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廊下や倉庫の中の床は床面積に入るのか|屋外部分と棚とトラックターミナルと目立場など五つの質疑を現行の条文と照らして解説

床面積に入る部分と入らない部分の見分け方

消防用設備等は、建物の延べ面積や階ごとの床面積によって、必要になるかどうかが決まります。
ところが、廊下、倉庫の中の床のような部分、荷物を載せる棚など、その部分を面積に数えるのかどうかが、迷う場面があります。
消防の実務書には、こうした面積の数え方を確かめた質疑応答が並んでいます。
この記事では、その中から5つの論点を取り上げ、現行の条文に照らして読みます。どこまでを床面積に数えるのかを、順に確かめます。

面積の数え方で、必要な設備が変わることもあるんですよね。

はい。
だからこそ、床面積に入る部分と入らない部分の線引きが大切です。

廊下や棚のような部分は、どう数えるんでしょうか。

一つずつ確かめます。
現行の条文に当たれるところは、当たって読みます。

この記事の結論
  • 消防法令上の高さ、階数、面積の算定は、建築基準法施行令第2条によると答えており、床面積は壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積で数えます
  • ポーチ、ピロティ、吹きさらしの片廊下のように、風雨を防ぐ区画を欠き屋内的な用途に使わない屋外部分とみなされる部分は、床面積に算入しない扱いが引かれています
  • 倉庫の中に設けた床のような部分は、階数と床面積に算入すると答えています
  • 荷物を載せる棚か床かは、荷積みをする人が部分の外から作業できるか、上を歩いて作業するかを目安に、社会通念で判断すると答えています
  • 製材工場の開放的な目立場も、階として延べ面積に算入すると答えており、498平方メートルの工場は552平方メートルになります

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床面積の数え方の五題として、吹きさらしの部分は床面積に入れない、倉庫の中二階も階に数える、棚か床かは作業のしかたで分かれる、トラックターミナルは建築面積で見る、目立場も階として延べ面積に入る、を並べた図解

消防法令の床面積は、どの決まりで数えるのか

消防法施行令や施行規則の条文には、床面積の数え方を直接に定めた規定は、見当たりません。
そこで質疑では、消防法令が使う高さ、階数、面積の数え方を、どの決まりに当てはめるのかが確かめられています。回答は、建築基準法施行令第2条によると解してよい、というものです。
建築基準法施行令第2条第1項第3号は、床面積を、建築物の各階又はその一部で、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による、と定めています。同項第4号は、延べ面積を、建築物の各階の床面積の合計による、と定めています。
面積の数え方が大切なのは、設備の要否が面積で決まるからです。たとえば、消防法施行令第21条第1項第4号は、別表第一(12)項に掲げる工場又は作業場で、延べ面積が500平方メートル以上のものに、自動火災報知設備を設けるよう定めています。
質疑の回答は、消防庁予防課が都道府県などへ出した通知に収められたものです。通知の名前や条番号は当時のもので、現在の建築基準法施行令や消防の運用とは違う点があります。

倉庫の中に設けた床のような部分は、階数や床面積に入るのか

薄ベージュの倉庫の壁が一面だけ切り開かれ、内側にオレンジ色の高い床の部分と、そこへ上がる小さな灰色の鉄の階段があるイメージ
倉庫の内部に、床のような部分を設けることがあります。天井の高い倉庫の途中に、荷物を置く広い床を渡す例です。
この部分が、階として数えられるのか、面積として数えられるのかが、問われました。
問(要旨) (1) 消防法令における防火対象物の高さ、階数、面積の算定は、建築基準法施行令第2条によるものと解してよいか。(2) 図のような倉庫の場合、A部分は階数、床面積に算入されるか。
答(要旨) (1)及び(2) お見込みのとおり。
(消防庁の消防用設備等に係る質疑応答・通知)(昭和39年8月3日・自消丙予発第93号)
倉庫の内部に設けた床のような部分は、階数にも床面積にも算入すると答えています。
先ほどの建築基準法施行令第2条の考え方どおり、床面積は各階又はその一部で数えるので、床として使う部分があれば、その分が面積に加わります。階数が増えれば、階ごとの基準にも響きます。たとえば、消防法施行令第21条第1項第11号は、地階、無窓階又は3階以上の階で床面積が300平方メートル以上のものに、自動火災報知設備を設けるよう定めています。
床のような部分を後から足したときは、面積と階数の両方で設備の要否が変わらないかを、確かめる必要があります。

倉庫の中の床も、ちゃんと面積に入るんですね。

はい。
後から足した部分こそ、面積と階数を確かめてください。

廊下やバルコニーのような吹きさらしの部分は、床面積に入るのか

二階建ての薄ベージュの集合住宅の正面に、細い濃紺の手すりと灰色の柱のある開放的な通路が伸び、入口に小さな屋根付きのポーチがあるイメージ
マンションやアパートには、外に面した開放的な廊下があります。建物の入口には、屋根だけのポーチもあります。
こうした部分を、床面積に数えるのかどうかが、問われました。質疑には、建設省が特定行政庁へ出した通達が引かれています。
問(要旨) 建設省の通達によれば、床面積は、建築物の各階又はその一部で、壁、扉、シャッター、手すり、柱等の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。ただし、「屋外部分とみなされる部分」は、屋外観覧席を除き床面積に算入しない。「屋外部分とみなされる部分」とは、その周囲の相当部分が壁のような風雨を防ぎ得る構造の区画を欠き、かつ、居住、執務、作業、集会、娯楽、物品の陳列、保管又は格納その他の屋内的用途を目的としない部分をいい、おおむね、(1) ポーチ、公共用歩ろう、ピロティ等で、その部分の接する道路又は空地と一体の空間を形成し、かつ、常人又は車の運行が可能なもの、(2) 通常の形式のバルコニー及びこれに形態の類似する吹きさらしの片ろう下等、である。この通達から判断すると、開放片ろう下式共同住宅のろう下部分の床面積は算入されないことになるが、消防用設備等の設置に関する政令規定の適用の場合も、床面積を算入することは不適当か。
答(要旨) 消防法令上の「床面積」の概念は、建築基準法令におけるそれと同一である。
(消防庁の消防用設備等に係る質疑応答・通知)(昭和40年2月5日・自消丙予発第17号)
消防法令上の床面積の概念は、建築基準法令のものと同一だと答えています。
質疑は、通達の考え方で床面積を数えたときの、政令規定の適用を問うものでした。回答は、その通達を引いた概念が消防法令でも同じだと答えているので、屋外部分とみなされる部分は床面積に含めないという読み方になります。
通達が挙げる屋外部分は、周囲に風雨を防ぐ区画がなく、屋内的な用途にも使わない部分です。開放的な廊下でも、荷物を置いて保管に使ったり、囲って部屋のように使ったりすれば、この条件を外れます。
この通達は、当時の建設省のものです。現在の扱いは、建築確認を行う特定行政庁と、所轄の消防署の両方に、確かめる必要があります。

外に開いた廊下は、数えないことがあるんですね。

はい。
ただし、屋内的な用途に使っていないことが条件です。

荷物を載せる棚と床は、どこで見分けるのか

灰色の鉄の棚に無地の段ボール箱が積まれ、脇に小さな灰色の脚立が立てかけてある倉庫の隅のイメージ
倉庫では、荷物を載せるために、棚を高い位置へ設けることがあります。その棚が、2階の床のような形になっているときに、棚として数えるのか、床として数えるのかが、問われました。
問(要旨) 倉庫内に、積荷の用に供するため、別添図面のように2階の床と思われるような棚を設けたものについて、(1) 棚の部分は、2階の床として面積を算定し、消防用設備等を設置すべきか。(2) 棚と2階の床とを区別する基準は何によるべきか。
答(要旨) (1) お見込みのとおり。
(2) 棚又は床の区別については、一般的には、当該部分に積荷を行う場合に、積荷を行う者が当該部分の外部にいてその作業を行うことができる構造のものを「棚」とし、当該部分を歩行し、又はその上にいて作業を行うものを「床」とすることが適当であるが、具体的には、その形状、機能等を勘案の上、社会通念に従って判断することが必要である。
(消防庁の消防用設備等に係る質疑応答・通知)(昭和40年6月15日・自消丙予発第106号)
2階の床と思われる棚は床として面積を算定し、棚か床かは作業のしかたを目安に判断すると答えています。
目安は、積荷をする人の位置です。外に立ったまま荷物を載せられるのが棚、その上を歩いたり、上に乗って作業したりするのが床です。
ただし、回答は、形状や機能を勘案して、社会通念で判断するよう求めています。目安の一言だけで決めず、実際にどう使うのかを、所轄の消防署と確かめる必要があります。

棚でも、上を歩いて使うなら床になるんですね。

はい。
見分ける目安は、作業する人の位置です。

トラックターミナルの事務室以外の部分は、何を床面積とするのか

低い灰色の建物の正面に、ベージュ色の高い荷さばきの台が伸び、白い箱形のトラックが後ろ向きに横付けされているイメージ
トラックターミナルは、荷物の積みおろしをする台、いわゆるホームがあり、建物の壁で囲まれていない部分が広くなります。事務室以外の部分の床面積を、どう数えるのかが、問われました。
問(要旨) トラックターミナルの、事務室以外の部分の床面積は、次のいずれを適用して算出すべきか。(1) 建築面積を床面積とみなす。(2) ホーム(1.2メートル高い部分)の面積を床面積とみなす。(3) 床面積に該当する部分が無いので、該部分に対する消防用設備は必要としない。
答(要旨) (1)を適用して消防用設備を設置させるべきである。
(消防庁の消防用設備等に係る質疑応答・通知)(昭和40年6月26日・自消丙予発第112号)
事務室以外の部分は、建築面積を床面積とみなして設備を考えると答えています。
建築面積は、建築基準法施行令第2条第1項第2号で、建築物の外壁又はこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積と定められています。壁で囲まれていない部分でも、外壁や柱で見える範囲は、この面積に入ります。
これは、通常の床面積の数え方とは違う、みなしの扱いです。「床面積に該当する部分が無い」という第3案を、回答が採らなかった点が要になります。
回答は、当時のトラックターミナルを念頭に置いています。現在の建物に当てはめるときは、所轄の消防署に、みなしの範囲を確かめてください。

壁がなくても、設備は考えなくていいわけではないんですね。

はい。
この質疑では、建築面積を床面積とみなすと答えています。

壁のない開放的な作業場は、延べ面積に入るのか

濃紺の小さな平屋の製材工場の脇に、明るい木材が積まれ、側面にオレンジ色の開放的な鉄骨の床と灰色の階段が付いているイメージ
製材工場に、のこぎりの手入れをする目立場を設けた例が、質疑に出ています。鉄骨の階段で上る、壁のない開放的な部分です。工場の床面積は498平方メートルで、目立場は54平方メートルでした。
面積に数えれば、自動火災報知設備が必要になる建物かどうかが変わるので、確かめられました。
問(要旨) 鉄骨トタン張りの平屋建の製材工場に、図のような目立場を設けている。この部分が床面積に算入されれば自動火災報知設備を必要とする建築物になるが、図の部分が床面積に算入されるかどうか。また、算入されるとしたらその根拠は何か。(図では、製材工場の床面積が498平方メートル、目立場が54平方メートル)
答(要旨) (1)設問の図中Bの部分は階とみなされる。したがって、当該部分の床面積は、当該建築物の延べ面積に算入される。
(2)(1)により承知されたい。
(消防庁の消防用設備等に係る質疑応答・通知)(昭和47年8月29日・消防予第128号)
目立場は階とみなし、その床面積は延べ面積に算入すると答えています。
498平方メートルに54平方メートルを足すと、552平方メートルです。現行の消防法施行令第21条第1項第4号は、別表第一(12)項の工場又は作業場で延べ面積が500平方メートル以上のものに、自動火災報知設備を設けるよう定めているので、この計算では、500平方メートルの線を超えます。
壁のない開放的な部分でも、床として使い、上へ上がって作業するのであれば、階として数える。この質疑は、その感覚を示しています。増築や設備の置き場を足すときは、延べ面積の線を越えないかを確かめてください。

小さな部分でも、500平方メートルの線を越えるんですね。

はい。
足した部分を含めた延べ面積で、必要な設備を確かめます。

よくある質問

Q消防法令の床面積は、建築基準法の床面積と同じですか?
A質疑では、消防法令上の床面積の概念は、建築基準法令のものと同一だと答えています。数え方は、建築基準法施行令第2条第1項第3号の、区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積です。
Qバルコニーや開放的な廊下は、床面積に入りませんか?
A通達が挙げる屋外部分とみなされる部分は、床面積に算入しない扱いです。ただし、風雨を防ぐ区画がなく、屋内的な用途に使っていないことが条件です。実際の扱いは、特定行政庁と所轄の消防署に確かめてください。
Q荷物を載せる棚は、いつも床面積に入りますか?
A質疑の目安は、積荷をする人が外から作業できるなら棚、上を歩いて作業するなら床、というものです。ただし、形状や機能を勘案して社会通念で判断するので、実際の使い方で確かめます。
Q質疑の回答は、今もそのまま使えますか?
A質疑に出てくる通知の名前や機関の名前は、当時のものです。運用が変わっていることもあるので、所轄の消防署に確かめてください。

まとめ

✔消防法令の面積は、建築基準法施行令第2条によると答えており、床面積は区画の中心線で囲まれた水平投影面積で数える
✔ポーチ、ピロティ、吹きさらしの片廊下のような屋外部分とみなされる部分は、床面積に算入しない扱いが引かれている
✔倉庫の中に設けた床のような部分は、階数にも床面積にも算入する
✔棚か床かは、積荷をする人が外から作業できるか、上を歩くかを目安に、社会通念で判断する
✔トラックターミナルの事務室以外の部分は、建築面積を床面積とみなすと答えている
✔壁のない開放的な目立場も階として延べ面積に算入し、498平方メートルの工場は552平方メートルになる
✔質疑応答は、当時の運用を示したもので、実際の適用は所轄の消防署に確かめる

面積の数え方にも、意外と決まりがあるんですね。
足す前に、確かめてみます!

進める前に、所轄の消防署へ確かめておくのが安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令第21条・別表第一
  • 建築基準法施行令第2条
  • 消防庁の消防用設備等に係る質疑応答(予防行政の通知)

※本記事は公表されている法令および通知に基づく一般的な解説です。掲載した回答は発出当時のもので、条番号や言葉づかい等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄の消防署にご確認ください。

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