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危険物施設の許可申請はなぜ添付書類を減らせるのか|フロー図の活用と完成検査での自主検査結果の使い方を解説

危険物施設の許可申請の簡素化をイメージしたアイキャッチ

危険物を貯蔵したり取り扱ったりする製造所や貯蔵所を新しく建てるときは、消防法第11条に基づく許可が必要です。
その許可申請や完成検査のたびに、分厚い図面や書類を山のように用意してきた担当者も多いのではないでしょうか。
実は平成9年、消防庁は危険物施設の許可申請などに添付する書類の範囲を整理し、簡素化するための通知を出しています。
フロー図や認定番号の記載で済む場合があるなど、省ける書類の範囲が具体的に示されています。

新しく危険物施設を建てるとき、許可申請の書類がすごく分厚くて大変だと聞きました。
本当に減らせるんでしょうか。

平成9年の通知で、添付書類は審査に必要な最小限でよいと整理されているんです。
大型のプラントならフロー図の活用も認められています。

うちは中小規模の施設なんですが、それでも何か変わりますか。

建設大臣の認定品を使う設備なら、認定番号を書くだけで構造図の添付を省ける場合があります。
仮使用承認や完成検査の書類も一緒に整理されていますよ。

この記事の結論
  • 設置・変更許可申請、仮使用承認申請、完成検査前検査申請、完成検査申請の4種類で添付書類が整理されました
  • 大型製造プラント等では個別の図面に代えてフロー図等の活用が認められます
  • 建設大臣の認定品を使う場合は、認定番号の記載で構造図の添付を省略できる場合があります
  • 仮使用承認申請では、変更許可申請書に添付した書類の重複添付は不要です
  • 完成検査では、設置者の自主検査結果等を市町村長等との調整のうえ活用できます

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危険物施設の許可申請の手続を示す図解

危険物施設の許可申請はなぜ添付書類を見直されたのか

分厚い許可申請書類の束とフロー図1枚への簡素化を示すイメージ
危険物施設の許可申請は、長年同じ運用が積み重なってきた手続です。
平成9年、消防庁がこの運用を見直す通知を出しています。
製造所等の設置又は変更の許可に係る手続については、危険物の規制に関する規則に基づき運用されているところであるが、今般、製造所等の安全性の確保を前提に、行政事務の更なる簡素合理化を図るため、許可申請における添付書類の明確化及び完成検査における自主検査結果の活用について下記のとおり定めた。(消防危第35号 製造所等の設置又は変更の許可に係る手続等の簡素合理化について)
目的は安全性を保ったままの事務の軽量化です。
製造所等の設置や変更の許可申請は、昭和61年と平成元年の通知に基づいて運用されてきました。
その後も申請ごとに添付書類の範囲があいまいになりやすく、申請者と審査側の双方に手間がかかっていました。
そこで平成9年3月26日の消防危第35号は、審査に必要な事項を確認できる最小限の書類だけを求める方針を明確にしました。
対象は許可申請だけでなく、仮使用承認申請や完成検査の手続まで広がっています。

書類を減らすというより、必要な範囲を言葉で決めたという感じですね。

そのとおりです。
最小限という線引きが示されたことで、窓口ごとの食い違いも減りました。

どの申請が添付書類の簡素化の対象になるのか

設置許可証を持つ建物と工事中の製造所を示すイメージ
対象になる手続は1つではありません。
設置・変更の許可から完成検査まで、一連の流れ全体が見直されています。
設置(変更)許可申請の審査は、製造所等の位置、構造及び設備が技術上の基準に適合していること並びに当該製造所等における危険物の貯蔵又は取扱いが公共の安全の維持又は災害の発生防止に支障を及ぼすおそれがないことを確認するものであり、以下を踏まえ、申請書等の添付書類は、審査に当たって必要事項が確認できる最小限のものとすること。(消防危第35号 第1)
法第十一条第五項ただし書の製造所等の仮使用の承認を受けようとする者は、別記様式第七の申請書に変更の工事に際して講ずる火災予防上の措置について記載した書類を添えて…市町村長等に提出しなければならない。(危険物の規制に関する規則第5条の2)
対象は4種類の申請です。
危険物の規制に関する規則第4条と第5条の設置許可・変更許可申請がまず対象になります。
続いて同規則第5条の2の仮使用承認申請、同規則第6条の4の完成検査前検査申請も見直しの範囲です。
最後に同規則第6条の完成検査申請も対象に含まれています。
つまり施設が建つまでの手続のほぼ全部で、添付書類の考え方が整理されたということです。

設置許可だけの話じゃなくて、仮使用や完成検査まで全部つながっているんですね。

はい、工事計画の最初から完成検査まで一続きです。
どの申請を出すときも同じ考え方が効きます。

添付書類はどこまで省略できるのか

工程を示すフロー図と認定番号の記載された設計図を示すイメージ
省略できる範囲には具体的な線引きがあります。
施設の規模や使う材料によって、認められる省略の幅が変わります。
大型製造プラント等で多数の機器、配管等が設置される施設にあっては、申請者との事前の協議を踏まえ、個別の記載ではなく、工程の概要を示す図(以下「フロー図」という。)等を活用したものとすること。(消防危第35号 第1・1・(1)・ア)
主要構造部を耐火構造とし、又は不燃材料で造る場合で建設大臣の認定品を使用するときは、現場施工によるものを除き、認定番号を記載すれば、別途構造図の添付を要さないこと。(消防危第35号 第1・1・(2)・イ)
省略できるのは2つの場面です。
1つめは大型製造プラント等で、多数の機器や配管を個別に描く代わりに、工程全体を示すフロー図で代替できます。
2つめは建設大臣の認定品を使う部材で、現場施工でなければ認定番号の記載だけで構造図の添付を省けます。
変更許可申請では、さらに変更に係る部分の図書だけを添えればよく、関係のない既存部分の図書までは求められません。
いずれも「省略してよいかどうか」は申請者と行政庁の事前協議で決まる仕組みです。

認定番号を書くだけでいいなら、構造図を作る手間がかなり減りますね。

そのとおりです。
ただし現場施工の部分は対象外なので、そこは区別してください。

仮使用承認申請で見落としやすいのはどこか

重複する申請書に斜線を引いて1枚にまとめることを示すイメージ
せっかく簡素化されても、知らずに同じ書類を2回出してしまう例があります。
落とし穴は重複添付と、申請書そのものの考え方の2か所です。
仮使用承認申請書の添付書類は、変更の工事に際して講ずる火災予防上の措置について記載した書類とされているが、これは以下の図書とし、変更許可申請書に添付した書類の重複添付は要さないこと。(消防危第35号 第1・2)
完成検査申請書には添付図書は要さないものとする。(消防危第35号 第1・4)
重複添付は不要という一文が肝です。
仮使用承認申請を出すとき、変更許可申請書に添付した図書をもう一度まとめて出す必要はありません。
必要なのは、仮使用の承認を受ける範囲を示す図面と、仮使用時の工事計画書・工事工程表・安全対策等に関する図書だけです。
さらに完成検査申請書は、そもそも添付図書そのものが不要とされています。
古い運用の記憶のまま、必要以上の書類を束ねて提出してしまうと、審査側も確認に余計な時間を取られます。

以前の担当者の書式をそのまま使っていたので、同じ図面を2回綴じていました。

よくあることです。
次回からは重複する図書を一度外してみてください。

完成検査では何を確認しておけばよいのか

自主検査結果報告書を提出し完成検査の調整を行うイメージ
完成検査そのものを軽くする仕組みもあわせて示されました。
ただし、誰が何を確認するかを事前に決めておく必要があります。
完成検査の際には、設置者が事前に実施した自主検査結果等を活用することができるものであること。自主検査結果等の活用にあたっては、市町村長等と申請者とは、あらかじめ完成検査において自主検査結果等により確認する事項について、十分調整する必要がある。(消防危第35号 第2・1・(1))
鍵になるのは事前調整です。
完成検査の現場では、設置者が実施した自主検査結果や施工管理記録、製造者の検査成績証明書などを活用できます。
消火設備については工事規模ごとに、消火薬剤の放出試験まで行うか、外観確認だけで済ませるかの目安も示されています。
ただしこれらは、市町村長等との調整が済んでいることが前提です。
完成検査の日程を決める前に、どの記録を自主検査結果として提出できるかを行政庁へ確認しておくと、当日の検査がスムーズに進みます。

施工中の写真や記録も、そのまま検査の材料になるということですね。

そのとおりです。
施工段階の記録を残しておくことが、完成検査の近道になります。

よくある質問

Q添付書類を減らせるのは危険物施設だけですか?
Aこの簡素化は危険物の規制に関する規則第4条・第5条等に基づく製造所等の許可申請が対象で、消防法令上の他の届出等まで対象を広げるものではありません。
Qフロー図を使えば配管図は一切不要になりますか?
A不要になるのは大型製造プラント等で多数の機器・配管を設置する施設に限られ、通常規模の施設では従来どおり個別の図面が必要です。
Q仮使用承認申請に変更許可申請の図書を重複して添付する必要がありますか?
A同じ図書の重複添付は不要で、仮使用の範囲を示す図面と工事計画書等を添付すれば足ります。
Q完成検査で自主検査結果を使うかどうかは誰が決めますか?
A市町村長等と申請者があらかじめ十分に調整して決めるものとされており、現地の検査員が独自に判断するものではありません。

まとめ

✔平成9年3月26日の消防危第35号が製造所等の許可手続の簡素合理化を定めました
✔対象は設置・変更許可申請、仮使用承認申請、完成検査前検査申請、完成検査申請の4種類です
✔添付書類は審査に必要な最小限とする方針が明記されました
✔大型製造プラント等はフロー図等で個別記載を代替できます
✔建設大臣の認定番号の記載で構造図の添付を省略できる場合があります
✔仮使用承認申請は変更許可申請書との重複添付が不要です
✔完成検査は自主検査結果等の活用について市町村長等と事前調整します

必要な書類とそうでない書類の境目がはっきりしました。
次の申請から見直せそうです!

フロー図の活用、認定番号の記載、重複添付の省略。
この3つを窓口で確認すれば手続が軽くなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 製造所等の設置又は変更の許可に係る手続等の簡素合理化について(平成9年3月26日 消防危第35号 消防庁危険物規制課長)
  • 危険物の規制に関する規則(昭和三十四年総理府令第五十五号)第4条・第5条・第5条の2・第6条・第6条の4
  • 危険物の規制に関する政令(昭和三十四年政令第三百六号)第23条
  • 消防法第11条第5項

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。添付書類の省略範囲は施設の規模や行政庁との協議内容によって異なります。個別の判断は所轄消防署または許可行政庁にご確認ください。

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