タンクローリー同士で積荷を移し替えたい、という場面は現場で生じます。
また事業所どうしを配管でつなぐとき、それが移送取扱所として別の許可を要するのかも判断に迷うところです。
どちらも共通しているのは、どこからが施設としての許可を必要とするのかという線引きです。
この記事ではタンクローリー間の移替えと移送取扱所の範囲を消防庁の質疑応答に沿って整理します。
ローリー同士でホースつないで移し替えるんは、あかんのか。
認められていません。
照会では一般取扱所の行為として認めてよいかと問われましたが、回答は前段 認められないでした。
ほな満載のまま停めとくんもあかんのか。すぐ出られるようにしときたいんやが。
そちらは条件付きで認められました。
危険物取扱者が常時監視でき保安の確保を図ることができる状態である場合に限りさしつかえないとされています。この記事でまとめて解説します!
- タンクローリー間の積荷の移替えを一般取扱所における取扱行為として認めることは認められない
- 常置場所で危険物取扱者が常時監視でき保安の確保を図ることができる状態である場合に限り危険物を満たして停車させておくことはさしつかえない
- 配管が1の道路を横断するものは移送取扱所に該当しない
- 第三者の敷地を通過する配管の長さが概ね100メートル以下のものは移送取扱所に該当しない
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目次
タンクローリー間の積荷の移替えは認められていない

昭和52年3月25日付け消防危第46号は、青森県からの照会に答えたものです。
第三種空港におけるレフューラすなわち航空機給油車の間で、積荷を移し替える行為について問われました。
照会にはその必要性が具体的に述べられています。
現在、当空港には2台のレフューラがあるが、貯油施設がないため空港と油槽基地間の13キロメートルの移送及び航空機への給油に使用している。当空港では、常時、航空機への補給体制をとつておく必要があるため、レフューラ間の積荷の移替えを行つて積荷状態のレフューラを待機させるものであるという事情です。
回答は前段 認められないでした。
移替えそのものは通りません。
移動タンク貯蔵所は危険物を積んで運ぶための施設であり、そこで危険物を取り扱う行為までは想定されていません。
必要性があっても、施設の区分を越える運用は認められないという整理です。
常時監視できるなら満載のまま停車させておくことはできる

同じ照会の後段では、レフューラに満載の状態で常設させることについて問われました。
こちらは結論が異なります。
認められるための条件が三つ重ねられています。
常置場所であること、貯蔵する危険物を取り扱うことができる危険物取扱者がいること、そして常時監視でき保安の確保を図ることができる状態であることです。
単に停めておくだけなら誰でもよい、という話ではありません。
人と体制が条件です。
配管が道路を横断するだけなら移送取扱所に該当しない

次は配管の話です。
昭和49年4月25日付け消防予第63号では移送取扱所の区分については、危険物の規制に関する政令第3条第3号に規定されているが、配管等が公共用地または第三者の土地にかかるものは、その規模に関係なく、すべて移送取扱所とすべきかと問われました。
その一つめが危険物の送り出し施設から受け入れ施設までの間の配管が1の道路又は第三者の敷地を通過するものという場合です。
道路については条件が明確です。
道路にあつては、配管が横断するものであることとされています。
道路に沿って長く敷設するのではなく、横切るだけであれば移送取扱所にはあたらないということです。
向かい合う二つの事業所を最短でつなぐような配管が、これにあたります。
第三者の敷地を通る配管は概ね100メートル以下なら該当しない

第三者の敷地を通る場合には、長さの基準が示されています。
これが実務では最も参照される数字です。
目安は100メートルです。
ここでいう第三者にも定義があります。
回答では危険物の送り出し施設又は受入れ施設の存する事業所と関連し、又は類似する事業を行なうものに限るとされており、まったく無関係の第三者を想定しているわけではありません。
あわせて危険物を運搬する船舶から陸上への危険物の移送については、配管及びこれらに附属する設備を対象とすることも示されています。
桟橋からの配管は概ね30メートル以下なら該当しない

海に面した施設についても類型が示されています。
二つめの類型は危険物の送り出し施設又は受入れ施設が桟橋に設けられるものです。
ただし第一石油類を移送する配管の内径が300ミリメートル以上のものを除くという但し書きが付いています。
三つめの類型は1及び2の要件を満たすもの、つまり道路の横断と桟橋の両方を組み合わせた形です。
回答には該当しない例が図で示されており、道路と第三者の敷地と海を順に越えていく配管の形が並べられています。
いずれの類型も短い区間で外部の土地や水面を越えるという点が共通しています。
長距離を移送する配管であれば、当然に移送取扱所としての規制がかかることになります。
よくある質問
まとめ
- タンクローリー間の積荷の移替えを一般取扱所における取扱行為として認めることは認められない
- 常置場所で危険物取扱者が常時監視でき保安の確保を図れる場合に限り満載での停車はさしつかえない
- 認められる条件は常置場所であることと危険物取扱者がいることと常時監視できることの三つである
- 配管が1の道路を横断するものは移送取扱所に該当しない
- 第三者の敷地を通過する配管の長さが概ね100メートル以下のものは移送取扱所に該当しない
- ここでいう第三者は送り出し施設又は受入れ施設の事業所と関連し又は類似する事業を行なうものに限る
- 桟橋に設けられるもので岸壁からの配管の長さが概ね30メートル以下のものは移送取扱所に該当しない
- ただし第一石油類を移送する配管の内径が300ミリメートル以上のものは除かれる
停めとくんはええけど、見とる人が要るっちゅうことやな。
そのとおりです。
常置場所の要件や配管の計画についても所轄消防署との協議からお手伝いします。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第10条・第11条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第3条・第15条 e-Gov法令検索
- 移送取扱所に関する疑義について(昭和49年4月25日付け消防予第63号 予防課長から東京消防庁消防総監あて回答)
- 第三種空港におけるレフューラ間の積荷の移替えについて(昭和52年3月25日付け消防危第46号 危険物規制課長から青森県あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。




