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非常警報設備の試験結果報告書にはどんな数字が入るのか|増幅器と起動装置の記載例を解説

非常警報設備の試験結果報告書にどんな数字が入るのかを示すアイキャッチ

非常警報設備(放送設備)の設置工事が完了すると、試験結果報告書を作成して消防長や消防署長へ届け出ます。
この報告書には、増幅器やスピーカーの仕様欄と、起動装置や操作部の実測値を書き込む欄が並んでいます。
基準を満たしているかどうかの合否だけでなく、現場で実際にどんな数字が入るのかまで記録される書類です。
今回は非常警報設備の試験結果報告書に実際にどんな数字が書き込まれるのか、増幅器と起動装置の記載例を解説します。

非常警報設備の試験結果報告書って、合否だけが書いてあるんですか?

いえ、増幅器やスピーカーの数値そのものまで書き込むんですよ。

数値まであるなら、起動装置の個数なんかも細かく書くんですね。

はい、発信機を起動装置に使った場合の個数まで分かる作りです。

この記事の結論
  • 非常警報設備(放送設備)の試験結果報告書は別記様式第15①で作成する
  • 増幅器の欄には型式・定格電圧・定格出力を記入する。記載例はPA-2440型相当・AC100V/DC24V・240W
  • スピーカーの欄には種類・音圧・施設方式ごとの個数を記入する。記載例はホーン型3個・コーン型55個
  • 起動装置の「その他」欄には自動火災報知設備の発信機12個を記入でき、操作部の高さは1.4m
  • 試験結果報告書は消防検査で設計図書と照合される

非常警報設備の試験結果報告書の記載項目を示す図解

非常警報設備の試験結果報告書はどんな書類なのか

試験結果報告書のクリップボードとスーパーマーケットの建物
非常警報設備の設置に係る工事が完了すると、届出のときに試験結果報告書を確認します。
どんな様式に何を書くかは、設備ごとに消防庁長官が定めています。
問1 非常警報設備の試験結果報告書には、どのような書類として作成するか。
答1 第一項第一号の規定による消防用設備等試験結果報告書の様式は、消防用設備等ごとに消防庁長官が定める。(消防法施行規則第31条の3第5項)
非常警報設備にも専用の様式が用意されています。
様式の名前は別記様式第15①で、冒頭に用途・収容人員・延べ面積・階数を書く欄があり、続けて非常ベル・自動式サイレンの機器欄と放送設備の機器欄が並ぶ構成になっています。
記載例では、用途欄にスーパーマーケット、延べ面積4,400㎡、地上5階地階1階、収容人員660名という設定が記入されており、放送設備の欄に増幅器やスピーカーの数字が書き込まれています。
つまりこの1枚は、増幅器やスピーカーという機器の仕様だけでなく、どんな建物に設置されたかまで示す書類だということです。

うちのスーパーの規模まで、報告書に書かれているんですね。

はい、延べ面積や収容人員まで欄が分かれているんです。

増幅器の仕様欄にはどんな数値が入るのか

増幅器のラックユニットと銘板
報告書の放送設備の欄には、増幅器の仕様を書く欄が並んでいます。
銘板どおりの数値を、決まった項目に沿って書き込む欄です。
問2 非常警報設備の試験結果報告書には、増幅器についてどのような事項を記載するか。
答2 別記様式第15の増幅器の欄には型式、定格電圧(AC・DC)、定格出力を記入し、操作部の欄には放送区分及び回線数を記入する。(消防用設備等試験結果報告書の様式を定める件(平成元年12月1日消防庁告示第4号、最終改正 令和2年4月1日消防庁告示第2号)別記様式第15)
増幅器の欄には型式・定格電圧・定格出力の3項目を記入します。
記載例では型式はPA-2440型相当、定格電圧はAC100V・DC24V、定格出力は240Wという数値が並びます。
同じ様式の中には操作部の欄もあり、放送区分は「一斉・階別等選択可能」、回線数は6/10という数字が記入されています。
放送区分の欄が「一斉」と「階別等選択可能」の両方を示している点は、建物のどこにでも同じ放送を流せるだけでなく、階ごとに絞った放送もできる増幅器だということを表しています。

回線数まで報告書に書くとは思っていませんでした。

はい、放送区分と回線数まで確かめられる作りです。

スピーカーの種類と個数はどう記載されるのか

ホーン型スピーカーと天井埋込型スピーカー
報告書のスピーカーの欄には、配線方式・種類・音圧・施設方式ごとの個数を書く欄が並んでいます。
建物のどこにどんなスピーカーを何個設けたかを、数え上げて記入する欄です。
問3 スピーカーの欄には、どのような事項を記載するか。
答3 別記様式第15のスピーカーの欄には配線方式(2線式・3線式)、型式、スピーカーの種類(ホーン型・コーン型・その他)ごとの個数、音圧(L級・M級・S級)ごとの個数、施設方式(壁掛型・埋込型・その他)ごとの個数を記入する。(消防用設備等試験結果報告書の様式を定める件別記様式第15)
配線方式・種類・音圧・施設方式の4つの区分ごとに個数を数えて書きます。
記載例では配線方式は3線式が選ばれ、スピーカーの種類はホーン型3個・コーン型55個の合計58個です。
音圧の区分ではL級41個・M級17個、施設方式では壁掛型8個・埋込型50個という数字が記入されています。
音圧の区分がL級・M級・S級のどれになるかは放送区域の面積で決まる基準がありますが、報告書ではその区分ごとに実際に何個設けたかまで数えて書く欄になっている、という点がこの様式の特徴です。

壁掛型と埋込型を分けて数えるのは、なぜですか?

設置方法ごとの内訳まで検査で確かめるためです。

起動装置と操作部の高さはどう記載されるのか

起動装置の押しボタンと自動火災報知設備の発信機
報告書には起動装置の欄と、外観試験の中に操作部の床面からの高さを書く欄があります。
起動装置は非常警報設備専用の押しボタンだけとは限りません。
問4 起動装置と操作部の欄には、どのような事項を記載するか。
答4 起動装置(自動火災報知設備を除く。)の欄には押しボタン、非常電話、その他の個数を記入し、外観試験の操作部の欄には床面からの高さを記入する。(消防用設備等試験結果報告書の様式を定める件別記様式第15)
起動装置の「その他」欄には、自動火災報知設備の発信機を記入できます。
記載例では、押しボタンに加えてその他の欄に自動火災報知設備の発信機12個という数字が記入され、操作部の床面からの高さの欄には1.4mという数字が記入されています。
非常警報設備の起動装置は各階の各部分から歩行距離50m以下、床面からの高さ0.8m以上1.5m以下の箇所に設けること、操作部及び遠隔操作器の操作スイッチは床面からの高さ0.8m(いすに座って操作するものは0.6m)以上1.5m以下の箇所に設けることが基準として定められており(消防法施行規則第25条の2第2項第二号の二・第三号ハ(ホ))、記載例の1.4mはこの範囲に収まっています。
操作部及び遠隔操作器は起動装置又は自動火災報知設備の作動と連動して作動した階又は区域を表示できるものであることも基準として定められており(同項第三号ハ(ヘ))、これが自動火災報知設備の発信機を非常警報設備の起動装置として活用できる根拠になっています。

つまり、自火報の発信機を非常放送のボタン代わりにもできるんですね。

はい、作動した階を表示できることが条件です。

試験結果報告書は消防検査でどう使われるのか

チェックリストと設計図面と虫眼鏡
試験結果報告書は、作成して提出すれば終わりの書類ではありません。
消防長又は消防署長が検査を行う際に照合される資料でもあります。
問5 試験結果報告書は、消防検査でどのように扱われるか。
答5 検査は、防火対象物の関係者から提出された消防用設備等設置届出書(当該届出書に添付された設計図書、試験結果報告書を含む。)と照合しながら行うこと。(消防庁「消防用設備等の試験基準に係る運用について」(平成14年9月30日消防予第283号)3 検査の実施について)
届出のときに添付した設計図書と、試験結果報告書の数字を突き合わせながら検査は行われます。
消防長又は消防署長は、届出があったときに技術上の基準に適合しているかどうかを検査しなければならないと定められています(消防法施行規則第31条の3第2項)。
操作部又は遠隔操作器のうち一つは防災センター等に設けること、一の防火対象物に二以上の操作部又は遠隔操作器があるときはそれらの間で同時に通話できる設備を設けることも基準として定められており(同項第三号ハ(ル)・(ヲ))、報告書に並ぶ数字だけでなく機器の配置そのものが検査で確かめられる対象になっています。
記載例のようにPA-2440型相当・240W・発信機12個・操作部1.4mといった数字がすべて揃っていても、設計図書と食い違っていれば検査はそこで止まります。

数字が合っていれば、それだけで検査は通るんですか?

いえ、設計図書との一致まで確かめられます。

よくある質問

Q非常警報設備の試験結果報告書はどの様式を使いますか?
A消防庁長官が定める別記様式第15①を使います。冒頭に用途・収容人員・延べ面積・階数を記入する欄があります。
Q増幅器の仕様欄には何を書きますか?
A型式・定格電圧・定格出力を記入します。記載例はPA-2440型相当・AC100V/DC24V・240Wです。
Qスピーカーの個数はどう記載されますか?
A種類・音圧・施設方式ごとに個数を記入します。記載例はホーン型3個・コーン型55個の合計58個です。
Q自動火災報知設備の発信機を非常警報設備の起動装置に使えますか?
A起動装置の「その他」欄に記入すれば活用できます。作動した階を表示できることが条件です。

まとめ

試験結果報告書は別記様式第15①で作成する
増幅器の欄には型式・定格電圧・定格出力を記入する
記載例の増幅器はPA-2440型相当・AC100V/DC24V・定格出力240W
スピーカーの欄には種類・音圧・施設方式ごとの個数を記入する
記載例はホーン型3個・コーン型55個で壁掛型8個・埋込型50個
起動装置の高さは0.8m以上1.5m以下、操作部は0.8m(いす使用時0.6m)以上1.5m以下が基準
試験結果報告書は消防検査で設計図書と照合される

報告書の数字がどこまで検査で見られるかがよく分かりました。

試験結果報告書の作成までお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第25条の2(非常警報設備に関する基準)
  • 消防法施行規則第31条の3(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)
  • 消防用設備等試験結果報告書の様式を定める件(平成元年12月1日消防庁告示第4号、最終改正 令和2年4月1日消防庁告示第2号)別記様式第15
  • 消防庁「消防用設備等の試験基準に係る運用について」(平成14年9月30日消防予第283号)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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