消火器の設置工事が終わると、消防長や消防署長への届出にあわせて試験結果報告書を添えます。
この報告書には、防火対象物の用途や延べ面積だけでなく、階ごとに設置した消火器の種別や個数まで書き込む欄があります。
どの欄に何を書くかは国が様式を定めていて、消火器にも専用の様式が用意されています。
今回は消火器の試験結果報告書に、現場でどんな内容をどう書き込むのかを解説します。
消火器の報告書にも、階ごとに書く欄があるんですか。
はい、階ごとに種別・個数・能力単位を書く欄があるんですよ。
消火器だけでも、けっこう細かいんですね。
はい、緩和の対象になる設備があるかどうかも書きます。
まずは報告書そのものの位置づけから見ていきましょう。
- 消火器の試験結果報告書は設備ごとに消防庁長官が定める様式で作成します
- 消火器の様式は別記様式第1で、用紙は日本産業規格A4、選択肢のある欄は○印で囲みます
- 防火対象物の概要欄には用途・延べ面積・必要能力単位を書き込みます
- 階ごとの欄には消火器の種別・個数・能力単位を記入し、結果は良否で示します
- 緩和対象の消火設備の有無と付加設置部分の有無も欄に示します
▼
目次
消火器試験結果報告書とはどんな書類なのか

どんな用紙に何を書くかは、消防庁長官が設備ごとに様式を定めています。
消火器の様式は別記様式第1で、平成元年の消防庁告示第4号で定められました。
用紙の大きさは日本産業規格A4、選択肢のある欄は該当する事項を○印で囲むことになっています。
この様式は消火器から総合操作盤まで設備ごとに分かれていて、設備が違えば書き込む欄の並びも変わります。
つまり消火器には、消火器ならではの欄が用意されているということです。
消火器にも専用の様式があるんですね。
はい、階ごとの欄が並んでいるのが特徴です。
次は防火対象物の概要欄から見ていきましょう。
防火対象物の概要欄には何を書き込むのか

このうち必要能力単位は、設置基準の条文から自分で計算して書き込みます。
用途欄には政令別表第一に掲げる項号とその用途を、延べ面積欄には単位平方メートル・小数点以下切捨てで書き込みます。
必要能力単位欄には、施行規則第6条・第7条・第8条の規定により算出した数値を記入します。
用途ごとに割る面積の基準が変わるため、まず建物がどの区分に当たるかを確認する必要があります。
この欄を見れば、その建物がどれだけの消火能力を備えなければならないかが一目で分かるということです。
面積を割るだけで、必要な数が出るんですね。
はい、用途ごとの面積区分で数値が変わります。
次は階ごとの記入欄を見ていきましょう。
階ごとの記入欄はどうやって埋めるのか

種別・個数・能力単位を、下の階から順に記入していきます。
消火器の種別は粉末・泡・強化液・二酸化炭素・ハロゲン化物・水の6種類に分かれ、階ごとの個数と合計を書き込みます。
能力単位はA欄にA火災用の合計、B欄にB火災用の合計を記入し、該当する消火器があればC欄も○印で示します。
結果欄には、適応性・設置場所等・標識・機器のそれぞれについて良否を記入します。
つまりこの欄は、階ごとの実態を数字と記号だけで再現できるように設計されています。
6種類も分かれているんですね。
はい、種別によって適応する火災が違うためです。
次は見落としやすい緩和の欄を見てみましょう。
緩和対象の消火設備の欄はなぜ見落とせないのか

これは、屋内消火栓設備などが近くにあると消火器の数を減らせる規定に対応した欄です。
屋内消火栓設備やスプリンクラー設備が適応性の同じ範囲に設置されていれば、消火器の能力単位を3分の1まで減らせます。
このため報告書の緩和対象の消火設備の有無欄を有にした場合、階ごとの合計数がその分だけ少なく見えることがあります。
合計だけを見て消火器の本数が少ないと判断すると、緩和の事実を見落としたまま報告書を読み違えかねません。
付加設置部分の有無欄も同様に、少量危険物や電気設備がある階では追加の消火器が必要になることを示しています。
数が少ないのは、緩和のせいかもしれないんですね。
はい、緩和の有無欄とあわせて確認する必要があります。
次は明日からの確認ポイントをまとめます。
明日から報告書のどこを確認すればよいのか

結果欄の記入方法と、備考欄の使い方がポイントです。
空欄のままの階や設備が無いか、階ごとの合計欄までさかのぼって見ていきます。
付加設置部分がある階では、用途欄にその部分の名称が書き込まれているかもあわせて確認します。
緩和対象の消火設備の有無欄と、階ごとの能力単位の合計が矛盾していないかも見比べます。
これらを順に確認すれば、報告書の記入漏れや読み違いを防ぐことができます。
結果欄と合計欄を、セットで見るんですね。
はい、欄同士のつながりを意識すると漏れに気づきやすいです。
これで報告書の記入欄が一通りつながりましたね。
よくある質問
まとめ
用紙1枚の欄にも、ちゃんと理由があるんですね!
試験結果報告書の作成までお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第6条(大型消火器以外の消火器具の設置)・第7条(大型消火器の設置)・第8条(消火器具の設置個数の減少)
- 消防法施行規則第31条の3(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)
- 消防用設備等試験結果報告書の様式を定める件(平成元年12月1日消防庁告示第4号、最終改正 令和2年4月1日消防庁告示第2号)別記様式第1
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





