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蓄電池設備の逆変換装置はなぜ半導体を用いた静止形と決まっているのか|発振周波数の許容範囲と直交変換装置との違いを解説

蓄電池設備の逆変換装置はなぜ半導体を用いた静止形と決まっているのか

蓄電池設備というと、バッテリー本体の容量や配置ばかりに目が行きがちです。
実は逆変換装置にも、構造から発振周波数まで細かい基準があります。
半導体を用いた静止形であることや、出力波形の歪みまで告示で定められています。
この記事では蓄電池設備の逆変換装置の基準を条文に沿って解説します。

うちの蓄電池設備には、逆変換装置というものが付いていると聞きました。
これにも基準があるのでしょうか。

はい逆変換装置の構造や性能にも告示で基準があります。
今日は逆変換装置を中心に見ていきましょう。

直流を交流に変える装置というくらいしか知りません。

いいえ周波数や波形の許容範囲まで細かく決まっています。
まずは基準の入口から見ていきます。

この記事の結論
  • 逆変換装置の基準は蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二・四にあります。
  • 逆変換装置は半導体を用いた静止形とし、放電回路の中に組み込みます。
  • 出力点検スイッチと出力保護装置を設け、使用する部品は良質のものとします。
  • 発振周波数は蓄電池の端子電圧がプラスマイナス10パーセント変動しても、定格周波数のプラスマイナス5パーセント以内に収めます。
  • 直交変換装置の基準は、充電装置と逆変換装置の規定の例によります。

蓄電池設備の逆変換装置基準を静止形構造点検スイッチ周波数基準波形基準の4段階でまとめた図解

逆変換装置とは何を指すのか

蓄電池と結線された半導体式の静止形逆変換装置を示す図
蓄電池設備は、電池だけがあれば動くわけではありません。
蓄電池が持つ直流の電気を、消防用設備が使う交流に変える装置が必要です。
蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二 四(一) 逆変換装置は、半導体を用いた静止形とし、放電回路の中に組み込むこと。
逆変換装置は、蓄電池の直流を交流に変える装置です。
可動部を持つ回転形ではなく、半導体を用いた静止形に限定されているのが特徴です。
モーターのように回転する部分が無いため、振動や摩耗による故障が起きにくくなります。
別置きの機器としてではなく、放電回路の中に組み込む形で設置することも決められています。
点検のときは、まず自分の設備の逆変換装置がどこに組み込まれているかを確認しましょう。

回転する部分が無いというのは、モーターとは違うのですね。

はい半導体だけで変換する仕組みです。
次は逆変換装置に設けるべき装置です。

逆変換装置には何を設けなければならないのか

出力点検スイッチと出力保護装置を備えた逆変換装置の前面図
逆変換装置は、ただ変換できればよいわけではありません。
動作を確かめたり、異常から守ったりする仕組みも必要です。
蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二 四(二) 逆変換装置には、出力点検スイッチ及び出力保護装置を設けること。同(三) 逆変換装置に使用する部品は、良質のものを用いること。
逆変換装置には出力点検スイッチと出力保護装置の両方が必要です。
出力点検スイッチで動作を確かめ、出力保護装置で異常時に回路を守ります。
使用する部品も良質のものに限られており、粗悪な部品での代替は認められません。
点検のときは、点検スイッチが実際に操作できる状態にあるかも確認しましょう。

点検スイッチが固くて動かしにくいのですが、これも問題でしょうか。

はい実際に操作できる状態であることが前提です。
次は発振周波数の許容範囲です。

発振周波数はどこまでのブレが許されるのか

周波数計と電圧計が並ぶ逆変換装置の計器盤
交流に変換したあとの周波数が大きくずれると、接続した設備の動作に影響します。
そこで発振周波数には、変動条件つきの許容範囲が決められています。
蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二 四(四) 発振周波数は、無負荷から定格負荷まで変動した場合及び蓄電池の端子電圧がプラスマイナス10パーセントの範囲内で変動した場合において、定格周波数のプラスマイナス5パーセントの範囲内であること。
発振周波数は、2つの変動条件を重ねても定格周波数のプラスマイナス5パーセント以内でなければなりません。
条件の1つ目は無負荷から定格負荷までの変動、2つ目は蓄電池の端子電圧がプラスマイナス10パーセント変動することです。
どちらの条件下でも、周波数のブレは定格周波数のプラスマイナス5パーセント以内に収まっている必要があります。
負荷や電圧が変わるたびに周波数が大きく揺れるようでは、この基準を満たしません。
点検では、負荷を変えたときに周波数計の指針がどこまで動くかも確認しておきましょう。

負荷が変わるたびに周波数計の針が動くのを見たことがあります。

はいプラスマイナス5パーセント以内に収まっていれば問題ありません。
次は出力波形です。

出力波形の歪みがなぜ問題になるのか

滑らかな波形と歪んだ波形を並べて示すオシロスコープ画面の図
周波数が範囲内に収まっていても、波形そのものが乱れていては安心できません。
出力波形にも、歪みについての基準があります。
蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二 四(五) 逆変換装置の出力波形は、無負荷から定格負荷まで変動した場合において有害な歪みを生じないものであること。
出力波形は、無負荷から定格負荷まで変動しても有害な歪みを生じてはいけません。
波形が大きく歪むと、接続されたモーターや制御回路が正しく動かなくなるおそれがあります。
発振周波数の基準と違い、波形の歪みには具体的な数値ではなく「有害な歪みを生じない」という性能規定になっています。
現場での確認は難しいため、メーカーの試験成績書で波形の品質を確認するのが実務的です。
負荷を変えたときに異音や発熱が生じていないかも、あわせて見ておきましょう。

波形の歪みは、現場で目で見て分かるものなのでしょうか。

いいえ試験成績書での確認が現実的です。
次は直交変換装置との違いです。

直交変換装置は逆変換装置と何が違うのか

逆変換装置と直交変換装置が並びチェックリストが添えられた図
蓄電池設備には、逆変換装置のほかに直交変換装置と呼ばれる方式もあります。
この装置には、専用の条文が用意されているわけではありません。
蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二 五 蓄電池設備の直交変換装置の構造及び性能は、第三号及び前号の規定の例による。
直交変換装置の基準は、充電装置と逆変換装置の規定をそのまま準用する形になっています。
「第三号」は充電装置の構造及び性能、「前号」はここまで見てきた逆変換装置の構造及び性能を指します。
つまり直交変換装置でも、静止形であることや出力点検スイッチ、発振周波数の許容範囲、出力波形の歪みの基準はそのまま当てはまります。
装置の名称が違うだけで、確認すべき項目は変わりません。
点検のときに見るべき順番を整理しておきます。
  • 自分の設備が逆変換装置直交変換装置かを確認する
  • 装置が半導体を用いた静止形で放電回路に組み込まれているかを見る
  • 出力点検スイッチと出力保護装置が実際に操作できる状態かを確認する
  • 負荷を変えたときの周波数計の指針がプラスマイナス5パーセント以内に収まっているかを見る
  • 出力波形の品質はメーカーの試験成績書で確認する
チェックの積み重ねが、告示の基準を満たしているかどうかの唯一の証拠になります。
増設や更新のときは、逆変換装置ごと基準に適合しているかをあらためて確認してください。

装置の名前が違うだけで、中身のチェックは同じなのですね。

はい名称ではなく機能で判断してください。
ここまでの内容をよくある質問で整理します。

よくある質問

Q逆変換装置はなぜ半導体を用いた静止形でなければならないのですか?
A可動部を持たない静止形にすることで、振動や摩耗による故障を避け、非常時の信頼性を高めるためです。
Q出力点検スイッチと出力保護装置は同じものですか?
Aいいえ別のものです。点検スイッチは動作を確認するため、保護装置は異常時に回路を守るためのものです。
Q発振周波数の許容範囲は、どんなときでも同じ数字ですか?
Aいいえ条件は2つ重なります。無負荷から定格負荷までの変動と、蓄電池の端子電圧がプラスマイナス10パーセント変動した場合の両方で、定格周波数のプラスマイナス5パーセント以内である必要があります。
Q直交変換装置には専用の基準が用意されているのですか?
Aいいえ専用の条文はありません。充電装置と逆変換装置の規定がそのまま準用されます。

まとめ

逆変換装置の基準は蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二・四にあります。
逆変換装置は半導体を用いた静止形とし、放電回路の中に組み込みます。
出力点検スイッチと出力保護装置を設け、部品は良質のものを使います。
発振周波数は蓄電池の端子電圧がプラスマイナス10パーセント変動しても、定格周波数のプラスマイナス5パーセント以内に収めます。
出力波形は無負荷から定格負荷まで変動しても有害な歪みを生じないものとします。
直交変換装置の基準は充電装置と逆変換装置の規定の例によります。
増設や更新のときは、逆変換装置ごと基準に適合しているかを必ず確認してください。

逆変換装置の構造から周波数の許容範囲までこれでよく分かりました!

点検のたびに試験成績書と現物を見比べるのが確実です
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条第1項第4号ハ(ニ)
  • 蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二 四(一)(二)(三)(四)(五) 五

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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