不活性ガス消火設備には、消火剤を閉じ込める貯蔵容器と配管を圧力の異常から守るための部品が複数組み込まれています。
そのひとつが「破壊板」で、決められた圧力を超えると自ら壊れてガスを逃がす一度きりの安全装置です。
容器弁や安全装置とは何が違うのか、どんな圧力で作動するよう定められているのかは、条文を読まないと分かりません。
この記事では消防庁告示が定める破壊板の試験基準と作動圧力の数値を、安全装置との違いも含めて整理します。
うちの二酸化炭素消火設備にも破壊板ってやつが付いているはずなんですが。
はい、低圧式の貯蔵容器と配管の両方に設ける決まりがあります。
安全装置というのも別にあると聞きました。
何が違うんでしょうか。
作動する圧力の範囲が違っていて、破壊板は安全装置よりも高い圧力で最後に作動する仕組みです。
- 不活性ガス消火設備の破壊板は決められた圧力を超えると自ら壊れてガスを逃がす一度きりの安全装置です
- 低圧式貯蔵容器に設ける破壊板は3メガパスカル以上3.75メガパスカル以下の範囲で作動するよう定められています
- 配管に設ける破壊板は最高使用圧力の1.1倍以上1.5倍以下(低圧式は2.5メガパスカル以上3.75メガパスカル以下)の範囲で作動します
- 破壊板は安全装置よりも高い圧力で作動する二段構えの最後の安全装置です
- 破壊板の表示は5項目で、容器弁の7項目より少なく定められています
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目次
不活性ガス消火設備の破壊板はどんな部品なのか

そのなかで「破壊板」は、決められた圧力を超えると自ら破れて内部の圧力を開放する構造の部品です。
容器弁は消火剤を出し入れする本体の弁で、安全装置は圧力が上がりすぎたときに繰り返し使える逃がし弁です。
これに対して破壊板は一度作動すると壊れたまま元に戻らない使い切りの部品で、低圧式貯蔵容器と配管の両方に設ける場所が決められています。
防火管理者が現場で見分けるときは、貯蔵容器の圧力計の近くにある金属の保持金具が目印になります。
破壊板って安全装置と同じものだと思っていました。
似ていますが役割が違います。
安全装置は繰り返し使え、破壊板は一度きりです。
低圧式貯蔵容器の破壊板はどんな試験に合格しなければならないのか

低圧式貯蔵容器に設ける破壊板には、耐圧・気密・振動の3つの試験が定められています。
耐圧試験は水圧力をかけて漏れや変形が無いかを確認する試験です。
気密試験は窒素ガス圧力又は空気圧力をかけて気密性を確認する試験です。
振動試験は輸送や設置時の振動を想定したもので、振動を与えたあとにもう一度気密試験に合格することまで求められます。
これらはすべて破壊板の弁箱にあたる破裂板保持金具本体を対象にした試験です。
試験に合格していない部品を勝手に使ってもいいんでしょうか。
できません。
消防庁長官が定める基準に適合したものだけが使用を認められています。
破壊板の作動圧力はどの数値で決まっているのか

低圧式貯蔵容器に設けるものと、配管に設けるものとでは、数値そのものが違います。
低圧式貯蔵容器の破壊板は3メガパスカル以上3.75メガパスカル以下という狭い範囲で作動するよう求められています。
配管に設ける破壊板は貯蔵容器等の最高使用圧力を基準にした倍率で決まり、低圧式のものは2.5メガパスカル以上3.75メガパスカル以下となります。
どちらも上限は3.75メガパスカルで共通しており、これを超える圧力を容器や配管の中に閉じ込めない仕組みになっています。
数値の細かさは、破壊板が消火剤を封じ込める最後の砦であることの裏返しです。
数字がいくつも出てきて覚えられる気がしません。
覚える必要はありません。
点検のときは基準に適合した部品かどうかを点検資格者が確認します。
なぜ破壊板は安全装置より高い圧力で作動するのか

この2つは役割が重なって見えますが、作動する圧力の範囲は意図的にずらされています。
安全装置は吹き出したあとに吹止り圧力まで下がれば閉じる、繰り返し使える部品です。
これに対して破壊板はより高い圧力に達したときにだけ作動する、一度きりの最終防衛ラインです。
安全装置が正常に作動していれば、破壊板が実際に破れる場面はまず起こりません。
逆に言えば、破壊板が破れていたら安全装置が想定どおりに働かなかった可能性を疑う必要があります。
破壊板が壊れていたら、それだけ交換すればいいんでしょうか。
破壊板の交換だけで足りることが多いですが、安全装置が正常だったかも点検資格者に確認してもらってください。
破壊板にはどんな表示が義務付けられているのか

表示すべき事項は告示で個別に決められており、容器弁の表示とは項目数が違います。
容器弁の表示には質量・耐圧試験圧力値・再検査年月が含まれますが、破壊板の表示にはこの3つがありません。
質量や耐圧試験圧力値が無いのは、破壊板が容器弁ほど個体差の大きい構造物ではないためと考えられます。
そして再検査年月が無いのは、破壊板が一度作動したら再検査ではなく交換が前提の部品だからです。
点検の実務では、破壊板が割れていないか、表示された作動圧力の標準値が設備に合っているかを点検資格者が確認します。
再検査という言葉が無いのは意外でした。
破壊板は消耗品という位置づけなので、次の点検では新しい部品として基準に適合しているかを確認します。
よくある質問
まとめ
破壊板と安全装置の役割の違いがよく分かりました!
点検で基準適合の確認まできちんと行うことが大切です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 不活性ガス消火設備等の容器弁、安全装置及び破壊板の基準(昭和51年8月26日消防庁告示第9号、最終改正 令和元年6月28日消防庁告示第2号)第五・第六
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第19条第5項、第20条第4項、第21条第4項
※本記事は消防庁告示に基づく一般的な解説であり、個別の設備や現場に応じた判断を保証するものではありません。実際の点検・整備・改修は、消防用設備等の点検資格者や所轄消防署にご確認のうえで行ってください。





