給油取扱所では、タンクローリーが専用タンクへ荷卸ししている最中にも、お客様への給油を止めるわけにはいきません。
従業員が一人しかいない時間帯なら、なおさら悩ましい場面です。
令和6年2月に出された消防庁の通知は、この荷卸し中の同時作業について具体的な整理を示しました。
危険物取扱者が同時にこなすべき業務と、予防規程に定めるべき対応方法を、この記事で確認していきましょう。
うちのスタンド、荷卸し中にお客さんが来たらどう対応したらいいのか、正直曖昧なままでした。
その場面についての整理が、今回の通知でされていますよ。
詳しく教えてください。
対象になる施設と、同時にこなす業務の中身から見ていきましょう。
- 令和6年の通知(消防危第40号)は、荷卸し中に複数の業務を同時に行う場面も整理している
- 対象になるのは自動停止ノズル等の措置を講じた給油取扱所である
- 危険物取扱者は荷卸しの立会い・給油や詰替え作業・監視の三つを同時に行うことが想定されている
- これらの業務がおろそかにならないよう、具体的な対応方法を予防規程に定める必要がある
- 単独荷卸しが可能な給油取扱所では、荷卸しの立会いの扱いが変わる
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目次
なぜ通達は荷卸し中の業務まで定めたのか

その中に、見落とされがちな荷卸し中の業務についての整理も含まれています。
令和5年の政令・省令・告示の改正を受けて、ガソリンの詰替え、附随設備、荷卸し中の作業、営業時間外の措置まで幅広い論点が一本にまとめられました。
その中の一つが、専用タンクへの荷卸し作業中に固定給油設備等を使用する場面の整理です。
荷卸しとお客様対応が重なる時間帯は、多くの給油取扱所で日常的に発生しています。
だからこそ、通知はこの場面を名指しで取り上げたと考えられます。
荷卸し中にお客さんが来ることなんて、普通にありますもんね。
はい。
だからこそ、今回はっきりと整理されたんです。
どんな給油取扱所のどんな作業が対象になるのか

まずは条文上どの給油取扱所が対象になるのかを確認しましょう。
規則第40条の3の3の2は、給油ノズルが満量で自動停止する構造、注油ノズルが満量で自動停止する構造、異なる油種の誤注入を防止できる構造の三つを条件に挙げています。
この条件を満たす給油取扱所だけが、今回整理された同時作業の対象になります。
なお、乗務員一人での単独荷卸しが認められた給油取扱所では、荷卸しの立会いそのものが不要になるため、扱いが変わります。
自社の給油取扱所がどちらに当たるか、まず確認しておきましょう。
うちのスタンドは自動で止まるノズルですけど、これも対象なんですね。
はい、その条件を満たす給油取扱所が対象になります。
荷卸し中に危険物取扱者は何を同時にこなす必要があるのか

それぞれの中身を具体的に見ていきましょう。
⑴ 専用タンクへの荷卸し作業の立会い(単独荷卸しが可能な給油取扱所を除く。)
⑵ 給油又は詰替え等の危険物取扱い作業
⑶ 危険物取扱者以外の従業員又は顧客(顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所に限る。)が行う⑵の作業に対する立会い又は監視(令和6年2月29日 消防危第40号)
荷卸しの立会い、給油や詰替えの作業、そして顧客が自ら行う給油等への立会いや監視の三つです。
顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所では、③の対象は危険物取扱者以外の従業員が行う作業も含まれます。
単独荷卸しが可能な給油取扱所では①が対象から外れるため、実際に求められる業務の組み合わせは施設ごとに変わります。
まずは自社がこの三つのうちどれを担うことになるのかを整理しておきましょう。
一人で三つも同時にやるなんて、正直大変そうです。
だからこそ、対応方法を具体的に決めておくことが必要なんです。
実務で見落としやすいのはどこか

ここを詰め切らないまま運用している現場が少なくありません。
現場でありがちなのは、予防規程に具体的な対応方法が書き込まれていないまま、慣習的に対応している状態です。
誰がどの順番で立会い・給油・監視を行うか、判断が曖昧なままだと、いずれかの業務がおろそかになるおそれがあります。
特に、顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所では、監視の主体が危険物取扱者以外の従業員に代わる場面もあるため、引き継ぎの手順まで詰めておく必要があります。
「対象になることは知っていたが、予防規程には反映していなかった」という状態がいちばんの落とし穴です。
うちの予防規程、正直そこまで細かく書いてなかったかもしれません。
まずは規程を見直すところから始めましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

予防規程と現場運用の両方を見直すきっかけにしてください。
- 自社の給油取扱所が規則第40条の3の3の2の要件(自動停止ノズル等)を満たしているか確認する
- 単独荷卸しが可能な給油取扱所かどうかを確認し、対象になる業務の範囲を整理する
- 予防規程に三つの業務を同時に行う場合の具体的な対応方法が明記されているか確認する
荷卸しが始まったときの役割分担を、実際の動線に沿って一度書き出してみましょう。
書き出した内容が予防規程の記載と一致しているかも、あわせて確認してください。
判断に迷う点があれば、自己判断せず所轄消防署に相談することをおすすめします。
つまり、役割分担を書き出して予防規程と照らし合わせればいいんですね。
そのとおりです。
迷ったら所轄消防署にも相談してください。
よくある質問
まとめ
荷卸し中の役割分担、さっそく現場と一緒に確認してみます!
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令等の一部改正に伴う給油取扱所の運用について(令和6年2月29日 消防危第40号 消防庁危険物保安室長)
- 危険物の規制に関する規則第40条の3の3の2、第60条の2第1項第8号の4(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





