共同住宅の一部に有料老人ホームやグループホームを入れると、建物全体にスプリンクラー設備が必要になるのでしょうか。
答えは、福祉施設があるだけで全館一律とは限らず、用途、階数、区画のつくりを順に確認することです。
消防法施行規則第13条は、一定の居住型福祉施設を含む複合用途の建物について、10階以下の範囲で設置を要しない部分を定めています。
ただし、図面で条件を外してしまうと結論が変わるため、「福祉施設部分だけに散水すればよい」と先に決めないことが重要です。
共同住宅の1階に福祉施設を入れる予定です。
散水範囲はどこまで見ればよいですか。
用途と区画を同時に確認します。
用途名だけでは判定できません。
階数が10階以下なら大丈夫ですか。
階数は入口条件の一つです。
区画などの条件も満たす必要があります。
- 共同住宅に居住型福祉施設を併設しただけで、全館の散水範囲が決まるわけではありません
- 規則第13条第1項第1号は、10階以下の階を前提に設置を要しない部分を定めています
- 居室の壁・床、内装仕上げ、開口部、防火戸、区画面積を一つずつ照合します
- 福祉施設部分の床面積が3,000㎡以上の場合などは、さらに階ごとの除外条件があります
- 設計や用途変更では、図面と実際の使い方を持って所轄消防署に確認することが確実です
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目次
なぜ共同住宅の全館に散水が必要とは限らないのか

消防法施行規則第13条第1項第1号は、居住型福祉施設を含む一定の複合用途建物について、区画を設けた10階以下の階を対象に、スプリンクラー設備を設置することを要しない部分を定めています。これは福祉施設の安全を軽く見る例外ではなく、区画で火災の拡大を抑える前提の整理です。
共同住宅と福祉施設が混ざると、必ず全館に必要だと思っていました。
用途と区画の組合せで見ます。
住戸側を先に除外と決めないでください。
どの福祉施設とどの階が判定の出発点になるのか

また、本文の条件は10階以下の階に関するものです。11階以上、地階、無窓階の扱いを安易に同じにせず、階ごとの用途と面積を図面で色分けすると見落としを減らせます。
フロアの一部だけをデイサービスにする場合も同じですか。
実際の用途で判定します。
契約書上の呼び名だけでは足りません。
区画では何を一つずつ確認するのか

内装は、主たる廊下などの通路を準不燃材料、その他を難燃材料で仕上げる条件です。さらに開口部は合計8㎡以下、1か所4㎡以下、防火戸の自動閉鎖などが続きます。一つでも条件が外れれば、この設置不要部分の整理をそのまま使えません。
防火戸が付いていれば区画は足りますか。
いいえ、壁・床・仕上げ・開口部をまとめて見ます。
防火戸だけでは判定しません。
10階以下でも設置不要にできないのはどんな場合か

ここで扱う数字は建物全体の延べ面積ではなく、条文が指定する用途部分・階の床面積です。面積の拾い方は設計変更や区画変更で変わるため、確認申請図と現況図の両方を用意して確認します。
10階以下なら自動的に対象外になるわけではないんですね。
その通りです。
面積の例外まで確認して初めて判断できます。
用途変更や設計前にどんな順番で確認するのか

規則の条件は細かく、地域の運用や建物固有の事情もあります。工事契約や用途変更の前に、所轄消防署へ用途・平面図・断面図を示して協議してください。
見積りの前に、まず図面を確認します。
用途と区画を同じ図面で示すのが近道です。
早めに協議を始めましょう。
よくある質問
まとめ
用途と区画を図面で整理してから相談します。
計画段階での確認が安心につながります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
※本記事は一般的な制度の説明です。建物の用途、区画、面積、既存不適格の有無および地域の運用により必要な設備は変わります。着工・用途変更の前に所轄消防署と専門家へ確認してください。






