署長が住宅の位置・構造・設備の状況から火災の発生や延焼のおそれが著しく少ないと認めるときに、市町村条例で適用除外を定められるとしています。
省略できるかどうかの判断は自己判断せず、管理組合や所轄消防署に確認するのが確実です。

マンションに火災報知設備が付いているので、うちの部屋には要らないということですか。

有効範囲内で、条件を満たす場合に限り省略できます。
まずは管理会社に確認してみてください。

明日から何を確認すればよいのか

チェックリストを持つ人と電話を対比したイメージ
最後に、自分の住宅で何を確認すればよいかを整理します。
条例の細目は自治体ごとに違う点にも注意してください。
消防法第9条の2第2項 住宅用防災機器の設置及び維持に関する基準その他住宅における火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基準に従い市町村条例で定める。
まずは自分の住宅の寝室と階段の数を数え、機器が付いているかを確認してください。
併用住宅なら住宅部分の範囲を、賃貸なら設置・交換の責任が貸主・借主どちらにあるかを確認します。
自動火災報知設備やスプリンクラー設備がある建物では、省略の対象になっているかを管理組合や管理会社に聞いてください。
条文の基準は全国共通でも、具体的な細目は市町村条例で決まるため、最終的な確認は所轄消防署に行うのが確実です。
確認が済んだら、機器の電池切れや故障の点検も忘れずに行ってください。

賃貸なので、電池切れの機器を交換するのは自分でいいのか迷います。

契約や自治体の案内で貸主・借主どちらの負担か決まっていることが多いです。
まずは管理会社に確認しましょう。

よくある質問

Q賃貸マンションに住んでいても住宅用防災機器の設置義務はありますか?
A消防法第9条の2は建物の関係者を対象にしており、賃貸か持ち家かは問いません。実務では貸主と借主のどちらが設置するかは賃貸借契約や自治体の運用によって決まるため、管理会社や貸主に確認するのが確実です。
Q台所や浴室にも住宅用防災機器は必要ですか?
A政令が義務付けているのは寝室と避難階を除く直下階の階段が基本です。台所などへの設置は市町村条例が追加で定めている地域があるため、上乗せの有無は所轄の消防署に確認してください。
Q自動火災報知設備があるマンションでも別に必要ですか?
Aスプリンクラー設備や自動火災報知設備が同等以上の性能で設置されている場合は、その有効範囲内の部分について住宅用防災機器を設置しないことができます。ただし総務省令で定める条件を満たす必要があるため、管理組合や管理会社に確認するのが確実です。
Q設置しないとどうなりますか?
A設置基準そのものに罰則の規定はありません。ただし多くの市町村条例が指導や勧告の対象にしており、火災の発見が遅れるリスクは機器の有無に直結するため、設置しておくことが実務上の備えになります。

まとめ

消防法第9条の2第1項が、住宅または住宅部分の関係者に設置・維持義務を課しています
対象は「住宅の用途に供される防火対象物」で、併用住宅では住宅部分だけが対象になります
設置場所の基本は寝室と、避難階を除く直下階に通ずる階段です
取り付け位置は天井・壁の屋内側で、有効に感知できる位置であることが条件です
スプリンクラー設備や自動火災報知設備が同等以上あれば、その有効範囲内は設置を省略できます
省略や適用除外の具体的な運用は総務省令市町村条例に委ねられています
制度の細目は自治体ごとに異なるため、最終確認は所轄消防署で行うのが確実です

寝室と階段の位置を今日確認してみます。

寝室・階段の確認と電池切れのチェックから始めれば大きく外しません。
㈱防災屋でもご相談を承っています。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

参考・出典

  • 消防法第9条の2(住宅用防災機器の設置及び維持の義務)
  • 消防法施行令第5条の6(住宅用防災機器の定義)・第5条の7(設置及び維持の基準)・第5条の8(条例による適用除外の基準)
  • 総務省消防庁予防課「住宅用火災警報器Q&A」(住宅用火災警報器早わかりガイド)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
寝室の天井に設置された住宅用の火災警報器
ご自宅の寝室や階段の天井に、丸い小さな装置が付いているのを見たことがあるでしょうか。 それが住宅用防災機器で、実は設置と維持が消防法で義務付けられています。 どこに、どう取り付ければよいのか、そして設置しなくてよい場合は...