加圧防排煙設備の試験結果報告書には、排煙機と給気機の性能を示す数値がそれぞれ違う単位で記載されます。
常用電源・非常電源・耐震措置の欄にも、建物ごとに異なる具体的な数値が並びます。
加圧式消火活動拠点の区画面積も、実は階ごとに書き分けられていることがあります。
この記事では試験結果報告書の記載例をもとに、報告書に並ぶ実測値の読み方を条文から解説します。
加圧防排煙設備の試験結果報告書を見ても、排煙機と給気機で数値の単位が違っていて戸惑いました。
これはどういうことでしょうか。
はい、加圧防排煙設備は排煙機と給気機で確かめる物理量が違うため単位も変わります。
順に見ていきましょう。
加圧式消火活動拠点の面積の欄も、階ごとに数字が違っていました。
これも建物によって決まっているんですか。
そのとおりで、階ごとの間取りに合わせて区画の面積は書き分けられます。
結論からまとめておきますね。
- 加圧防排煙設備の試験結果報告書には排煙機・給気機・電源・耐震措置・加圧式消火活動拠点の実測値を記載する
- 排煙機の性能は防煙区画の床面積で決まる基準に沿って立方メートル毎分の数値で記載する
- 給気機の性能は排煙機とは異なりメートル毎秒の数値で記載する
- 加圧式消火活動拠点の区画面積は階ごとに備考欄へ書き分けて記載する
- 試験結果は消防長又は消防署長の検査に使われる
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目次
加圧防排煙設備の試験結果報告書にはどんな実測値が並ぶのか

専用の試験結果報告書に機器ごとの実測値を記入します。
この報告書には、排煙口・排煙用の風道・排煙機・給気口・給気用の風道・給気機・起動装置・電源・耐震措置・加圧式消火活動拠点という機器ごとの試験結果を記入する欄が並びます。
設置場所や構造・材質のように文章で記入する欄もあれば、排煙機や給気機の性能のように具体的な数値で記入する欄もあります。
同じ「性能」という項目でも、機器によって確かめている物理量そのものが違うため、記入される数値の単位まで変わってきます。
このあと、性能の数値がどのような基準で決まり、実際の報告書にどう記載されるのかを機器ごとに見ていきます。
報告書に並ぶ欄がたくさんあって、どこから見ればいいのか迷います。
まず何を確認すればいいですか。
まずは排煙機と給気機の性能の欄から見ていきましょう。
実は同じ「性能」でも記載される単位が違います。
排煙機の性能はなぜ防煙区画の床面積で決まる基準式で確かめるのか

具体的な立方メートル毎分の数値が記入されます。
床面積が250平方メートル未満の防煙区画では床面積に応じた量、250平方メートル以上750平方メートル未満では区画の大きさによらず一律250立方メートル毎分、750平方メートル以上では床面積の3分の1という異なる計算式が使われます。
試験結果報告書の記載例では、屋上に設置された排煙機の性能が258立方メートル毎分と記入されており、どの区分の基準を満たしているかをこの数値で確認できます。
排煙機の設置場所や構造・材質の欄も具体的に記入するきまりで、記載例では屋上設置・鋼板製という記入がされています。
基準式は建物ごとの防煙区画の広さに応じて変わるため、同じ加圧防排煙設備でも報告書に並ぶ数値は建物によって異なります。
258立方メートル毎分という数字、うちの建物だと基準を満たしているのか気になります。
どこを見比べればいいですか。
その排煙機が受け持つ防煙区画の床面積と見比べれば分かります。
今度は給気機の性能を見てみましょう。
給気機はなぜ排煙機と違う単位で性能を記載するのか

給気機の性能欄には秒速の数値が記入されます。
排出する空気の量(立方メートル毎分)で足りるかを見る排煙機に対し、給気機は加圧式消火活動拠点と隣接室を仕切る遮煙開口部を一定の幅で開けたときに、そこを通り抜ける空気の速さ(メートル毎秒)で煙の逆流を防げるかを見ます。
試験結果報告書の記載例では、1階のダクトスペース内に設置された給気機の性能が5.28メートル毎秒と記入されています。
同じ「加圧防排煙設備の性能」でも、排煙機と給気機とでは確かめたい現象が違うため、報告書に並ぶ数値の単位まで変わってきます。
点検報告書を見るときは、この単位の違いがどちらの機器の欄かを見分ける手がかりになります。
立方メートル毎分とメートル毎秒、同じ「性能」でもこんなに違うんですね。
単位を見れば機器の役割まで分かるんですね。
そのとおりです。
次は加圧式消火活動拠点の区画面積を見てみましょう。
加圧式消火活動拠点の区画面積はなぜ階ごとに書き分けるのか

下限の基準はあっても一律の面積は決まっていません。
基準では床面積が10平方メートル以上であればよく、上限は定められていません。
試験結果報告書の備考欄には階ごとの拠点区画の面積が個別に記入されており、記載例では地下1階が30平方メートル、1階から5階までが25平方メートル、6階から10階までが22平方メートルと、階によって異なる面積が並んでいます。
同じ建物のなかでも階段室に近い部分の間取りは階ごとに違うため、拠点区画の面積は一律ではなく実際の設計に合わせて書き分けられます。
点検の際は、この備考欄に記入された面積が基準の10平方メートルを下回っていないかも確認しておくと安心です。
拠点区画の面積が階ごとに違うなんて知りませんでした。
備考欄までちゃんと見たほうがよさそうですね。
そのとおりです。
最後にこの試験結果がどう扱われるか見ていきましょう。
試験結果は消防検査でどう扱われるのか

書いて終わりではありません。
消防法第17条の3の2はこの届出とあわせて検査を受けることを義務づけており、消防法施行規則第31条の3第2項は消防長又は消防署長が設備等技術基準に適合しているかどうかを検査しなければならないと定めています。
排煙機の性能や区画面積の数値がどれだけ細かく実測されていても、届出と検査という手続きを経て初めて設置が確認されたことになります。
検査に適合すると認められたときは、消防長又は消防署長から検査済証が交付されます。
点検のときも、この試験結果報告書に記入された実測値が現在の状態と食い違っていないかを見ておくと、設備の変化にいち早く気づけます。
単位の違いも面積の書き分けも、意味が分かって報告書の見方が変わりました。
今度は自分の建物の報告書を見比べてみます。
そのとおりです。
数字の意味が分かると点検報告書もぐっと読みやすくなります。
よくある質問
まとめ
排煙機と給気機の単位の違い、区画面積の書き分け、どちらもよく分かりました。
報告書を見る目が変わりそうです。
その調子で今後も報告書の数値を確認していきましょう。
加圧防排煙設備のことで迷われたら㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 加圧防排煙設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成21年消防庁告示第16号)第三第四号・第五号・第八号
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の3第1項・第2項・第5項
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の3の2
- e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





