住居系の地域に工場を建てたり、建物の使い道を変えたりしたときに、どんな罰則があるのか気になる人は多いのではないでしょうか。
建築基準法第101条には、用途の制限に違反した場合を罰する規定が、いくつかの号に分かれて置かれています。
今回は第101条の第5号と第12号と第13号を、罰せられる人と根拠になる規定に分けて解説します。
用途の制限に違反すると、罰金になることはありますか。
第101条に、100万円以下の罰金の定めがあります。
この記事で、その中身を確認します。
建物の用途を変えた場合も、同じ罰則の対象になりますか。
第12号が、用途を変更した建築物の場合を挙げています。
順番に見ていきましょう。
- 第101条は、各号のいずれかに該当する者を、100万円以下の罰金に処すると定めています。
- 第5号は、第48条の用途の制限と第51条の処理施設の制限に違反した場合の建築主又は築造主を罰する規定です。
- 第12号は、用途を変更する建築物について、第13号は、政令で指定する工作物について、所有者、管理者又は占有者を罰する規定です。
- 第2項の故意の規定は、第3号、第4号、第6号の違反について定めており、第5号は挙げられていません。
- どの行為が違反に当たるかの細かい判断は条文に書かれておらず、個別の事案は建築の窓口で確かめます。
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目次
建築基準法第101条第5号は用途の制限に違反した建築主や築造主をどう罰するのか

(建築基準法第百一条第五号)五 第四十八条第一項から第十四項まで又は第五十一条(これらの規定を第八十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反した場合における当該建築物又は工作物の建築主又は築造主
(建築基準法第四十八条第一項)第一種低層住居専用地域内においては、別表第二(い)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第一種低層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
(建築基準法第四十八条第十四項)第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域又は工業専用地域(以下「用途地域」と総称する。)の指定のない区域(都市計画法第七条第一項に規定する市街化調整区域を除く。)内においては、別表第二(か)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が当該区域における適正かつ合理的な土地利用及び環境の保全を図る上で支障がないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
(建築基準法第五十一条)都市計画区域内においては、卸売市場、火葬場又はと畜場、汚物処理場、ごみ焼却場その他政令で定める処理施設の用途に供する建築物は、都市計画においてその敷地の位置が決定しているものでなければ、新築し、又は増築してはならない。ただし、特定行政庁が都道府県都市計画審議会(その敷地の位置を都市計画に定めるべき者が市町村であり、かつ、その敷地が所在する市町村に市町村都市計画審議会が置かれている場合にあつては、当該市町村都市計画審議会)の議を経てその敷地の位置が都市計画上支障がないと認めて許可した場合又は政令で定める規模の範囲内において新築し、若しくは増築する場合においては、この限りでない。
第48条第1項から第14項までは、用途地域ごとに、建築してはならない建築物を定めています。
たとえば第1項は、第一種低層住居専用地域内では、別表第二(い)項に掲げる建築物以外の建築物を建築してはならないと定めています。
第14項は、用途地域の指定のない区域(市街化調整区域を除く)について、別表第二(か)項に掲げる建築物を建築してはならないと定めています。
どの項も、特定行政庁が許可した場合は、ただし書によって制限の外に置かれます。
第51条は、都市計画区域内で、卸売市場、火葬場、と畜場、汚物処理場、ごみ焼却場などの用途に供する建築物を、都市計画で敷地の位置が決定しているものでなければ、新築し、又は増築してはならないと定めています。
第5号の「築造主」とは、誰のことですか。
条文は「建築主又は築造主」と書くだけで、築造主の意味は第101条には書かれていません。
個別の事案は、建築の窓口で確かめます。
第12号は用途を変更した既存の建築物の所有者や管理者や占有者をどう罰するのか

(建築基準法第八十七条第二項)建築物(次項の建築物を除く。)の用途を変更する場合においては、第四十八条第一項から第十四項まで、第五十一条、第六十条の二第三項及び第六十八条の三第七項の規定並びに第三十九条第二項、第四十条、第四十三条第三項、第四十三条の二、第四十九条から第五十条まで、第六十条の二の二第四項、第六十条の三第三項、第六十八条の二第一項及び第五項並びに第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の規定を準用する。
(建築基準法第八十七条第三項)第三条第二項の規定により第二十七条、第二十八条第一項若しくは第三項、第二十九条、第三十条、第三十五条から第三十五条の三まで、第三十六条中第二十八条第一項若しくは第三十五条に関する部分、第四十八条第一項から第十四項まで若しくは第五十一条の規定又は第三十九条第二項、第四十条、第四十三条第三項、第四十三条の二、第四十九条から第五十条まで、第六十八条の二第一項若しくは第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の規定(次条第一項において「第二十七条等の規定」という。)の適用を受けない建築物の用途を変更する場合においては、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これらの規定を準用する。
一増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替をする場合
二当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるものであつて、かつ、建築物の修繕若しくは模様替をしない場合又はその修繕若しくは模様替が大規模でない場合
三第四十八条第一項から第十四項までの規定に関しては、用途の変更が政令で定める範囲内である場合
第87条第2項は、建築物の用途を変更する場合に、第48条第1項から第14項までと第51条などを準用すると定めています。
第87条第3項は、第3条第2項の規定で第27条や第48条第1項から第14項までなどの適用を受けない建築物の用途を変更する場合について、原則としてこれらの規定を準用すると定めています。
ただし、増築や大規模の修繕などをする場合や、政令で指定する類似の用途相互間の変更などの場合は、第3項の準用から除かれるとされています。
第5号が建築主又は築造主を挙げるのに対し、第12号は所有者、管理者又は占有者を挙げています。
用途を変更した場合の罰則の対象は、建築主ですか。
第12号は、建築物の所有者、管理者又は占有者と書いています。
第5号の建築主とは、書き分けられています。
第13号は用途の制限が及ぶ工作物の所有者や管理者や占有者をどう罰するのか

第88条第2項は、製造施設、貯蔵施設、遊戯施設等の工作物で政令で指定するものについて、第48条から第51条までや第87条第2項、第3項などを準用すると定めています。
第5号は、罰する相手を建築物又は工作物の建築主又は築造主と書き、かっこ書きで第88条第2項で準用する場合を含むとしています。
どの工作物が政令で指定されているかは、第101条にも第88条第2項にも書かれていません。
煙突や昇降機も、この罰則の対象ですか。
第88条第1項は煙突や昇降機などを、第2項は製造施設や貯蔵施設などを挙げており、第13号が挙げるのは第2項の準用です。
個別の工作物は、建築の窓口で確かめます。
第2項の故意の規定は第5号にも及ぶのか

(建築基準法第百一条第五号)五 第四十八条第一項から第十四項まで又は第五十一条(これらの規定を第八十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反した場合における当該建築物又は工作物の建築主又は築造主
第2項が挙げているのは、第3号、第4号、第6号です。
第5号は、そもそも罰する相手が建築主又は築造主とされており、第2項の号の一覧には含まれていません。
第12号と第13号も、第2項の号の一覧には含まれていません。
第2項に挙がっていなくても、第5号で建築主は罰せられますか。
第5号は、建築主又は築造主を直接の対象として挙げています。
第2項は、設計者や工事施工者の違反が建築主の故意によるときの規定です。
第5号と第12号と第13号の違いを整理すると何が分かるのか

| 号 | 罰せられる人 | 根拠となる規定 |
|---|---|---|
| 第5号 | 建築物又は工作物の建築主又は築造主 | 第48条第1項から第14項まで、第51条(第88条第2項で準用する場合を含む) |
| 第12号 | 建築物の所有者、管理者又は占有者 | 第87条第2項又は第3項で準用する第28条第1項、第48条第1項から第14項まで、第51条 |
| 第13号 | 工作物の所有者、管理者又は占有者 | 第88条第2項で準用する第87条第2項又は第3項で準用する第48条第1項から第14項まで、第51条 |
| 第2項 | 設計者や工事施工者を罰するほか建築主等にも同項の刑 | 第1項第3号、第4号、第6号に規定する違反が建築主等の故意によるとき |
ただし、第2項は、第1項の刑と同じ刑を建築主等にも科す規定です。
これらは建築基準法の罰則であり、消防法令の罰則とは別の規定です。
また、どの行為が違反に当たるか、誰が築造主に当たるかは、条文には書かれていません。
建物の用途を決めたり変えたりするときは、こうした罰則があることを頭に入れておくと安心です。
明日から、次の点を確認してください。
- 建物を建てる地域の用途地域を、建築の窓口で確かめる。
- 建物の用途を変えるときは、第87条の準用があるかを建築の窓口で確かめる。
- 煙突や昇降機などの工作物は、政令で指定されているかを確かめる。
- 第51条の処理施設に当たる建築物は、都市計画での敷地の位置を確かめる。
- 消防法令の義務は別の規定なので、所轄消防署へ確かめる。
整理はできました。
現場では、何から確かめればよいですか。
まず、その敷地の用途地域と用途の制限を確認しましょう。
消防法令の義務は、所轄消防署に別に確かめます。
よくある質問
まとめ
用途の制限を破ると罰金になる場合がよく分かりました。
まず、用途地域を確認します!
建築の罰則と消防の罰則は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第四十八条・第五十一条・第八十七条・第八十八条・第百一条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。罰則の適用は事案ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





