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大阪市で屋内の避難階段に排煙の窓を設けると避難器具の個数は減らせるのか|特例を解説

大阪市で屋内の避難階段に排煙の窓を設けると避難器具の個数は減らせるのかを解説する記事のアイキャッチ

避難器具は、階段が使えなくなったときに、窓やバルコニーから地上へ逃げるための器具です。
国の基準では、避難階段や特別避難階段がある階は、その数だけ避難器具の個数を引くことができます。
ただし屋内の避難階段は、外気に開放された開口部のあるものに限られます。
大阪市消防局の消防用設備等の設置に係る運用基準は、開放装置で開く窓を設けた屋内避難階段についても、同じ引き算ができる特例基準を置いています。
この記事では、国の基準と大阪市の運用を分けて整理し、窓の大きさの計算と開放装置の条件、東大阪市や堺市の公開基準との違いを確かめます。

大阪市内のビルで防火管理者をしています。
屋内の避難階段に窓があれば、避難器具は減らせますか。

国の基準では、外気に開放された開口部のある屋内避難階段に限って引けます。
大阪市には、開く窓についての特例基準もあります。

ふだんは閉めている窓でも、対象になるのですか。
どこを読めば分かりますか。

避難器具の節にある特例基準の2を読みます。
国の規則、告示、特例基準の順に読むと整理できます。

この記事の結論
  • 国の消防法施行規則第26条第2項は、屋内の避難階段については消防庁長官が定める部分を有するものに限って、避難器具の個数から引くことを認めています
  • 平成14年消防庁告示第7号は、その部分を、直接外気に開放された2平方メートル以上の排煙上有効な開口部としています
  • 大阪市の運用基準は、避難器具の節 第8の2で、開放装置を備えた開口部を設けた屋内避難階段にも、令第32条又は条例第47条の規定を適用して同じ引き算ができるとしています
  • 大阪市の2平方メートルは、純開口面積に開放形式ごとのKの値を掛けた有効開口面積で数えます
  • 東大阪市と堺市の公開基準では、避難器具の特例に屋内避難階段の開口部についての項目は見当たりません

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屋内避難階段の特例を消防法施行規則から消防庁の告示と運用基準の特例基準へたどる流れを示す図解

国の基準では屋内の避難階段があると避難器具は何個引けるのか

外壁に階段室が付いた5階建てのビルで階段室の各階に窓が並んでいるイラスト
まず、国の基準を整理します。
避難器具の個数は、消防法施行令第25条第2項第1号で、階の収容人員に応じて決まります。
たとえば同条第1項第3号に掲げる階では、収容人員が200人以下のときは1個以上、200人を超えるときは200人までを増すごとに1個を加えた個数以上です。
同じ号のただし書は、避難上支障がないと認められるときは、総務省令で定めるところにより個数を減らせるとしています。
その総務省令が、消防法施行規則第26条です。
消防法施行規則第二十六条第二項 令第二十五条第一項各号に掲げる防火対象物の階に建築基準法施行令第百二十条、第百二十一条及び第百二十二条の規定により必要とされる直通階段で、建築基準法施行令第百二十三条及び第百二十四条に規定する避難階段(屋外に設けるもの及び屋内に設けるもので消防庁長官が定める部分を有するものに限る。)又は特別避難階段としたものが設けられている場合は、当該階に設置する避難器具の個数は、令第二十五条第二項第一号本文又は前項の規定により算出して得た数から当該避難階段又は特別避難階段の数を引いた数以上とすることができる。この場合において、当該引いた数が一に満たないときは、当該階に避難器具を設置しないことができる。
屋内の避難階段には、かっこ書きで条件が付いています。
屋外の避難階段と特別避難階段は、そのまま引くことができます。
屋内の避難階段は、消防庁長官が定める部分を有するものだけが引けます。
その部分を定めているのが、平成14年消防庁告示第7号です。
消防法施行規則第四条の二の三並びに第二十六条第二項、第五項第三号ハ及び第七項第三号の規定に基づく屋内避難階段等の部分を定める件(平成十四年消防庁告示第七号) 消防法施行規則第四条の二の三並びに第二十六条第二項、第五項第三号ハ及び第七項第三号の屋内避難階段等の部分は、階段の各階又は各階の中間の部分ごとに設ける直接外気に開放された排煙上有効な開口部で、次の一及び二に該当するものとする。
一 開口部の開口面積は、二平方メートル以上であること。
二 開口部の上端は、当該階段の部分の天井の高さの位置にあること。ただし、階段の部分の最上部における当該階段の天井の高さの位置に五百平方センチメートル以上の外気に開放された排煙上有効な換気口がある場合は、この限りでない。
告示が求めているのは、次の3つです。
  • 階段の各階又は各階の中間の部分ごとに、直接外気に開放された排煙上有効な開口部があること
  • 開口部の開口面積が2平方メートル以上であること
  • 開口部の上端が、階段の部分の天井の高さの位置にあること(最上部の天井の高さの位置に500平方センチメートル以上の換気口がある場合を除く)
告示の文は「直接外気に開放された」開口部と書いています。
窓を開け閉めする場合の扱いや、窓を開ける装置のことは、告示には書かれていません。
ここに、大阪市の運用基準が特例基準を置いています。
自分のビルの避難階段が屋内か屋外か、屋内なら各階に外気に開放された開口部があるかを、最初に図面で確かめてください。

屋内の避難階段は、外気に開放された開口部がないと引けないのですね。
うちの階段の窓は、ふだん閉めています。

その場合は、告示の文にそのまま当てはまるとは言えません。
次に、大阪市の特例基準を読んでみましょう。

大阪市の運用基準は屋内避難階段の開く窓をどう扱っているのか

階段室の断面で各階の踊り場の窓が開き煙が外へ流れ出ているイラスト
大阪市の運用基準は、第3章 第1節 避難器具の第8に特例基準を置いています。
第8の見出しには、行政指導基準を表す◆印は付いていません。
柱書は次のとおりです。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第1節 避難器具 第8 特例基準(柱書) 次に適合する場合にあっては、令第32条又は条例第47条の規定を適用することができるものとする。
屋内避難階段を扱うのは、このうちの2です。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第1節 避難器具 第8 特例基準 2 屋内避難階段等の部分の取り扱い 建基令第123条第1項の規定による屋内避難階段に、次により排煙上有効な開口部を階段室の最上部及び階段室の各階又は各階の中間の部分ごとに設けた場合にあっては、当該階に設置する避難器具の個数は当該避難階段を利用することができる階ごとにそれぞれ令第25条第2項第1号の規定による避難器具の設置個数から当該避難階段の数を引いた数とすることができる(図3-1-3)。
引き算の中身は、国の規則第26条第2項と同じです。
違うのは、開口部の条件です。
「次により」として、(1)から(4)までの条件が続きます。
国の告示と並べると、次のとおりです。
比べる点国の告示第7号大阪市の運用基準 第8の2
開口部を設ける場所階段の各階又は各階の中間の部分ごと階段室の最上部と、階段室の各階又は各階の中間の部分ごと
開口部の書き方直接外気に開放された排煙上有効な開口部排煙上有効な開口部(開放装置の条件が付く)
大きさ開口面積が2平方メートル以上純開口面積にKを掛けた有効開口面積が2平方メートル以上
上端の位置階段の部分の天井の高さの位置(最上部に500平方センチメートル以上の換気口がある場合を除く)階段の天井の高さの位置(ただし書は書かれていない)
開ける方法書かれていない手動起動装置と自動起動装置の作動と連動して、全ての開放装置が起動する
非常電源書かれていない開放装置に非常電源を設ける
地階の開口部書かれていないドライエリアに面して設ける
位置づけ規則第26条第2項の「消防庁長官が定める部分」令第32条又は条例第47条の規定を適用することができる特例基準
大阪市の第8の2は、開口部の開放装置について条件を定めています。
火災のときに装置で開く窓を設けた階段を、特例として同じ引き算の対象にする項目と読めます。
同じ運用基準の誘導灯の節にも、手がかりがあります。
点滅機能と音声誘導機能を止めなくてよい階段の出入口として、次の2つが別々に挙げられています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第2節 誘導灯及び誘導標識 第2 避難口誘導灯 4 点滅機能及び音声誘導機能◆(一部) B 屋内避難階段等の部分を定める件(平成14年消防庁告示第7号)に適合する開口部を有する屋内避難階段の出入り口
E 避難器具の基準(第8.2)に適合する階段の出入口
告示に適合する階段と、避難器具の基準の第8の2に適合する階段は、別のものとして並んでいます。
柱書が挙げる2つの条文は、どちらも基準の特例を定める規定です。
消防法施行令第三十二条 この節の規定は、消防用設備等について、消防長又は消防署長が、防火対象物の位置、構造又は設備の状況から判断して、この節の規定による消防用設備等の基準によらなくとも、火災の発生又は延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最少限度に止めることができると認めるときにおいては、適用しない。
大阪市火災予防条例第47条 第47条 この章の規定は、消防用設備等について、消防長が、防火対象物の位置、構造又は設備の状況から判断して、この章の規定による消防用設備等の基準によらなくとも、火災の発生又は延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最小限に止めることができると認めるときは、適用しない。
どちらも、消防長などが認めるときに限って基準を適用しないという規定です。
「引いた数とすることができる」は、条件に合えば自動的に減るという意味ではありません。
ここまでを、次の順に読むと迷いません。
  1. 消防法施行令第25条第1項と第2項第1号で、その階に避難器具が何個必要かを確かめます
  2. 消防法施行規則第26条第2項で、避難階段と特別避難階段の数を引けることを確かめます
  3. 屋内の避難階段なら、平成14年消防庁告示第7号を開き、直接外気に開放された開口部があるかを確かめます
  4. 告示の文にそのまま当てはまらない窓なら、大阪市の運用基準の避難器具の節 第8の柱書を読みます
  5. 第8の2を開き、本文と(1)から(4)までの条件を確かめます
  6. 根拠の令第32条に戻り、消防長又は消防署長の判断が前提であることを確かめます
階段の窓が開く窓なのか、はめ殺しなのかを、現地で確かめておいてください。

告示に合う階段と、大阪市の特例に合う階段は、別のものとして扱われているのですね。

はい、誘導灯の節でも別々に挙げられています。
次は、2平方メートルの数え方を見ましょう。

大阪市の有効開口面積の2平方メートルはどう計算するのか

引き違いの窓と傾いて開く2種類の窓とガラリが横に並んだイラスト
第8の2の(1)は、開口部の大きさを定めています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第1節 避難器具 第8 特例基準 2(1) (1) 開口部の有効開口面積は、開放形式に応じて次式により算定した値が2平方メートル以上となること
有効開口面積 = 純開口面積 × K
Kの値は、開放形式に応じて下表によること
大阪市の2平方メートルは、窓の開き方で割り引いた面積です。
運用基準の表を整理すると、次のとおりです。
開放形式回転角(θ)K備考
引き違い、片引き記載なし1記載なし
上げ下げ記載なし1記載なし
開き記載なし145度以上開くこと
縦軸回転記載なし145度以上開くこと
横軸回転、倒し、突き出し0度以上90度以下sinθすべり出しの場合の上部開口部分はK=1としてよい
ガラリ0度以上90度以下sinθ記載なし
sinθ(サインシータ)は、角度θで決まる0から1までの数です。
30度なら0.5、45度ならおよそ0.71、90度なら1になります。
横軸回転、倒し、突き出しの窓とガラリは、開く角度が小さいほど、有効開口面積が小さく数えられます。
純開口面積が3平方メートルの突き出し窓で、試しに計算してみます。
開く角度K(sinθ)有効開口面積2平方メートル以上か
30度0.53平方メートル × 0.5 = 1.5平方メートル届かない
45度およそ0.713平方メートル × 0.71 = およそ2.1平方メートル届く
90度13平方メートル × 1 = 3平方メートル届く
この表は、運用基準の式に数字を当てはめた計算例です。
純開口面積がちょうど2平方メートルの突き出し窓は、90度まで開かない限り、有効開口面積が2平方メートルに届きません。
運用基準には「θのとり方」の図があり、横軸回転、内倒しと外倒し、突き出し、ガラリについて、角度のとり方と有効開口の位置が示されています。
ガラリの図には、開口面積に入れない部分も示されています。
「純開口面積」の言葉の定義は、この項目には書かれていません。
引き違いの窓でどの部分を純開口面積に数えるかは、消防署に確かめてください。
(2)は、開口部の位置を定めています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第1節 避難器具 第8 特例基準 2(2) (2) 開口部の上端は、当該階段の天井の高さの位置にあること
国の告示には、最上部に500平方センチメートル以上の換気口がある場合のただし書がありました。
大阪市の(2)には、このただし書は書かれていません。
一方で大阪市の本文は、階段室の最上部にも開口部を設けることを求めています。
階段の窓について、開き方と開く角度、窓の上端の高さを、図面と現地の両方で確かめてください。

つまり、突き出し窓は大きく開かないと、面積が足りなくなるのですね。

はい、純開口面積にKを掛けた面積で数えます。
窓の開き方と開く角度を、図面で確かめておきましょう。

大阪市では窓を開ける装置と地階の開口部に何が求められるのか

階段の踊り場の壁に赤い押しボタンの箱があり天井に煙感知器が付き窓が外へ開いているイラスト
第8の2の(3)は、窓を開ける装置を定めています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第1節 避難器具 第8 特例基準 2(3) (3) 開口部の開放装置は、次に適合する手動起動装置及び自動起動装置の作動と連動して全ての開放装置が起動するものであること
ア 手動起動装置は、階段の各階入口部分又は各開口部の直近で床面から80センチメートル以上1.5メートル以下の高さの位置に設けること
イ 自動起動装置は、規則第23条第4項第7号の規定又は当該規定の例により設けた煙感知器と連動して作動するものとする。
ウ 開放装置には非常電源を設けること
エ ウの非常電源及び配線は、排煙設備の基準(第3)を準用する。
窓は、手で起動しても煙感知器で起動しても、全部が開く仕組みにします。
1か所の装置を動かせば、その階の窓だけでなく、全ての開放装置が起動するという書き方です。
イとエは、別の規定を借りています。
借りている先は、次の順に開いて読みます。
  1. (3)のイを読み、煙感知器の設け方が消防法施行規則第23条第4項第7号によることを確かめます
  2. 規則第23条第4項第7号を開きます。ヘは、階段及び傾斜路では垂直距離15メートル(3種の感知器は10メートル)につき1個以上としています
  3. (3)のエを読み、非常電源及び配線が「排煙設備の基準(第3)」を準用していることを確かめます
  4. 同じ運用基準の第5章 第1節 排煙設備の第3を開きます。「非常電源及び配線は、第6章「非常電源の基準」による。」と書かれています
  5. 第6章 非常電源を開き、非常電源の種別や配線の定めを確かめます
エの借用は、避難器具の節から排煙設備の節へ、さらに非常電源の章へと、3段になっています。
イの「当該規定の例により」は、自動火災報知設備の煙感知器と同じ方法で設けた煙感知器も含む書き方と読めます。
窓の開放装置にどの種別の非常電源が要るのかは、第8の2には書かれていません。
具体的な機器を選ぶ前に、消防署に確かめてください。
(4)は、地階の開口部を定めています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第1節 避難器具 第8 特例基準 2(4) (4) 開口部を地階に設ける場合は、次に適合するドライエリアに面して設けること
ア 開口部と当該開口部に相対するドライエリアの壁との間は、水平距離1メートル以上離すこと
イ ドライエリアの大きさは、地階に設ける開口部の数に2平方メートルを乗じて得た数以上の水平投影面積を有すること
ウ ドライエリアの上部にグレーチング等で蓋をする場合は、当該蓋の有効開口部の合計が、イの水平投影面積以上であること
ドライエリアは、地階の外壁に沿って掘り下げた空堀です。
地階の開口部が2つなら、ドライエリアの水平投影面積は4平方メートル以上になります。
運用基準の図3-1-3には、2つの例が載っています。
各階の部分ごとに開口部を設けた例では、ドライエリアとグレーチングの有効開口面積が4平方メートル以上と書き込まれています。
各階の中間の部分ごとに開口部を設けた例では、どちらも2平方メートル以上と書き込まれています。
どちらの例にも、階段の入口に常時閉鎖式の防火戸と手動起動装置が描かれています。
手動起動装置の位置と高さ、煙感知器との連動、非常電源の有無を、点検のときに確かめておいてください。

窓の大きさだけでなく、開ける装置や非常電源まで条件になっているのですね。
うちの窓は、手で開ける普通の窓です。

その場合は、(3)の開放装置の条件に合わないと読めます。
改修するなら、設計の前に消防署へ相談しましょう。

大阪市のほかの項目や東大阪市と堺市にも同じ特例はあるのか

3つの市の庁舎が横に並んだイラスト
第8の2の階段は、大阪市の運用基準のほかの場所にも出てきます。
1つは、先ほどの誘導灯の節です。
もう1つは、同じ避難器具の節の第8の4で、上の階の壁面が後退した建物の特例です。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第1節 避難器具 第8 特例基準 4(4)(前段) (4) (3)により算出した設置可能階に設ける避難器具の個数については、設置可能階の屋上又はバルコニー等から直接避難することができる規則第26条第2項に規定する階段、1.(1)に適合する階段又は2に適合する屋内避難階段の数を引いた数以上とすることができる。
第8の2の階段は、国の規則の階段と並べて、引ける階段に数えられています。
第8の1の屋外階段等の特例には、直通階段が2以上あることと、省略できる個数は直通階段の数から1を減じた数以下という上限が書かれています。
第8の2の本文には、この2つは書かれていません。
引いた数が1に満たないときの扱いも、第8の2の本文には書かれていません。
必要な個数が1個の階で、この特例を使って避難器具を置かないことまでできるのかは、消防署に確かめてください。
次に、大阪市の周りの市を見ます。
東大阪市の「避難器具の設置に係る運用基準」は、11 特例基準に(1)から(5)までの5項目を置いています。
堺市の「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」は、第17 避難器具の7 特例適用基準★に、屋外階段についての1項目を置いています。
3市の公開基準を並べると、次のとおりです。
比べる点大阪市東大阪市堺市
避難器具の特例の根拠令第32条又は条例第47条令第32条又は条例第52条政令第32条又は条例第72条
屋内避難階段の開口部についての特例第8の2(開放装置を備えた開口部。有効開口面積2平方メートル以上)項目は見当たらない項目は見当たらない
屋外階段で避難器具の個数を引く特例第8の1項目は見当たらない7 特例適用基準★
壁面が後退した建物で引ける階段規則第26条第2項に規定する階段、第8の1(1)に適合する階段、第8の2に適合する屋内避難階段規則第26条第2項に規定する階段項目は見当たらない
誘導灯の点滅と音声誘導を止めなくてよい屋内の階段告示第7号に適合する開口部を有する屋内避難階段と、避難器具の基準(第8.2)に適合する階段告示第7号に適合する開口部を有する屋内避難階段告示第7号に規定する開口部を有する階段(開放階段)
東大阪市と堺市の公開基準では、国の告示第7号の階段は出てきますが、開放装置で開く窓を告示の階段と同じように扱う項目は見当たりません。
堺市は、高層建築物に係る指導指針で、避難器具が必要な階には、必要な個数以上の特別避難階段、屋外避難階段又は告示第7号に定める部分を有する屋内避難階段を努めて設けるとしています。
この項目には★印が付いています。
堺市の凡例では、★は堺市消防局として定めた指導基準を表します。
基準に項目がないことは、その市で特例が認められないことを意味するわけではありません。
令第32条を適用するかどうかは、消防長又は消防署長が個別に判断します。
大阪市の基準で読んだ結論を、ほかの市の建物にそのまま当てはめず、建物のある市の基準を開いて管轄の消防署で確かめ直してください。

つまり、開く窓の階段を引ける特例を書いているのは、3市のうち大阪市だけなのですね。

はい、公開されている基準を読む限りはそうなります。
建物のある市の基準を開いて、管轄の消防署に確かめましょう。

よくある質問

Q大阪市では、屋内の避難階段に窓があれば、どんな窓でも避難器具の個数から引けますか?
Aどんな窓でもよいわけではありません。国の告示第7号は、直接外気に開放された2平方メートル以上の開口部を求めています。大阪市の運用基準の避難器具の節 第8の2は、開放装置を備えた開口部について、有効開口面積、上端の位置、起動装置、非常電源などの条件を定めています。令第32条又は条例第47条の規定を適用する特例なので、所轄の消防署に確かめてください。
Q突き出し窓の有効開口面積は、どう計算しますか?
A大阪市の運用基準は、有効開口面積を純開口面積にKを掛けて求めるとしています。横軸回転、倒し、突き出しの窓のKはsinθです。純開口面積が3平方メートルで45度まで開く窓なら、およそ2.1平方メートルになります。
Q窓を開ける装置には、どんな条件がありますか?
A手動起動装置と自動起動装置の作動と連動して、全ての開放装置が起動するものとされています。手動起動装置は床面から80センチメートル以上1.5メートル以下の高さに設け、自動起動装置は煙感知器と連動させます。開放装置には非常電源を設けます。
Q東大阪市や堺市でも、同じ条件で判断されますか?
A東大阪市と堺市の公開基準では、避難器具の特例に屋内避難階段の開口部についての項目は見当たりません。建物のある市の基準を開いて、管轄の消防署に確かめてください。

まとめ

✔国の消防法施行規則第26条第2項は、屋内の避難階段については消防庁長官が定める部分を有するものに限って、避難器具の個数から引くことを認めています
✔平成14年消防庁告示第7号が求めるのは、各階又は各階の中間の部分ごとの、直接外気に開放された2平方メートル以上の開口部です
✔大阪市の運用基準は、避難器具の節 第8の2に屋内避難階段の特例基準を置き、根拠は令第32条又は条例第47条です
✔大阪市の2平方メートルは、純開口面積にKを掛けた有効開口面積で数え、突き出し窓などのKはsinθです
✔開放装置は、手動起動装置と煙感知器の両方に連動して全てが起動するものとし、非常電源を設けます
✔非常電源及び配線は、排煙設備の基準の第3から第6章 非常電源へと借用をたどって読みます
✔東大阪市と堺市の公開基準には同じ項目が見当たらないので、建物のある市の基準を開いて管轄の消防署に確かめます

屋内の避難階段は、窓の開き方と大きさ、開ける装置まで見る必要があると分かりました。
まずは階段の窓の図面を確かめます!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」凡例、第3章 第1節 避難器具 第8 特例基準 柱書・1・2(図3-1-3を含む)・4(4)、第3章 第2節 誘導灯及び誘導標識 第2 避難口誘導灯 4 点滅機能及び音声誘導機能、第5章 第1節 排煙設備 第3 非常電源及び配線、第6章 非常電源 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
  • 東大阪市「避難器具の設置に係る運用基準」11 特例基準、「消防用設備等の設置に係る運用基準」誘導灯及び誘導標識 第2 避難口誘導灯 https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
  • 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」凡例、第3章 第17 避難器具 Ⅱ 細目 7 特例適用基準、第18 誘導灯及び誘導標識 Ⅱ 細目 3 設置要領等 (3) 点滅機能及び音声誘導機能を付加した誘導灯、用途・形態別指導指針 第3 高層建築物に係る指導指針 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
  • 大阪市火災予防条例(昭和37年大阪市条例第14号)第47条(大阪市例規データベース)
  • 消防法施行令第25条、第32条
  • 消防法施行規則第23条第4項第7号、第26条第2項
  • 消防法施行規則第四条の二の三並びに第二十六条第二項、第五項第三号ハ及び第七項第三号の規定に基づく屋内避難階段等の部分を定める件(平成14年消防庁告示第7号) https://www.fdma.go.jp/laws/kokuji/
  • 建築基準法施行令第123条

※本記事は公表されている法令および各市消防局の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。有効開口面積の計算例は、運用基準の式に数字を当てはめたものです。避難器具の個数を減らせるかどうかについての個別の判断は、所轄消防署にご確認ください。

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