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一般取扱所は壁のない建物でも許可される?簡易タンクや船舶への給油の扱いも解説

工場やボイラー室のように、給油取扱所にも販売取扱所にも移送取扱所にも当てはまらない危険物の取扱いは「一般取扱所」として許可を受けます。
タンク部分が簡易タンクのときにどの基準を当てるのか、ガスがこもらないよう壁を設けないオープン式の建物は認められるのか、屋外貯蔵タンクから岸壁の船舶へ直接給油する場合はどう区分するのかを、実際の質疑応答をもとに解説します。

充てん場でガスがこもるのが心配です。
壁を作らないオープンな上屋にすると、許可は下りないのでしょうか。

認められます
壁に関する規定は壁を設ける場合の規定であって、壁を設けない一般取扱所の設置を禁止する趣旨ではないという回答が示されています。

岸壁につけた船に直接給油するのはどうでしょうか。

船舶は給油取扱所でいう自動車等とみなさず、一般取扱所として規制する扱いが認められています。
この記事でまとめて解説します!

この記事の結論
  • 一般取扱所のタンク部分が簡易タンクである場合、危険物の規制に関する政令第14条の基準(第3号の規定を除く)によるよう指導することは差し支えない
  • 石油類を取り扱う一般取扱所の充てん場・ポンプ室等について、ガスの局部的停滞を防止する意味で壁体を設けないオープン式の建物とすることは禁止されていない
  • 屋外貯蔵タンクから配管で岸壁に繋留された船舶に直接給油する場合、船舶を自動車等とみなさず一般取扱所として規制の対象とすることができる
  • 屋外貯蔵タンクから船舶へ移送するための配管を地下配管とし、その注入口部分を一般取扱所として規制の対象とすることも差し支えない

一般取扱所の簡易タンク・壁のない上屋・船舶への給油の取扱い

一般取扱所は他のどの取扱所にも当てはまらない取扱所

取扱所は、危険物の規制に関する政令第3条で給油取扱所・販売取扱所・移送取扱所・一般取扱所の4つに区分されています。
このうち一般取扱所は、同条第4号において前3号に掲げる取扱所以外の取扱所と定められており、他のどの区分にも当てはまらない危険物の取扱いを受け止める区分です。

具体的には、工場のボイラー室や燃料を消費する設備、塗装工程、切削油を使う工作機械のある工場、ドラム缶への充てん場などが該当します。
一般取扱所の位置・構造・設備の技術上の基準は危険物の規制に関する政令第19条に定められており、その第1項では製造所の基準である同令第9条第1項の規定を準用する構成になっています。

一般取扱所の判断が実務で難しいのは、「該当しないものの集まり」という定義の仕方をしているため、条文を読んでも自分の設備が当てはまるかどうかが直接書かれていない点にあります。そのため個別の設備形態について、過去の質疑応答でどう整理されてきたかを確認する意味が大きい区分です。

ほかのどの区分にも当たらないものが、一般取扱所なのですね。

受け皿になる区分です。
自分の施設がどの区分の許可かを、許可書で確かめてください。

タンク部分が簡易タンクなら政令第14条の基準で指導できる

一般取扱所のタンク部分が簡易タンクである場合、危険物の規制に関する政令第14条(第3号の規定を除く)の基準によるよう指導することは差し支えないか、という照会がありました。

危険物の規制に関する政令第14条は簡易タンク貯蔵所の位置・構造・設備の技術上の基準を定めた条文です。
一般取扱所の中に置かれた簡易タンクについては、一般取扱所としての基準の中に簡易タンク固有の細かな規定がないため、簡易タンク貯蔵所の基準を援用してよいかが問われたものです。

お見込みのとおりとされています。ポイントは第3号の規定を除くという限定です。簡易タンク貯蔵所の基準のうち設置場所に関する部分は、独立した貯蔵所を前提としたものであり、一般取扱所の内部に置かれるタンクにそのまま当てはめることが適切でないため除かれています。設備そのものの安全性に関わる基準は援用し、施設の区分に固有の基準は除くという考え方です。

中のタンクが簡易タンクなら、その基準で見るのですね。

必要な部分を援用します。
タンクの容量と構造を、設備の一覧に書いておいてください。

壁を設けないオープン式の建物は禁止されていない

石油類を取り扱う一般取扱所のうち、充てん場、ポンプ室またはガソリン加鉛室等については、その作業に伴うガスの局部的停滞を防止する意味で、壁体を設けないいわゆるオープン式の建物を法改正前に許可しているが、これについての今後の指導はいかにすべきか、という照会がありました。

危険物の規制に関する政令第9条第5号は、製造所の建築物の壁・柱・床・はり・階段を不燃材料で造ることなどを定めた規定です。壁について定めがあることから、壁のない建物は認められないのではないかという疑義が生じたものです。

回答では、危険物の規制に関する政令第9条第5号の規定は、壁を設ける製造所(一般取扱所)についての規定であって、壁を設けない製造所(一般取扱所)の設置を禁止する趣旨ではないとされています。
つまり壁を設けるのであればその壁は不燃材料で造れ、という条件付きの規定であって、壁の設置そのものを義務づけたものではないという読み方です。可燃性蒸気が局部的に停滞することを防ぐという安全上の目的からは、むしろ開放的な構造のほうが望ましい場合があり、条文の趣旨と現場の安全が一致した整理といえます。

壁を設けないことが、禁止されているわけではないのですね。

壁を設ける場合の規定と読みます。
換気を優先する設計なら、その理由を書面で説明できるようにしておきましょう。

岸壁の船舶への直接給油は一般取扱所として規制できる

屋外貯蔵タンクから配管で岸壁に繋留された船舶である油そうに直接給油する場合、危険物の規制に関する政令第3条第1号(給油取扱所)でいう自動車等とみなさず、一般取扱所として規制の対象としているが差し支えないか、という照会がありました。

お見込みのとおりとされています。給油取扱所は自動車等の燃料タンクに直接給油するための取扱所として定義されており、船舶はここでいう自動車等には当たらないという整理です。そのため給油という行為をしていても給油取扱所には該当せず、他のどの区分にも当てはまらない取扱所として一般取扱所になります。

船は自動車等とはみなさないのですね。

一般取扱所として規制できます。
取扱いの実態を整理して、区分から相談してください。

船舶への移送配管は地下配管として注入口部分を規制できる

同じ照会では配管についても問われています。
危険物を移送する配管については金属管または陶管等耐熱性を有するものとする旨の規定はあるものの、空地の保有に関する規定はありません。
ついては、屋外貯蔵タンクから危険物を船舶へ移送するための配管については地下配管とし、その注入口部分を一般取扱所として規制の対象としているが差し支えないか、という内容です。

こちらもお見込みのとおりとされています。配管の材質については規定があるものの空地の保有に関する規定がないため、配管を地下に埋設したうえで、地上に現れる注入口の部分を一般取扱所として捉えるという運用が認められています。地上の設備が集約される注入口を規制の単位とすることで、実態に即した保安管理ができるという考え方です。
なお、この照会は昭和37年当時の条文構成を前提としたものです。移送取扱所の区分はその後の改正で整備されており、配管の長さや経路によっては移送取扱所として判断される場合があります。現行の判断は所轄消防署にご確認ください。

配管を地下にして、注入口の部分で規制する方法もあるのですね。

そうした扱いが認められています。
埋設の図面を保管しておいてください。

よくある質問

Q. 一般取扱所とはどのような取扱所ですか?
危険物の規制に関する政令第3条第4号において、給油取扱所・販売取扱所・移送取扱所以外の取扱所と定められています。工場のボイラー室や燃料を消費する設備、塗装工程、ドラム缶への充てん場などが該当します。技術上の基準は同令第19条に定められ、製造所の基準である同令第9条第1項を準用する構成です。
Q. 一般取扱所の中に簡易タンクを置く場合はどの基準によりますか?
危険物の規制に関する政令第14条の基準(第3号の規定を除く)によるよう指導することは差し支えないとされています。設備そのものの安全性に関わる基準は援用し、独立した貯蔵所を前提とした設置場所の規定は除くという考え方です。
Q. 壁のないオープンな建物で危険物を取り扱ってもよいのですか?
危険物の規制に関する政令第9条第5号は壁を設ける場合の規定であり、壁を設けない一般取扱所の設置を禁止する趣旨ではないとされています。充てん場やポンプ室では、ガスの局部的停滞を防止する観点から開放的な構造が採られてきました。
Q. 岸壁に繋留した船に給油する場合は給油取扱所になりますか?
なりません。船舶は給油取扱所でいう自動車等とみなさず、一般取扱所として規制の対象とすることができるとされています。移送配管を地下配管とし、注入口部分を一般取扱所として規制することも差し支えありません

まとめ

  • 一般取扱所は給油取扱所・販売取扱所・移送取扱所以外の取扱所で、技術上の基準は製造所の基準を準用する
  • タンク部分が簡易タンクの場合は、危険物の規制に関する政令第14条の基準(第3号の規定を除く)によるよう指導して差し支えない
  • ガスの局部的停滞を防止する目的で壁体を設けないオープン式の建物とすることは禁止されていない
  • 岸壁に繋留された船舶への直接給油は、船舶を自動車等とみなさず一般取扱所として規制できる
  • 船舶への移送配管を地下配管とし、注入口部分を一般取扱所として規制の対象とすることも差し支えない

条文に書いてあることを、どこまで義務と読むかで結論が変わるのですね。
すっきりしました。

そのとおりです
壁の規定は条件付きの要求であり、簡易タンクの基準は必要な部分だけを援用します。
趣旨から読むことが判断の軸になります。

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第3条第4号 e-Gov法令検索
  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第14条 e-Gov法令検索
  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第19条 e-Gov法令検索
  • 一般取扱所の簡易タンク部分について(質疑応答)
  • 壁体を設けない建築物の可否について(昭和37年4月6日付け自消丙予発第44号 予防課長から山口県徳山市消防長あて回答)
  • 船舶に給油するための配管および注入口について(昭和37年4月6日付け自消丙予発第44号 予防課長から岩手県釜石市消防長あて回答)
  • 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)一般取扱所の基準に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成

※本記事は2026年6月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

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