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病院の屋上に航空機給油取扱所を作るにはどんな安全対策が要るのか|2階設置の禁止と配管の防火措置を解説

建築物の屋上に航空機給油取扱所を設置する際の安全対策に関する記事のアイキャッチ画像

近年、救急医療用ヘリコプターの配備が全国的に進み、病院の屋上にヘリポートを設ける例が増えています。
このヘリポートに給油設備をあわせて置きたいという要望も増え、消防庁が建築物の屋上という特殊な立地での安全対策を指導指針として取りまとめました。
ところが、通常の給油取扱所の基準をそのまま当てはめればよいと誤解している担当者は少なくありません。
この記事では、建築物の屋上に設置する場合に限って求められる追加の安全対策を解説します

うちの病院もドクターヘリのヘリポートを屋上に作る計画があります。
給油設備も一緒に置いて大丈夫でしょうか。

屋上に置く場合は、通常の給油取扱所とは別の安全対策が求められます。

具体的にはどんな対策が必要になるんでしょうか。

消防庁の指導指針に、配管や設備の位置についての条件が示されています。
今日はその中身を確認していきましょう。

この記事の結論
  • 建築物の屋上に航空機給油取扱所を設置できるのは、壁・柱・床・はり・屋根が耐火構造の建築物に限られます
  • 規制の対象になるのは建築物全体ではなく、給油設備や配管など危険物に関わる部分だけです。
  • ポンプ機器と危険物タンクは2階以上の階に設置できません
  • 貯蔵し、または取り扱う危険物はJetA-1に限られます。
  • 許可数量は1日の最大取扱量で算定し、判断に迷ったら所轄消防署への確認が確実です。

建築物屋上の航空機給油取扱所に求められる安全対策を示す図解

なぜ病院の屋上に航空機給油取扱所を作りたいという要望が増えているのか

病院屋上のヘリポートと給油設備を見るアイソメ図
近年、救急医療用ヘリコプターの配備が全国的に進んでいます。
病院の敷地内では十分な空地を確保できず、屋上への設置を求める声が増えています。
危険物の規制に関する政令第十七条第三項第一号 次に掲げる給油取扱所については、総務省令で、前二項に掲げる基準の特例を定めることができる。 一 飛行場で航空機に給油する給油取扱所
病院の屋上ヘリポートに給油設備を置く動きが広がっています。
これまでは危険物の取扱量が少ない施設として、市町村条例にもとづく少量危険物貯蔵取扱所で運用されてきました。
しかし災害時の対応などを見据え、1日の取扱量が指定数量以上になることも想定した施設として設置したいという要望が増えています。
指定数量以上を扱うには、政令にもとづく航空機給油取扱所として許可を受ける必要があります。
そこで消防庁は、建築物の屋上という特殊な立地での安全対策を指導指針として取りまとめました。

少量なら条例の基準で足りていたのに、量が増えると扱いが変わるんですね。

指定数量を境に、根拠になる法令そのものが切り替わります。

どんな建物の屋上になら設置できるのか

小型の給油設備と大型タンクを比べるアイソメ図
屋上に設置する場合も、対象になる建物と規制の範囲には条件があります。
消防庁の指導指針が示す考え方を確認しましょう。
  • 設置できるのは、壁・柱・床・はり・屋根が耐火構造である建築物の屋上に限られます
  • 規制を受けるのは建築物全体ではなく、給油設備・航空機に直接給油するための空地・配管などの危険物関連機器だけです。
危険物を貯蔵し、または取り扱うタンクは、屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所・地下タンク貯蔵所のいずれかとして別に許可を受け、ポンプ機器はその附属設備として扱います。
建物の用途や構造そのものが変わるわけではなく、あくまで給油に関わる設備だけが規制の対象になる点を押さえておきましょう。
根拠は消防庁「建築物の屋上に航空機給油取扱所を設置する場合の安全対策について」(平成27年12月8日付け消防危第268号)です。

うちの病院棟は耐火構造なので、その点はクリアできそうです。

タンクの許可区分もあわせて確認してください。

屋上ならではの配管の安全対策にはどんなものがあるか

さや管に保護された配管と緊急停止弁のアイソメ図
屋上という立地特有のリスクに備え、配管や設備にいくつかの措置が求められます。
まずは配管そのものの技術基準を確認しましょう。
危険物の規制に関する政令第九条第一項第二十一号 危険物を取り扱う配管の位置、構造及び設備は、次によること。 ハ 配管は、火災等による熱によつて容易に変形するおそれのないものであること。ただし、当該配管が地下その他の火災等による熱により悪影響を受けるおそれのない場所に設置される場合にあつては、この限りでない。
配管は、建築物内部への危険物の流入を防ぐ構造にする必要があります。
指導指針は、配管をさや管などの構造物の中に設置するか、屋外に配管を通したうえで建築物の開口部やその上部への設置を避けるよう求めています。
点検が難しい場所の配管や、屋外の危険物タンクと建築物の連絡部分の配管は、溶接など漏えいのおそれがない方法で接合します。
ポンプの緊急停止装置は、火災などの際にすみやかに操作できる箇所へ設けることも求められます。
配管まわりの措置は一つひとつが独立した対策ではなく、全体で流出を防ぐしくみになっています。

配管を隠すだけでは足りないんですね。

接合部分の工法や停止装置の位置まで、あわせて確認が必要です。

2階に設置できない設備を見落としていないか

地上階のポンプと2階のポンプを比べるアイソメ図
屋上に設備を置くからといって、すべてを最上部にまとめられるわけではありません。
指導指針が示す高さと危険物の種類の制限を見落とすと、計画からやり直しになります。
  • ポンプ機器と危険物タンクは2階以上の階に設置できません。指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物を扱うタンクも同じ扱いです。
  • 貯蔵し、または取り扱う危険物はJetA-1(日本産業規格K2209の航空タービン燃料油1号)に限られます。
航空機給油取扱所の許可数量は、屋上で航空機に給油する場合の1日の最大取扱量によって算定します。
この取扱量が指定数量の5分の1以上指定数量未満となる場合は、政令にもとづく許可ではなく市町村条例の少量危険物貯蔵取扱所の基準が適用されます。
「屋上ならまとめて置ける」という思い込みで計画を進めると、階数の制限に後から気づいて配置図を引き直すことになります。

屋上の下の階にポンプを置く計画になっていました。
危なかったです。

取扱量の見込みから早めに確認しておくと安心です。

明日からなにを確認すればよいか

給油する危険物の種類と数量を確認するクリップボードのアイソメ図
計画を進める前に、順番を追って確認しておきたい項目があります。
最後に手順を整理します。
  • 屋上でヘリコプターに給油する1日の最大取扱量を見積もり、指定数量の5分の1未満かどうかを確認します
  • 指定数量以上を扱う計画であれば、政令にもとづく航空機給油取扱所としての許可申請が必要です。
あわせて、ポンプ機器と危険物タンクの設置階、配管のさや管などの防火措置、緊急停止装置の位置を図面で確認します。
指導指針は、給油体制について緊急停止・初期消火・通報の対応をすみやかに行える体制を予防規程に定めることも求めています。
避難経路は複数確保することが望ましいとされているため、屋上からの動線もあわせて見直しましょう。
細部の判断に迷う場合は、所轄消防署へ計画段階から相談しておくと手戻りが少なくなります。

まずは想定している取扱量から整理してみます。

配置図の整理から一緒に確認しましょう。

よくある質問

Q病院の屋上に航空機給油取扱所を作れば、必ず消防法上の許可が必要になりますか?
Aいいえ。1日の最大取扱量が指定数量の5分の1未満であれば市町村条例の少量危険物貯蔵取扱所の基準が適用されます。指定数量以上を扱う計画であれば、政令にもとづく許可が必要です。
Q屋上に設置する場合、建築物全体が危険物施設として規制されますか?
Aいいえ。規制を受けるのは給油設備・空地・配管など危険物に関わる部分だけで、建築物全体が規制対象になるわけではありません。
Q航空機給油取扱所で扱える危険物に制限はありますか?
Aはい。屋上に設置する航空機給油取扱所で扱える危険物はJetA-1(日本産業規格K2209の航空タービン燃料油1号)に限られます。
Q危険物タンクを屋上に置くことはできますか?
Aいいえ。ポンプ機器と危険物タンクは2階以上の階に設置できません。タンクは屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所・地下タンク貯蔵所のいずれかとして別に許可を受ける必要があります。

まとめ

建築物の屋上に航空機給油取扱所を設置できるのは、耐火構造の建築物に限られます。
根拠は危険物の規制に関する政令第17条第3項第1号と、これを受けた規則第26条です。
規制の対象になるのは建築物全体ではなく、給油設備や配管など危険物に関わる部分だけです。
配管は危険物の規制に関する政令第9条第1項第21号にもとづき、建築物への流入を防ぐ構造にします。
ポンプ機器と危険物タンクは2階以上の階に設置できません。
貯蔵し、または取り扱う危険物はJetA-1に限られます。
許可数量は1日の最大取扱量で算定し、判断に迷ったら所轄消防署への確認が確実です。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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