試運転前の確認で、自家発電設備の冷却空気入口に綿ぼこりが付き、内部にも塵埃が見えることがあります。
入口金網だけを掃除して運転してよいのか、内部点検まで必要なのか迷う場面です。
BCPでは運転を止め、発電機内部の冷却風通路まで確認します。
入口にほこりが詰まっています。
掃除して運転してええですか。
まず運転を止めて状態を残します。
金網がきれいなら大丈夫ですか。
内部の冷却風通路まで確認します。
- 発電機内部に塵埃が見えたら運転を停止します
- 入口金網を外す前の状態を写真で記録します
- 内部の冷却風通路を点検します
- 清掃と判定は製造者の整備要領に従います
- 清掃後は管理下で再試験します
▼

目次
発電機内部に塵埃がたまっていたら運転してよいのか

塵埃がたまった状態で運転を続けません。
発電機は内部へ冷却空気を通し、固定子や回転子などで生じる熱を外へ逃がします。
消防庁の検討資料は、塵埃などが発電機内部の冷却風通路を塞ぐと、冷却風不足による内部異常につながることを示しています。
入口金網の汚れは、内部にも塵埃が入り込んでいる可能性を疑う手掛かりです。
見える範囲だけを払って再始動せず、発見時の負荷、運転時間、周囲温度、異臭、異音、変色を記録します。
清掃後も絶縁状態や温度上昇などを設備仕様に従って確認します。
ほこりだけでも停止するんですね。
冷却不足の兆候として扱いましょう。
どの冷却空気入口と内部通路を確認するのか

冷却方式や空気の流れは機種で異なります。
完成図書、取扱説明書、整備要領書で、その設備の入口、内部通路、出口を確認します。
- 冷却空気入口と入口金網
- ファンと送風方向
- 固定子や回転子の周囲
- コイルや鉄心の表面
- 冷却風の出口と排気側
- 塵埃、油分、虫、繊維くずの付着
- 異臭、変色、異音、温度上昇の履歴
消防庁資料は、冷却空気入口の金網を取り外し、内視鏡などで内部の汚損や塵埃の堆積状況を確認する方法を示しています。
入口から出口まで一続きの冷却風通路として確認します。
入口だけ見ても足りませんか。
内部の通り道まで見ます。
発見から停止と内部点検までどう進めるのか

運転停止、状態記録、内部点検、清掃、再試験の順で進めます。
- 異臭、異音、煙、変色、温度上昇を確認する
- 運転を止めて再始動禁止を周知する
- 入口金網と周囲を清掃前に撮影する
- 設備責任者と保守事業者へ連絡する
- 入口金網を外し内部の堆積状況を点検する
- 製造者の方法で清掃し必要な測定を行う
- 管理下で始動して冷却状態と負荷を確認する
運転を止めている間は、非常電源を受ける消防用設備への影響を確認します。
必要に応じて巡回、火気制限、代替電源、所轄消防署への相談を組み合わせます。
エアブローや掃除機の使用可否、清掃方向、養生、分解範囲は機種で異なります。
施設担当者だけでカバーや端子部を開放せず、設備を把握した保守事業者へ引き継ぎます。
掃除する前の写真を残します。
停止中の安全措置も決めましょう。
入口金網だけを清掃すると何を見落とすのか

入口金網がきれいになっても、内部に入り込んだ塵埃は残ることがあります。
冷却風が通る面積が小さくなれば、外観上は正常でも内部温度が上がるおそれがあります。
- 入口金網の清掃だけで復旧扱いにする
- 内部のコイルや鉄心を確認しない
- 塵埃が入った原因を調べない
- 油分を含む付着物を乾いたほこりと同じに扱う
- 清掃前の堆積範囲を記録しない
- 絶縁状態や温度上昇を確認しない
- 無負荷で回っただけで復旧を判断する
周囲の工事、フィルター不良、換気経路の変更、保管物の増加など、塵埃が入った原因も確認します。
入口がきれいという理由だけで正常と決めず、内部の堆積と冷却状態まで確認します。
金網を掃除するだけでは終わりやないんですね。
内部と侵入原因まで確認します。
明日から発電機内部の汚損にどう備えるのか

平常時から、入口金網、機械室の清掃状態、換気口、保管物、工事予定を同じ条件で記録します。
正常時と比較できる写真と測定値があれば、災害後の変化を早く見つけられます。
- 冷却空気入口と出口の位置を図面で確認する
- 正常時の入口金網と機械室を撮影する
- 粉じんが出る工事と清掃予定を設備担当へ共有する
- 入口から離して保管物と仮設物を配置する
- 内部点検と清掃を依頼する事業者を決める
- 停止中の代替電源と安全措置を決める
- 内部点検から再試験と復旧承認まで訓練する
発見、停止、代替措置、内部点検、清掃、再試験、復旧承認までをBCPへ組み込みます。
消防計画の初動とBCPの事業継続をつなぐ担当者も決めます。
正常時の写真を確認票へ入れます。
迷わない停止手順にしておきましょう。
よくある質問
まとめ
入口だけで判断せず内部を確認します。
冷却風通路と復旧条件を一式で確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 総務省消防庁 自家発電設備の基準 昭和48年消防庁告示第1号
- 総務省消防庁 別表第24 非常電源 自家発電設備の点検の基準
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検要領 第24 非常電源 自家発電設備
- 総務省消防庁 自家発電設備の点検方法に関する改善案 資料4-3
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。発電機内部への塵埃の堆積を確認した場合は、自己判断で分解、清掃、始動、運転継続をせず、設備仕様を把握した専門業者へ相談してください。個別の点検、清掃、絶縁測定、再始動、負荷試験、代替措置、復旧判断は、設備の仕様と施設の運用状況に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。





