深夜に営業する個室ビデオ店で、大阪の火災をきっかけに消防庁が通知を出しました。
自動火災報知設備を付けるまでの間、何もしなくていいわけではありません。
通知は避難誘導の人員配置や避難経路の管理まで踏み込んで求めました。
設備が整う前も後も、防火管理者がやるべきことは変わりません。
うちの個室ビデオ店、まだ自動火災報知設備の工事待ちです。
それまで何もしなくていいんでしょうか。
その状態のままにはできません。
消防庁が経過措置として当面の対応を示しています。
大阪の火災がきっかけと聞きました。
具体的に何をすればいいんですか。
3つの柱で示されました。
順番に見ていきましょう。
- 通知は大阪の個室ビデオ店火災を受けた消防予第255号の1週間後に、更なる徹底を求めて出されました
- 対象は深夜から早朝にかけて営業する個室ビデオ店等で、自動火災報知設備が未設置のものです
- 設備が整うまでは避難誘導・通報・初期消火の人員確保と避難訓練の実施が当面の対応として求められました
- 避難口の見通しが悪い場合は誘導灯に加えて高輝度蓄光式誘導標識で経路の表示を補完します
- 廊下や防火戸の管理義務は消防法第8条の2の4で設備の設置状況にかかわらず恒久的に定められています
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目次
個室ビデオ店の防火対策はなぜ半月で二段構えの通知になったのか

なぜ1回の通知では足りなかったのでしょうか。
平成20年10月1日付けの消防予第255号は、緊急調査と防火対策の徹底を求める最初の一報でした。
ところがわずか1週間後に、同じ消防庁予防課長の名前で2通目の通知が重ねて出されています。
1回の呼びかけでは現場の対応が追いつかないと見て、より具体的な内容に踏み込んだということです。
建物側としては、通知が2段構えになるほど緊急性が高い案件だったと理解しておく必要があります。
通知が2回も出るなんて、それだけ深刻だったんですね。
そのとおりです。
次にどんな店が対象になったかを見ていきましょう。
深夜営業のどんな個室ビデオ店が対象になったのか

自分の店が当てはまるのか、条件を確認します。
まず深夜から早朝にかけて営業する個室ビデオ店等であること。人目が少ない時間帯ほど発見が遅れるという発想です。
そのうえで、消防法施行令の一部を改正する政令の附則が定める経過措置により自動火災報知設備がまだ設置されていない店舗が、当面の対応の対象になりました。
すでに設備を設置している店舗はこの当面の措置の対象からは外れます。
自分の店の設備状況を、まず確認するところから始めます。
うちは深夜営業ですが、設備の工事はもう発注済みです。
工事中の間も対象になります。
設備が整うまでの具体的な中身を確認しましょう。
設備が整うまでの間は何を求められたのか

通知は具体的な代わりの対応を2つ挙げました。
1つ目は人員の確保です。設備が警報を鳴らせない間は、人が火災に気づいて誘導し、通報し、初期消火する役割を肩代わりします。
2つ目は経路の見通しが悪い店に限った措置で、誘導灯だけに頼らず高輝度蓄光式誘導標識を足して表示を補うという内容です。
個室が入り組んだ造りほど、この2つ目の措置の必要性が高くなります。
避難訓練も同時に求められているので、人員配置を決めたら実際に動いて確認しておきます。
高輝度蓄光式誘導標識って、停電したときのあの光る表示ですか。
はい、その仲間です。
誘導灯を置き換えるのではなく補うものだと考えてください。
自動火災報知設備さえ付けば通知の話は終わるのか

通知はもう1つ、設備の有無に関係なく続く管理を求めています。
自動火災報知設備を設置し終えると、通知への対応は完了したと思いがちです。
ところが廊下や防火戸の管理は消防法第8条の2の4そのものに書かれた恒久的な義務で、設備の設置状況とは関係なく設備が整った後もずっと続きます。
個室が並ぶ通路は荷物や什器が置かれやすく、防火戸の前は在庫置き場として使われがちです。
設備工事の完了報告を受けたその日にも、廊下と防火戸の点検はセットで行います。
設備さえ付けば安心だと思っていました。
設備は入口に過ぎません。
廊下と防火戸の管理は工事の後もずっと続きます。
明日からなにを確認すればよいのか

今日から確かめる項目を順に並べます。
まず自動火災報知設備が設置済みかどうか。令別表第一(2)項ニに当たる店舗は、床面積にかかわらず設置が義務付けられています。
次に廊下・階段・避難口に避難の支障になる物件が置かれていないかを見て回ります。
続けて防火戸の前後が塞がれていないか。最後に夜間の人員配置と避難訓練の記録が残っているかを確かめます。
この4つを月に一度でも見て回れば、通知が求めた中身はおおむね満たせます。
4つ確認すれば大きく外れないんですね。
はい。
設備・廊下・防火戸・記録の4つを順番に見てください。
よくある質問
まとめ
設備・廊下・防火戸・記録の4つを見ればいいと分かりました。
すっきりしました。
設備の有無にかかわらず、廊下と防火戸の管理は毎日の仕事です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 個室ビデオ店等に係る防火対策の更なる徹底について(平成20年10月7日 消防予第257号 消防庁予防課長)
- 個室ビデオ店等に係る緊急調査及び防火対策の徹底について(平成20年10月1日 消防予第255号)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条の2の4
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第21条第1項第1号イ・別表第一(2)項ニ
- 消防法施行令の一部を改正する政令(平成20年政令第215号)附則第2条第2項
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





