無線通信補助設備は地下街や高層階など消防隊の無線が届きにくい場所に設ける設備です。
保護箱や端子はよく点検されますが、増幅器や分配器等、空中線は目が向きにくい部分です。
点検要領ではこの三つにもそれぞれ設置場所や性能に関する基準が定められています。
この記事では増幅器・分配器等・空中線の点検基準と、点検票への記入の流れを確認します。
無線通信補助設備は地下街にあると聞いたことがあります。
ただ増幅器や分配器までは意識したことがありませんでした。
実は増幅器にも分配器にも、それぞれ設置場所の基準があるんですよ。
まずは増幅器から見ていきましょう。
増幅器の設置場所にも基準があるとは知りませんでした。
はい、防災センターのような部屋か耐火性能のあるパイプシャフト等に限られています。
詳しく確認していきましょう。
- 増幅器は防災センター等の耐火区画か耐火性能のあるパイプシャフト等に設置する
- 分配器等は接続部分の緩みとゴムパッキンの劣化、防水措置を点検で確認する
- 空中線は通行上及び避難上障害にならない場所であることを確認する
- 増幅器・分配器等・空中線は保護箱や端子より見落とされやすい
- 点検票には種別・容量等の内容欄に設置場所等を記入し、不良があれば不良内容欄と措置内容欄に記入する
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目次
増幅器はどこに設置してよいのか

まずは増幅器そのものの設置基準を確認します。
ひとつは防災センターや中央管理室のように、壁・床・天井が不燃材料で造られ、開口部に建築基準法第2条第9号の防火設備を設けた室です。
もうひとつは耐火性能を有するパイプシャフト等で、どちらも火災の熱や煙から機器を守れる場所に限られています。
開放された廊下やオープンな棚の上のように、誰でも手が届き熱の影響も受けやすい場所には設置できません。
点検ではまず増幅器がどちらの設置場所に収まっているかを確認します。
うちの増幅器は防災センターの中にあるので大丈夫そうです。
それなら基準を満たしていますね。
次は分配器等を見てみましょう。
分配器等の点検ではなにを確認するのか

増幅器とは違う視点で確認していきます。
まず接続部分に緩みや損傷がないかを確認します。
次にゴムパッキン等が劣化していないかを見ます。
最後に防水措置に異常がないかを確認し、接続部分から湿気が入り込んでいないかを判断します。
分配器等は什器の裏や天井付近に隠れていることが多く、見落としやすい部品のひとつです。
ゴムパッキンまで見るんですね。
はい、小さな劣化が通信不良につながることもあります。
次は空中線を見てみましょう。
空中線はなぜ通行の妨げにならない場所に設けるのか

性能だけでなく通行への配慮も点検の対象です。
変形や損傷、著しい腐食がないかをまず目視で確認します。
あわせて通行上及び避難上障害にならない場所に設けられているかも判定基準の一つです。
機械的な損傷を受けるおそれがある場所に設ける場合は、適切な防護措置がされているかもあわせて確認します。
性能に問題がなくても、通路をふさいでいればその時点で点検結果は不良になります。
うちの空中線、通路の上の方に出ているかもしれません。
一度高さと位置を確認しておくと安心です。
次はなぜ見落とされやすいのかを整理しましょう。
なぜこの三つは点検で見落とされやすいのか

見落とされやすい理由を整理します。
- 増幅器は防災センター内やパイプシャフトの中に収まっていることが多く、扉を開けないと目に入りません。
- 分配器等は什器の裏や天井際に取り付けられ、周囲の物に隠れがちです。
- 空中線は通路から離れた高い位置に設けられることが多く、見上げないと気づきません。
いずれも平成14年消防予第172号第22の機器点検の対象であることに変わりはなく、保護箱や端子と同じように毎回確認する必要があります。
点検の際は、系統図であらかじめ設置位置を把握してから現場を回ると見落としを防げます。
三つとも、点検票の種別・容量等の内容欄に設置場所を書き残しておくと、次回の点検がぐっと楽になります。
言われてみれば、うちも増幅器がどこにあるか把握していません。
今のうちに系統図で場所を確認しておきましょう。
最後に点検票の書き方を見ていきます。
点検票にはどう記入すればよいのか

様式の決まりを確認します。
点検票の種別・容量等の内容欄には、機器ごとの設置場所や個数などを記入します。
判定欄は、正常であれば○、不良であれば×を記入し、不良内容欄にその内容を書きます。
実際に修理や調整を行った場合は、措置内容欄にその対応を記入します。
増幅器・分配器等・空中線についても、保護箱や端子と同じ様式の中で記録していきます。
なるほど、○×だけでなく内容も書くんですね。
はい、次に点検する人が状況をすぐ分かるようにするためです。
よくある質問
まとめ
増幅器や分配器まで、こんなに細かい基準があるとは思いませんでした!
見えにくい部分こそ、点検票への記録が頼りになります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令第29条の3(無線通信補助設備に関する基準)
- 消防法施行規則第31条の2の2(無線通信補助設備に関する基準の細目)
- 消防庁「消防用設備等の点検要領の全部改正について」(平成14年消防予第172号)第22 無線通信補助設備 機器点検
- 消防庁「消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件」(昭和50年消防庁告示第14号)別記様式第22
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





