平成19年6月20日、改正建築基準法の施行にあわせて、消防庁予防課長が消防予第243号を出しました。
建築確認に係る消防同意事務の取扱いを、各都道府県の消防防災主管部長と、東京消防庁・指定都市消防長に示した通知です。
確認申請の後で設計図書を直させる慣行が改まり、通知は修正条件を付けた同意を今後行わないと述べています。
この記事では、通知の中身と、現行の条文で確かめられる点を解説します。
建築確認のときに、消防の同意があると聞きました。
通知でやり方が変わったのですか。
はい、平成19年に確認同意事務の取扱いが示されました。
まず、その通知の中身から確かめましょう。
私たちの申請にも関係しますか。
申請の事前相談の考え方に関わります。
順に見ていきます。
- 消防予第243号(平成19年6月20日、消防庁予防課長)は、建築確認に係る消防同意事務の取扱いを示した通知です。
- 通知は、改正建築基準法の確認審査等に関する指針が、誤記や記載漏れなどの軽微な不備を除いて補正を認めないとしたことを述べています。
- 補正できない違反事項があるときは、消防法第7条第2項後段により、同意することができない事由を建築主事等に通知します。
- 通知は、修正条件を付けた同意(条件付同意)を今後行わないと述べています。
- 消防用設備等の詳細が未確定でも、概要で同意を求められることがあり、詳細は関係法令に適合することが明記された図書で審査するなどと、通知は述べています。
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目次
建築確認に併せて行う消防同意の取扱いはなぜ平成19年に見直されたのか

まず、通知の冒頭と、見直しの背景を述べた部分を確かめます。
消防法(略)第7条の規定に基づく建築許可等についての消防長及び消防署長の同意に関する事務のうち建築基準法(略)に基づく建築確認に係るもの(以下「確認同意事務」という。)については、(略)昨年の建築基準法等の改正事項の一部が本日から施行されたことに伴い、以後の確認同意事務の取扱について、特に下記の点に御留意の上、同事務を適正に運営されるようお願いします。
今般の改正建築基準法の施行に併せて、当該改正により追加された同法第18条の3第1項の規定に基づき確認審査等に関する指針(以下「指針」という。)が制定されたところ。当該指針においては、従来みられた申請後の設計図書を補正させた上で確認するという慣行を改め、誤記や記載漏れなどの軽微な不備を除いて補正を認めず、また、計画の変更による差替えや訂正を認めないこととされた。
従来は、申請の後に設計図書を補正させてから確認する慣行がありました。
指針はこれを改め、軽微な不備を除いて補正を認めず、計画の変更による差替えや訂正も認めないとされたと、通知は述べています。
確認審査等に関する指針は、現行の建築基準法にも定められています。
次に、その条文を確かめましょう。
2 国土交通大臣は、前項の指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
3 確認審査等は、前項の規定により公表された第一項の指針に従つて行わなければならない。
同条の第1項は、確認審査等の公正かつ適確な実施を確保するために、国土交通大臣が指針を定めると述べています。
通知は、平成19年の改正で追加された規定を挙げています。
現行の指針の中身は、この記事では確認していないため、通知が述べる当時の内容として読んでください。
申請してから図面を直せばよい、とは言えなくなったのですね。
はい、通知は補正を認めない指針を挙げています。
次に、消防の側の対応を見ましょう。
確認申請に補正できない違反があると消防はどう対応するのか

まず、通知の該当部分を確かめます。
このため、確認同意事務の実施にあたつては、同意を求める建築主事及び指定確認検査機関(以下「建築主事等」という。)が補正を可能とする範囲に留意の上、補正できない違反事項がある場合には、消防法第7条第2項後段の規定に基づき同意することができない事由を建築主事等に通知することとなること。
この場合において、消防長又は消防署長は、同意することができない事由があると認めるときは、これらの期限内に、その事由を当該行政庁若しくはその委任を受けた者又は指定確認検査機関に通知しなければならない。
通知が挙げる根拠は、消防法第7条第2項後段です。
現行の同項後段は、同意することができない事由があると認めるときは、期限内に、その事由を通知しなければならないと定めています。
この期限は、同項の前段が定める同意の期限です。
現行の条文で、その期限を確かめましょう。
| 場合 | 同意の期限(現行の消防法第7条第2項) |
|---|---|
| 建築基準法第6条第1項第3号に係る場合 | 同意を求められた日から3日以内 |
| その他の場合 | 同意を求められた日から7日以内 |
そのため、申請する側は、補正の機会が限られることを前提に、申請の前に不備を洗い出しておく必要があります。
この点は、通知が述べた内容を受けた、この記事の整理です。
建築基準法第93条にも、消防長等の同意の規定が、現行の条文であります。
直せない不備があると、消防が同意できない理由を返すのですね。
はい、同意することができない事由を建築主事等に通知します。
次に、条件を付けた同意の扱いを見ましょう。
修正条件を付けた同意はなぜ今後行わないことになったのか

まず、通知の該当部分を確かめます。
今般の建築確認事務の厳格化に伴い、従来みられた修正条件を付しての同意(以下「条件付同意」という。)を実施した場合、当該修正が建築主事等において対応できず、同意されなかつたものとみなされることが考えられるため、今後は条件付同意を行わないこと。
理由は、修正が建築主事等で対応できず、同意されなかったものとみなされることが考えられるためです。
同じ日の消防予第242号(消防庁次長)は、昭和38年の次長通知から、事後の補正を見込む部分を削っています。
削られた部分を、新旧対照表で確かめましょう。
また、法令の規定に適合しない部分があるにかかわらずそれが事後に補正されることについての確実な保障があることに基づき、便宜上留保を付して同意をしようとする場合においても、その旨を特定行政庁又は建築主事に連絡するとともに、記録にとどめておくものとすること。
通知の4は、今回の改正が、建築確認図書の差替えや訂正を前提とした従来の表現を修正・削除したものだと述べています。
昭和38年の次長通知と、昭和37年の長官通知が、その対象です。
長官通知の消防予第241号でも、旧の第5第2項が削られています。
その中身は、次の章で確かめます。
条件を付けて先に同意をもらう、という進め方は使えないのですね。
はい、通知は今後は行わないと述べています。
次に、詳細が固まる前の申請の扱いを見ましょう。
消防用設備等の詳細が決まる前の申請はどう審査されることになったのか

まず、通知の該当部分を確かめます。
今般、改正前の37年長官通知第5第2項が削除されたところであるが、建築物の計画のうち、消防用設備等については、確認申請当時は未だその概要のみに止まり、工事の進行中にその詳細な設計内容が定まる場合が多く、今後もその概要をもつて同意を求められることがあるものと考えられる。このような場合においては、同意時に消防用設備等の配置や建築構造上の敷設方法等の概要が示され、詳細は関係法令に適合することとなることが明記された図書をもつて審査するなど、新築等完了後において齟齬を生じることのないよう留意すること。
建築物の計画のうち、消防用設備等については、確認申請当時は未だその概要のみに止まり、工事の進行中にその詳細な設計内容が定まる場合が多いので、このような場合においては、概要に基づいて同意を行なうとともに、その明らかとなる時期に設計図書を提出させるよう、建築主事と協議のうえ、指導を行なうことが適当であると考えられること。
通知は、確認申請の当時は概要だけで、工事の進行中に詳細が定まる場合が多いと述べています。
旧の長官通知にあった、概要で同意してから設計図書を提出させる指導の項は、削られました。
通知は、概要が示され、詳細は関係法令に適合することが明記された図書で審査するなど、齟齬を生じないよう留意することを求めています。
申請する側にとっては、この図書の書き方が要点になります。これも、この記事の整理です。
| 読み違えやすい点 | 通知や条文から言えること |
|---|---|
| 確認申請の後で図面を直せば足りるのか | 通知は、指針が誤記や記載漏れなどの軽微な不備を除いて補正を認めないと述べています |
| 条件を付けた同意をもらえば、あとで直せばよいのか | 通知は、条件付同意を今後行わないと述べています |
| 消防同意そのものが要らなくなったのか | 通知は、同意の要否には触れていません。同意の規定は、消防法第7条と建築基準法第93条に現行の条文があります |
| この通知は建築主に向けたものか | 宛先は、都道府県の消防防災主管部長と、東京消防庁・指定都市消防長です |
| 今も同じ運用が続いているのか | 通知は平成19年6月20日付けです。現行の運用は、この通知だけでは分かりません |
建築主に直接の義務を課す通知では、ありません。
一方で、通知の内容は、申請の進め方に影響します。
個別の申請の扱いは、所轄の消防本部と確認申請の窓口で確かめる必要があります。
概要で申請するときは、図書の書き方が大切なのですね。
はい、概要と詳細の関係を図書に明記するのが要点です。
最後に、確認する手順をまとめます。
明日から何を確認すればよいのか

まず、通知の該当部分を確かめます。
今般の建築確認事務の厳格化に伴い、従来みられた確認申請後の設計図書の補正ができないこととなるため、消防機関は確認申請者からの事前相談等の機会を積極的に活用するなど、不備のない確認申請書をもつて円滑に確認同意事務が実施されるよう留意すること。
通知は、消防機関が事前相談等の機会を積極的に活用するよう述べています。
確かめる順番は、次のとおりです。
ここで挙げた確認は、通知が申請者に求めたものではなく、この記事の整理です。
- 建築や用途変更を計画するときは、確認申請の前に、所轄の消防本部で事前相談ができるかを確かめる
- 消防法令の基準に適合するかを、申請図書の段階で洗い出しておく
- 消防用設備等の詳細が未定なら、概要と詳細の関係を図書に明記する
- 条件を付けて先に同意をもらう進め方は、通知が今後行わないとしていると理解しておく
- 現行の運用は、所轄の消防本部と確認申請の窓口で確かめる
相談の方法や書類は、市町村ごとに異なる場合があります。
確認申請の前に、設計者と一緒に、相談の日程を決めておくと進めやすくなります。
迷ったときは、所轄の消防本部に確認してください。
設計者と一緒に、申請の前に消防へ相談してみます。
まず、事前相談の窓口を確かめましょう。
迷ったときは、所轄の消防本部に相談します。
よくある質問
まとめ
事前相談の窓口を、確かめます!
建築確認や消防同意の相談は、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防予第243号「建築確認に係る消防同意事務の取扱について」(平成19年6月20日 消防庁予防課長)
- 消防予第242号「消防法第7条の規定に基づく建築物の確認等に対する同意について」(平成19年6月20日 消防庁次長)
- 消防予第241号「予防行政の運営方針について」(平成19年6月20日 消防庁長官)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第7条 e-Gov法令検索
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)第18条の3、第93条 e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





