地震後の巡回で、自家発電設備の始動用蓄電池ケーブルの被覆が裂けていることがあります。
テープで巻けば使えそうに見えても、導体の損傷、端子の緩み、発熱の痕跡まで隠れているかもしれません。
始動用蓄電池は、停電時に原動機を始動させるための重要な構成部分です。
BCPでは状態記録、始動保留、始動回路の点検、再試験、復旧承認までを一続きにします。
ケーブルの被覆が裂けています。
テープで巻いて始動してええですか?
始動せず現状を記録します。
裂け目だけ塞いでもアカンのですか?
内部導体と始動回路の確認が先です。
- 被覆が裂けたケーブルをテープで巻いて始動しません
- 裂け目と発見時刻を触る前に記録します
- 端子からセルモーターまで一続きで確認します
- 専門業者が導体、接続部、充電状態を点検します
- 交換後の始動・負荷試験で復旧を判断します
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目次
始動用蓄電池ケーブルの被覆が裂けていたらテープで巻いて始動してよいのか

テープで覆って直ちに始動しないでください。
外から見える裂け目だけでは、内部導体の傷、接続部の緩み、過熱の有無まで判断できません。
自家発電設備の基準は、セルモーターに用いる始動用蓄電池へ所定の始動能力を求めています。
点検基準でも、始動用蓄電池設備を蓄電池設備の機器点検基準に準じて確認することとされています。
触らない、始動しない、設備責任者へ連絡するのが初動です。
テープは復旧確認にならへんのですね。
始動能力まで確認して判断します。
どのケーブルと端子と始動回路を確認するのか

裂けた部分だけでなく、蓄電池群からセルモーターまでの始動回路を確認します。
- 被覆の裂け、擦れ、硬化、変色
- 露出した導体のほつれや黒ずみ
- 端子金具とケーブル端末の緩み
- ケーブルの曲がりと固定部の接触
- 蓄電池ケースの割れ、漏れ、変形
- 充電装置の表示、警報、出力状態
- セルモーターと制御盤の異常表示
ケーブルの太さ、端子形状、配線経路は設備ごとに異なります。
完成図書と取扱説明書を確認し、前回の点検記録とも照合します。
裂けた場所だけ見たら足りませんか?
始動回路を一続きで見ます。
被覆の裂けを見つけたら何をするのか

応急補修より先に状態保存と始動保留を行います。
- 異臭、発熱、煙、漏液の有無を離れて確認する
- 裂け目と周囲を触らず発見時刻を記録する
- 自家発電設備の始動操作を保留する
- 対象ケーブルと始動回路を図面で特定する
- 設備責任者と保守事業者へ連絡する
- 専門業者がケーブル、端子、蓄電池、充電装置を点検する
- 必要な交換後に始動試験と負荷作動を確認する
始動を保留する間は、非常電源を必要とする消防用設備への影響を整理します。
必要に応じて巡回や火気制限、代替電源や所轄消防署への相談を検討します。
まず始動を止めて記録します。
停止中の代替措置も決めます。
テープで巻けば使えると思うと何を見落とすのか

テープで外側を覆っても、導体の断線、端子の緩み、接触抵抗の増加、過熱の原因は残ることがあります。
外観を塞ぐことと性能を復旧することは別です。
- 被覆の内側で導体が切れかけている
- ケーブル端末が緩み発熱している
- 振動や固定金具との接触で再び裂ける
- 蓄電池や充電装置にも異常がある
- 指定外の材料で補修して状態が見えなくなる
- 露出部へ工具や金属が接触する
- 始動できても負荷運転まで確認していない
補修方法や交換範囲は設備仕様を把握した専門業者が判断します。
施設担当者が通電部へ触れる、応急処置のまま始動するといった対応は避けます。
テープの下に損傷が残るんですね。
内部と電気的な状態まで確認します。
明日から始動用蓄電池ケーブルをどう管理するのか

平常時からケーブル全長、曲がり部、固定部、端子、蓄電池、充電装置を同じ確認票で追います。
同じ位置と画角の写真を残すと、擦れや変色の進行に気づきやすくなります。
- 蓄電池番号と始動回路を図面へ記す
- ケーブル全長と固定位置を撮影する
- 裂け、擦れ、硬化、変色を記録する
- 端子の緩みと発熱の痕跡を確認する
- 蓄電池と充電装置の状態を照合する
- 異常時の始動保留条件を決める
- 専門点検から復旧承認まで訓練する
被覆損傷の発見から交換、再試験、復旧承認までをBCPへ組み込みます。
誰が始動を止めるか、誰が復旧を承認するかも明確にします。
ケーブル全長を写真で残します。
変化を追える点検記録にしましょう。
よくある質問
まとめ
始動せず状態を残すようにします!
始動回路を一式で確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 総務省消防庁 自家発電設備の基準 昭和48年消防庁告示第1号
- 総務省消防庁 第24 非常電源(自家発電設備)の点検基準
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検要領 第24 非常電源(自家発電設備)
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領・点検票
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。始動用蓄電池ケーブルの被覆損傷を見つけた場合は、自己判断でテープ補修、端子取外し、始動操作をせず、設備仕様を把握した専門業者へ相談してください。個別の保護、交換、充電、試運転、代替措置、復旧判断は、設備の仕様と施設の運用状況に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。





