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豊中市で令8区画の下の地下ピットも壁で区切るのか|電気配線と給排水管で分かれる扱い

建物の床下の地下ピットに給水管と排水管が通る写真に、豊中市で令8区画の下の地下ピットも壁で区切るのかを問うタイトルを重ねた画像

1つの建物に飲食店と物品販売店が入るとき、間を開口部のない耐火構造の壁で区切ると、消防用設備等の基準では別々の建物として扱えます。いわゆる「令8区画」です。
ところが、1階の床の下に配管や配線を通す地下ピットがあると、ピットの中まで壁で区切るのかどうかが問題になります。
この記事では、豊中市消防局の「消防用設備等の設置に関する運用基準」第1部 第2章 第1節 第6 令第8条に規定する区画等の取扱いを読み、地下ピットの扱いが電気配線と給排水管で分かれるしくみを番号つきで示します。あわせて、堺市・吹田市・大阪市の基準とも比べます。

豊中市で、1階を飲食店と物販店に分けて令8区画にする計画です。
床下に地下ピットがあるのですが、ピットの中にも壁が要りますか?

豊中市の運用基準は、ピットに何を通すかで答えを分けています。
電気配線を通すなら、ピットも壁で区切ります。

給水管や排水管だけならどうなりますか?

給排水管だけなら、地中と同じ扱いで壁はいりません。
国の規則から順に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 消防法施行令第8条第1号は、開口部のない耐火構造の床又は壁で区画された部分を、設備の基準ではそれぞれ別の防火対象物とみなすとしています
  • 消防法施行規則第5条の2第4号は、この壁に配管を貫通させないことを原則とし、例外の条件の1つ目に配管の用途は原則として給排水管であることを挙げています
  • 豊中市は、令8区画のときに地下ピットに電気配線を通すなら、ピットも耐火構造の壁で区画するとし、給排水管だけなら地中と同様に扱って壁を不要としています
  • 区画した部分ごとの用途・床面積・階数の数え方と、階単位の規制の扱いは、堺市の審査基準もほぼ同じ書き方です
  • 地下ピットの区画を令8区画の節で書いているのは、比べた資料のうち豊中市だけです。吹田市と大阪市は共同住宅の節で、配管だけのピットの扱いを書いています

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豊中市の運用基準で、令8区画の壁、国の規則の貫通配管、電気配線がある地下ピット、給排水管だけの地下ピットの扱いを4つにまとめた図

国の基準は令8区画の壁と配管をどう決めているのか

2階建ての建物の2つの店舗の間を、地面から屋根の上まで突き出した厚い灰色の壁が区切っている様子を描いたアイソメ図
消防用設備等の設置基準は、原則として1棟の建物ごとにかかります。その例外が、消防法施行令第8条です。
消防法施行令 第八条(抜粋) 防火対象物が次に掲げる当該防火対象物の部分で区画されているときは、その区画された部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の防火対象物とみなす。
開口部のない耐火構造(建築基準法第二条第七号に規定する耐火構造をいう。以下同じ。)の床又は壁
この第1号の壁の中身を決めているのが、消防法施行規則第5条の2です。条文を番号つきでたどります。
  1. 第1号=鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造など、堅ろうで容易に変更できない構造であること。
  2. 第2号=通常の火災の火熱が2時間加えられても、構造耐力上支障のある損傷を生じないこと。
  3. 第3号=壁等の両端又は上端は、外壁又は屋根から50cm以上突き出すこと。ただし、幅3.6m以上の部分を耐火構造にし、開口部がないか、防火戸を設けて開口部相互を90cm以上離す場合は、この限りでない。
  4. 第4号=壁等に配管を貫通させないこと。ただし、配管と貫通部がイからトまでの基準に合う場合は、この限りでない。
第4号のただし書の1つ目が、次のイです。
消防法施行規則 第五条の二第四号(抜粋) 配管の用途は、原則として給排水管であること。
配管の呼び径は、二百ミリメートル以下であること。
貫通部の内部の断面積が、直径三百ミリメートルの円の面積以下であること。
国の規則が区画の壁を貫いてよいとしているのは、原則として給排水管です。電気配線は、この「原則」の外にあります。この点が、あとで見る豊中市の地下ピットの扱いにつながります。令8区画の全体像は壁で仕切れば消防用設備等の基準は分けられるのか、貫通する配管の質疑は令8区画の壁と貫通する配管はどこまで認められるのかで解説しています。

国の規則は、壁を貫く配管を給排水管に絞っているのですね。

はい、原則として給排水管です。
次に、豊中市が区画した部分の設備をどう数えるかを見ます。

豊中市は令8区画した部分の設備をどう数えるのか

左に高層の棟、右に低層の棟があり、その間を厚い灰色の壁が区切っている様子を描いたアイソメ図
豊中市の運用基準 第6 4は、令8区画された部分ごとに用途・床面積・階数に応じて消防用設備等を設置するとしています。上下に区画した場合の階数には、ただし書があります。
豊中市 運用基準 第6 4(3) 令8区画された部分ごとに、その階又は階数に応じて消防用設備等を設置するものとする。
ただし、床で上・下に水平区画されたものの上の部分の階又は階数の算定にあたっては、下の部分の階数を算入すること。
運用基準に載っている例を、表にまとめます。
区画のしかた例豊中市の扱い
壁で左右に区画(用途・床面積)(16)項イ 4,000㎡を(5)項ロ 3,000㎡と(4)項 1,000㎡に区画それぞれ延べ面積3,000㎡の(5)項ロ、1,000㎡の(4)項として設置
壁で左右に区画(階数)10階建ての部分と4階建ての部分を区画階数10と階数4の防火対象物として設置
床で上下に区画下が3階建て、上を含めて全体が14階建て下は階数3、上は階数14として設置し、上の部分の最も低い階は4階として扱う
続く第6 5は、1つの階の中を令8区画で分けたときの「階単位の規制」の扱いです。
豊中市 運用基準 第6 5 令8区画されている階に、階単位の規制(例えば、令第11条第1項第6号、第12条第1項第11号等)を適用する場合は、区画された部分の床面積を一の階の床面積とみなして取り扱うものとする。
例を番号つきで読み解きます。
  1. (4)項の建物の4階が、700㎡と800㎡に令8区画されています。4階全体では1,000㎡以上です。
  2. 消防法施行令第12条第1項第11号ロは、(2)項・(4)項の4階以上10階以下の階で床面積1,000㎡以上の階にスプリンクラー設備を求めています。
  3. 区画された部分の床面積を一の階の床面積とみなすので、700㎡と800㎡はどちらも1,000㎡未満です。豊中市は、4階に第12条第1項第11号ロを適用しないとしています。
  4. 地階でも同じです。地階2層を300㎡+300㎡と200㎡+200㎡に区画した例では、地階の合計が700㎡以上でも、区画した部分ごとでは700㎡未満なので、連結散水設備の第28条の2第1項を適用しないとしています。

区画した部分ごとに、別の建物として数え直すのですね。

はい、階単位の規制も区画した部分の床面積で見ます。
次がこの記事の本題、地下ピットです。

豊中市は令8区画の下の地下ピットをどう扱っているのか

1階の床を左右に区切る厚い壁が床下の地下ピットの底まで続き、ピットの中にオレンジの電気配線のケーブルラックが通っている断面のアイソメ図
豊中市の運用基準 第6 6は、「令8区画における地下ピットの取扱い」という項目です。
豊中市 運用基準 第6 6 下図の防火対象物において、飲食店と物品販売店を令8区画で区画するとき、地下ピットに電気配線を通す場合は、地下ピットについても耐火構造の壁で区画すること。
ただし、給排水管だけの場合は、地中と同様に取扱い、耐火構造の壁は不要とする。
豊中市の判断を、確かめる順に並べます。
  1. 1階などを飲食店と物品販売店に分け、令8区画で区画する計画であることを確かめます。
  2. 区画の壁の下に、配管や配線を通す地下ピットがあるかを確かめます。
  3. 地下ピットに電気配線を通すなら、地下ピットも耐火構造の壁で区画します。床の上の壁だけでは足りません。
  4. 地下ピットに通すのが給排水管だけなら、地中と同様に扱い、ピットの中の耐火構造の壁はいりません。
文中の「下図」は、当サイトで確認した公開PDFでは地盤面とピットの輪郭しか読み取れず、壁の位置などの細部は確かめられませんでした。また、第6 6に根拠の条文は書かれていません。

ピットに何を通すかで、壁の工事が変わるのですね。

はい、配線があるかどうかが分かれ目です。
なぜそう分かれるのかを、国の規則とつないで見ます。

電気配線と給排水管で地下ピットの扱いが分かれるのはなぜか

1階の床を左右に区切る厚い壁が床で止まり、床下の地下ピットには青い給水管と灰色の排水管だけがまっすぐ通っている断面のアイソメ図
豊中市の第6 6は理由を書いていませんが、国の条文と並べると次のようにつながると読めます。番号の順にたどってください。
  1. 消防法施行令第8条第1号=開口部のない耐火構造の床又は壁で区画された部分は、別の防火対象物とみなします。
  2. 消防法施行規則第5条の2第4号=その壁には配管を貫通させないのが原則で、例外として認める配管も原則として給排水管です。
  3. 区画の壁が床の上で止まり、その下のピットが一続きの空間だと、ピットの中を通る電気配線は、区画をくぐって両側をつなぐ形になります。
  4. 豊中市は、電気配線を通す場合はピットも耐火構造の壁で区画するとして、区画が床の下でも途切れないようにしています。
  5. 給排水管だけなら、ピットを地中と同様に扱うとし、地中に管を埋めた場合と同じく、ピットの中の壁を求めていません。
つまり、豊中市の扱いは、国の規則が区画を貫く配管を原則として給排水管に絞っていることと同じ方向を向いていると整理できます。ただし、これは条文を並べたうえでの読み方で、豊中市が理由として明記しているものではありません。 なお、電気配線を通すためにピットを壁で区画したとき、その壁を配線がどう貫くかは第6 6に書かれていません。配線の貫通部の処理は、設計の段階で豊中市消防局に確かめてください。

給排水管でも、床の上の壁を貫くところは規則の基準に合わせるのですよね?

はい、床の上の区画の壁を貫く配管は、規則第5条の2第4号のイからトに合わせます。
最後に、他の市の基準と比べます。

堺市や吹田市など他の市の基準と比べて何が違うのか

コンクリートの床の点検口が開き、横に黄色の懐中電灯とクリップボードが置かれている様子を描いたアイソメ図
堺市消防局の「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」には、第6 政令第8条等に規定する区画等の取扱いの節があります。区画した部分ごとの用途・床面積・階数の数え方と、階単位の規制の扱いは、豊中市とほぼ同じ書き方です。
堺市 審査基準 第6 1(6) 開口部のない耐火構造の壁で区画されている階に、階単位の規制(例えば政令第11 条第1 項第6 号、第12 条第1 項第11 号等)を適用する場合は、区画された部分の床面積を一の階の床面積とみなして取り扱うこと。
一方、堺市のこの節を検索した範囲では、地下ピットの区画にふれた項目は見当たりませんでした。 吹田市消防本部の「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」は、第20節 特定共同住宅等で、地下の配管専用ピットを取り上げています。
吹田市 質疑応答集 第20節 答4 原則として地中(地盤面)とし、ピット上部の床スラブは令8区画及び共住区画としない。
大阪市消防局の運用基準は、特定共同住宅等の節の「共住区画を貫通する配管等」で、配管ピットの扱いを書いています。この項目には、大阪市の行政指導を示す◆が付いています。
大阪市 運用基準 特定共同住宅等 共住区画を貫通する配管等 ア 配管ピットに敷設される配管等の用途が、給排水及びこれに付属する通気管のみである場合は、位置・構造告示第3第3号(4)ホの規定によらないことができる。
5市の書き方を並べます。東大阪市の公開されている運用基準には令第8条の区画の節が見当たらず、八尾市は審査基準が公開されていないため、比較から外しました。
項目豊中市堺市吹田市大阪市
資料運用基準 第6(令8区画の節)審査基準 第6(令8区画の節)質疑応答集 第20節 答4運用基準 特定共同住宅等
区画した部分ごとの数え方ありあり(ほぼ同じ)記載なし記載なし
階単位の規制の扱い区画部分を一の階とみなす区画部分を一の階とみなす記載なし記載なし
地下ピットに電気配線ピットも耐火構造の壁で区画記載なし記載なし記載なし
給排水管だけのピット地中と同様・壁は不要記載なし配管専用ピットは原則地中・上の床スラブは令8区画としない共住区画の貫通で告示の(4)ホによらないことができる(◆)
吹田市と大阪市は共同住宅の節の話で、豊中市は令8区画一般の話という違いはありますが、配管だけのピットを区画の対象から外す方向は共通しています。そのうえで、電気配線を通す場合の区画まで書いているのは豊中市だけです。図面で確かめる順番は次のとおりです。
  1. 平面図で、令8区画の壁の位置と、その下に地下ピットがあるかを確かめます。
  2. 設備図で、ピットに通すものを電気配線と給排水管に分けて書き出します。
  3. 電気配線があれば、ピットの中にも耐火構造の壁を描き、配線の貫通部の処理を決めます。
  4. 床の上の区画の壁を貫く配管は、規則第5条の2第4号のイからトに合っているかを確かめます。
  5. 判断に迷う納まりは、図面を持って管轄の消防署・消防局に事前に相談します。

同じ大阪府内でも、ピットの書き方はずいぶん違うのですね。

はい、どの節に書いてあるかから違います。
最後によくある質問をまとめます。

よくある質問

Q豊中市で、地下ピットに電気配線と給排水管の両方を通す場合はどうなりますか?
A第6 6は「電気配線を通す場合は」ピットも区画し、「給排水管だけの場合」に壁を不要としています。両方を通すなら給排水管だけの場合には当たらないので、ピットも耐火構造の壁で区画すると読めます。
Qピットを地中と同様に扱うと、ピットに消防用設備等はいりませんか?
A第6 6は区画の壁の要否を書いたもので、感知器などの設置の要否は書いていません。配管だけのピットの感知器は、吹田市で配管だけのピットに感知器は要るのかで5市の基準を比べています。
Q令8区画にすると、すべての設備が区画ごとに判断されますか?
A消防法施行令第8条は「この節の規定の適用については」別の防火対象物とみなすとしています。設備によっては建物全体で判断するものもあるため、設計の早い段階で管轄の消防署に確かめてください。
Q堺市でも地下ピットに電気配線を通すときは区画が要りますか?
A堺市の審査基準の第6 政令第8条等に規定する区画等の取扱いには、地下ピットの区画にふれた項目が見当たりません。規定がないから不要とは言えないので、堺市消防局に事前に相談してください。

まとめ

✔消防法施行令第8条第1号は、開口部のない耐火構造の床又は壁で区画された部分を別の防火対象物とみなします
✔消防法施行規則第5条の2第4号は、区画の壁に配管を貫通させないのが原則で、例外も原則として給排水管としています
✔豊中市は、区画した部分ごとに用途・床面積・階数で設備を判断し、階単位の規制は区画部分を一の階とみなすとしています
✔豊中市は、地下ピットに電気配線を通すならピットも耐火構造の壁で区画し、給排水管だけなら地中と同様に扱って壁を不要としています
✔堺市は数え方が豊中市とほぼ同じで、吹田市と大阪市は共同住宅の節で配管だけのピットの扱いを書いています
✔運用基準や質疑応答集は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認しましょう

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および豊中市・堺市・吹田市・大阪市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。電気配線と給排水管で扱いが分かれる理由、電気配線と給排水管を両方通す場合の扱いは、条文と資料を並べたうえでの整理であり、豊中市が明記しているものではありません。「記載なし」「見当たらない」とした項目は、各市の公開資料を検索した範囲でのものです。運用基準や質疑応答集は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。個別の建物の判定は、所轄の消防署にご確認ください。

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