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大阪市で小さな店なら水バケツだけで消火器具が足りるのか|東大阪市と堺市も比較

大阪市で小さな店の消火器具を水バケツだけでそろえてよいかを東大阪市・堺市と比べて解説した記事のアイキャッチ

消防法でいう「消火器具」には、消火器だけでなく、水バケツや乾燥砂などの簡易消火用具も含まれます。
国の基準では、必要な能力単位の合計が2以上になる建物で、簡易消火用具の分は消火器の2分の1までに抑えるよう決められています。
大阪市の「消防用設備等の設置に係る運用基準」は、この合計が2未満の小さな建物でも消火器を設けるよう、行政指導の基準として求めています。
この記事では、国の基準と大阪市の運用を分けて読み、水バケツや乾燥砂の置き方、アンプル入り水の特例まで順にたどって、東大阪市・堺市と比べます。

大阪市で、延べ面積150平方メートルの小さな物販店を開きます。
消火器の代わりに水バケツを並べておけば足りますか?

国の条文の計算だけなら水バケツでそろえられる場合もありますが、大阪市の運用基準は能力単位の合計が2未満でも消火器を設けるよう求めています。

国の基準と大阪市の運用で、扱いが違うのですね。

はい、国の省令の2分の1の上限と、大阪市の運用基準の上乗せを分けて読むと分かりやすくなります。
順にたどっていきましょう。

この記事の結論
  • 国の基準では、水バケツは容量8リットル以上のもの3個で1単位として、消火器具の能力単位に数えられます
  • 簡易消火用具を消火器の2分の1までに抑える消防法施行規則第6条第7項は、能力単位の合計が2以上になる建物に限った決まりです
  • 大阪市の運用基準は、合計が2未満の建物でも、規則第6条第1項〜第6項の例により消火器を設けるよう求めています(◆行政指導基準)
  • 大阪市には、アンプル入り水6個を水バケツ8リットル以上3個と同じ能力単位として、水バケツに代えて使える特例があります
  • 東大阪市と堺市は、設置する箇所ごとに1単位未満にならないよう求めていますが、2未満でも消火器を求める記載とアンプル入り水の特例は見当たりません

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大阪市で水バケツの扱いを読む順番を国の政令の消火器と簡易消火用具と国の省令の水バケツ三個で一単位と二分の一の上限は合計二単位以上で適用と大阪市の運用の二単位未満でも消火器と大阪市の特例のアンプル入り水六個で一単位の五段で示した図解

国の基準では水バケツや乾燥砂は消火器の代わりになるのか

消火器と三個の水バケツとスコップを添えた乾燥砂の箱を並べた様子を示すイラスト
まず、全国共通の国の基準を確かめます。
消防法施行令第7条第2項第1号は、消火設備の最初に、消火器と簡易消火用具を並べています。
消防法施行令 第7条第2項第1号 消火器及び次に掲げる簡易消火用具
イ 水バケツ
ロ 水槽
ハ 乾燥砂
ニ 膨張ひる石又は膨張真珠岩
どれだけ置けばよいかは、消防法施行規則第6条第1項の能力単位で数えます。簡易消火用具の能力単位は、条文の中で次のように決められています。
消防法施行規則 第6条第1項(抜粋) 水バケツにあつては容量八リットル以上のもの三個を一単位として算定した消火能力を示す数値
乾燥砂にあつてはスコップを有する五十リットル以上のもの一塊を〇・五単位として算定した消火能力を示す数値
必要な能力単位は、延べ面積や床面積を用途ごとの面積で割って出します。物品販売店舗などの(4)項は100平方メートルで1単位なので、延べ150平方メートルの店なら1.5単位です。
このように合計が2未満になる建物では、次の第7項の上限がかかりません。
消防法施行規則 第6条第7項 前各項の規定により設ける消火器具の能力単位の数値の合計数が二以上となる防火対象物又はその部分にあつては、簡易消火用具の能力単位の数値の合計数は、消火器の能力単位の数値の合計数の二分の一を超えることとなつてはならない。
つまり国の条文の上では、合計が2未満なら、水バケツなどの簡易消火用具だけで能力単位をそろえる計算もできてしまいます。1.5単位なら、8リットル以上の水バケツ5個で約1.67単位です。
能力単位の数え方の基本は消火器の本数と能力単位の記事、2分の1の上限は簡易消火用具の能力単位の記事で詳しく解説しています。

国の基準だけ見ると、小さな店なら水バケツだけでもよいように読めますね。

条文の計算ではそうなります。
ただ大阪市では、運用基準で消火器を求めています。

大阪市で能力単位が2未満の建物にも消火器がいるのはなぜか

小さな店舗の売場で出入口の扉の横に消火器を置いた様子を示すイラスト
大阪市の運用基準は、第1章 第1節 消火器具の最初に、消火器の設置場所等を置いています。この(1)には◆が付いています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第1節 消火器具 第1 1(1)ウ◆ 消火器具の能力単位の数値の合計数が2未満となる防火対象物であっても、規則第6条第7項の規定にかかわらず、消火器を規則第6条第1項から第6項までの規定の例により設置すること
この一文は、次の順にたどると読めます。
  1. 消防法施行令第7条第2項第1号で、消火器具=消火器と簡易消火用具と確かめる
  2. 消防法施行規則第6条第1項で、水バケツは8リットル以上3個で1単位などの能力単位を確かめる
  3. 規則第6条第7項で、簡易消火用具を2分の1までに抑えるのは合計が2以上の建物だけと確かめる
  4. 大阪市の運用基準 第1 1(1)ウで、合計が2未満の建物でも第7項にかかわらず消火器を設けると読む
  5. その消火器は、規則第6条第1項〜第6項の例により、能力単位の数や歩行距離20メートル以下などを満たすように置く
大阪市の凡例では、◆は行政手続法上の行政指導に当たる行政指導基準です。法令の義務そのものではありませんが、大阪市で設置の相談や届出をするときは、この基準をもとに指導を受けることになります。
運用基準の図1-1-1には、(4)項の延べ150平方メートルのスーパーマーケットで、建物に1.5単位、厨房の付加設置に1単位、合計2.5単位を、粉末10型消火器(A:3・B:7・C)1本で兼用する例が描かれています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第1節 消火器具 第1 1(1)ア・イ◆ 消火器は、廊下又は通路部分で避難上支障のない位置に設けること
室内に設置する場合にあっては、出入口部分に1個以上設置すること

小さな店でも、出入口の近くに消火器を1本は置いておくイメージですね。

はい、大阪市では水バケツだけで済ませる形は想定されていません。
迷うときは所轄の消防署に相談しましょう。

大阪市で水バケツや乾燥砂を置くときは何に気をつけるのか

屋根の下の台の上に乾燥砂の箱を置き水槽の横に消火専用バケツを掛けた様子を示すイラスト
消火器とあわせて簡易消火用具を置く場合、大阪市の運用基準は置き場所と材質も決めています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第1節 消火器具 2 簡易消火用具 1 設置場所等◆ (1) 水槽に付置する消火専用バケツは、当該水槽の直近に設けること
(2) 乾燥砂又は膨張ひる石若しくは膨張真珠岩は、使用に際し容易に持ち出すことができる位置に設け、かつ、雨水等がかからない措置を講じるとともに地盤面(屋内に設ける場合にあっては床面)から10センチメートル以上の台上に設けること
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第1節 消火器具 2 簡易消火用具 2 材質等(1)◆ 水バケツ及び消火専用バケツの容量は10リットル以下で、かつ、容易に変形しないものであること
大阪市の運用基準が書いているのは10リットル以下という上限です。一方、国の能力単位は8リットル以上の水バケツで数えるので、能力単位に入れるなら8リットル以上10リットル以下のバケツを選ぶことになります。
膨張ひる石と膨張真珠岩は、それぞれJIS A5009とJIS A5007に合うものとされています(無印=法令基準)。
乾燥砂は、雨水がかからないようにして、床や地面から10センチメートル以上の台の上に置きます。湿った砂は消火に使いにくいためです。

バケツは大きいほどよいと思っていましたが、10リットルまでなのですね。

水を入れたバケツは重くなるので、持ち運べる大きさに抑えています。
変形しにくい材質かも確かめましょう。

大阪市でアンプル入り水を水バケツの代わりにできるのはどんな場合か

壁の棚に並べた六個のアンプル入り水と三個の水バケツを比べた様子を示すイラスト
大阪市の運用基準 第4 特例基準は、消防法施行令第32条または大阪市火災予防条例第47条を適用する特例として、アンプル入り水を挙げています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第1節 消火器具 第4 特例基準 3 次の(1)から(4)までに適合するアンプル入り水を、(5)により設置するものについては、令第7条第2項第1号イに規定する水バケツに代えて用いることができるものとする。
条件は次の4つです。
項目大阪市の運用基準(第4 3(1)〜(4))
液の容量1個600立方センチメートル以上
液の比重液温17度から23度までで1.1以上
液の成分アンモニウム、アルカリ金属類またはアルカリ土類金属の塩化物、硫酸塩類、炭酸塩またはリン酸塩類を、液100立方センチメートルあたり25グラム以上含む
容器投てきしやすい大きさと形のガラス製アンプル(ガラスの平均厚さ1.2ミリメートル以下で、容器として安全な厚みのもの)
置き方は(5)で、消防法施行令第10条第2項と規則第6条第6項・第9条の例によるほか、次のように決められています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第1節 消火器具 第4 特例基準 3(5)ア〜ウ アンプル入り水の消火効果は、主として投てきによりアンプルが破壊し、水が放射することによるものであるので投てきによって確実、かつ、有効な破壊が期待される場所に設置すること
加熱源のある場所以外の場所に設置すること
規則第6条第1項に規定する能力単位の数値は、アンプル入り水6個と水バケツ8リットル以上のもの3個を同一とし、アンプル入り水の消火の適応性は、令別表第2に規定する水バケツの適応性と同一とすること
能力単位は、アンプル入り水6個=8リットル以上の水バケツ3個=1単位と読めます。
アンプルには、使用方法・適応火災・設置すべき場所・液の内容を簡明に表示します((5)エ)。
この特例は、あくまで水バケツに代えて使うものです。消火器に代わるものとは書かれていないので、2未満でも消火器を求める第1 1(1)ウとは別に考えます。
簡易消火用具の特例の考え方は、水バケツ以外の道具を簡易消火用具とする特例の記事でも解説しています。

投げて割る道具なので、割れやすい場所に置くことが条件になっているのですね。

はい、床や壁に投げて確実に割れる場所に置き、火を使う設備の近くは避けます。

東大阪市と堺市では水バケツの扱いはどう違うのか

大阪市と東大阪市と堺市の三つの市役所の建物の前にそれぞれ水バケツを置いて比べる様子を示すイラスト
東大阪市の「消火器具の設置に係る運用基準」は、簡易消火用具の設置場所と材質を次のように決めています(●=行政指導基準)。
東大阪市「消火器具の設置に係る運用基準」細目 2 簡易消火用具 (1)ア〜ウ● 水槽に付置する消火専用バケツは、当該水槽の直近に設けること。
乾燥砂、膨張ひる石及び膨張真珠岩は、雨水等がかからない措置を講じるとともに、地盤面又は床面からの高さが10センチメートル以上となる場所に設けること。
設置する箇所ごとに、規則第6条第1項に規定する能力単位が、1単位未満とならないように設けること。
東大阪市「消火器具の設置に係る運用基準」細目 2 簡易消火用具 (2)ア● 水バケツ及び消火専用バケツの容量は、8リットル以上10リットル以下で、かつ、容易に変形しないものであること。
堺市の審査基準は、簡易消火用具の設置方法を次のように決めています(無印=法令基準及びその解釈)。
堺市「消防同意・消防用設備等審査基準」第3章 第1節 第1 消火器具 Ⅱ細目 4 簡易消火用具 (2) 設置する箇所ごとに、省令第6条第1項に定める能力単位が1単位未満とならないように設けること。
堺市「消防同意・消防用設備等審査基準」第3章 第1節 第1 消火器具 Ⅱ細目 4 簡易消火用具 (1)ア 水バケツ及び消火専用バケツの容量は10ℓ以下で、かつ、容易に変形しないものであること。
堺市は、乾燥砂などを床や地面から10センチメートル以上の場所に置くことを、1(2)防護措置の「なお」書きに置いています。
3市を並べると、次のとおりです。
項目大阪市東大阪市堺市
能力単位の合計が2未満の建物消火器を設ける(第1 1(1)ウ◆)記載は見当たらない記載は見当たらない
設置する箇所ごとの能力単位記載は見当たらない1単位未満にしない(●)1単位未満にしない(無印)
水バケツの容量10リットル以下(◆)8リットル以上10リットル以下(●)10リットル以下(無印)
乾燥砂などの高さ10センチメートル以上の台上(◆)10センチメートル以上(●)10センチメートル以上(無印)
アンプル入り水の特例あり(6個=水バケツ3個)記載は見当たらない記載は見当たらない
水バケツの容量は、どの市でも国の能力単位に入る8リットル以上と合わせて考えると、実際には8〜10リットルのものになります。
一方、2未満の建物の消火器とアンプル入り水は、大阪市の運用基準にだけ書かれています。

東大阪市や堺市では、置く場所ごとに1単位以上という決まりがあるのですね。

はい、バケツ1個や2個だけをあちこちに分けて置く形は避けるということです。
市ごとに書き方が違うので確かめましょう。

よくある質問

Q大阪市で延べ150平方メートルの物品販売店舗なら、水バケツ5個で足りますか?
A国の条文の計算では1.5単位を水バケツでそろえられますが、大阪市の運用基準は合計が2未満でも消火器を規則第6条第1項〜第6項の例により設けるよう求めています。消火器を置く前提で計画し、所轄の消防署に確かめてください。
Q◆の基準は、守らないと消防法違反になりますか?
A大阪市の凡例では、◆は行政手続法上の行政指導に当たる行政指導基準です。法令の義務とは区別されていますが、大阪市で消防用設備等の相談や届出をするときは、この基準をもとに指導を受けます。
Qアンプル入り水を置けば、消火器はいらなくなりますか?
A大阪市の特例は、アンプル入り水を水バケツに代えて使えるとしているもので、消火器に代わるものとは書いていません。アンプル入り水6個が水バケツ8リットル以上3個と同じ能力単位です。
Q東大阪市や堺市でも、2未満の建物に消火器が求められますか?
A公開されている東大阪市の運用基準と堺市の審査基準の消火器具の節には、2未満でも消火器を求める記載は見当たりません。両市とも設置する箇所ごとに1単位未満にしないよう定めているので、置き方は所轄の消防署に確かめてください。

まとめ

✔消火器具には、消火器と、水バケツ・水槽・乾燥砂などの簡易消火用具が含まれます
✔国の基準では、水バケツは8リットル以上3個で1単位、乾燥砂はスコップ付き50リットル以上で0.5単位です
✔簡易消火用具を消火器の2分の1までに抑える上限は、能力単位の合計が2以上の建物に限った決まりです
✔大阪市の運用基準は、合計が2未満の建物でも消火器を設けるよう求めています(◆行政指導基準)
✔大阪市には、アンプル入り水6個を水バケツ3個と同じ1単位として水バケツに代えて使える特例があります
✔東大阪市と堺市は、設置する箇所ごとに1単位未満にしないよう求めています
✔運用基準は改正されることがあるので、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認しましょう

店の入口近くに消火器を1本置く前提で、レイアウトを考え直します。
水バケツは8〜10リットルのものをそろえます!

大阪市では、小さな建物でも消火器が基本です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および大阪市・東大阪市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。個々の建物の扱いは、所轄の消防署にご確認ください。

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