航空機給油取扱所や船舶給油取扱所は、一般的なガソリンスタンドとは異なる特殊な給油取扱所です。
エプロン全体を空地として扱えるのか、排水溝・油分離装置の設置は省略できるのか、油流出防止措置に使う油吸着材は兼用できるのかなど、実務上判断に迷う論点があります。
この記事では、これらの論点を実際の質疑応答をもとに解説します。
航空機に給油するための空地って、エプロン全体を使っちゃっていいんですか?
規則第26条第3項の要件を満たせば、エプロン全体を空地として扱うことができますよ。
場内排水が敷地内の貯水池に入るだけなら、排水溝や油分離装置は省略できますよね?
それはできません。
敷地内で完結する排水であっても、排水溝及び油分離装置は設ける必要があります。
この記事の結論
- 航空機に直接給油するための空地は、規則第26条第3項に規定する要件を満たせばエプロン全体とすることができる
- 空港場内排水が空港敷地内の貯水池に入り他に流出しない場合でも、排水溝及び油分離装置は設ける必要がある
- 船舶給油取扱所の油流出防止措置(土のう・油吸着材等の保有)は、屋外給油取扱所の同様の規定と同じ措置でよい
- 油流出防止用の油吸着材は、危険物流出時の回収等応急措置用の油吸着材と兼用してもよい
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目次
航空機給油取扱所の空地はエプロン全体とすることができる
航空機に直接給油するための必要な空地は、エプロン全体とすることができるか、という照会がありました。
規則第26条第3項に規定する要件を満たせば可能です。航空機給油取扱所は、通常のガソリンスタンドの給油空地とは異なり、航空機の駐機・給油作業に対応した広いエプロン全体を空地として扱うことが認められています。ただし「規則第26条第3項に規定する要件を満たせば」という条件付きであり、要件を満たさない場合はこの限りではありません。
空港場内排水が敷地内貯水池に入る場合でも排水溝・油分離装置は必要
空港の場内排水が直接空港敷地内の貯水池に入り、他に流出することがない場合は、排水溝及び油分離装置を設けなくてもよいか、という照会もありました。
| 照会内容 | 回答 |
|---|---|
| 場内排水が敷地内貯水池に入り他に流出しない場合、排水溝・油分離装置は省略できるか | 設ける必要がある(省略不可) |
「敷地外に流出しないから大丈夫」という考え方は認められません。排水溝及び油分離装置は、敷地内での油の拡散防止・回収という機能を担っており、貯水池に流入する経路であっても、油分離を経ずに排水することは想定されていません。敷地内で完結する排水計画であっても、規則が定める排水溝・油分離装置は省略できない設備として扱われます。
船舶給油取扱所の油流出防止措置は屋外給油取扱所と同様でよい
船舶給油取扱所における「漏れた危険物その他の液体の流出を防止することができる措置」について、屋外給油取扱所の同様の規定と同じ措置でよいか、という照会がありました。
- 規則第26条の2第3項第3号に規定する「漏れた危険物その他の液体の流出を防止することができる措置」は、「当該給油取扱所に油流出防止に必要な土のう又は油吸着材等を有効に保有していること」(15号通達)とされている
- 屋外給油取扱所の規則第26条の3第3項第3号に規定する同様の措置と同じでよいと解して差しつかえない
船舶給油取扱所は水域に面するという特殊性がありますが、危険物が漏れた際の流出防止措置そのものは、屋外給油取扱所で用いられる土のう・油吸着材等の保有という考え方と共通しています。特別な専用設備を新たに求めるものではなく、既存の屋外給油取扱所の基準と同様の運用でよいという整理です。
油流出防止用の油吸着材は回収等応急措置用の油吸着材と兼用できる
油流出防止のために保有する油吸着材は、危険物が流出した場合の回収等の応急措置を講ずるための設備としての油吸着材と兼用してもよいか、という照会もありました。
差しつかえないとされています。規則第26条の2第3項第6号に規定する、危険物が流出した場合の回収等の応急措置を講ずるための設備としての油吸着材と、流出防止措置としての油吸着材は、別々に二重で保有する必要はなく、同一の油吸着材で兼用することが認められます。
よくある質問
Q. 航空機給油取扱所の空地はエプロン全体を使えますか?
規則第26条第3項に規定する要件を満たせば、エプロン全体を空地として扱うことができます。
Q. 場内排水が敷地内の貯水池に入るだけなら排水溝・油分離装置は不要ですか?
不要にはなりません。敷地内で完結する排水であっても、排水溝及び油分離装置は設ける必要があります。
Q. 船舶給油取扱所の油吸着材は複数の用途で兼用できますか?
兼用できます。油流出防止措置用の油吸着材と、危険物流出時の回収等応急措置用の油吸着材は、同一のものを兼用して差しつかえありません。
まとめ
- 航空機給油取扱所の空地は規則第26条第3項の要件を満たせばエプロン全体とすることができる
- 空港場内排水が敷地内貯水池に入る場合でも排水溝・油分離装置は省略できない
- 船舶給油取扱所の油流出防止措置は屋外給油取扱所と同様の土のう・油吸着材等の保有でよい
- 油流出防止用の油吸着材は回収等応急措置用の油吸着材と兼用できる
油吸着材は用途ごとに何個も用意しないといけないんですかね…
そんなことはありません。
流出防止用と回収用の油吸着材は兼用できますよ。
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第26条、第26条の2、第26条の3 e-Gov法令検索
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)航空機給油取扱所・船舶給油取扱所に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年6月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の設計内容については所轄消防署にご確認ください。





