BLOG

タンクだけを取り替えるときは変更許可か設置許可か|完成検査前検査の順序から二重殻タンクの再利用まで

地下貯蔵タンクの取り替えと許可の区分を解説するアイキャッチ画像

危険物施設のタンクを入れ替えるとき、まず迷うのが変更許可で進めるのか一度廃止して設置許可を取り直すのかという点です。
検査の順序や、廃止された施設から外したタンクを別の場所で再び使えるのかという相談も現場では珍しくありません。
これらはいずれも条文だけでは答えが出ず、通達で示された考え方をたどる必要があります。
この記事ではタンクの取り替えと再利用をめぐる手続きの扱いを消防庁の通達に沿って整理します。

配管はそのままでタンクだけ入れ替えるんやけど、これ廃止して新しく設置許可取り直しか。

その必要はありません。
平成10年10月13日付け消防危第90号で、配管等を残してタンクのみを取り替える場合は変更許可とされたいと示されています。

助かるわ。ほな廃止した施設から掘り出したタンクを別の現場でもう一回使うんはどうや。

できます。
二重殻タンクは外殻が外せないので、水圧検査に代えて加圧試験で確認する方法が認められています。この記事でまとめて解説します!

この記事の結論
  • 地下タンク貯蔵所および移動タンク貯蔵所の配管等を残してタンクのみを取り替える場合は廃止して設置許可を取り直すのではなく変更許可として扱う
  • 完成検査前検査の申請が設置許可申請より先に出された場合でもその申請を受け付けて検査を実施して差し支えない
  • 廃止された施設の鋼製強化プラスチック製二重殻タンクを再利用する場合は加圧試験を行い異常のないことを確認する方法で完成検査前検査として差し支えない
  • 他の市町村へ移設する場合の扱いは移設先の市町村長等において判断することとされている

配管を残してタンクのみを取り替える場合は変更許可になる

配管を地中に残したまま地下タンクをつり上げて取り替えるイラスト

平成10年10月13日付け消防危第90号の別紙8では、消防法第11条第1項関係として次の照会が出されています。
地下タンク貯蔵所及び移動タンク貯蔵所の配管等は残し、タンクのみを取り替える場合は、変更許可として扱うべきか、それとも当該施設を廃止のうえ、新たに設置許可として扱うべきかというものです。

回答は変更許可とされたいです。
廃止して取り直す必要はありません
タンクという主要な設備を入れ替えても、配管等が残り施設としての同一性が保たれている以上、変更許可の枠内で処理するという整理です。

廃止と新設で処理すると、いったん許可が切れることになり手続きの負担も期間も大きく変わります
どこまでが同じ施設の変更で、どこからが別の施設の設置なのかという線引きにおいて、この回答はタンクの入れ替えは変更の側にあると明示したものです。

完成検査前検査の申請が設置許可申請より先でも受け付けてよい

二枚の申請書の順序が入れ替わることを示すイラスト

同じ別紙の危険物の規制に関する政令第8条の2関係では、申請の前後関係が問われています。
設置予定の製造所等に埋設する地下貯蔵タンクの完成検査前検査(水圧検査)申請が、当該製造所等の所有者から当該製造所等の設置許可申請の前になされた場合、当該完成検査前検査申請を受け付け、検査を実施してもよいかという照会です。

回答は差し支えないです。
設置許可より先でも受け付けられます
タンク本体の水圧検査は施設の設置許可とは別に、タンクそのものの健全性を確かめるものだからです。

工場でタンクを製作してから現場へ運ぶという流れを考えると、タンクの検査が先に来るほうが自然な場面もあります
形式的な申請の順序で受付を拒むのではなく、実際の工程に合わせて処理してよいという判断です。

二重殻タンクの再利用は加圧試験で完成検査前検査に代えられる

内殻の鋼製タンクを外殻が覆う二重殻タンクと圧力計のイラスト

政令第8条の2第3項関係では、廃止された危険物施設に埋設されている鋼製強化プラスチック製二重殻タンクを他の場所の危険物施設に埋設し再利用する際の完成検査前検査の取扱いが問われました。
照会では次の事情が説明されています。

  • 構造 内殻の鋼製タンクを強化プラスチック製の外殻が覆う構造となっているため、貯蔵タンク自体からの危険物の漏れの可能性は非常に少ない
  • 問題点 水圧検査を行う際、外殻を取り外すことが困難である
  • 提案する検査方法 昭和62年3月31日付け消防危第23号「地下タンク及び地下埋設配管の定期点検の指導指針について」(一部改正平成8年2月22日)に基づく定期点検実施方法のうち加圧試験(水加圧)を実施し、異常のないことを確認する。ただし、試験圧力は70キロパスカルとする
回答は差し支えないです。
ただしタンク検査済証に検査方法を記載することという条件が付いています。
本来の水圧検査ができない構造であることを踏まえ、代わりの方法を認めたうえで、何をしたのかを書面に残させる形です。

二重殻という構造は漏れに強い反面、外側を外して中を確かめるという検査には向きません
構造上の理由で標準の方法が取れないときに、同等の確認ができる方法へ置き換えるという考え方がここでも使われています。

他の市町村へ移設する場合は移設先の市町村長等が判断する

別の敷地へタンクをトレーラーで移設する様子のイラスト

同じ照会では続けて、上記と同様な場合で、当該地下タンクを他の市町村へ移設する場合はどうかが問われています。
検査を行った市町村と、これから設置する市町村が異なるという場面です。

回答は当該地下貯蔵タンクの移設先の市町村長等において判断することというものです。
受け入れる側が決めます
なお移設先の市町村長等が他の市町村長等による加圧試験の実施を認めた場合には、タンク検査済証に試験結果記録等を添付することとされ、あわせて当該タンクに係る事務処理が円滑に行えるよう双方の市町村長等において調整を図られたいと付け加えられています。

検査の結果をそのまま持ち込めると決めてしまうのではなく、受け入れる側の判断に委ねたうえで自治体間の調整を促しているのがこの回答の特徴です。
実務では移設先の消防への事前相談が欠かせないことになります。

鏡板が半球形なら近似計算法によらず体積算法で計算してよい

鏡板が半球形の横置き円筒タンクと半径を示す破線のイラスト

危険物の規制に関する規則第2条第2号関係では、容積の計算方法が問われています。
強化プラスチック製二重殻タンクの鏡板が半球形である場合、鏡板部分の容積算出にあたっては、規則第2条第2号イの横置きの円筒型タンクに関する近似計算法を使用せず、半球状の鏡部分の容積を求める体積算法を用いて計算して差し支えないかという照会です。

回答は差し支えないです。
形が分かっているなら実際の式で計算できます
規則の近似計算法は鏡板の形状が一律でない場合に用いる便宜的なものであり、半球という明確な形が分かっている以上、その形に応じた計算のほうが実態に合うという整理です。

タンクの容積は指定数量の倍数や許可の内容に直結する数値です。
近似で足りる場面と実測に近い計算が求められる場面を使い分けられることが、この回答で確認されています。

よくある質問

Q. タンクだけを取り替えるのは変更許可ですか設置許可ですか?
変更許可です。平成10年10月13日付け消防危第90号では、地下タンク貯蔵所及び移動タンク貯蔵所の配管等は残しタンクのみを取り替える場合について、変更許可とされたいと示されています。施設を廃止したうえで新たに設置許可を取り直す必要はありません。
Q. 設置許可の申請より先に完成検査前検査を申請できますか?
できます。危険物の規制に関する政令第8条の2関係の回答では、設置予定の製造所等に埋設する地下貯蔵タンクの完成検査前検査の申請が設置許可申請の前になされた場合でも、当該申請を受け付け検査を実施して差し支えないとされています。
Q. 廃止した施設の二重殻タンクは再利用できますか?
再利用できます。鋼製強化プラスチック製二重殻タンクは水圧検査の際に外殻を取り外すことが困難であるため、昭和62年3月31日付け消防危第23号に基づく加圧試験を試験圧力70キロパスカルで実施し異常のないことを確認する方法で完成検査前検査として差し支えないとされています。タンク検査済証に検査方法を記載することが条件です。
Q. 不燃性でない羊毛や毛糸は指定可燃物になりますか?
なります。平成9年3月25日付け消防危第27号では、不燃性又は難燃性でない羊毛は危険物の規制に関する政令別表第4に掲げる綿花類に該当し、不燃性又は難燃性でない毛糸は同別表第4に掲げる糸類に該当するとされています。

まとめ

  • 地下タンク貯蔵所および移動タンク貯蔵所の配管等を残してタンクのみを取り替える場合は変更許可として扱う
  • 施設を廃止したうえで新たに設置許可として扱う必要はない
  • 設置予定の製造所等に埋設する地下貯蔵タンクの完成検査前検査の申請が設置許可申請より先になされた場合でも受け付けて検査を実施して差し支えない
  • 廃止された施設の鋼製強化プラスチック製二重殻タンクを再利用する場合は加圧試験を試験圧力70キロパスカルで実施し異常のないことを確認する方法で完成検査前検査として差し支えない
  • この場合はタンク検査済証に検査方法を記載することが条件とされている
  • 他の市町村へ移設する場合の扱いは移設先の市町村長等において判断することとされ試験結果記録等の添付と双方の調整が求められる
  • 鏡板が半球形である場合の鏡板部分の容積は規則第2条第2号イの近似計算法によらず半球の体積算法で計算して差し支えない

配管が残ってたら同じ施設のままっちゅうことか。すっきりしたわ。

手続きの区分も検査の方法も、実態に合うかどうかで決まっています。
標準の方法が取れないときは代わりの方法を認め、そのかわり何をしたのかを書面に残すという組み立てです。

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第11条 e-Gov法令検索
  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第8条の2・別表第4 e-Gov法令検索
  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第2条 e-Gov法令検索
  • 危険物規制事務に関する執務資料の送付について(平成10年10月13日付け消防危第90号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)別紙8 その他
  • 地下タンク及び地下埋設配管の定期点検の指導指針について(昭和62年3月31日付け消防危第23号 一部改正平成8年2月22日)
  • 危険物規制事務に関する執務資料の送付について(平成9年3月25日付け消防危第27号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)令第1条の12関係
  • 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)のタンクの取り替えおよび完成検査前検査に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成

※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
地下貯蔵タンクの取り替えと許可の区分を解説するアイキャッチ画像
危険物施設のタンクを入れ替えるとき、まず迷うのが変更許可で進めるのか一度廃止して設置許可を取り直すのかという点です。 検査の順序や、廃止された施設から外したタンクを別の場所で再び使えるのかという相談も現場では珍しくありま...