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大阪市で誘導灯の点滅機能と音声誘導機能はどんな建物に求められるのか|対象と起動停止を解説

大阪市で誘導灯の点滅機能と音声誘導機能はどんな建物に求められるのかを解説する記事のアイキャッチ

商業施設や福祉施設の出口で、火災のときに光を点滅させ、音声で出口の場所を知らせる誘導灯を見かけることがあります。
国の消防法施行規則第28条の3第4項第6号は、この点滅機能と音声誘導機能を付けるときの条件を定めていますが、どの建物に付けるかは挙げていません。
大阪市消防局の消防用設備等の設置に係る運用基準は、誘導灯及び誘導標識の節で、設置を推進する建物と設置が望ましい建物を挙げ、起動と停止の方法を定めています。
この記事では、国の基準と大阪市の運用を分けて整理し、対象の建物と起動・停止の読み方、東大阪市や堺市の基準との違いを確かめます。

大阪市内の商業ビルで防火管理者をしています。
誘導灯の更新で、点滅と音声の機能を勧められました。

大阪市の運用基準には、設置を推進する建物と望ましい建物が並んでいます。
まず、当てはまる建物かどうかを確かめましょう。

法令上の義務とは違うのですか。
付けたあとの動かし方にも決まりがあるのでしょうか。

この項目は◆印で、大阪市の凡例では行政指導基準に当たります。
国の基準、対象の建物、起動、停止の順に読むと整理できます。

この記事の結論
  • 国の消防法施行規則第28条の3第4項第6号は、点滅機能と音声誘導機能を、屋内から直接地上へ通ずる出入口と直通階段の出入口の避難口誘導灯にだけ設けられるとし、起動と停止の条件を定めています
  • 大阪市の運用基準は、誘導灯及び誘導標識 第2の4で、設置を推進する建物を3つ、設置が望ましい建物を5つ挙げています
  • この項目には◆印が付いていて、大阪市の凡例では行政指導基準に当たります
  • 起動は自動火災報知設備の節の鳴動方式を、停止は自動火災報知設備と避難器具の節を開かないと読み切れません
  • 放送が行われるときの音声誘導は、大阪市と東大阪市が自動的に停止を原則とするのに対し、堺市は停止させないこととしています

▼

誘導灯の点滅機能と音声誘導機能の決まりを消防法施行規則から大阪市の運用基準と別の節の基準へたどる流れを示す図解

国の基準は点滅機能と音声誘導機能をどこまで決めているのか

扉の上に緑色の灯火の箱と点滅灯とスピーカーが付いたイラスト
まず、国の基準を整理します。
点滅機能と音声誘導機能の決まりは、消防法施行規則第28条の3第4項第6号に置かれています。
消防法施行規則第二十八条の三第四項第六号 六 誘導灯に設ける点滅機能又は音声誘導機能は、次のイからハまでに定めるところによること。
イ 前項第一号イ又はロに掲げる避難口に設置する避難口誘導灯以外の誘導灯には設けてはならないこと。
ロ 自動火災報知設備の感知器の作動と連動して起動すること。
ハ 避難口から避難する方向に設けられている自動火災報知設備の感知器が作動したときは、当該避難口に設けられた誘導灯の点滅及び音声誘導が停止すること。
第6号は付けるときの条件を定めた号です。
イの「前項第一号イ又はロ」は、屋内から直接地上へ通ずる出入口と、直通階段の出入口を指します。
居室から廊下へ出る出入口の避難口誘導灯や、通路誘導灯には、点滅機能も音声誘導機能も設けてはならないことになります。
ロは起動、ハは停止の条件で、どちらも自動火災報知設備の感知器が合図になります。
ハは、逃げる先で感知器が作動したときに、その出口へ人を呼び込まないための決まりだと読めます。
一方で、第6号は、どの建物に付けなければならないかを挙げていません。
同じ第4項の第3号は、令別表第1(10)項、(16の2)項又は(16の3)項の防火対象物などに設置する避難口誘導灯を、A級又はB級のもので、表示面の明るさが20以上のもの又は点滅機能を有するものに限っています。
機器そのものの性能は、誘導灯及び誘導標識の基準(平成11年消防庁告示第2号)が、点滅周期や音声誘導音について定めています。
自分の建物の誘導灯に点滅や音声の機能があるときは、まず付いている出口が第6号イの出口かどうかを確かめます。

国の決まりは、付けてよい出口と動かし方の条件なのですね。
では、付けるかどうかは何を見て判断するのでしょうか。

大阪市の場合は、運用基準が対象の建物を挙げています。
次に、その中身を確かめましょう。

大阪市はどんな建物に点滅機能と音声誘導機能を求めているのか

福祉施設と百貨店と共同住宅の建物が並んだイラスト
大阪市の運用基準は、第3章 第2節 誘導灯及び誘導標識の第2 避難口誘導灯の4に、点滅機能及び音声誘導機能の項目を置いています。
見出しには◆印が付いています。
大阪市の凡例では、無印は法令基準(法令解釈基準を含む)、◆は行政指導基準を表します。
項目は、(1)設置推進防火対象物、(2)設置することが望ましい防火対象物、(3)設置方法の3つに分かれています。
(1)の原文は次のとおりです。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第2節 誘導灯及び誘導標識 第2 避難口誘導灯 4(1) 次に掲げる防火対象物又はその部分のうち、自動火災報知設備を設置しているもので、主要な避難口に避難口誘導灯を設置する場合は、原則として、利用者又は設置場所の状況に応じて、点滅機能、音声誘導機能又は点滅・音声誘導機能を有するものとすること。なお、ウに設置するものにあっては、点滅機能又は点滅・音声誘導機能を有するものとすること
ア 令別表第1(6)項ロ、ハ及びニに掲げる防火対象物のうち、視力又は聴力の弱い者が出入りするものでこれらの者の避難経路となる部分
イ 令別表第1に掲げる防火対象物で、視力又は聴力の弱い者が常時出入りし、これらの者の避難経路となる部分
ウ 令別表第1に掲げる防火対象物のうち、不特定多数の者が出入りする防火対象物で雑踏あるいは照明看板等により誘導灯を容易に識別しにくい部分
前提は自動火災報知設備があることです。
点滅も音声誘導も火災信号を受けて動く機能なので、自動火災報知設備を設置している建物で、主要な避難口に避難口誘導灯を置く場合が対象です。
「主要な避難口」は、運用基準の第1 用語の意義で、国の規則第28条の3第3項第1号イ又はロに規定する出入口と定義されています。
アは(6)項ロ、ハ及びニの建物のうち視力又は聴力の弱い人が出入りするもの、イは用途を問わず視力又は聴力の弱い人が常時出入りする部分です。
ウは、雑踏や照明看板等で誘導灯を識別しにくい部分で、ここは点滅機能又は点滅・音声誘導機能を有するものに限られています。
(2)の設置することが望ましい防火対象物は、(1)に掲げるものを除く次の5つで、こちらは「努めて点滅・音声誘導機能を有するものとすること」という書き方です。
項目対象規模
ア(1)項、(2)項ロ、(3)項ロ、(4)項、(5)項イ、(6)項、(7)項、(8)項、(9)項ロ、(10)項、(13)項イ、(15)項(スポーツ施設に限る)及び(16の2)項に掲げる防火対象物延べ面積が1,000平方メートル以上
イアに掲げる用途に供される部分床面積の合計が1,000平方メートル以上
ウ(5)項ロに掲げる防火対象物住戸の数が50以上の共同住宅又は室数が50以上の寄宿舎等
エ(12)項イ及び(15)項(浄水場又は汚水処理施設等で特定の者のみが出入りするもの及びスポーツ施設は除く)に掲げる防火対象物延べ面積が3,000平方メートル以上
オア、ウ及びエに掲げる用途に供される部分(イに掲げるものを除く)床面積の合計が3,000平方メートル以上
(1)は「原則として」、(2)は「努めて」と、言葉の強さが違います。
(2)には、利用者の状況に応じて、点滅・音声誘導機能を有するものに替えて、点滅機能又は音声誘導機能を有するものとすることができる、というなお書きも付いています。
読む順番を整理します。
  1. 建物に自動火災報知設備が設置されているかを確かめる
  2. 主要な避難口(屋内から直接地上へ通ずる出入口、直通階段の出入口)に避難口誘導灯を設置するかを確かめる
  3. (1)のアからウに当たる建物又は部分かどうかを確かめる
  4. 当たらなければ、(2)のアからオの用途と規模に当たるかを確かめる
  5. 当たる場合は、利用者や設置場所の状況に合う機能(点滅、音声誘導、その両方)を選ぶ
  6. 新設や更新の計画の段階で、所轄の消防署に相談する
(1)も(2)も◆印の項目なので、大阪市の凡例に照らすと行政指導に当たります。
対象に当たる建物では、新築や誘導灯の更新の計画に合わせて、早めに消防署と話をしておくと進めやすくなります。

うちは延べ面積が1,000平方メートルを超える物販店舗です。
(2)のアに当たりそうですね。

用途が(4)項で延べ面積が1,000平方メートル以上なら、設置が望ましい建物に入ります。
人混みで誘導灯が見えにくい売場は、(1)のウも確かめましょう。

起動の条件はなぜ自動火災報知設備の節まで読む必要があるのか

建物の断面で2つの階にだけ色が付きベルが並んだイラスト
付けると決めたあとは、(3)の設置方法を読みます。
アの起動方法は、建物の警報設備に応じて3つに分かれています。
区分建物の警報設備起動のしかた
(ア)音響により警報を発する自動火災報知設備感知器からの火災信号のほか、受信機が火災表示を行う要件(中継器からの火災表示信号、発信機からの火災信号等)と連動して起動する。自動火災報知設備には十分な非火災報対策が講じられていること
(イ)音声により警報を発する自動火災報知設備又は非常警報設備(放送設備)火災の発生が確認された場合に行う火災警報又は火災放送に合わせて起動する
(ウ)地区音響装置又はスピーカーの区分鳴動を行うことができる防火対象物又はその部分区分鳴動を行う階について起動する。全館一斉鳴動方式に切り替わるものは、その鳴動に合わせて起動する
このうち(ウ)が、別の節を開かないと読み切れない項目です。
原文は次のとおりです。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第2節 誘導灯及び誘導標識 第2 避難口誘導灯 4(3)ア(ウ) 規則第24条第5号ハ及び第5号の2ロ(イ)に規定する自動火災報知設備の地区音響装置の区分鳴動を行うことができる防火対象物又はその部分並びに規則第25条の2第2項第3号チに規定する非常警報設備(放送設備)のスピーカーの区分鳴動を行うことができる防火対象物又はその部分においては、地区音響装置又はスピーカーの区分鳴動を行う階について、点滅機能及び音声誘導機能が起動するものとすること。また、一定の時間が経過した場合又は新たな火災信号を受信した場合に、地区音響装置又はスピーカーが区分鳴動方式から全館一斉鳴動方式に切り替わるように措置されているもの(音響により警報を発する自動火災報知設備が設置されている防火対象物又はその部分で、自動火災報知設備の基準(第6.11.(1))のただし書により全館一斉鳴動方式に切り替わるように措置されているものを含む。)にあっては、当該地区音響装置又はスピーカーの鳴動に合わせて、点滅機能及び音声誘導機能が起動すること
区分鳴動の建物では鳴動する階に合わせて起動します。
国の規則第24条第5号ハは、地階を除く階数が5以上で延べ面積が3,000平方メートルを超える防火対象物について、出火階が2階以上の階の場合は出火階及びその直上階に限って警報を発することができるものとしています。
誘導灯の点滅と音声誘導も、警報が鳴る階にそろえて起動させる、というのが(ウ)の前半です。
後半のかっこ書が指す自動火災報知設備の基準 第6 音響装置の11の(1)は、階段、傾斜路、エレベーターの昇降路などのたて穴部分に設置した感知器が作動しても、地区音響装置は鳴動しないものとする項目です。
そのただし書は、一定の時間が経過した場合又は新たな火災信号を受信した場合には、全館一斉鳴動方式に切り替わるように措置されていることを求めています。
「一定の時間」は、同じ11の(2)のアで、最大10分以内の時間で設定できるものとされています(◆)。
参照をたどる順番を整理します。
  1. 誘導灯及び誘導標識 第2の4(3)アを開き、建物の警報設備が(ア)から(ウ)のどれに当たるかを確かめる
  2. 区分鳴動を行うことができる建物なら(ウ)を読み、国の規則第24条第5号ハ、第5号の2ロ(イ)、第25条の2第2項第3号チで警報を発する階を確かめる
  3. (ウ)のかっこ書から、自動火災報知設備の基準 第6の11の(1)を開く
  4. (1)のただし書と(2)で、全館一斉鳴動方式に切り替わる条件(一定の時間、新たな火災信号)を確かめる
  5. 誘導灯の点滅と音声誘導が、その鳴動に合わせて起動する設定になっているかを、図面と点検の結果で確かめる
なお、同じ節の第4 客席誘導灯の特例は、非常用の照明装置を一斉点灯させる起動方法について、この(3)アの例によるとしています。
その際は「点滅機能及び音声誘導機能」を「非常用の照明装置」に読み替える、と書かれています。
起動の決まりは、同じ節の別の項目からも借りられている項目です。

つまり、区分鳴動のビルでは、警報が鳴る階の誘導灯から点滅が始まるのですね。

はい、鳴動に合わせて起動するのが大阪市の運用基準の書き方です。
全館に切り替わる時間の設定も、あわせて確かめましょう。

停止の条件はどの節とどの告示を借りているのか

階段室の上部に煙がたまり天井に感知器が付いた塔と扉のイラスト
止め方の決まりは、(3)のイに並んでいます。
1つ目は、放送と音声誘導が重なる場面です。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第2節 誘導灯及び誘導標識 第2 避難口誘導灯 4(3)イ(ア) 音声誘導機能が作動している時に、音声により警報を発する自動火災報知設備又は非常警報設備(放送設備)により火災警報又は火災放送が行われる場合には、自動火災報知設備の基準(第6.12)に準じて当該音声誘導機能が自動的に停止すること。ただし、誘導灯の設置位置、音圧レベルを調整すること等により、その火災警報又は火災放送内容の伝達が困難若しくは不十分となるおそれのない場合にあってはこの限りでない。
この項目が止めるとしているのは音声誘導機能です。
点滅機能については、この項目には書かれていません。
参照先の自動火災報知設備の基準 第6の12は、放送設備のマイクスイッチを入れることにより地区音響装置の鳴動が停止し、マイクスイッチを切ることにより再び鳴動すること、とする項目です(◆)。
誘導灯の音声も、これに準じて自動的に停止するようにしておくことになります。
ただし書のとおり、設置位置や音圧レベルの調整で放送の内容が伝わる場合は、この限りでないとされています。
2つ目は、逃げる先の階段に煙が入った場面です。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第2節 誘導灯及び誘導標識 第2 避難口誘導灯 4(3)イ(イ) 点滅機能及び音声誘導機能により誘導される避難口からの避難経路として使用される直通階段の階段室が煙により汚染された場合にあっては、当該誘導灯の点滅機能及び音声誘導機能が自動的に停止すること。ただし、次に掲げる場所に設置するものにあっては、この限りでない。
国の規則第28条の3第4項第6号ハは、避難する方向の感知器が作動したときに停止することを求めていました。
大阪市の(イ)は、それを階段室の煙という場面で書いたものと読めます。
停止させなくてよい場所は、AからEの5つです。
記号停止を要しない場所確かめる先
A屋外階段又はその附室の出入口図面で階段の種類を確かめる
B屋内避難階段等の部分を定める件(平成14年消防庁告示第7号)に適合する開口部を有する屋内避難階段の出入り口平成14年消防庁告示第7号
C特別避難階段の階段室又はその附室の出入口図面で階段の種類を確かめる
D規則第28条の3第3項第1号イに掲げる避難口国の規則(屋内から直接地上へ通ずる出入口)
E避難器具の基準(第8.2)に適合する階段の出入口大阪市の運用基準 避難器具 第8 特例基準 2
Eは大阪市の避難器具の節を借りています。
避難器具の基準 第8の2は、建築基準法施行令第123条第1項の規定による屋内避難階段に、排煙上有効な開口部を階段室の最上部及び階段室の各階又は各階の中間の部分ごとに設けた場合に、避難器具の個数を減らせるとする特例です。
開口部の有効開口面積は、開放形式に応じて算定した値が2平方メートル以上となることが求められています。
避難器具の節でこの開口部を備えていると認められた階段は、誘導灯の停止の場面でも停止を要しない場所に数えられる、という連鎖です。
続く(ウ)は、階段室の煙を感知して点滅機能と音声誘導機能を停止させるための煙感知器を、国の規則第23条第4項第7号の規定の例により設けることを求めています。
ただし、自動火災報知設備の煙感知器が階段室の煙を感知することができるように設けられ、かつ、適切に警戒区域が設定される場合は、その煙感知器と連動して停止させることで足りるとされています。
参照をたどる順番を整理します。
  1. 誘導灯及び誘導標識 第2の4(3)イの(ア)を読み、音声により警報を発する設備があるかを確かめる
  2. あれば、自動火災報知設備の基準 第6の12を開き、放送のときに音声誘導が自動的に停止する仕組みかを確かめる
  3. (イ)を読み、その誘導灯が導く避難口の先の直通階段がどれかを図面で確かめる
  4. その出入口がAからEに当たるかを確かめる。BとEは、平成14年消防庁告示第7号と避難器具の基準 第8の2を開く
  5. 当たらなければ、(ウ)のとおり、階段室の煙で停止させる煙感知器が国の規則第23条第4項第7号の規定の例により設けられているかを確かめる
  6. 停止の動きが実際に働くかを、点検の結果で確かめる

放送が始まると誘導灯の声が止まるのは、故障ではないのですね。
階段の煙で止まる仕組みも初めて知りました。

どちらも運用基準が求めている動きです。
点検のときに、止まり方まで見せてもらいましょう。

東大阪市や堺市では同じ決まりになっているのか

屋根の形が違う3つの庁舎が横に並んだイラスト
最後に、近隣の東大阪市と堺市が公開している基準と比べます。
東大阪市の運用基準は、大阪市と同じく第2 避難口誘導灯の4に、◆印の付いた「点滅機能及び音声誘導機能」の項目を置いています。
ただし、中身は⑴起動方法、⑵停止方法、⑶構成例の3つで、対象の建物を挙げる項目は見当たりません。
起動と停止の文面は大阪市とほぼ同じですが、自動火災報知設備の基準を指すかっこ書がなく、停止を要しない場所は(ア)から(エ)の4つで、大阪市のEに当たるものがありません。
次に堺市です。
堺市消防局の審査基準は、第18 誘導灯及び誘導標識のⅡ 細目 3 設置要領等の(3)に、点滅機能及び音声誘導機能を付加した誘導灯の項目を置いています。
堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第18 誘導灯及び誘導標識 Ⅱ 細目 3 設置要領等 (3) 点滅機能及び音声誘導機能を付加した誘導灯 ア 設置箇所は次の(ア)から(ウ)によること。
(ア) 主要な避難口に設置すること。
(イ) 自動火災報知設備を設置する建築物にのみ設置すること。
(ウ) その他これらの機能により積極的に避難誘導する必要性が高いと認められる部分に設置すること。
イ 設置要領
(エ) 放送設備が起動中であっても誘導灯の点滅及び誘導音は停止させないこと。
堺市は放送設備が起動中でも停止させないとしています。
大阪市と東大阪市が、火災警報又は火災放送が行われる場合には音声誘導機能が自動的に停止することを原則としているのとは、向きが逆です。
階段室の煙による停止についても、堺市は、停止専用の煙感知器(第2種蓄積型又は第3種蓄積型)を各階に設け、出火階に応じて停止させる階の範囲を決めています(★)。
堺市の審査基準では、★は堺市消防局として定めた指導基準を表します。
各市の公開資料で確認できた範囲を並べると、次のとおりです。
比べる点大阪市東大阪市堺市
書かれている場所誘導灯及び誘導標識 第2 避難口誘導灯 4(◆)第2 避難口誘導灯 4(◆)第18 誘導灯及び誘導標識 Ⅱ 細目 3 設置要領等 (3)
対象の建物設置推進防火対象物(アからウ)と設置することが望ましい防火対象物(アからオ)を挙げる挙げる項目は見当たらない主要な避難口、自動火災報知設備を設置する建築物、積極的に避難誘導する必要性が高いと認められる部分
区分鳴動の建物での起動区分鳴動を行う階について起動する。全館一斉鳴動方式への切替えに合わせる大阪市とほぼ同じ文面(自動火災報知設備の基準を指すかっこ書はない)地区音響装置の鳴動範囲(区分鳴動/全区域鳴動)について起動することができるものとする
放送が行われるときの音声誘導自動的に停止する。伝達が困難若しくは不十分となるおそれのない場合はこの限りでない自動的に停止する。ただし書は大阪市と同じ文面放送設備が起動中であっても誘導灯の点滅及び誘導音は停止させない
階段室の煙でも停止を要しない場所AからEの5つ(屋外階段、告示に適合する開口部を有する屋内避難階段、特別避難階段、規則第28条の3第3項第1号イの避難口、避難器具の基準 第8.2に適合する階段)(ア)から(エ)の4つ(大阪市のAからDと同じ内容)aからcの3つ(屋外階段、開放階段、最終避難口と、その附室の出入口)
停止のための煙感知器規則第23条第4項第7号の規定の例により設ける。自動火災報知設備の煙感知器との連動で足りる場合がある大阪市と同じ内容停止専用の煙感知器(第2種蓄積型又は第3種蓄積型)を各階に設け、出火階に応じた範囲を停止させる(★)。自動火災報知設備の感知器との連動で足りる場合がある
A級又はB級とすべき場所の特例関係者及び関係者に雇用されている者の使用に供する部分は、令第32条を適用しA級、B級又はC級にできる大阪市と同じ文面関係者及び関係者に雇用されている者が使用する場所は、政令第32条を適用しB級(表示面の明るさが20未満のもの)又はC級にできる(★)
3市とも、主要な避難口の誘導灯に付けること、自動火災報知設備と連動して起動すること、階段室の煙で停止することは共通しています。
違いがはっきりしているのは、対象の建物の挙げ方と、放送が行われるときの音声誘導の扱いです。
同じ機種の誘導灯でも、建物のある市によって求められる連動の設定が変わりえます。
複数の市に建物があるときは、建物のある市の基準を開いて、管轄の消防署で確かめ直してください。

つまり、大阪市のビルと堺市のビルでは、放送中の音声誘導の扱いが違いうるのですね。

はい、公開されている基準では、堺市は停止させないこととしています。
設定を変える前に、管轄の消防署で確かめるのが確実です。

よくある質問

Q大阪市では、点滅機能や音声誘導機能の付いた誘導灯は義務ですか?
A運用基準の第2の4は◆印の項目で、大阪市の凡例では行政指導基準に当たります。設置推進防火対象物は「原則として」、設置することが望ましい防火対象物は「努めて」と書かれています。
Qどの誘導灯にも点滅機能や音声誘導機能を付けてよいですか?
Aいいえ。国の規則第28条の3第4項第6号イは、屋内から直接地上へ通ずる出入口と直通階段の出入口に設置する避難口誘導灯以外の誘導灯には設けてはならないとしています。
Q非常放送が流れると音声誘導が止まるのは正常ですか?
A大阪市の運用基準は、火災警報又は火災放送が行われる場合には音声誘導機能が自動的に停止することを原則としています。設置位置や音圧レベルの調整で放送内容の伝達に支障がない場合は、この限りでないとされています。
Q東大阪市や堺市でも、対象の建物は同じですか?
A東大阪市の運用基準には、対象の建物を挙げる項目が見当たりません。堺市の審査基準は、用途や面積ではなく、積極的に避難誘導する必要性が高いと認められる部分という書き方です。

まとめ

✔国の消防法施行規則第28条の3第4項第6号は、点滅機能と音声誘導機能を設けられる誘導灯を限り、起動と停止の条件を定めています
✔大阪市の運用基準は、設置を推進する建物を3つ、設置が望ましい建物を5つ挙げています
✔この項目は◆印で、大阪市の凡例では行政指導基準に当たります
✔区分鳴動を行う建物では、鳴動する階に合わせて点滅機能と音声誘導機能が起動します
✔停止の決まりは、自動火災報知設備の基準 第6の12と、避難器具の基準 第8の2を借りています
✔放送が行われるときの音声誘導は、大阪市と東大阪市が自動的に停止を原則とし、堺市は停止させないとしています
✔誘導灯の更新や連動の設定変更の前に、建物のある市の基準を消防署と確かめます

国の条件と市の決まりを分けて読むと、勧められた理由が分かってきました。
まずは建物が対象に当たるかを確かめてみます!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」凡例、第3章 第2節 誘導灯及び誘導標識 第1 用語の意義、第2 避難口誘導灯 4 点滅機能及び音声誘導機能 (1)から(3)、5 特例 (2)、第4 客席誘導灯 2 特例 (2)、第2章 第1節 自動火災報知設備 第6 音響装置 11・12、第3章 第1節 避難器具 第8 特例基準 2 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
  • 東大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」誘導灯及び誘導標識 第2 避難口誘導灯 4 点滅機能及び音声誘導機能 ⑴から⑶、5 特例 ⑵ https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
  • 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第18 誘導灯及び誘導標識 Ⅱ 細目 3 設置要領等 (2) イ (エ)、(3) 点滅機能及び音声誘導機能を付加した誘導灯 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
  • 消防法施行令第26条
  • 消防法施行規則第24条第5号ハ、第25条の2第2項第3号チ、第28条の3第3項第1号、第4項第3号・第6号
  • 誘導灯及び誘導標識の基準(平成11年消防庁告示第2号)

※本記事は公表されている法令および各市消防局の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。誘導灯の設置や連動の設定についての個別の判断は、所轄消防署にご確認ください。

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大阪市で誘導灯の点滅機能と音声誘導機能はどんな建物に求められるのかを解説する記事のアイキャッチ
商業施設や福祉施設の出口で、火災のときに光を点滅させ、音声で出口の場所を知らせる誘導灯を見かけることがあります。 国の消防法施行規則第28条の3第4項第6号は、この点滅機能と音声誘導機能を付けるときの条件を定めていますが...
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