マンションや事務所ビルの外廊下(吹きさらしの廊下)は、条件を満たすと床面積に入りません。
床面積が変わると、延べ面積や階の床面積で決まる消防用設備等の要否が変わることがあります。
「外気に有効に開放されているか」を見る目安の一つが、廊下が面する隣地境界線からの距離です。
この記事では四日市市の「50cm以上で支障ない」を軸に、鈴鹿市・埼玉県央広域・堺市の書き方と比べます。
四日市市で3階建ての賃貸マンションを管理していて、外廊下の先がすぐ隣の敷地です。
この廊下が床面積に入るかどうかで設備が変わると聞きました。
外廊下は吹きさらしの廊下として床面積から外せる場合があります。
まず条件を一つずつ確かめましょう。
隣の家の塀まで1mもないのですが、それでも外に開いているといえるのでしょうか。
四日市市の基準には、その距離について50cm以上で支障ないという一文があります。
- 吹きさらしの廊下は、外気に有効に開放されている部分の高さが1.1m以上かつ天井の高さの2分の1以上なら、幅2mまでを床面積に入れません(昭和61年 建設省住指発第115号)
- 四日市市は「外気に有効に開放されている部分」の判断で、隣地境界線からの距離を50cm以上で支障ないとしています
- 鈴鹿市は一般的な目安として隣地境界線から有効1m以上、同じ敷地の他の建築物等から2m以上を挙げ、公共的空地なら距離を考えなくてよいとしています
- 幅2mを超える部分と、柵で囲って条件を満たさなくなった部分は床面積に入ります
- 鈴鹿市と埼玉県央広域は、床面積に入らない廊下を消火器の歩行距離と警戒区域の面積から外し、無窓階の判定では外部空間として扱います
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目次
吹きさらしの廊下はどんな条件なら床面積に入らないのか

その通知が、吹きさらしの廊下を床面積に入れない条件を決めています。
1 床面積の算定 (1)建基法上の床面積
ア 床面積の算定は、「床面積の算定方法について」(昭和61年4月30日付け建設省住指発第115号)によること。
(2)消防用設備等の設置にあたっての床面積の算定は、建基法によるほか、次によるものとする。
(4)吹きさらしの廊下
外気に有効に開放されている部分の高さが1.1m以上であり、かつ、天井の高さの1/2以上である廊下については、幅2mまでの部分を床面積に算入しない。
(5)バルコニー・ベランダ
吹きさらしの廊下に準じる。
建築基準法施行令第2条第1項第3号は、床面積を「壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積」としていて、壁のない廊下はこの区画がはっきりしません。
そこで115号通知が、開いている部分の高さが1.1m以上かつ天井の高さの1/2以上なら、幅2mまでを入れないと決めています。
四日市市は(2)で、消防用設備等の設置のための床面積も「建基法によるほか」次の項目で決めるとしていて、通知が出発点です。
鈴鹿市(第2章 第3 1⑷ア)と埼玉県央広域(第2章 第3 1⑷)も同じ条件を載せ、堺市(第4 1(1))は通知の本文を基準に収録しています。
まず自分の建物の断面図で、腰壁の上の開いている高さと天井の高さを拾っておくと、次の距離の話に進めます。
うちの外廊下は腰壁の上が全部開いていますが、天井までの高さを測ったことはありません。
断面図に腰壁の高さと天井の高さが書いてあるはずです。
まず数字を拾ってみましょう。
隣の敷地が近い廊下も外に開いているといえるのか

廊下の前に隣の建物が迫る場合を考えて、距離の目安を書いている本部があります。
イ 建設省住宅局建築指導課監修、社団法人日本建築士事務所協会連合会発行の「床面積の算定方法の解説」を参考とすること。
なお、本解説中、吹きさらしの廊下、バルコニー、ベランダ及び屋外階段に関する項目中の「外気に有効に開放されている部分」の判断に際して、一つの要件となる「当該部分が面する隣地境界線からの距離」については、50cm以上で支障ないものとする。
オ 「外気に有効に開放されている部分」とは、一般的には隣地境界線から有効1m以上、同一の敷地内の他の建築物の部分又は当該建築物の他の部分から2m以上離れた部分をいう。この場合において、当該規定は、隣地にいかなる建築物が建つか想定し得ないため、一定距離の確保をもって開放性を担保するものであるため、将来にわたり、隣地が空地として担保される公共的空地には、隣地境界線までの距離を考慮しなくても差し支えない。
四日市市は「床面積の算定方法の解説」を参考にするとしたうえで、その中の隣地境界線からの距離という要件を50cm以上で支障ないとしています。
鈴鹿市は隣地境界線から有効1m以上、同じ敷地内の他の建築物や同じ建物の他の部分から2m以上を挙げ、公園のように将来も空地が担保される公共的空地なら隣地側の距離を考えなくてよいとしています。
四日市市の一文には行政指導を示す下線がなく、鈴鹿市の⑷オにも▲や●の記号は付いていません(いずれもPDFのページ画像で確認)。
埼玉県央広域と堺市の床面積の節には、距離の数字は見当たりませんでした。
四日市市の一文は同じ敷地内の別棟からの距離に触れていないので、敷地に別棟がある場合は計画の段階で四日市市消防本部に確かめてください。
| 消防本部 | 隣地境界線から | 同じ敷地の他の建築物等から | 記号 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 四日市市 | 50cm以上で支障ない | 記載なし | 下線なし | 第1章 第3 1(1)イ なお書き |
| 鈴鹿市 | 有効1m以上(公共的空地は考慮不要) | 2m以上 | 無印 | 第2章 第3 1⑷オ |
| 埼玉県央広域 | 記載なし | 記載なし | - | 第2章 第3 1⑷(115号通知と同じ条件のみ) |
| 堺市 | 記載なし | 記載なし | - | 第4 1(1)(115号通知の例により算定・本文を収録) |
隣の家の塀までは70cmほどなので、四日市市の目安なら満たしていますね。
四日市市の文のとおりなら50cm以上は支障ないとされています。
同じ敷地の別棟との距離も図面で測っておきましょう。
幅2mを超える廊下や柵で囲った部分はどう数えるのか

鈴鹿市の基準は、幅・囲い・屋根の3つの場面を書き分けています。
ア(※) ただし、幅が2m(芯々)を超える廊下は、その部分を自転車置き場、物品の保管等の屋内的用途に用いる場合が想定し得るため、十分な開放性を有するものであっても、幅2mを超える部分については床面積に算入する。
イ 吹きさらしの廊下に、柵等の囲いで区画することで、アの条件を満たさない部分がある場合は、当該区画した部分は吹きさらしの廊下といえず、床面積に算入する。
エ 屋根、庇のない廊下部分は、そもそも床面積に算入されないものであるが、幅2mを超える部分の算定については、屋根のある部分を対象として、直上の手すり壁等の中心線から幅2mを超える部分を床面積算入部分として取り扱う。
鈴鹿市は、幅が2m(芯々)を超える廊下は自転車置き場や物品の保管のような屋内的用途に使われうるので、十分に開いていても2mを超える部分は算入するとしています。
柵などで囲ってアの条件を満たさなくなった部分は、もう吹きさらしの廊下とはいえず、床面積に入ります。
屋根や庇のない部分はそもそも床面積に入らず、2mは屋根のある部分について直上の手すり壁等の中心線から測ります(第3-4図〜第3-6図)。
埼玉県央広域も無窓階の節の例2で、廊下とバルコニーは屋外側の腰壁又は手すりの中心線から2mを超える部分が床面積に算入されると書いています。
廊下の一部を柵で囲って物置や駐輪に使う計画は、床面積が増える前提で、着手前に管轄の消防本部へ相談してください。
廊下の端を柵で囲って、住人の自転車置き場にしようと考えていました。
四日市市の基準に柵の書き方はありませんが、鈴鹿市の文では床面積に入る側です。
柵を付ける前に面積の増え方を確かめましょう。
防風スクリーンを付けた廊下も外に開いているとみなせるのか

鈴鹿市の基準は、出入口の前に設ける防風スクリーンの大きさの目安を書いています。
ウ 住戸出入口の前面やエレベータ出入口の前面に設ける防風スクリーン(幅2m以下かつ1住戸の幅の3分の1以下)や柱等であって、必要と認める範囲については、その設置にかかわらず「外気に有効に開放されている部分」とみなして差し支えない。
鈴鹿市は、住戸出入口やエレベーター出入口の前面に設ける防風スクリーンについて、幅2m以下かつ1住戸の幅の3分の1以下という目安を示しています。
この範囲の防風スクリーンや柱などで必要と認める範囲は、設置にかかわらず「外気に有効に開放されている部分」とみなして差し支えないとしています。
四日市市・埼玉県央広域・堺市の基準には、防風スクリーンの扱いは見当たりませんでした。
目安は鈴鹿市の文にあるだけなので、四日市市で付けるときは寸法を入れた図を作り、所轄の消防署に確かめてください。
エレベーターの前だけ、風よけのガラスを付けたいという話が出ています。
鈴鹿市の目安なら、幅と住戸の幅との比で見ます。
寸法を入れた図で相談しましょう。
床面積に入らない廊下は消火器や感知器や無窓階の判定でどう扱うのか

鈴鹿市と埼玉県央広域は、消火器・警戒区域・無窓階の3つの場面で扱いを書いています。
前各項の規定により設ける消火器具は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める部分から、それぞれ一の消火器具に至る歩行距離が二十メートル以下となるように配置しなければならない。
一 第一項及び第五項に規定するもの(略) 防火対象物の階ごとに、当該防火対象物の各部分
⑷ 省令第6条第6項に規定する「防火対象物の各部分」には、ピロティ、ポーチ等で屋内的用途に供しない部分、吹きさらしの廊下、バルコニー、ベランダ及び屋外階段の部分で、床面積に算出されない部分は含める必要はないこと。
鈴鹿市(第4章 第1 2⑷)と県央広域(第4章 第1 3⑷)は、規則第6条第6項の「各部分」に、床面積に入らない吹きさらしの廊下やバルコニーを含めないとしています。
自動火災報知設備の警戒区域の面積(令第21条第2項第2号の600㎡以下)も、両本部とも床面積に算出されない部分を含めないとしています。
無窓階の判定では両本部とも例2で、2mを超えて床面積に算入された廊下やバルコニーも外部空間として扱い、住戸部分の床面積の30分の1の開口部の有無で判断するとしています。
四日市市は無窓階の判定で、屋内的用途に使われていないピロティ・ポーチ等の部分を除いた床面積で判定するとしていますが(第1章 第4 5(3))、廊下の例は挙げていません。
鈴鹿市・県央広域の各項目には▲や●の記号はなく、四日市市の(3)にも下線はありません(いずれもページ画像で確認)。
| 消防本部 | 消火器の歩行距離(規則第6条第6項) | 警戒区域の面積(令第21条第2項) | 無窓階の判定(規則第5条の5) |
|---|---|---|---|
| 鈴鹿市 | 各部分に含まない 第4章 第1 2⑷ | 面積から除外 第4章 第10 2⑴ア | 廊下とバルコニーは外部空間 第2章 第4 2⑶ 例2 |
| 埼玉県央広域 | 含める必要はない 第4章 第1 3⑷ | 含める必要はない 第4章 第10 3⑴ア | 廊下とバルコニーは外部空間 第2章 第4 1⑶ 例2 |
| 四日市市 | 記載なし | 記載なし | ピロティ・ポーチ等を除いた床面積で判定 第1章 第4 5(3) |
消火器までの歩行距離は、外廊下ではなく住戸の中の各部分から測ればよいのですね。
鈴鹿市と県央広域の文ならそう読めます。
四日市市では所轄の消防署に測り方を確かめましょう。
よくある質問
まとめ
隣地までの距離と腰壁の上の高さを図面で測って、所轄の消防署に相談します!
寸法の入った図面があれば、床面積に入るかどうかの相談も早く進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法施行令 第2条第1項第3号、消防法施行令 第21条第2項、消防法施行規則 第5条の5・第6条第6項・第26条第2項(e-Gov法令検索)
- 「床面積の算定方法について」(昭和61年4月30日 建設省住指発第115号)※堺市の審査基準 第4 床面積、階及び高さの取扱いに収録された本文で確認
- 四日市市消防本部「四日市市消防同意事務審査基準」第1章 第3 床面積の判定及び階の取扱い・第4 無窓階(有窓階)の判定 第1章のPDF
- 鈴鹿市消防本部「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」第2章 第3 建築物の床面積及び階の取り扱い 第2章 第3のPDF/第2章 第4 無窓階の取り扱い 第2章 第4のPDF/第4章 第1 消火器具 第4章 第1のPDF/第4章 第10 自動火災報知設備 第4章 第10のPDF
- 埼玉県央広域消防本部「消防用設備等に関する審査基準」第2章 第3 建築物の床面積及び階の取り扱い 第3のPDF/第2章 第4 無窓階の取り扱い 第4のPDF/第4章 第1 消火器具 第1のPDF/第4章 第10 自動火災報知設備 第10のPDF/第3章 第12 避難器具の設置個数の減免の取り扱い 第12のPDF
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第4 床面積、階及び高さの取扱い https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
※本記事は各消防本部が公開している審査基準と国の法令・通知に基づく一般的な解説です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防本部で確認してください。各本部の資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。建築基準法上の床面積の扱いは特定行政庁・建築主事等に、個々の建物の消防用設備等の要否は所轄の消防本部にご確認ください。





